2019/09/20 のログ
ご案内:「富裕地区の公園」にクレマンスさんが現れました。
クレマンス > 【お約束の待機となります】
ご案内:「富裕地区の公園」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
クレマンス > 「そうですね。まずは雪が降るまでに雪合戦に耐えうる肉体を作らねばならないかもしれません。
体力がおありなのは存じておりますが、脂肪が…やや足りないようにお見受けしますので…寒さへの耐性も重要かと…。
あぁ、メンバーに関しましては皆様ご協力くださるのでは」

皆様とは屋敷の使用人のことであるらしい。
令息の誘いであれば断ることはないだろうとの算段だが、そんな彼に雪玉をぶつける者がいるのかはまた別問題。
愛情ゆえに恋人の肉体改造を計画している聖女、己への健康を望まれて心外そうに首を傾げ。

「あら。私は至って健康体です。…と…申しましても…他の女性と比べたことはないのですが……。
 他の女性の体は何か違ったりするものですか?」

とんでもない質問をする。
思えば他の修道女とは違った扱いを受けてきた己は、他の女体というものを知らないのだ。
それに関してはどう考えても以前から房事に長けていたであろう相手の方が
よく知っているかとの質問だが、非常にセンシティブな回答が問われることは否めない。
なにせ聖女として育ちながら、存外俗物な彼女だから。恋人はかなりの戸惑いを見せてはいるが、
差し出したサンドイッチを食べてくれた。
見る見るうちに赤くなっていく頬が微笑ましくて、聖女はニコニコしてしまう。
彼を知ってる者が見れば驚愕の場面も、知らない者が見れば女子同士の仲睦まじい戯れ。

「うふふ。ご存知ですか?
 こういったやり取りの後は、唇のそばに付いた食べ物を拭って差し上げるのが定番らしいですよ。どちらがします?」

王都に来てから時間に余裕が生まれすぎたのだろう。
典型的な恋愛小説を読みあさっていることがよくわかる発言をする。
初デートに対する意気込みも重なり、聖女の追撃はまだ止まない。
期待の眼差しが頬を染める少年へと、まっすぐ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…確かに寒い場所は好かぬが、雪合戦というのは其処まで大掛かりに取り組むものなのか?人数に関しては、屋敷の者達に伝えれば問題なかろうが…」

体力を魔力で補う様な生活ではあるが、元々は低血圧型の夜型人間。即ち、本来は極端に朝に弱く、寒さにも弱い。
結果として彼女の肉体改造計画は己の苦手な所をカバーするものになってはいるのだが、元より運動と日光を好まぬ身とすれば、雪合戦に其処まで本気で取り組む必要があるのだろうかと不思議そうに首を傾げるのだろう。

「ふむ?そう問われれば確かに明確な違い等は感じられぬな。……というよりも、其処まで気に掛けた事も無い。身体つきどうこうというよりも、先ず健康である事を気に掛けたのはお前くらいだからな」

何とも残念な事に、恋人からの際どい質問を"際どい"と認識する経験値が不足していた。普段から他者への気遣いを心掛けていたり、女心の機微に聡い者であれば気の利いた言葉を返せるのだろう。
しかし、己はそうではない。彼女以外の女性との経験がある事は否定しなかった。それでいて、身体を気遣う様な関係であるのは彼女だけだと、さも当然の事の様に答えるだろう。
そういう答え方しか出来ないのは、経験値以前に元来の性格もあるだろうが――

そんな問い掛けに答えながらも、楽しそうに笑みを浮かべる彼女を眺めて居れば自然此方の頬も緩むというもの。
しかし、聖女から放たれた追撃の一手にはきょとんとした様な表情で瞳を瞬かせて。

「……そういうものなのか?市井の恋愛観というものは良く分からぬな」

と言いながらサンドイッチを一度籠に置き、少し身体を動かして彼女との距離を詰める。
そのまま手を伸ばすと、指先で彼女の唇をそっと撫でた後、周りに僅かに付いたパンの欠片を拭う。拭う、と言うよりも指先で擽る様な動きの後。

「…不思議なものだな。民草に祈りを捧げる為のお前の唇が、こうして俺の指先にあるというのは」

そのまま彼女の頬をそっと撫でると、クスリと小さく微笑んだ。