2019/09/11 のログ
サウラ > カウンター席の止まり木で交わされる会話は悲喜交々に加え、冒険者ギルドに正式な依頼を出せないような事や後ろ暗い密談などの場として利用されることも多い。女性二人が非常に親密な様子で華やいだ空気を纏ったとしても、アルカイックスマイルを湛えたマスターは動じたりはしない。そうこういうところがこの店の美点だ。

「ふふ、相変わらず良く聞こえる耳を持ってるのね?私も会えて嬉しいわ、――――…、っ、!!
――……もう、…其れについては反省しているわよ…、少しはね」

言葉を切って囁かれる事柄は過去の事実だ。ぴくんと耳先を小さく跳ねさせる。以前から感じていたことだけれど、相手の声のトーンが好み過ぎるのがいけない。それに、だ。魅惑的な唇を持っていて、かつ蕩けるような巧みなキスを仕掛けてくる相手にも一因があると主張したいところだが、此処がベッドの上ではない以上、言い募るような真似はせずに緩く首を横に振るに留める。

「ええ、歓んで。時間は勿論あるし、場所を変えていいかしら。
たっぷりと祝杯をあげて話も出来る場所へ行きましょう。――…それこそ1時間以上、話し込めるくらいのね」

絡められる指と指、相手の視線を己の視線。同じ加減で指も絡め返して、相手の耳許へ貌を寄せて囁き返す。
聡いこの人相手には、己が抱く懸念を見抜かれていると知るからこそ冗談めかした響きで。

ルドミラ > ひそやかな笑い声とともに、低く囁き交わすふたりの間の空気が、微妙に質を変える。
見交わす視線も、すっかり共犯者のそれ。
そして人知れず絡む指は、五指の全てが指股まで組み合わさっており。
女主人の親指の腹が、相手の親指の爪をなぞっている──すでに軽い前戯が始まっているような、有様だった。

「ああ、サウラったら──あいかわらず耳も敏感なのね。唇だけじゃなく。
……反省の必要なんてどこにあるの? あたくしもとっても愉しかったのに」

女の目線が、つ、と相手の唇をなぞった。声のトーンが、物腰が、そして柔らかそうな体つきが好ましく、確か前回もこちらから誘いをかけたのだった──。

「では、善は急げね。話の続きは、その後で──」

そう。マスターに合言葉を伝えたその後で。

ご案内:「バー「ブラック・ルシアン」」からルドミラさんが去りました。
ご案内:「バー「ブラック・ルシアン」」からサウラさんが去りました。