2019/03/24 のログ
■ぼたん > 「あぁー……今日も割といいお月さんだね……」
なんだか投げやりに、湖面に映る月に声を掛ける。
そうしてまた、一つ溜息をつくとむくりと身体を起して、足を砂地の方へと投げ出して座った。
ふっくりとした腕を持ち上げると頭や頬にくっついた草を払って、その両手を後ろにつく。
「……早く過ぎないかなァ…」
今年はちょっと早めに来てしまった、女の――動物として身体に変化を伴う恋の季節。
自分には、昼間ぼーっとするぐらいしか影響が無いが、種類問わず野生の動物の雄がしばしば反応して寄ってきてしまう――店をやって居られないくらいには。
■ぼたん > いっそのこと、と言うわけで人里を離れて森に籠って、昼間は強い匂いのする香草を周りに敷き詰めた場所で寝て、夜になってから這い出して……と言う生活を、ここ数週間続けている。
「……はァ…ちゃんとした料理して、ごはん食べたい…」
森の中では専ら、下ごしらえなしの生専門である。
…つらい。
■ぼたん > 毎年のことではあるものの、どれ位の期間続くのか到底予測がつかない。
また、重々しい溜息をついて…それから振り払うように頭を振った。
(止めだ止めだ…)
「……面白いこと考えよ」
思った後半を言葉に出せば、少しは気が紛れたようで、への字の口が少し笑みに変わった。
(面白いこと…)
「……取り敢えず、少し身体動かしておこっかね」
健全な精神は、健全な身体に宿るっていうし。
呟き終えると女は両足を引き寄せる。
次にはぽんと身を翻して飛び上がって、草地に器用に着地した。
■ぼたん > もう一度、今度は直接月を見上げて目を細めると、くるりと湖に背を向けた。
そうして弾む足取りで、囲む大木の一つの傍へ。
「……よッ」
その梢を見上げ、小さく声を掛けると――四肢を使って登って行った。
―――更に、奥の気の梢が揺れる音がして。
湖の回りは静寂に沈む。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 湖畔」からぼたんさんが去りました。