2018/10/06 のログ
ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」にリスさんが現れました。
リス > [お約束待機です]
ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」にセレーナさんが現れました。
リス > ここは、平民地区の一角、路地裏にあるひっそりとしたお店。
 席にして20席有るか無いかのそんなに大きくない喫茶店は知る人ぞ知るその店は、会員制であり、女性客のみという場所なのである。
 店員も、マスターもまた、女性であり、女の子が気軽に使うことのできる安息の場所という意味合いが多い店である。
 料理なども、十分以上に美味しいので隠れた名店というところでもある。
 それともう一つ。
 このお店は、部屋を借りることができる、その部屋の中での事は外には漏れることがない。
 なので……密会にも使えるということである。

「ここの料理はすごく美味しいんだ。」

 そして、少女はそこの会員であり、今日は従業員を一人連れてきていた。
 会員カードを見せた上でボディチェックをされ、魔法で姿を変えてないか、迄。
 それをクリアした後に、案内されたテーブルで、メニューを開き、どれにしようかしら、と眺めながら少女は相手を眺める。

「堅苦しい挨拶とかそういうのはなしでいいからね?」

 気軽にいきましょ、気軽にと軽くウインクしてみせる。

セレーナ > 少女の知らぬ店。雰囲気は大人びていて、しかしそれが押し付けがましくない。
時間の流れがゆっくりになったのではないか、とすら感じるような雰囲気があった。

「……は、あぁぁぁぁ~」

初めて経験する、そんな雰囲気のあるお店に少女、感嘆。
きょろきょろ、と店内を見るその様子は、まさに場慣れしていない人間のそれだが。

「そ、そうは言いましてもっ。
 ここ、すっごい高そうな感じといいますか!」

相手のウインクに、少女は声を殺しつつ叫ぶ。
少女の知る喫茶店は、もう少し……フランクというか。
安っぽいお店ばかりだ。こんな喫茶店は初めてだし、目の前の女性は自分の上司にして店長様。
緊張しないほうがムリだ。

リス > 周囲の雰囲気で言えば、証明は少し薄く、喧騒と言うものが全くなさそうな様子で、落ち着いて食べたり会話したりできるような場所。
 今日はたまたまなのだろう、もしくは時間帯のせいかもしれないが、少女と彼女の二人しか客はいなかった。

「こういうふうに、落ち着いてお話できるところ、あまりないし、ね。
 普通の喫茶店とかは、もっと騒がしいところばかり、だし。」

 隠れ家的なお店というのは余りない、それに此処は……会員制である。
 少女は楽しそうに笑って、店員のウエイトレスに、彼女の分の会員証をお願いする。

「そんなに高くはないわ?
 周囲のお店と変わらないくらい、よ。」

 平民地区にあるのは、客層はそういうのを狙っているからである。
 若い少女二人となると、お金が少ない方が多いはずである。
 せっかくの隠れ家も値段で入れなければ……意味が薄まる。

「ほら。」

 メニューを出して見せてみれば、確かに、普通の店とそんなに変わらない値段設定になっているのが見えるだろう。

セレーナ > どちらかと言えば、喫茶店というよりはバーにすら近い様な。
気軽に入れる感じではない、という店の雰囲気。
会員制ということもあるのだろう。少女にとっては別世界とすら思えてしまって。恐縮しっぱなし。

「そう、ですね。私がよく行く喫茶店なんかだと。
 いろんなお客さんがたくさんいて賑やかですし」

それが悪い、という話ではないのだが。
相手の言うとおり。落ち着いて話をするには、このお店はもってこいだろう。
何よりも……料理がおいしいというのは、少女にとってとても嬉しい点で。

「……わ、ホントだ……。
 しかも、メニュー豊富……」

相手に見せられたメニューを見て、少女は驚く。
その価格設定は本当に良心的であり、決して少女にも手が届かないものではなく。
それがまた、このメニューから何を頼もうか、なんて。
少女のワクワクを増大させていく。既にメニューの文字を少女の目が凄い速度で追っているくらいだ。

リス > 「そもそも宣伝していないからね。
 だから、誰かが連れてきたり、あとは噂で見つけるの。
 そして、見つけた子達だけの、秘密の花園。

 だから……こんなに静かなのよ。」

 少女は楽しげに笑ってみせる、内緒、と言わんばかりに人差し指を口元に立ててみせて。
 メニューを開いて見せて、彼女が納得したので、頷いてから、少女はコーヒーと、ケーキを注文することにした。
 あとは、軽くサンドイッチ。

「さてさて。
 セレーナは、何を頼むのかしら。」

 すごい勢いで読み始める相手、少女は目を細めて彼女の様子を眺めて待つ。
 彼女の仕草も面白いし、何を頼むのかも興味があったから。

セレーナ > 「わぁ……それ、素敵ですね~!
 なんだか、ロマンチックといいますか……。
 なんていうんでしょう、青春? 大人へのステップアップ? 的な?」

若い少女が、友人を連れてきて、秘密のお店を一緒に楽しむ。
そんな秘密の共有を、少し羨ましく思いつつ想像してしまう。
少女は、出自のせいもあり、友人などはほぼいない。
だからこそ、こういったお店につれてきてもらえたのは凄く嬉しかった。

「え……あ、は、はいっ。
 えっと……」

相手の言葉を聞けば、少女はそれが『早く決めろ』と言っているのかと思い。更にスピードアップしてメニューを見る。
そうして、少女が決めたのは……。

「……カフェオレと、『オムライス』で……」

少女が頼んだのは、甘い飲み物と……。東の国より伝来した、『コメ』。
それを使った、オムレツに味付けしたライスを来るんだ、風変わりな料理だ。

リス > 「ロマンチックでは、あると思うのよね。
 でも、青春とか、大人へのステップアップ……なのかしら?」

 少女は首をかしいだ。とは言え……だ。まだ説明をしていないこともある。
 知らないし、純粋な想いを破るのも悪いであろう、少女は黙ることにした。
 なにせ……。

 奥の扉が開き、ふたりの女性が出てきた。
 甘い香りを振りまき、身を寄せ合う彼女らは、友達という関係にはふさわしくなかろう。
 恋人同士の雰囲気で、少女たちの脇の通路を歩き、去っていく。
 まあ、そういうことなのだろう、彼女はそれをどう思うか。

「あ。」

 急がせてしまったようで、少女は申し訳なさそうに苦笑い。
 そんなつもりはなかったのだ。
 しかし、注文を聞いてから、少女はウエイトレスを呼び、自分と彼女の分の注文をする。

「さて、料理が来るまで少しあるし……最近の調子、どう?」

 改めて、少女は、彼女の近況を問いかけた。

セレーナ > 「えー、青春っぽいじゃないですか!
 学院の生徒さんたちが、授業の後でここでお茶、とか!
 もしもそれが禁止されてたりしたら、ちょっとだけ悪いことしてる感じで!」

友達もいないが、当然学校なんて通ったことも無い。
知識だけは少し……そんな少女にとっては、喫茶店での秘密のお茶会、というのは青春と、少々の非行行為、な~んて浪漫があるのかもしれないが。

「……っ!?」

扉から出てきた二人の女性の姿を、最初はただ見ていた少女だが。
その雰囲気から、何かを察したのか。さっ、と顔を赤面させてしまう。
それはつまり、そういうことに見え。つい、ちら、と目の前の女性を見てしまう。
緊張と、微かな期待と、憧れの入り混じった視線で。

「……そうですね。結婚して、出産しましたけど。
 すぐにお仕事もできてますし……。あぁ、ただ。
 最近は冒険者稼業がメインになっちゃってるんで。
 ダンジョンとかでケガした人とかに、ポーション使ってあげて。
 『このポーション、なんとトゥルネソル商会マグメール支店にてお値打ち価格200ゴルド!』なんて。
 現場で宣伝することが多いですね~」

尋ねられれば、赤面しつつも。相手との久々の顔合わせが嬉しいのか。
いきなり勢い良く話し始める少女。
ちら、ちら、と相手の顔色を見ながら、少女は落ち着きが無い。
……この女性とは、そういう関係にはなっていないし、その目もないと思っているが。
それでも、この女性への憧れと、恋慕の情は消えはしないのだ。
願わくば。この人に愛されたいと。少女は思ってしまっている。

リス > 「ふふ、残念ながら私学院に通ったことないの。
 物心付いたらもう、父に商売と、計算と文字は習ったけれど。」

 目の前の少女と同じように、自分もまた学校には通ってなかった。
 商売に必要なものは、父親と母親に教わった、ただそれだけである。
 なので、彼女の憧れの青春というものに関しては申し訳ないのだけれども、同意しようにも同意ができなかったりもする。

「そういう目的で、使う人もいるのよ。
 そして、お金を払えば奥の部屋を使わせてもらえるの。」

 赤面する相手、少女はその二人のことを視線で追ってから、相手に視線を戻す。
 自分をみる目、大丈夫、落ち着きなさい、と軽く言葉を。

「そうそう、結婚したのよ、ね?おめでとう。
 お祝い、送ってなかったわね……何がいいかしら、後で考えておくわ。
 出産したというのなら、あまり無茶はしないようにね?子供のことも考えてあげなさいな。
 冒険者メインなのは別に私としては問題がないわ。
 だって、そうやって宣伝してくれるんだし、ね。
 いつもありがとう、セレーナ。」

 彼女の言葉を聞きに周り、相槌のように笑ってみせてみせる。
 チラリ、ちらりとこちらを見る視線には気が付いていて。
 少女は、それに答えることなく泰然と微笑んでいた。

 そして、コーヒーが届いて、少女はそれを一口。

「……結婚したばかりで、旦那を裏切りたいのかしら?
 愛し合って、ないの?」

 少女は、切り出すように問いかける。

セレーナ > 「あ、そうなんですね……。
 えっと、帝王学、的な……?」

相手の言葉に、意外だ、という表情になる少女。
まだまだ学ぶことの多い少女。誰も彼もが学院に通っていると思っている。
知識はあれど、人それぞれの人生などについて、思考が回らないのだ。

「……へ、へぇ~。そうなんですね~」

相手の言葉に、言葉こそ落ち着いているものの。
どうしても、そんな想像ばかりが頭の中でグルグルと回ってしまい。
どこか、上の空、という様子な少女。

「ありがとうございます。いえ、お祝いだなんて!
 お仕事させてもらってますし! それに、こんなお店にまでつれてきてもらってますし!
 ……アハハ、それ、夫にも言われます。けど……。
 私にも、目的がありますし……」

相手の実に上司然とした言葉に、少女はクルクル百面相しながら答える。
だが、届いたカフェオレに口をつけた瞬間、相手にその言葉を切り出されれば。

「っ!? ……~~~っ。えほ、げほっ……。
 いや、その、あの、えっと」

また拒絶されるかと思ったのに。そんなことを聞かれ、少女は驚くものの。
ゆるり、と相手を上目遣いで見て。おずおずと喋りだす。

「……最近は、ちょっと。お互いの仕事が忙しくて。
 それに、私。夫のことは愛してます。愛してますけど……。
 元の体……セインって人だったときの影響と言うか……。
 その~……せ、性欲が、旺盛なタイプですので。日々悶々としていますといいますか……」

思わず正直に、「私、欲求不満です」なんていってしまう少女。
いっそ顔から炎が飛び出るのではないか、くらい赤面してしまいつつも。
カフェオレをちびちびと飲む。

リス > 「ちょっと違うんじゃないかなあ?商売のことだし。」

 商人の娘だから、商売の事。一般的な流れではあるだろう。パン屋の子供は小さな頃から、パンの作り方を学ぶだろうし。
 裕福であれば、学院とかも視野に入るだろうが、両親はそうではなく、少女に商売のことを教えることにしたのだ。
 金勘定が一番大事だ、ということで。

「ふふ、従業員のやる気を上げるためだもの?
 それに、良い事があったら祝ってあげるのは筋だし。

 子供ができたというのなら、もうあなた一人の体ではないわ。
 夫を、子供を残して死んではいけないでしょう?
 だからこそ、一層気をつけなさいな。」

 そう、子供を育成する必要もある、彼女の目的は判らないのだけれども。
 冒険者を続けずにもっと別の方法を考えてもいいのではないか、少女は思う。
 それを選択するかどうかは、彼女次第ではあるが。

「……ふうん?」

 言い訳のように、言葉を放つ相手、少女はコーヒーを啜り、話を聞いていた。
 ただただ、感情はなく、真剣に話が終わるまでの間、静かに聴いていた。

「愛の形に関しては、私も人のことは言えないわ。
 ハーレムを作ろうと考えて、口説きまくるぐらいだしね。
 でも、だからこそ、私はいつもするときは相手だけを見て本気で愛するわ。
 そして、セックスするなら、孕ませるつもりで行くの。

 セレーナが求めるなら、抱くのは構わないわ。
 でも、私嫌よ?後からセレーナの旦那にギャーギャー言われたくないし。」

 別に、非難も何もしない。欲求不満なら、抱くのも厭わない。
 そもそも、セインさんと、同じタイプなのだろう、手が早く、気が多いという点では。
 だからこそ、だ。
 少女は人の女には簡単に手を出そうとしない。
 借金のかた、とかそういったものであれば容赦はしないけれど、そうでもない。
 それに、知り合いの幸せを踏みにじるようなことも、好きじゃないし。

セレーナ > 「むむむぅ~……?」

少女にしてみれば、目の前の店長さんは実に凄い人で。
なんといっていいのか……雲の上の存在なのだ。
なので、商売、というよりも。何もかもに精通していてもおかしくないと思っている。

「あうぅ、そういわれると……。
 分かってます。分かってますけど……。
 自分が、人間じゃないって分かったからこそ。
 もっともっと、色々知りたいし……必要なら。
 セインって人に会って……」

相手の言葉は、少女にも理解できる。心配してくれているのも嬉しい。
だが、少女にも目的があり、生きているのだ。
ただ、その相手の心遣いは、素直に嬉しかったので。
少女は、無茶だけはするまい、と心に誓う。

「え、っと。その……」

真っ向から、言葉を向けてくれる相手。
その真摯さこそ、少女が相手を尊敬する理由なのだ。
いくらでも口で丸め込むことはできるだろうに。
いくらでもウソはつけるだろうに。
この女性は、少女みたいな存在にも、ちゃんと向き合ってくれる。
だからこそ……好いてしまう。惹かれてしまう。

「……。その……。
 ……前も、言いましたけど。あの。
 リスさん。私を、抱いてください。愛してください。
 私は、仕事以外でも。アナタにもっともっと、色々とお礼がしたい。
 捧げたいんです。この気持ちを……」

静かに呟いた言葉。少女の表情と声色にウソはない。
求めるなら。そう、求めるから。愛して欲しい、と思っている。
いっそ、少女は泣きそうな表情になってしまいながらも相手をまっすぐに見ている。

リス > 「唸られても、ねぇ?」

 少女は自分を過大評価しているのではないだろうかと苦笑をこぼしてしまう。
 まあ、最近人間を辞めて……?辞めさせられてから、頭が冴えてきたのは間違いはないのだけれど。
 それはそれ、ではないかと思うのだ。

「ふふ、悪い物は贈らないから、期待して待ってて。

 それに、自分が何者なのか、それはどうでも良い事だと思うわ、自分が何者『で』ありたいのか。そっちのほうが重要よ。
 セレーナは、セレーナ。
 トゥルネソル商会の宣伝をしてくれる店員。
 人妻で子持ち。」

 それで十分じゃない。少女は言葉を放ちながら、変化を解いていこう。
 以前出会った時は人間であった、今は、人ではなく人竜。
 米神の上あたりに、竜の角が、背中には翼、それにしっぽ。
 両手は竜鱗に包まれていて。

「人間ではなくなったけれど、私は、私だもの。」

 その瞳も、竜眼に変質しており、縦に長くなった瞳孔で、彼女を見つめて、少女は微笑む。
 自分が何者か、それを決めるのは自分で有るのだ、と。

「そう。ね。
 あなたの気持ちは嬉しいけれど、貴女は結婚を、愛を誓った相手がいるのよ。
 ならば、最低限、愛を誓った相手に、それの許可を得てきなさい。
 だからセレーナ、ちゃんと、旦那さんと話し合ってきなさい。
 女と愛し合うこと、私と交わること。
 子供を孕まされてしまう可能性も合わせて。

 旦那が良いというのであれば。

 そのときは、本気で相手してあげる。
 あなたの気持ちも、受け止めてあげるわ。」

 泣きそうな、懇願するような彼女の言葉。
 その視線を受け止め、視線を返して、少女は言葉を紡ぐ。
 こればかりは、譲ってはいけない一線であるから。

セレーナ > 「でも、リスさんも学院に通ってないなら……。
 私も学院に通わずとも、勉強次第で頭がよくなるかも?」

元々の素質・素養というものもあるだろうが。
勉強をしっかりとすれば、自分もこの女性のように、なれるのではないか、と。
ただ、自分で口にして、そこまでになれるかはちょっと疑問だったり……。

「そういうことなら、ハイ……。
 ……は、あぁぁぁぁ……。
 なるほど、そういう考え方も……って、ええぇ!?」

相手のとてもために成る言葉に感心していた少女だが。
目の前で、相手の姿が変わっていけば、声を上げて驚いてしまう。
驚いてしまうのだが、慌てて周りを見て。

「に、人間じゃなくなったって、えぇぇぇ!?
 いや、そ、それはいいんですけど! 隠して、隠してください!
 店員さん来ちゃいます!」

少女自身も人間ではないし、この世界ではミレー属や、亜人種も普通に暮らしていたりする場所もある。
だが、流石に入店したお客さんの姿が一気に変わっていれば、店員さんも驚くだろう、と思う。

「……は、い。……わかりました。
 ……でも、約束ですからね!
 ちゃんと許可を取ってきたら、その……。
 わ、私の中に、リスさんのザーメン、たっぷり注いでくださいね!」

相手の言い分。それはもっとも。そこを理解し、相手の言葉に従う。
だが、相手の言葉をしっかり聞けば、それは愛してもらえる可能性が出た、ということで。
嬉しさのあまり、少女は大きな声で叫んでしまうが。
次の瞬間、自分の言葉を理解し、また赤面してしまう。

リス > 「ええ、それはあると思うわ、だって、勉強は、学院だけでするものじゃないし。
 ほら、冒険者の技術を学ぶのだって、それは勉強と言えるじゃない?」

 どこでやるかではなくて、如何に覚えるか、が重要なのだと思う少女、彼女の冒険者のスキルなどを鑑みれば、そもそも学院で教えてもらえるたぐいではないと思うし。
 少女は、にこやかにサンドイッチを頬張ることにする。

「それに……私唯一この魔法使えるけれど。
 教えてくれた人の言い方すごいわよ?

     『気合』

 だったし。」

 驚いている相手に少女は全く気にした様子もなく言葉を紡ぎ、人の姿へと戻っていく。
 理論とかそんなものを教えてくれると思ったのに、まさかの精神論でした。
 でも、魔法は精神から魔力を寝るのであながち間違ってはいないのよね、と苦笑い。
 いつもの人間の姿に戻って、コーヒーのおかわりを注文。

「ええ、気長に待ってるわ。
 ザーメン注ぐだけじゃなくて、ちゃんと妊娠させてあげるから。」

 くすくすと笑いながら、顔を赤くする相手に行ってみせる。
 ああ、大丈夫よ、ふたなりなことはちゃんと店員やマスターに伝えてあって、その上で会員だからと。
 そして、そろそろ食べなさいよ、とオムライスを勧めて。

セレーナ > 「なるほどなるほど~。
 あぁ、確かに! 日々これ勉強、ですね!」

確かに。冒険者として生き延びるのもまた、勉強あってのものである。
少女は、どこまでも冷静、かつ的確なアドバイスをしてくれる相手に、やはり尊敬の眼差しを向ける。

「……き、気合って……。そんなコツで?
 ……そんなこと、ありえるんですか……?」

少女も様々な種別の人物に出会ってきたが。まさか、気合で魔法が発動するなんて。
信じられない、とばかりに少女は目を見開くのだが……。
実際、相手がそう口にしてるし、実際そうなのだろから。
納得できないものの、理解できない、と悩む少女だが。

「は……はい……。その、すみません……。
 に、妊娠……」

消え入りそうな声で謝罪する少女だったが、大胆な相手のささやきに、赤面しつつもうっとりとした表情になる。
そのまま、促されるがままにオムライスを食せば。

「……おいひっ」

味にびっくり。本当に美味しい。ここまで見事なオムライスは、この国ではなかなか食べられないのではないだろうか。
思わず少女は、がつがつと勢い良く食べ始める。

リス > 「それに……私は学院で何を教えているのか、知らないわ?
 もし行けるのであれば、行っても良いのかしらね、興味はないわけではないけど。
 でも、商売に差し支えそうだしとおもうとね。」

 とどのつまり、行く気はない。必要を感じないというのが正しいのだろう、勉強するのもいいが、それよりも商売だ。
 もっと良い商売の方法があるのであれば、学びに行くのも良いのだけれど、そういうのでもなさそうだし、と。

「さあ?ありえるのかどうか、と言われても。それで今この魔法を覚えてるのだから……。
 そうとしか言いようがないのよね。」

 魔法は精神の力、気合も、精神の働きであるから、多分大丈夫なのだろう。
 目を見開かれても、それしかわからないし、未だに魔法の知識はないので、肩をすくめるのみである。
 理解できないから、魔法なのではないだろうか、とも。

「あら?
 だって、抱く、ということは、セックスするって事でしょう?
 セックスは、子供作る行為、だもの、セレーナは私に抱いて欲しい……。
 つまり、女の私の子供が欲しいってことでしょう?」

 少女は、楽しそうに笑い問いかける。
 旦那がいるのに、大胆ね、と。

「でしょう?」

 すごく美味しいの。
 少女は勢いよく食べ始める冒険者らしい姿の相手、楽しくて笑いつつ眺め。
 ケーキを少しずつ食べて。

セレーナ > 「あぁ、そうですよね……。若い頃ならともかく。
 お仕事してると、なかなか難しいですよね」

少女も肉体年齢的にはかなり若いのだが。冒険者をやっている以上、学院にはなかなか通えない。
なにせ、稼がなくては食べていけないのだ。

「……まぁ、そうですよね。実際使えてるわけですし……。
 世界は不思議がいっぱいだなぁ……」

少女もまだまだ、魔術などに関して詳しいわけでもない。
つまり、少女が否定していたとしても、事実が違うのであれば、納得をするしかないのだ。

「そ、それは、そうですけど~……。
 で、でも……それも、いいかも……」

実際、意識すると恥ずかしくもあるが。この女性の子供であれば。
正直、孕んでみたい、という思いもあった。
それほどまでに、この女性を信頼しているし、好いているのだ。

「はむはむっ! あぐっ!
 こんなに美味しいの、はじめてかもです!」

無我夢中でオムライスを食す少女。その様子は、見た目以上に幼く見えることだろう。

リス > 「……そうよねぇ。」

 18歳、そろそろ身を固める年齢である、というか、既にバツイチなのだけれども。
 若いという言葉にほんのり思うところが発生してしまう少女であった。
 少しばかり遠くを見てしまってみたり。

「詳しいことはわからないわ。
 でも、魔法は……わかる人がうまく使えばいいと思うの。」

 不思議ではあるけれど、必要な事はできるので、それでいいのだろうと。
 それに、教えてくれた師匠でもある嫁は、いなくなってしまったし。

「それは、まずちゃんと相談してきてからにしなさいね。
 相談してこないとダメだから。」

 なんにせよ、まずはちゃんと話し合いなさい、と閉める。
 それ以上は、何も言わないことにする。

「ふふ、ゆっくり堪能するといいわ。
 おかわりしてもいいし、別のを頼んでもいいわ、体が資本だもの。
 しっかり食べてね。」

 少女は、楽しげに食べる様子を眺めていた。
 こうやってみると、年相応の若い子ね、と。

セレーナ > 「……?」

互いに、子供ではない二人。年齢はともかく、互いに仕事をしているのだ。
若い、とは。今ではもう言えないのだろう。

「……そ、そんなものですかね……」

冒険者たる少女としては、魔術などについて学んでおきたいと思うのは普通なのだが。
一般の人間なら、そこまで興味を持たなくてもいいのかもしれない。
魔術とは、そもそも異端の技術なのだから。

「は、はい。
 ……わかりました」

これは、相談してきました、などとウソをついてもバレるな、と。
相手の迫力に、少女は息を呑む。

「はい! もがもがっ!
 しかし、こんなお店を知ってるリスさんは、やっぱり凄いです!」

すっかりこの店の食事の虜になった少女は、勢い良くオムライスを食べていく。
相手から見れば、まだまだ子供。ましてや、この世界に生まれてからはまだ2年も経っていないのだ。

リス > 「だって、魔法はお金かかるもの、普通に学ぼうとすると。」

 学園よりもお金がかかります、魔法の掛かったものの値段とかを考えてみればわかるかと思います。
 魔道書、講師、道具……貴族などでなければ普通に魔法を教えてもらうとかは難しいと思います。
 一般的な明かりの魔道具とかが出てますけれど、魔法はまだまだ一般的ではないと思うのです。

「ええ、本当、お願いね。」

 少女は、うなづく相手ににっこりと笑いかけてみせた。
 ちゃんと出来たなら、その時は受け止めてあげるから、と。

「落ち着いて、ご飯は逃げないわ。」

 おかわりもあるんだし、とものすごい勢いで食べる相手を眺める。
 三女を思い出す勢いだ、三女はもっとひどいが。
 そんな風に、のんびりとした時間を過ごし、会話を楽しむのであろう――――

ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」からリスさんが去りました。
ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」からセレーナさんが去りました。