2018/06/26 のログ
ルーシェ > 呆れたような溜息も、表情をしても、嫌いとは言ってくれない。
マイペースな自分を許してくれる呆れ具合に、子供のように微笑むのに、胸の奥は痛くてたまらない。

「……っ」

飛び込む手前、聞こえた声に痛みは一層深くなった。
時と場合、自分の身に何かあれば……それは、ここでなにか起きるという意味。
抱きつけば、笑顔の裏に押し込めていた怯えが徐々に大きくなる。
指先だけでなく全身が震えて、きゅっとドレスの背中を握りしめてしまう。

「……半分嘘、変な夢みたから来たの」

むにゅっと胸元に顔を埋めながら呟くと、濡れた瞳がじっと見上げる。
すんと鼻を鳴らすと胸元に顔を預けるように傾けていき、彼女の鼓動を確かめるように耳を胸元へ押し当てた。

「自分が必死に戦って、死んじゃう夢。ママとパパも死んじゃう前に夢を見たって日記に書いてあった……ねぇ、なにか起きるの? 時と場合、私の身に何かって……いったでしょ?」

先程の言葉の裏を問いかけながらも、ゆっくりと顔を傾けて改めて彼女を見つめ返す。
涙に満ちた紫色は、気の強いお姫様の顔を歪んで映し出し、しっかりと見れなかった。

ロザリア >  
押し当てた、冷たい胸からその鼓動は聞こえない
彼女は不死者、その肉体の時は止まってしまっている───

「…成程。何も隠そうというつもりはない、
 人間の一団、恐らくは軍勢が、吾を殺そうと魔族の国へ攻め入るという話だ」

その口ぶりはまるで他人事のように淡々と…

「此処まで辿り着けるとも思わぬが、万に一つということもあろう。
 しかしルーシェが死ぬことなどあろうはずがない。この城に近づかねばそれで良いのだぞ」

涙に潤んだ瞳を向ける、ルーシェの頭にそっとその掌を乗せる
──それは、言葉通り。危険に近づく必要はない。
夢は夢、種族的な何かがあろうと、知っているのならばそれを甘んじて受け入れることはないのだ

ルーシェ > 一瞬ビクッとするも、そういえばひんやりすると思っていたのはそのせいかも知れないと今更に気づいた。
不思議だなぁと思いながらも、体の力を抜くと再び頭をあずけていく。

「……ロザちゃんを殺しに?」

普通の人間であれば、無謀とも言える行動。
けれど、それを行おうとするならば一人だけ浮かぶ顔があった。
だけど何故と思いながら紫色の瞳孔を震わすも、続く言葉に全てが繋がっていく。
辿り着けるはずがない、なら辿り着ける術を持ったなら?
あのよくわからない力を本当に少しでも、操れたのなら?
呆然と見上げるままに、くすんだ水色が撫でられていくと、薄っすらとミントの爽やかさが交じる甘い香りが溢れていく。
近づかなければいい、そんな事ができるはずがない。
ぽたぽたと涙がこぼれていくと、体の震えは激しくなるばかり。

「……ごめん、ね。多分…私の、せいだよ……。あの、オーギュストって人に……結界強めて、追い払えばいいじゃんっていったの……そしたら、お互いに触れなくて済むでしょって」

怯えるぐらいなら、触れ合わなければいい。
そう提案して告げた言葉の断片から、もし力の源を知ったなら。
それを彼女に向けて、また暴力をふるおうというのなら。
赦せるはずもないが、抗いきれるはずもない。

「だから多分……守るんじゃなくて、武器に…したのかも……」

そう告げると、顔を隠すように胸元へ埋め、ごめんなさいを繰り返す。
謝って赦されることではないと分かっても、言わずにいられるはずもなかった。

ロザリア >  
「──……」

少しだけ驚いたように、その瞳を丸くする
本来ならば勝ち目のない戦いになるだろうに、勇ましくも攻め来るはそういう事情があったかと
マグメールの人間達の殆どは、その地に残るアイオーンの加護のことを知ることはない
魔族であれば、その名こそ知らぬとも人間の土地へと踏み入れば力が抑えつけられ、その存在を知るに至るのだが
──その力の存在に気づいた人間がああいう男ならば、当然それを利用するだろう

「吾に謝る必要などはない。そんなものを武器にしたとて吾と吾が城は揺るがぬ。
 魔王以下、多くの魔族の血こそは流れるかもしれぬが…何、ルーシェが伝えずともいずれはこうなっていたであろう。
 …そこには遅かいか早いかの違いしかない」

気に病むな…といっても無理だろうが
せめて、ルーシェのその髪を撫で続ける

ルーシェ > 驚く様子に、胸の痛みは深くなるばかり。
友達を裏切るような事に至ったのだから、当然とも言えるはず。
赦されることではないと分かっても、今は謝る以外に答えは見つからない。
身体を震わせながら、顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら涙を流し続けるも、優しい手は変わらなかった。

「――っ……でも、もしも……何かあったら、私のせいだよっ。遅いとか早いとか……そんな話じゃないよ……」

撫でられながら見つめ返す瞳は薄っすらと充血していく。
グシグシと目元を手の甲で拭って涙を払うと、不安そうに彼女を見上げる。

「……怒らない、の?」

故意ではないとはいえ、彼女の配下を死傷に至らしめる可能性すらでる引き金となったのだ。
それでもし彼女が酷い目にあったなら、恨まれても仕方ないとすら思っている。
粗相をした子供のような顔で見上げながらも、涙の残滓がにじむように頬に伝う。

ロザリア >  
「ルーシェが人間の地に残る旧神の加護のことを口にせずとも、いずれ誰かには伝わっていたであろう。
 結果としては同じこと、吾が貴様を咎めるようなことは何もない。だから泣くのはよさぬか」

そっと頬に伝う涙をその細い指で掬い上げるようにして拭う
向けられる瞳には怒りの色は感じられない、ただただ穏やかなな碧の光が揺蕩う

「もとより人と魔族は争う。何かが劇的に変わるということはない。
 危惧することがあるとすれば…貴様が、ルーシェが自責の念から身を滅ぼさぬかということくらいだ」

ルーシェ > 「そうだけど……うぅ……ごめんね……」

すんすんと鼻を鳴らしながら、頬を伝う涙が指に解けていく。
少し怯えながらも確かめた彼女の表情は、優しい微笑みと、綺麗なエメラルドの瞳が穏やな光沢を見せていた。
マイペースな自分の勝手で酷いものを引っ張ってしまったというのに…優しく赦してくれる彼女だからこそ、失いたくないという思いが強まり、少しずつ俯いていく。

「……ぅ、ぇ……でも、私がタナールにいって…攻め込めないぐらい、消耗させたら…大丈夫、だよね?」

釘を差す言葉に、悪さを見つかった猫のように身体をビクンと跳ね上がらせると、恐る恐る彼女を見上げる。
乾いた笑い声を零しながら、足止め程度というように宣うが、実際は決死で戦うつもりでいた。
その証拠に徐々に視線を合わせづらくなり、右に左に視線を逸して合わせようとしない。

「……でも、罪悪感は消えないよ。だって、ロザちゃんが酷い目にあうって分かってて、私のせいだって思ったら、死んででも止めなきゃって…。私だけ残っても、辛いもん」

残されたくない。
だからこそ、死にものぐるいで戦おうとしたのかも知れないと、少しずつ夢の死が解けてきたような気がした。

ロザリア >  
「あー……貴様は…わからんやつ、だな」

一際大きな溜息をついて、その顎を指で掬うようにして顔をあげさせる

「人間どもが攻め込んで来るのが人間のせいであろう。貴様のせいではない。
 力を知り、それを使う意思は自由なるものなのだぞ。奴らは浅ましくもそれを侵略の為に使おうとした。
 お主がその口で話した時のように、平和的な使い方も多くあるというのに、だ」

一息に言い切ると再び嘆息し、その眼を僅かに細める

「貴様だけが残るわけがない。吾は吸血姫ロザリア、不滅の体現であるぞ」

ルーシェ > 「ぇ……っと、うぅ、ごめんね…?」

多分、変なことを言ったのだろうと溜息から察すれば眉を潜めて表情を曇らせる。
怒っていないと分かっても、手間を掛けさせる様な心地で居た堪れぬ心地となる最中、顎に彼女の指が引っかかる。
くぃっと上へ向けさせられれば、翡翠色をじっと見つめ続けた。
自分のせいではない、その言葉が重なる度に逆に自身の失態を無意識に責めていく。
そんなことない、言わなければ、出会わなければ。
けれど、最後の一言だけは違っていた。
平和に使う方法もあると、彼女もそれを認めてくれたのだと思うと痛みの棘がゆっくりと引き抜かれていく。
それに釣られるように、少しずつ唇が開いていくと少々惚けたような表情へ変わっていった。

「……ママとパパも、死なないって言って死んだもん」

目を細める彼女に、嬉しそうにこちらも目を細めていたが…何故かぷくっと頬を膨らませていく。
その理由というように紡いだのは、両親の死。
その言葉を疑うわけではなく、困らせる言葉をいいたいわけでもない。
思うがままに言葉を吐き出すと、ごめんともう一度呟いて見つめ返す。

「私も死なない、ロザちゃんも死なない。もし、どっちか捕まっちゃったら助けに行く。……約束して?」

終わらないことを誓うことで、夢の束縛を破りたい。
マイナスな気持ちを変えようとお強請りを紡ぐと、約束の印というように、瞳を閉ざして唇を差し出すように少しだけ顔を傾ける。
指切りとかのほうがそれらしいが、格好と魔族な自分達なら甘美な方がいいと思うがままに。

ロザリア >  
「では貴様の代で変えれば良い、それだけであるな」

誓いを求める目の前の少女に僅かに眉を顰めるも、その頬へと冷たい手を添えて、そっと重ねるように唇を落とす
触れたのは、ほんの一瞬だったかもしれないが──

「…言葉で束縛しあうなど柄ではないが、ルーシェを人間の手にくれてやるのは些か惜しい」

ルーシェ > 「……ロザちゃんって、お姫様だよねぇ。こう、我に従え~な感じの」

自分の代で変えろと言われれば、瞳を何度か瞬かせて驚きクスッと笑う。
冗談めかした言葉を重ねつつも、自分と違って引っ張ってくれる言葉は心地よく、嬉しそうに瞳を伏せていく。
冷たい掌も、唇も不安の熱を消し去ってくれる心地よさ。
ほんの一瞬でも、不安に逸る鼓動は少しずつ落ち着きを取り戻し、アメジストの瞳が開かれていった。

「えへへ……私も、ロザちゃんを悪い人に何か渡したくないもん。重たく考えなくていいよ? あげたくないって思ってくれるだけで、十分だよ」

惜しむほどの存在になれたと思えば、ぱぁっと子供のような微笑みを浮かべながら、ぎゅっと抱きしめ直す。
疎ましく思われていないかと、不安を覚えることもあったが、その言葉に安堵すれば今までの様に胸元に顔を擦り付けてじゃれていくも……不意にぴたりと止まれば、おずおずと顔を上げた。

「……ロザちゃんの好きな事、されてみたい。もう赦してもらったって分かってるけど、ごめんなさいな気持ち抜けないし、それに……ロザちゃんを満たしたい気分」

交わりも、自分のマイペースに流させてばかりだったのもあり、今度ばかりは彼女の好きにさせたい。
もっともっと繋がりたいと思えば、じゃれあう今より、深いことが欲しくてたまらなくなっていき、先程までとは違う甘い震えを起こした。

ロザリア >  
「……? 城主であるかして、姫という呼称は強ち間違いではないかもしれぬが」

きっとそういうことではないのだろうけれど、少し首を傾げるようにしてそう応えた

「まったく…心配しすぎであるぞ。
 この城に辿り着くことすら人間どもには困難であると言ったであろう」

強く自身を抱きしめるルーシェをやんわりと撫でながら…そn変化の違いに気づく
もう何度目かというところ、ロザリアも聡くそれを理解する

「…欲しがりめ。よい、わざわざ城へ泣き腫らしに来るだけというのも面白みがなかろう」

頭を一撫でするとその肩へ手をやり、僅かばかりの距離をとれば玉座から立ち上がる
視線をその奥へとやれば、空間が渦巻くようにして捻じれてゆく
捻じれの先には…客室なのだろう、しっかりと整えられたベッドが見える

「ひととき、可愛がってやるぞ。ルーシェ──」

ルーシェ > 「なんて言ったっけ、そうそう、唯我独尊!って感じだよねって」

少しズレた答えにクスクスと微笑みながら、遠慮ないストレートな本音をぶつけていくも、だから引っ張ってねと言葉を重ねて微笑み続けた。
心配しすぎだと言われても、夢の結末を知っている以上は怖くてたまらない。
ごめんねと呟きながらも、撫でられる度に心地よさに安堵する。
そして、代わりに擡げる欲望を紡ぎながら見つめると、卑しいと言われたような気がして真っ赤になりながら、恥じらいを隠すように俯く。

「だ、だってっ! ……うん、沢山可愛がって?」

抗議の声と共に離れる身体、そして彼女の術によって現れるベッドルームに真っ赤な顔で何時ものように微笑んだ。
もっと悦んでもらえるなら嬉しい事この上ない、身を捧ぐ甘い贄のように、今宵はベッドの上で踊らされるのだろう。

ご案内:「宵闇の城キルフリート」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「宵闇の城キルフリート」からルーシェさんが去りました。
ご案内:「平民地区」にアルテアさんが現れました。
アルテア > マグメール平民地区を貫く大通りの1つ。武具屋、薬屋、鑑定屋などがひしめき合うように立ち並び、それらを見下ろすように数棟、大手冒険者ギルドの本部が聳える。
その通りから少し離れた場所にひっそりと冒険者支援団体エポナがある。

大手冒険者ギルドと違い喧騒に満ちる事はなく、ポツリポツリと疎らにどこか影のある冒険者達が訪れては粛々と手続きを終え、コソコソと建物を去る。
側から見れば怪しいそんな様子を気に留める様子も無く、その建物の長、ギルドマスターである女は受付横の巨大なボードに依頼が記された羊皮紙を掲示していた。

アルテア > 貼り出される依頼は魔物の討伐と素材の採取から特定の遺跡の調査等ありきたりなものが並ぶが、よく見ればその中にいくつか詳細が記されていないものがある。

依頼主も場所も無く、書かれているのはただ集合場所と相場より2〜3桁多い成功報酬のみ。

「いらっしゃっい…随分と調子良さそうね」

女は入ってきた顔馴染みと思われる冒険者へ挨拶を交わしながら、見るからに怪しいその紙を躊躇う様子も無く貼り付けていく。

ご案内:「平民地区」にマイさんが現れました。
マイ > いつもの冒険者ギルドではない場所。
だがマイにとってはそれなりに利用させてもらっている、裏ギルド。
出入りするのはどれも影のありそうな人間ばかりの中、少年の姿は少々浮いて見えたりするか。

「ん~、ぼちぼちかな」

ただ、少年は慣れた様子でギルドに入り、ギルドマスターの女性の挨拶を適当に返しつつ、ゆっくりと依頼の並ぶ掲示板を眺めていく。
いつものギルドのときと違い、ずいぶん真剣な眼差しで依頼を眺めるのは、トレジャーハンターとしてお宝の匂いと危険なものに引かれたりするからか。

アルテア > 作業の傍ら挨拶をしていればふ、と聞き慣れない声が耳に入る。
振り向いて見れば常連の冒険者の間に挟まるように小柄な少年が食い入るように依頼を見つめる姿が視界に移った。

「あー……エデンは通りの正面にある大きい建物だよ?」

たまに王都に慣れない冒険者が近くにある大手ギルドと間違えてこちらに来ることがある。
この少年も一例だろうと、作業を止め、少年の背後に歩み寄りながら声を掛けて。

マイ > 屈強な強面の大男、危なそうな細い男、顔を隠した怪しい女…
そんな感じの一癖も二癖もありそうな連中の中に混じる、冒険者な少年はさぞ浮いていたことだろう。
だからやっぱり、ギルドの人に声をかけられてしまう。

「うん?ここはエポナ、でしょ?わかってるよ」

後ろから声をかけられれば、振り向いて女性の方を向く。
きちんと理解してここにいることを示そうとしてみるが、果たしてどう映るか。
一見すると育ちの良さそうな少年で普通のギルドにも無縁そうに見えるが、身につけている装備はきちんと手入れされているし、それなりに使用感もある。
何より動き易さと静音性を重視したつくりになっていると、プロならわかるだろう。

アルテア > マジマジと少年の全身を見回して見れば装備は手入れが行き届き、しっかり整っていることが分かる。
小柄かつ身軽な肉体を生かす為に機動性を重視した軽装に
関節部の動作による衣摺れ音を極力小さくするよう加工された防具。
それらの情報から思い返して見れば登録リストにある人物が頭に浮かんだ。


「んー? あぁ、アマルテアさんところの」

アマルテア家と言えば王都の食品事情に大きな影響力を持つ大家だ。
先代のギルドマスター絡みで現当主と顔を合わせたこともあった。

「いやぁ、すまないね…ちょっとぼんやりしていて。それで、クエストでもダンジョンでも、お眼鏡に適う依頼はあったかい?」

気恥ずかしそうに後頭部を掻くと改まって少年へ向き直り、そう話しかけた。

マイ > じっくりと観察されるのはなんともいえない不快感が多少はあるが仕方がない。
周囲の冒険者と比べてしまえば当然なことだと、十分わかっている。
彼女次第で追い出されたり…なんてことも考えたが。

「そうだけど、あんまり家の名前は言わないでね。
これは僕個人がしてることだから」

もしかすれば父絡みで顔を合わせたことがあったかもしれないが、とりあえずアマルテア家ということで信頼してくれた様子。
ただ、あんまり家の名前を表に出すのは好ましく思っていないようで、小声で彼女にお願いしてみる。
かつて家の名前を出したことで、有象無象がお近づきになろうとしてきたこともあった。

「いいのいいの、こんなナリだし。
そうだね、コレとかかな」

改まる彼女に明るく振舞って気にしていないと笑う。
こういったことは割りとあるので大丈夫だと。
気になった依頼はダンジョンの宝探し、その詳細は書かれていないが報酬は飛びぬけて高額なものになっていた。

「ここのダンジョンって、確か近くに山賊団の根城があったよね。
たぶんお宝ってのはその山賊の隠し財宝じゃないかな…だとしたら罠とか見張りがいっぱいいるだろうな」

アルテア > 「あー…それは確かに気まずい。気が利かなくてすまないね」

リストにあった経歴から家柄は把握指定していたが本人と面と向かってそれに関する会話をした事は無かったはずだ。
確かにちょっと迂闊な発言だったと手を合わせて謝って。

「その依頼ね…ちょっと待ってっと…」

指された依頼書とつきあわせる様にして手元にある依頼リストを捲る。
法的な問題から掲示するものに記載するのはマズい情報は全て彼女のリストにあり、依頼受注時に冒険者に教えるのが慣習であり

「えーっと…元々いた山賊はもう討伐されているみたい。ただ…罠だらけなのは確実だね、今まで2組の冒険者が挑んで失敗している。
どちらも救出された際はダンジョン入口で倒れていて全員が冒険者として再起不能、引退してる…と」

備考欄に記載されていた内容を読み上げるとパンっとリストを閉じて再び少年へと目を向けた。

マイ > 「…ふふ、お姉さん美人だから許してあげる」

元からたいして気にしていないが、せっかくだし言ってみたかったセリフを言ってみる。
もちろん彼女が美人なのは本当なのだが。

「引退か、生きてはいるし入口にいたってことは追い返す罠があったのかな。
再起不能ってのが、肉体的なものか精神的なものか気になるとこだけど」

一概に罠といってもいろいろある。
ギミックにより仕掛けられた物理的な罠から、魔法陣による罠など。
罠の内容も、人を傷つけたり仕留めたりするものから、どこかへ転送するもの、あるいは陵辱するためのものもいろいろ。
失敗した冒険者がどういった経緯で引退となったのかで、罠の傾向がわかるというものだ。

「ま、もちろんやるけどね。
罠だらけなんて、僕の専売特許だよ。
問題はお宝を持ち帰るための人手が欲しいところかな」

彼女が少年に目をやれば、さぞ得意げな表情で笑っていたことだろう。
それだけ罠の発見と解除に自信があるということだ。
もちろん依頼は一人でこなすにはやはり荷が重いと感じて、いい人いないかな?みたいな目を向けてきた。

ご案内:「平民地区」からアルテアさんが去りました。
マイ > 継続になります。
ご案内:「平民地区」からマイさんが去りました。