2018/03/09 のログ
ご案内:「マグメール・墓地」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 今日はかつて仲の良かったある友人への墓参りの帰り道。
あいにくの天気であったが、本人が生前好きだった酒を墓の前に供えた。
後は自宅まで戻るだけであったが、雨の中一人で佇んでいる女性の姿を見つける。

このままでは風邪をひくだろう、傘の中に入れようと近づくと奇妙なことに気が付く。
なんと、女性の周囲だけ雨が降っていないではないか。

天候を操る魔術であろうか? それとも別の何かか…。

興味をひかれた私は声をかけることにした。

「凄いですね、これは貴女の力ですか?」
年恰好は私よりも下に見えるが、実際見た目だけでは判断がつかない。

そして、彼女が視線を向けている先には灰の塊が。
私もこの手の種族を何度か手にかけたことがある故にこれが何かは知っていた。

この女性はハンターなのだろうか。

シュティレ > 視線を外しまして、領域を狭めます。すると、しとしとと降る雨がその灰を洗い流していきます。
集めることができなくなるので、さらに彼の復活が遠のくでしょう。
真祖のかの伯爵ならば、復帰は出来るでしょう、長くの時間を必要とするでしょうけれども。
私は、自分の右手を見ます。手袋に包まれた中の手は、今ごろ焼け焦げているでしょう。
誅殺する度に、そうなるのは、呪われた鞭の所為であり、私の罪と罰を表すのです。
痛みが走り、今、醜くなっているでしょう、それでも、私は鞭を振り続けなければならないのです。
今先程のような、誅伐を行い続ける限り、癒しても、癒しきれぬ傷となるのでしょう。

そんな折に、声をかけられました。
人がいることは気が付いておりました、近づいてくることも気が付いておりましたので、驚きはなく。
声をかけた方の方に向き直りましょう。

「ええ、私の業―ワザ―です。アッサルト師団長殿。」

マグ・メールに来た際に、私は王城に近づき、貴族の事をひと通り調べました。
血族は基本的に、貴族階級を望んで紛れ込むものですから。
その中に、彼女の名前もありました、それを思い出しながら、十字架から降りて、口元に笑みを浮かべ、足を一歩引いて、ナイトドレスの端をつまみあげましょう。

彼女に軽くお辞儀を。

「私は、シュティレ・ズィゲルトーアと申します。
どうか、お見知りおきを。」

私は彼女を知っています。
しかし、彼女が私を知っているかどうかはわかりませんので、ご挨拶を。
知っているとすれば、のんびりお話はできないとも、思います。
魔族の国の貴族という立場でありますれば。

フォーコ > 私が近付く直前で雨の降らないエリアが狭まった。
彼女が魔力を温存したのだろうか?

白髪の女性がこちらに振り返る。
ドレスの端を摘まんで淑女らしき気品溢れる挨拶を返される。

どうやら私の事を御存じの様だ。 どこかで会ったかもしれない。

「おお、ズィゲルトーア伯爵でありましたか。
これは失礼をいたしました。」
名前は知っていたが、顔までは知らなかった。
私は傘を手にしたまま、会釈する。

「しかし、伯爵ともあろう方がこんな場所に一人で来られるのですな。
おまけにそれは吸血鬼の灰ではありませんか?
ひょっとして、伯爵が退治されたのですかな?
だとしたら、我々の手が回らず申し訳ありません。」

この方とは面と向かって話すのは初めてだ。
髪の色もそうだが、漂う気配が少し人間離れしたものを感じる。
しかし、それは私にとって対応を変える必要のあることではない。

志が近ければ寄り添うし、対立するようならば、その必要が生じた時にのみ戦う。

なのでこの場は傘を差しだし、中に入れようとする。

「風邪をひかれますぞ。 私の傘で良ければお入りください。」

シュティレ > 「――ふふ。私の事をご存じとは、嬉しい限りです。」

会釈する彼女に対し、失礼にならないように頭を上げましょう、それから、彼女の佇まいを見ます。
武門の誉れとも言えるべき彼女の立ち居振る舞いは女性ながらに男性に引けを取らぬ武を身に着けている事が伺えます。そして、その中に隠しきれぬ美しさも。
ただ、不可解な点が一つ。

「とは言え……貴女は、自分のお言葉の意味が、判っておりますか?」

私の事を『伯爵』と仰られました。
私は、先ほどの名乗りの時に、爵位は名乗りませんでした。
この国では、爵位を私は持っておりませんし、魔族の国としての爵位を知るということは、敵であるということを知っているということに相違ないはずです。
自国の警備が手がまわらないことを謝罪すること自体は理解できます。
しかし―――

なぜ彼女は、友好的に出ているのか。それが解らず、どう答えたものか考えてしまいます。
差し出される傘、未だに私の周囲は雨に濡れてはおりません、狭めはしましたがそれは、あの灰を洗い流すためだけのものです。
なので、自分の傘を差し出す師団長には困惑の表情がこぼれてしまいました。律しきれないとは、我ながら情けないことです。

「私には、病魔は取り付きませんので。アッサルト殿の方が、風邪をひかれてしまいます。」

不死の者―アンデッド―ですから、言葉の外に私は答えて、彼女の傘に入ることを謝辞します。

フォーコ > ああ、そういうことであったか…。
私はどうもこの手の事が鈍い。
溜息をつき、首を左右に振った。

彼女の私でも分かる優しい説明で漸く彼女の言わんとすることが分かった。

彼女は、私に魔族の国の伯爵だと注げたのだ。
おまけに己が人の身でないことまでダメ押しで口にしてきたと言うこと。

「すまない、私はどうにもその手が鈍くてな。
貴女の言葉で漸く理解した。」
敬語を使う必要は最早無い。
私は普段の言葉遣いに戻す。

「貴女を困惑させたことをひとまずお詫びしよう。
ただ、私は貴女がどこの所属で何者であろうと対応は変わらんぞ。
貴女が私やこの国に対して敵対心があるのならそれ相応の対応をさせてもらうが…。
私にはその必要性が感じられないのだが。」

シュティレ > しばしの沈黙が周囲を包み込みます。雨が降る音だけが、只々しとしとと静寂を破る唯一で。
彼女の瞳に、理解の色が浮かびました。
なんと言う事でしょう、忘れてたとか、気にしてなかったとかそういった状態だということが判りました。

「…………はぁ。」

色々と警戒した私にどっと疲れが降りかかります。彼女はよく言えば豪放磊落、悪く言えば……と言うものなのでしょう。
口調が切り替わるのは、貴族としてではなく軍人に切り替わったと私は認識しました。
しかし、彼女から敵意は、見受けられません。
最悪逃げることはできるように意識だけしておくにとどめておきましょう。

「いいえ、私も考えすぎと言うものでもありましょうし、お気になさらず。
先程の問いに答えさせてもらいましょう、其処の灰は、確かに私が誅殺しました。
それが私の主からの命で、私の任ですから。
敵対心の有無は兎も角、立場としては敵対しておりますわ。
私は、主の命の侭に動きますから、それが、この国の為になるかどうか、は気にしません。」

この国の目で見て良い点から言えば、潜り込んでいる魔族の国の吸血鬼が減ること。
悪い点で見れば、それがこの国の政に関わっている場合、その政を行う人物がひとり減ること。
序でに、治安や、王宮の守りに不安が発生することであろうか。
私にとっては、本当にどうでもいいことです。

フォーコ > 「いや誠に申し訳ない。
何分、私は本当にダメな女でな。
団長の仕事も周りが優秀なのでなんとか続いているだけなのだ。」

彼女の口から洩れたのは深い深い息であった。
それが何故出てきたのか流石に私でも分かる。
私は褐色の肌を赤く染め、再度会釈した。

「なるほど、主殿の命で吸血鬼狩りをしているのか。
しかし貴女が異国の所属と言うだけで私と敵対していると言うのならそれは間違いだ。
貴女の主の命が私や第五師団に害するようであれば、その時に初めて敵対しよう。
私はこの国の全てを把握しているわけではないし、私も魔族の友人が居る位だ。」

私は目の前の彼女が今すぐ敵対するとはとても思えなかった。
私よりも遥かに真面目そうだし、理性的だ。

それにこの国がどこに向かおうと私にはあまり関係がない。
私の周りを守ることが出来ればそれでいいのだから。

「それより、なぜわざわざ吸血鬼を狩っている?
良ければ事情を教えてもらえるかな。」

シュティレ > 彼女の言い分に、私は笑いを堪えきれませんでした。くすり、と口元が緩み小さく笑い声が溢れてしまいます。
照れている姿は、可愛らしいものですね、見た目は、私よりも年上に見えますけれど。

「本当に駄目な団長であれば、周りは盛り立てもせず、貴女は団長としていられないと思いますわ。
人を使うのが、長としての役割、ならば貴女は全うしてると言えると思いますが?」

顔を赤らめていうことでもないと思いますけれど、と私は指摘してみせる。
解っているというのであれば、凄く権謀術策に長けてると思いますが、彼女は武人で、真っ直ぐな気質と見受けられましたので。

「厳密には、吸血鬼狩りではありませんわ……残念ながら、【彼】は狩らざるを得ませんでしたが。
 魔族に友人とは……剛毅なお方。」

人の考えは良く判らない所があります。軍の長の地位にあるのに、敵国の間者にもなりうる私にそれを堂々というのですね、と。
広められたら、失墜するのでは、と私のほうが危機感を覚えてしまうぐらいに。

「血族にあるまじき行いを正しているだけです。
聞き入れられず、正さない場合、この様に誅伐しているのです。
血族としての誇りを穢すモノに誅伐を、という訳です。」

吸血鬼らしく優雅に気品よくしなさい。
それができないなら、お仕置きです。
簡単に言えばそんな感じで有りまして、私はそのお仕置人ということです、と説明申し上げました。
説明する必要はないのですが、今は険悪な状態を作るのは今後の行動に支障が出ると判断しましたから。

フォーコ > 彼女を笑わせてしまった、笑われたというべきか。
ううむ、なんとも恥ずかしい。

「いやいや、そんなに持ち上げないでくれ。
私は人よりも多少危ない場所での仕事が得意なだけなのだ。」
ごもっともな指摘だが、私にとってはむずがゆい。
私は顔を赤くしたままで手を左右に振る。

「そうか、ハンターの類ではないのか。
なに、人に言ってもなかなか信用されぬしな。
それにこの国は魔族の力に支えられているのも事実。
手を貸してくれるのなら友人にもなれると言う物だ。」

私なりに彼女の人となりを多少は判断したつもりだ。
彼女は告げ口してまわるような手合いではあるまい。

「同族なのか。
それはまた大変な役目だな。
しかし、吸血鬼が吸血鬼を灰にすることができるのか?」

私は彼女の説明を聴いているうちに気になることができた。
彼女の手元を指差して。

「ひょっとして、手袋を付けているのは人に見られたくない理由でもあるのか?
ああ、すまない。 答えたくなければ答えなくてもいいんだ。」

シュティレ > 「ふふ。」

恥ずかしそうにしている姿がとても可愛らしく、また笑みが溢れてしまいます。
でも、これ以上の言葉は必要ないでしょうし、今は手を振る姿を眺めていましょう。

「状況により、ハンターにもなると言う認識でお願いします。そもそも、人に、私から関わる気もありませんから。
今のように見つかった時には、対応いたしますけれど……ね。
それにしても、本当に不思議ですね、力を借りているのに、その相手に向かって剣を取る。
ヒトの考えは、よくわかりません。」

彼女は、魔族がこの国に、蔓延っていることを知っている模様。それでいて、軍を率いている。それが矛盾にも見えて、私は首を傾いでしまいました。
私の師も、人間であったが血族を狩る事を、血族である自分に教えた。感謝こそしているものの本当に、不思議だと、おもいます。

「ヒトも、ヒトの法でヒトを裁くものでしょう?同じものと考えて頂ければ。
 ヒトが血族を灰に出来ることが、何よりもの証かと。」

血族よりも肉体的にも、魔力的にも弱い人間が吸血鬼を倒し、灰にすることができます。
ならば、同族である私にできない謂れはありませんし、許しを得て、仕事としています。
彼女の質問には、笑みと、答えを。そして、そのあとの視線の先、手袋を見る動きに私は包まれた手を持ち上げ人差し指を己の口元へ。

「内緒です。
 知りたければ、そうですね……肌を合わせるような濃密な関係になった時に、教えて差し上げます。」

しぃ、と、内緒のポーズを取って、軽くかた目をつむって冗談交じり。
何もかもを言う必要はありませんよ、と、私は言います。

フォーコ > 「承知した。
しかし、それなら私に見つかったのは不味かったのではないか?
私は自分から吹聴する気はないが、邪魔なら殺しに来ると良い。」
私はさきほどまで振っていた手で己の心臓を指差す。
彼女となら一戦交えるのも楽しそうだ。

「利害が一致するなら協力するし、対立するなら殺し合うだけのことだ。
人間は同じ人間同士でも殺し合いをしている。 そんなに驚くことではない。
それに私はダークエルフだ。 そもそも人とも魔族とも種族は異なる。 
だから頼られれば助けるし、向かってくるのなら戦うだけの事。」
首を傾げる彼女に、自分なりの解釈を口にする。

「確かに、それなら驚くこともないか。
それはヒトは吸血鬼の苦手な銀だの十字架だのを使えるからではないのか?」
私の疑問はそんなものを使えば彼女も無傷ではすまないであろうと言うことなのだが。
難しくなってきた私は顎に手をやり、唸っていた。

「つまり、私と友人になってくれると言うことかな?」
可愛らしく指を口元に運ぶ彼女に笑みを返す。
嫌われているのなら冗談でもそのようなことは言うまい。

シュティレ > 「関わらないと決めているだけで、来てしまうものを厭う理由とはなりませんわ?
血族というものは、寛容さも持ち合わせておりますもの。優雅に、優美に……そして甘美に。
邪魔をするというのであれば、その時に対応すれば良いのですわ。」

好き好んで戦いたいわけではないのです、戦いを避けることができないのであれば、鞭を手にしますけれど。
話して解る以上に、良い方法はありません。

「本当に、ヒトと言うものは、愚かしくも、賢く、生きるのに必死ですね。
可愛らしいというべきでしょうか。
ああ、ヒトと言うのは、貴女たちが人と定めてるものを一括りにしてるだけですわ。
黒エルフというのも、見れば分かりますので。」

私にとって、種族の差異はあまり関係がなくて。血族かどうかが、関心事なのです。
ヒトの中に見るべきものがいることも知っています、だから私は個人は認識します。

「あら?そんなにお安いご友人がお望みで?」

友達になりたいんですの?と、笑みを深めました。
ええ、ええ、彼女は魔族にも友人が居ると仰ってましたので、本心の質問なのでしょう。
一寸意地悪したくなったのです、他意はありません。

フォーコ > 「随分と優しいことではないか。
やはり貴女は思った通り理性的な方の様だ。」
来るものは拒まず、私の安い兆発にも乗らず。
私よりも遥かに穏やかな淑女であった。

「そんなに可愛らしいのなら気の向いた時で良いから助力してやってくれ。
生憎この国は傾こうとしていてな。
そうか、貴方からすれば私も同じというわけだな。」

吸血鬼以外はひとまとめにする相手の様だ。
私は喜ぶべきか残念がるべきか、口をへの字に曲げ微妙な顔をしていた。

「友に安いも高いもないだろう。
それとも、私の様な頭の悪いダークエルフが嫌だろうか?」
彼女の本心がわからず、困った顔をしていた。
相手が嫌がるのであれば友人にはなれない。

シュティレ > 「あら、あら。」

私は笑みを深めてしまいます。本当に可愛らしいお方ねと。
真剣にいつも生きていることが伺えて、目を細めてしまいました。
さらに、助力まで請うなんて、彼女は、彼女なりにこの国を憂いているということなのであろう。
それでも、私の一言には、隠しもせずに不快を示す。直情的な生きている表情に、好感を覚えます。

「いいえ、いいえ。
フォーコさんは、頭が悪いというものを取り違えておりますわ。
でも、不快にさせてしまった様……ごめんなさいね?」

ちょっと悲しそうにも見えましたので、私は謝罪の意味も込めて近寄りました。
彼女が逃げないのであれば、親愛のキスをその頬に落としましょう。
それと、彼女の名前を呼んであげるのは、嫌いではないという証として。

「友情とは、ゆっくり紡ぎ上げるものですから。そんなに急がなくてもいいと思いますわ……ね?
ですので、あまりお急ぎにならずに、ゆっくり、お友達になっていきましょう。」

フォーコ > 私の言葉に彼女は笑みを深める。
どうやら、悪い印象は持たれなかったようだ。
相変わらず彼女の考えの深い所までは想像も尽かないが。

「…。
いや、謝る程のことではないのだが。
だが貴女が良い人であることはよく分かった。」
彼女の顔が近付くと、私は目が泳ぐ。 近い。 近すぎる。
唇が触れた頬を呆然と手で触れた。 キス、されてしまったぞ。
私は呆けた表情で彼女の好意を受け入れる。

「勿論。 信頼というものは時間がかかるものだからな。
とりあえず、この辺りで困ったことがあれば私を頼ってくれ。
喜んで力になるぞ。」

シュティレ > 「いい人かどうかも、又ゆっくりと知っていけばよろしいと思いますわ。」

可愛らしく照れている、親愛のキスも余り慣れてはいないみたいです。でも、これはヒトの文化だと思ったのですけれど、そうではなかったのでしょうか。
彼女が特別という所なのでしょうか、判らないのでまあ、気にすることはありません。
彼女の仕草が可愛い、それだけで私としては十分なのですから。

「ああ、そうそう……お気をつけくださいな?余り友情を深めすぎると私の匂いをつけて、私の子猫にしたくなってしまいます。
私たち血族はヒトと生殖の方法が違いますので。ヒトの性観念と違いますの。
フォーコさんのような可愛らしい方だと、愛でて組み敷いて、可愛がってしまうので。
むしろ、可愛らしい女の子のほうが欲しいと思っておりますから。」

甘く笑い、耳元に熱く粘る吐息を吐き出すのは、近寄って感じた彼女の甘い匂いにいささか興奮したからなのでしょう。
美味しそうな首筋、血を啜りたい欲求を我慢しますが、声には欲情として出てしまっているでしょう。
わかっていても隠しません、これは、警告のようなものでもあります。
彼女を組み強いて、足を開かせて、支配してしまう趣味があると、教えておくのは、信頼のひとつでもありましょう。

フォーコ > 「ううむ、どうも手のひらの上で転がっているような気がするな。」
私は自分がこんなに大人しい生き物だったろうかと驚いていた。
彼女の前ではどうにも手も足も出ないでいるではないか。
もっとも、悪い気が全くしない。 それはそれで困ったことではある。

「なんだ、そんなことか。
私がグールにでもなるのでなければ幾らでもやってくれて構わんぞ。
寧ろそれで君が少しは満たされるのなら私としても心地が良い。
それに私は下手をすれば魔族以上にそっち方面では奔放な女でな。
君も私の前では遠慮をしなくていい。 私は大抵のことなら受け止めるぞ。」

耳に届いた吐息は熱く湿っていた。
吸血鬼であるのなら血を求めるのは当然のことだし、私で満足できるのならいつでも来いだ。

私は彼女の口元に自らの手首を差し出した。

「私からの友情の印だ。 ガブっとやってくれ。
首が良いのなら首でも良いが。」

シュティレ > 「ご心配なく、之でも伯爵を名乗るのを許されている身。
私が口付ければ、上位血族の仲間入りですわ。
あと、死食鬼【グール】は、私の血族とは関係のない亡者ですの、誤解無きよう。」

上位下位はあっても、吸血鬼になるための吸血で変質するなら吸血鬼以外には、無いはずです。少なくとも、私の血族での話ではありますが。
他の血族には、もしかして、そういったものを作り出すのも居るのやもしれないので、自分の血族の中にはないということだけは言っておこう。

「あら、それはその時が楽しみになって仕方がありませんわね。
もし、交えることがあればその時は、楽しみましょうね。」

と、口元を隠してコロコロと私は喉を鳴らしてしまいます。本当にその時が来るかどうかは、今はまだわからぬことでもありますけれど。

「あらあら、遠慮しますわ。血を与えると言うのは、血族の中では、求愛ですもの?
プロポーズは、些か性急ですわ。
淑女を、はしたない女にしないでくださいませね?」

差し出される手を、鼓動のない手で包み込んで、戻します。冷たくて少し申し訳ありませんが。
そして、代わりに友情の証、というなら、と顔を近づけ、私の頬に指をぷにぷに、と指さします。
ほっぺにちゅーしてくださいませ、と。

フォーコ > 「となると、ダークエルフでありながら吸血鬼になるわけか。
私としてはあまりデメリットが感じられないのだが。」
吸血鬼の世界はまるで未知の世界だ。
私の事を気遣って、遠慮してくれるのは分かる。
だが彼女のように表だって動けるのなら吸血鬼の力を得ることも悪くない。
今ですら神聖とは程遠い存在なのだ。 更に強くなるのなら大助かりだ。

「ああ、その時は思い切り楽しんでおくれ。
私はこう見えて身体は頑丈だからな。」
彼女もそういうことに興味はあるようだ。
ゆくゆくはそういうことが出来るといいのだが。

「すまん、すまん。 私の基準で物を言ってしまった。
では、今日はこの程度にさせてもらうか。」
氷のような手で捕まれる。
触れられることで彼女が生のない存在であることを実感した。

私は首を動かし、指差されている場所へとそっとキスをして。
それと、離れ際に耳元へ熱い息を吹きかけた。

「さて、私はそろそろ宿に戻るとするが。
シュティレはどうする? 近くまでで良ければ送らせてもらうが。」

シュティレ > 「あら、血族に入るのは、生きているヒトには息苦しいものよ?
ヒト絶対的な階級社会に、血族の掟。
それに、陽の光などの弱点など、ね?私は、特殊で、特別ですの。」

強くもなるが、弱点も多く所持することになりますし、そんな安易な考えで血族になろうものなら。
血族になった瞬間私が誅伐しなければならなくもなるでしょう、だからおすすめは致しません。

「はしたない女だと思わないでくださいましね?」

今日ではない何時かの約束に、私は軽く冗談をこぼしました。
彼女であれば。汲んでくれるでしょう冗談です。
焦らずに、仲良くなっていきましょうねと。

「ん……もぅ、悪戯っ子ですね。」

唇が頬に触れる感触は、熱くて柔らかかったです、その後の吐息に、背筋がゾクゾクして、悪戯を嗜めるように。
嫌な感覚もありませんので、笑みを浮かべたままです。

「もう、良い時間ですものね。私は、何処でも休めますが……そうですね、フォーコさんのおすすめのお宿にしてみましょう。
エスコート、お願いできますね?」

私は、彼女に手を差し出しましょう。握ってくれることは確信しております。
そして、その案内に従い、この墓地を去るのでした――――。

フォーコ > 「おっと、そうであったな。
迂闊なことをすると君に討伐されるのだったな。
まだ墓の下に入るには早すぎる。」
彼女たちのルールが分からないが、私の場合初日から逸脱しそうな気がする。
せっかく仲良くなってもそれでは不味い。

「はしたないのは私の方だろう。
君は私の執拗なアプローチに折れただけだ。」
私はニマっと口を伸ばした。
何時の日か彼女が乱れる姿を見てみたい。

「少しは君を驚かせてみたかったのだ。
なんだ、それなら私の家でやっている宿に案内しよう。
注文があるならそれも聞くので言ってくれ。」
彼女の細い手を私は掴み、墓地を後にする。
来た時よりも弾む足取りで。

ご案内:「マグメール・墓地」からフォーコさんが去りました。
ご案内:「マグメール・墓地」からシュティレさんが去りました。