2017/12/20 のログ
ルルディ > 「おや……?」

奇しくも、精霊は全く同じ二文字を口に出していた。
これはもう、誰とすれ違う事もなかろう、と思い込む程度には殺風景で静かだったものだから、前方に人影が見えて思わず出てしまった声だ。
あまり人の事を言えた義理でもないが、このゴーストタウンには似つかわしくないドレスが目に付いた。この辺りに、そういう服装が似合う人種が住んでいる建物はあるのだろうか、と周囲を見回すが、とりあえず目に付くのは廃墟ばかりだ。
こっちにすたすたと歩み寄って来るのを見て、その横を迂回して通り過ぎるのも無粋かと思い足を止める。
なんと声を掛けたものか悩んだが、無難に杖を持った片手を上げて口を開いた。

「やあ。今晩は……今晩は、でいいのかな」

リト > 自分たち二人以外は誰の姿もない、殺風景な廃村の大通り。
歩み寄っていくその人影は、どうやら待っていてくれたようだ。
互いの顔が見てとれる、そして声も届く範囲まで距離を縮めれば足を止め、にこりと笑顔を見せた。

「こんばんはー。……いやぁ、こんなところで人に会うなんてねぇ」

ベアトップ型の、露出高めなドレス。
目の前の彼女の姿形をなんとなく眺めながら、首を傾けた。

「君、こんなところで何してるの?この村に用は…なさそうだけど」

ルルディ > 適度なところで足を止めた少女に笑顔を向けられ、眼を瞬かせる。その愛想の良さが、この殺風景な場所では少々異質に見えたからだ。
こちらの身形をなんとはなしに眺める視線を感じるが、特に不気味であるとか、そういう感じもしない。
精霊は、旅人に街道で声をかけられた時と同程度の感覚で、返す。

「私かい? 何をしてるの……と訊かれるとねえ」

少し悩むような口調で、小首を傾げる。また、奇しくも似たような反応をしてしまった。

「取り立てて何もしていないというか、通行人だよ。ここを通り抜けて、先に向かおうとしている……ってところこかな」

リト > この愛想の良さは生来の性分といったところか。
昼でも夜でも、街の中でも外でも構わずこの調子なので、異質に見えるのも致し方なく。

「ふぅん……通行人。というより、旅人って感じかな」

なるほど、と納得したように数度頷く。
それから辺りを見渡すと、さほど汚れておらず崩れてもいない廃屋が偶々目に入った。
彼女へと向き直り、愛想良い笑顔を見せながら口を開く。

「見た感じ、一雨来そうな感じあるし…ちょっと、あそこで休憩していかない?」

言って、どうかな?とまた首を傾いだ。今度は反対方向に。

ルルディ > 「まあね」

旅人、という言葉を胸中で反芻してから頷いた。今の所、将来の展望を鑑みて、腰を落ち着けるのに最適と思える土地も見付かっていない。

「今から何処へ向かって何をしよう、って明確に決めてる訳でもないし。旅人という表現が適切かも」

自分で自分の言葉に納得し、精霊は数度顎を引いて頷く。そしてすぐに、また同じ仕草になっていた事に気付いた。ばつが悪そうにこめかみを軽く掻いて、空を見上げた。

「……さっぱりだ。何も見えないや」

この暗天のどこを見れば雨の徴候を発見出来るのやら、とは思ったが、疑う事をあまりしない性質なので、その言葉自体は素直に信じた。

「雨に濡れるのは困るし、そうしよう。うん」

リト > 「旅人かぁ。響きが格好良いよねぇ」

肩で風を切って歩く旅人の姿が目に浮かんだ。目の前の彼女がどうかはともかくとして。

「この近くに王都があるから、試しに立ち寄ってみるのも良いかもねっ」

このゴーストタウンからさほど離れていなかった筈。記憶違いかもしれないが。
さておき、先程から同じような動作を繰り返す様子にくすりと笑う。気づいてはいたものの、敢えて言い出さなかった。

「分厚い雲がかかったら、ポツポツとくることを疑った方がいいよー。例え来なくてもね」

適当なことを言ってのけながら、じゃあ行こう、と彼女の手を取った。
抵抗されなければ二人そのまま、小綺麗な廃屋へと向かっていく。

ご案内:「ゴーストタウン」からルルディさんが去りました。
ご案内:「ゴーストタウン」からリトさんが去りました。