2017/10/01 のログ
ご案内:「冒険者の宿屋」にシドさんが現れました。
シド > 錆びついたカウベルを揺らして酒場の扉を潜った。
正体を隠すためにフードの裾を掴んで目深く被り直した貴族の青年は、浴びる注視に意に介さず長駆を闊歩してカウンターの椅子に座る。
なべて世も事無し、賃金への愚痴や色恋沙汰をバカ高い声音で離す冒険者宿は賑わしい熱気で満たされている。
湿るような室内の空気に、フードの下で汗ばむ首筋を撫でた。
そこから覗く葡萄色の眸、くるりと室内を見渡しては笑みとも溜息とも取れぬ息をついて。

「エール。それと名物のウィンナー。」

見慣れぬ来客に訝しげに見遣るマスターに、素知らぬ顔で注文を告げる。
金は?と不躾に訪ねかけるその人へと、腰に携えた金貨袋をどさり、と。
重たげに古びたカウンターに置けば愛想を振りまいて厨房へ消え行くその後姿に微苦笑。

「変わらないな。ここも。戦争の前となにも変わってない。」

薄く開いた唇から吐く、嬉しいような切ないような、切なげな囁きも。賑わう週末の酒場のかしがましさに消えていく。

シド > 昔の思い出を安酒で楽しんだ後は、いつしかカウンターの席にフード姿のよそ者の姿はなく。
ご案内:「冒険者の宿屋」からシドさんが去りました。