2017/08/28 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > タナール砦は、魔族と戦うための前線基地として兵士や傭兵たちが駐屯する場所である。
 幾人もの兵士が、王国に襲い来る魔族から国を守るために屯して警戒している場所。
 そこの訓練所に、少年は居た。
 今は非番であり、休んでいてもいいのだが娯楽も何もないこんな場所に何もせずにいても仕様がない。
 故に、砦での非番の日は此処に来ることが日課になっていた。

 今までの訓練の反復、筋肉トレーニング、模擬戦。
 大きな動きは学んでいても、細かな技術がない。
 だから、それを埋めるために少年は、訓練所で自分の訓練をする。
 同僚や傭兵からはよくやるよ、と言われてるが他にやるべきことがないのだから仕方がない。
 仲のいい人間も少なければ、酒を飲んで酔うこともできない。
 そんな少年だからこその、訓練というべきか。

ゼロ > 金属の鎧を着たまま、少年は動き回る。
 訓練用の人形に向かい踏み込み、手に持った短剣を叩きつける。
 彼の膂力と、短剣の厚さ、重さが噛み合った一撃は、人形の肩を切り裂いていく。
 鋭い刃での切れ味というわけではなく、その重さ、筋力、勢いからの叩き切る動きであり、それは両手剣での一撃に似た切れ口であった。
 ずだん、と重い音を響かせて地面に落ちる人形の破片。
 しかし、少年の動きは止まらない。
 逆手の短刀で人形の首筋を叩きつけるように凪ぐ。
 木で作られた首筋が吹き飛び、人形の頭がくるくる飛んでいく。
 少年は純手に持っていたナイフを回転させて逆手に、そして背の部分で、木の人形の胴体をおもいっきりぶっ叩く。
 びしり、という音がしてヒビが入るのが見える。
 自分の持っている短刀は、突きをすることのできない形状。
 そのかわり、殴る切るに特化しているとも言える。

 やっぱり、こういうふうに接近したら突きが使えないのだなぁ、と再確認。
 そして、壊れた人形を薪行きの廃材置き場に移動し、ふぅ、と軽く息を吐き出した。体内にこもる熱を吐き出すように。