2017/08/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にオデットさんが現れました。
■オデット > 昼過ぎ、旅篭の仲居は買い出しに出ていた。
涼しくなってきたとはいえ、まだこの時間は暑く、首筋に汗が滲んでくる。
旅篭まで歩いてあと20分ほどだろうか。
帯の隙間からハンカチを取り出すと買い物かごを道端にある花壇の縁に置き、ひと休み。
顎の下から首筋、衿を少し開いて鎖骨の窪みまで汗を拭いた。
そんな中、目の前を子供が数人無邪気に走ってゆく。
少年と幼児が入り交じった集団を微笑ましく視線で追い、息を吐き。
「可愛い。 赤ちゃんが育ってたならあの子くらいかしら」
妊娠した年から考えれば十に至らぬ頃だろう。
愛おしさと同時に寂しさと。複雑な感情を抱きながら彼らが戯れる様を眺める。
若干胸元がよれたままで谷間が見えていたが、正すのを忘れるほどには熱視線。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 夜明け前に港に着いた商船からの荷下ろし作業を終えた男が、平民地区を手持ちぶさたに歩いていた。
身体には程よい疲労感があり、今日は仕事の予定もない――
日当は思っていたより多めに入り、さて、どうしたものか、と考えていた折。
「おっと……気を付けな、坊主達!」
自分の足もとを、きゃっきゃと笑い合いながら走り抜けていく子供の集団。
ぶつかりそうになったので、身を翻しつつ声をかけると。
やれやれ――再び進行方向へと視線を戻し、男の歩みが止まる。
傍らに買い物かごを置き、一休みする女の姿。
男の口角がムフッ、と持ち上がり、すたすたと女の前に。
「よう、お姉さん、また会ったね――買い出し中かい」
時折利用する旅籠の仲居に向かって、そう問いかけた。
ただし――単なる客と仲居という間柄では、なかったが。
■オデット > 接客業をしていればたまに客と偶然会うことはあるが、本当にたまに、である。
本日も訪れたその“たまに”の出来事に、仲居は素直に驚いたような表情を見せ、その後微笑む。
「こんにちは。 ええ、今から戻るところです。
エズラさまは今晩はどちらにご宿泊ですか?」
先日は名前も知らずに別れたが、後で部屋番号を調べれば名前はすぐに分かる。
そしてきちんと、今の瞬間まで覚えていた。
相手の名を口にしながら、深い意図もなく尋ねた。
営業のつもりではなかったが、己の立場からすればそう聞こえてもおかしくない響き。
■エズラ > 旅籠独特の仕事着は、この国では珍しく、自然と目を引く――
まして、彼女の場合――その胸元のふくらみを隠すことなど到底不可能で。
吸い寄せられるようにそこへ視線を注いでいた男が、ハッと我に返る。
「ああ――実は今仕事が終わったとこなんだ」
そう告げ、買い物かどを挟んで相手の隣に腰かける。
しかし、視線はその色香漂う赤茶の瞳に向けたままである。
「このままうちへ帰ろうかとも思ってたんだがよ――気が変わったぜ。また世話ンなろうかな――お姉さんのとこへよう」
九頭龍の水浴び場には、浴場利用のみも含めれば、それなりの回数通っている。
相手がこちらの名をしっかり記憶しているのに対し、こちらはまだ相手の名を知らなかった――しかし。
宿泊――となれば、自然と男の頭はあの夜を思い出すことになり。
「さ、そうと決まりゃ善は急げ――早速行くとしようかねぇ――荷物、オレが持つよ――」
そう言うと、買い物かごを抱えながら立ち上がる。
■オデット > 返答を聞いて初めて、己が宿泊を遠回しに請うような言い方をしていたことに気付く。
金銭の絡むことなので申し訳ないとは思いつつ、再び利用してもらえるということは
サービスに満足してもらえたという意味で、嬉しく感じるのも事実。
「あら…よろしいのですか? 何だか図々しいことを言ったみたいで…。
けれど本当にいらして頂けるなら何か少しでもサービスできるよう、努めます」
食事にデザート追加だとか、そういう類いだが。
例えそれが叶ったとしても食事の時間をきちんととれるかどうか分からない。
そのくらい相手は性豪であった。
それについては後に考えるとして、かごを持ってもらった仲居は
すみません、と呟きつつも厚意に甘えて彼の後ろをついていく。
緩んだ衿に気付いたのは旅篭に戻ってからで、道中ずっと
こんなだらしない格好をしていたのかと思えば赤面し、猛省するのだった。
■エズラ > 「ようし、それじゃ、行くとするかよ――」
旅籠の仲居、宿泊(予定)客は、ゆるゆると歩みながら、九頭龍の水浴び場へと向かうのであった――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエズラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からオデットさんが去りました。