2017/08/04 のログ
ご案内:「平民地区 アリアンの自宅」にアリアンさんが現れました。
アリアン > 王都に夕日の沈む頃、ささやかな夕食を終えて皿を片付けた後、ダイニングテーブルに、次の公演の楽譜を広げ、椅子に座る。
初めての演目ではないけれど、やはりプリマともなれば歌う曲も多い。
歌詞と音符を指で追いながら、口の中で小さく歌う。

「……楽しみましょう はかなく去るのです
 愛の喜びとて
 咲いては散る花のように
 二度とは望めないのです……」

テーブルに置いたグラスに辛口の白ワインを注ぎ、ちびちびと飲みながら、ここはどう抑揚をつけたものかと考えつつ、楽譜をめくって。

アリアン > 今度の演出家は非常に意欲的で、これまでの決まりきった演出とは一線を画すものを考えているらしい。
斬新な舞台に出演するのは楽しいし、どんなものになるのか楽しみにしているのだが、あまり演目の骨格を崩すようなことにはならないといいなあ…と、控えめに考える。
演出家によっては、美しい愛の物語が入院患者の妄想になったりするので、油断できない。

「ああ、きっと彼だったのよ
 喧騒の中でも孤独な私の魂が
 神秘の絵の具で思い描いていたのは!」

立ち上がって楽譜を片手に歩き回り、アリアを口ずさむ。
舞台に立ったつもりでゆっくりと歩き回り、身振りを加えながら音符を追い。
と、ドアの外で何か気配を感じたように思い、楽譜をテーブルの上においてそっと開いて顔を出す。
外は夕闇が迫り、少し顔の見分けがつきにくいほどの暗さ。

アリアン > 気のせいだったらしい。
声は抑えているつもりだが、うるさいと苦情を言いに来た近所の住民だったらどうしようかと内心ドキドキしていたため、ほっと胸をなでおろす。
パタンとドアを締め、欠伸をして鍵をかける。
ちゃんとした練習は、後日、劇場の練習室で行うこととして、今夜はもう入浴してから休むことにしようか。
暑い一日だったことだし――。

ご案内:「平民地区 アリアンの自宅」からアリアンさんが去りました。