2017/08/03 のログ
ご案内:「平民地区 アリアンの自宅」にアリアンさんが現れました。
アリアン > 平民地区の一角、富裕地区からさほど離れていない小さな家。
休日を満喫するこの家の主は、いたって色気のない格好で、広くもない自宅の掃除にいそしんでいた。
袖をまくりあげ、床にモップをかける。
隅々まで満足のいくまでかけると、バケツにモップを突っ込み、テーブルに上げた椅子を床に下ろした。

「よーし、こんなところかしら」

綺麗になった室内を満足げに見回し、モップを突っ込んだバケツを持って、猫の額ほどの広さの庭に出て、ざぶざぶと洗う。

アリアン > 舞台では可憐な姫君にも、妖艶な毒婦にもなる歌手とはいえ、日常生活というものがある。
何度も水を取り替えながらモップについた埃を洗い流し、ぎゅっと絞っている姿は、やや尖った耳を除けば、どこにでもいる庶民以外の何物でもない。
ここ数日の晴天で、上がりまくった気温で、家の外壁に立てかけたモップは、瞬く間に水分を飛ばし始める。

「掃除も洗濯も終わったし、あと、どうしよう」

かんかんと中天で容赦ない光を放つ太陽を見上げて。
劇場の練習室に行ってもいいのだけれど、たまには自宅でゆっくり過ごしてもいい。
先日買ったばかりの下着の試着、というプランが頭をよぎったが、1人で鏡の前でしても、それは少し寂しいというもので。

「あ、そうだ」

何やら思いついた様子でバケツに水を汲むと、玄関先に葉を茂らせるミモザの下に小さな椅子を置く。
そして、おもむろにサンダルを脱ぎ、腰かけて白い素足をバケツの中に突っ込んだ。
冷たくて気持ちがいい。

アリアン > ちゃぷちゃぷと足先で水をかき回し、木の葉ごしにチラチラと入ってくる陽ざしに、軽く目を細める。
いっそ郊外に避暑にでも行こうか。
いや、確か最近はどこも物騒で、独り歩きはやめておけと劇場からも注意が出たところだった。

「新しい舞台も、かかりそうだし」

ちゃぷちゃぷとかき回す水のリズムに合わせて、フンフンと鼻歌など歌いつつ、午後のひと時を過ごす。
やがて暑さに耐えられなくなった時、ようやく足をバケツから出して、少し薄暗い家の中に引っ込むのだろう。

ご案内:「平民地区 アリアンの自宅」からアリアンさんが去りました。