2016/12/06 のログ
ご案内:「平民地区 住宅街の一角」にアンセルさんが現れました。
アンセル > 平民地区の住宅街の一角にある家の庭先に寝そべる大きな影。
時折に耳や尻尾を動かす以外には微動だにせずに地面に体を横たえて。

人の気配を感じれば薄く目を開けはするが直ぐに閉じてしまい。
寝息のように息を零してただ寝そべって。

ご案内:「平民地区 住宅街の一角」にソル・グラディウスさんが現れました。
ソル・グラディウス > 「さてと…っと」

平民地区の住宅街を歩き、肩を回してそう呟く一人の青年。
依頼も終え、これから家に帰るかどこかに遊びに行くか迷っているところ
歩きながら考えようと思い、気が付けば住宅街まで来てしまっていた。

「……いや、帰った方が…」

疲れを取るのが一番、そう思っていればとある家の庭先に居る大きな影が目に入った。
目を凝らし、よく見てみれば巨大な狼。
恐らく自分よりも大きなその狼を見て、驚くと同時に顎に手を添える。

目を細めて、ジロジロとその黒色の狼を観察する。

アンセル > 目を閉じたままで身を横たえていれば新たな人の気配に目を開ける。
視線を向ければそこには見覚えのない男の姿。
この辺りの住人ではない様子に僅かに頭を上げて顔を向ける。

顎に手を添える姿をじっと見据え何か用かそうでないのかの区分けが付かずに。
だがこのまま見ていても変わらないと小さく唸り声を零して

ソル・グラディウス > (あっ、こっち向いた)

顔を挙げてこちらに気付いたその大狼。
気配だけで自分の存在に気付いたのだろうか?
それと同時に此方に小さく唸って威嚇しているようにも思える。

この家はブリーダーの家か何かだろうか。
そう考えて家を見上げれば、風が吹いてその狼に彼の匂いが届くだろう。
その匂いには、彼の同居人である女性の匂いも混じっていた。

アンセル > もしかして泥棒の類かと思えば自然と唸り声も大きくなる。
知った顔でないというだけの警戒なのだがそれは男には判らないであろうが。

どうにも立ち去る様子がないことにもう少し威嚇をする方がいいかと起き上がり。
その時に吹いた風に男から知った彼女の匂いを嗅げば動きが止まる。

「シンシアの…兄という男か?」

ソル・グラディウス > 「…喋った」

大きくなっていく唸り声の後、口が開いて発せられた言葉。
それに驚きつつ、顎に手を添えて考え込む。
何故、こんな存在が王都の中に居るのだろうか。

「……シンシアと同居している狼か。…あぁ、お前のお察し通り、俺がシンシアの兄だ。
 つっても、血は繋がってねぇけどな」

相手の正体の予測を小さく呟いて、胸に手を添えてそう自己紹介する。
その狼へと一歩、一歩と近づいていき、3m手前辺りまで来て胡坐をかいて座る。

アンセル > 何やら驚く様子に何を驚くといういう顔をするが獣の顔では判りはしないだろう。
考える姿に何を考えているのかと見て。

「……そうだ。話には聞いている。
何ができたと……」

その通りと小さく頷き、話は聞いていただけにこの男がと興味を持ってみる。
近づく姿を大人しく見上げて…座る男から身を起こして数歩離れて座りじっと見据える。

ソル・グラディウス > 「……まずは、自己紹介と言ったところか。
 ソル。ソル・グラディウス。シンシアの兄だ。」

座ったところに身を起こして彼が離れる。
その様子を見て、特に何かは言わずに自己紹介を始める

「アンタの名前は?」

腕を組んで、目の前の狼の名前を聞く。
彼女から彼の話は聞いているものの、名前までは知らず彼の口から聞こうとする。
 

アンセル > 「ソルか。覚えておく」

聞いてはいるが初めて会う人間を近くにすれば安心できずに距離を開けて。
何も言われなければそのままで。

「アンセルだ。シンシアから聞いていないか?]

彼女のことだから話していると思っていただけに少しだけ驚き。
知った匂いがするだけに僅かに警戒を解いて見据える。
日雇いのバイト先や肉屋の夫婦、あとは彼女以外に話をすることもないので何を話していいかわからずに

ソル・グラディウス > 「あぁ、覚えておいてくれ」

距離を開けている彼の発言にそう返して腕を組む。

「名前以外はな。色々と…」

同じく彼を見据えながら、そう返す。
彼女を通して知った存在。しかし、名前までは聞いておらず、改めて自己紹介が必要となった。
唯一彼とは違ってこちらは話したいことはあるのだが、口に出そうかどうか迷っている。

アンセル > 男の言葉に頷いて見せて。
人の名前は覚えるのは苦手だが男の名前ならば覚えられそうだと。

「色々か……」

一体どんなことを話したのか気にはなったがどういう話をしたのかが気になり。
口を開けては閉じてを繰り返し…口を閉じては男に何か話せというように目を向けて

ソル・グラディウス > 「あぁ、色々とな」

またも彼の発言に対して、小さくそう返す。
腕を組んだまま、話したいことを迷っていれば彼の視線が降り注ぐ。
視線の意図を読み取り、決意を固めて口を開いた。

「…アンセル。お前…シンシアの何なんだ?」

彼を真っすぐ見据えて、遠回しではなく直接聞く。

彼女から聞いた目の前の狼の話。
それは彼が自分を疑っているということ、兄としてではなく恋仲として彼女と付き合っていることに不信感を抱いていること。
目の前の狼の事について彼女が少し不安になっていること。

目の前の彼は彼女とどういう関係を構築しているのか。
少し疑問に思って、その質問を投げかけてみたのだ。

アンセル > 「色々か…シンシアはソルの事を楽しそうに話していたな」

本当に楽しそうに話していたことを思い出し、それならば色々と話していそうだと。
視線の意図を読み取ってくれたのか男の口にする言葉に耳を澄ませ。

「シンシアの…?俺はシンシアの番…だと思っている」

問われた言葉に、以前ならばはっきりと言えたであろうが今はどこか自信が持てない口調でそう告げる。
兄とは言ってはいたがそうだとすれば強すぎる彼女の匂いにそれ以上ではないかと見つめて。

ソル・グラディウス > 「フッ…嬉しい限りだ」

楽しそうに自分の事について語る彼女の事を想像して、小さく笑みを溢す。
他所でも自分のことについて話してくれるのが嬉しくてついつい笑顔を見せてしまった。

「そうか。……俺はシンシアとは恋仲だ。兄とは言っているが、実際は恋人。恋仲だ。」

彼の言葉を受け止めて、彼とは違って胸を張ってそう言い切る。
表では血のつながっていない兄として関係を築いているがその実は何度も付き合いを重ね、身を重ねた恋仲であると告白した。
それに加え、さらに口を開く。

「結婚も約束してる。上手くいけば、彼女との間に子供を設けて、夫となり父となる。」

自分と彼女の関係について、包み隠さず全て彼へ暴露した。

アンセル > 「あぁ、本当に楽しそうにしていた」

そのことを告げれば笑みをこぼす男を見れば兄妹よりもより深い中なのかと人との付き合いが少ない中でも感じ取ってしまい。

「……そうか。ソルとシンシアは…そうか」

それを聞けば悲しいと思い、同時にやはりなと感じてしまう。
あの楽しそうな様子にはそれ以上の感情をおぼろげに感じていたので。

「いい雌は強くより良い雄に惹かれるものだ」

男から暴露された言葉に大きなため息を吐き立ち上がり。
番だと思っていた彼女の男を見ることなく背を向けて

ソル・グラディウス > 彼を真っすぐと見て放った言葉。
正直、彼がどんな反応をするのか不安であったがとりあえずは落ち着いた様子で言葉を受け止めた様子を見て
強張っていた表情が少しばかり緩んでいく。

しかし、彼がため息を吐いて立ち上がった様子を見て、目を細くする。
背を向ける彼に眉間にしわを寄せて口を開く。

「…お前はそれでいいのか?」

何を、何処を。
それは敢えて聞かずにただ一言だけそう聞いた。

アンセル > 告げられた言葉に感じたのは情けなさにやるせなさ。
無理やりに奪われたのならどんな事をしてでも取り戻すつもりであった。
だが彼女が納得をして目の前の男と番となったのであれば自分に出来る事などは何もない。

もはや新たな番ができた彼女の元に戻ろうなど考えもせずに森に帰ろうと背を向けたが。

「……シンシアはソルと番になるのを選んだ。
なら俺は受け入れ去るだけだ。
無理矢理というのならば認めない。だが彼女がソルを選んだ
ならば彼女の幸せを祈って去るだけだ」

初めて放したくないと思った彼女だっただけに力なく返せば。
一歩二歩と足を進めて

ソル・グラディウス > 彼の言葉を受け止め、目を瞑って少しばかり考え込む。
自分の中で考えがまとまると目を開いて、去ろうとする彼を見据える。
力のない彼の言葉を聞けば、それに対して口を開く。

「俺は確かにシンシアと恋仲だ。しかし、それはお前がシンシアの家を出なければいけない理由にはならない。
 好きな女性が居るならば、その女性が拒絶しない限り傍で支えるのが男ってもんじゃないのか?
 仮にシンシアがお前を選んでも、俺はアイツの傍でアイツを支え続ける。

 ……《ソルと結婚した後もアンセルと暮らす》。
 それが奴の願いだ。
 幸せってのは、願いを叶える事じゃないのか?」

帰ろうとする彼の背へそう言葉を投げる。
落ち込んでいる彼を励ますではなく、寧ろ叱咤するような強い口調で続ける。

「それに、俺はシンシアの他に愛してる女性がいるからな。
 その女性は俺やお前や、シンシアよりもずっと弱い。美しくて、綺麗で、それでいて脆い存在だ。
 俺はその女性を支えなければいけない。

 ………お前の気持ちはわかる。しかし…シンシアの幸せのために、彼女のそばに居続けてくれないか?」

アンセル > 「……その願いはうれしい。
だが……ソル。逆の立場でお前は番として愛したものが別の番と共にいる場所で過ごせるか?
その者が別の雄と暮らすのを傍で見ろというのか…?」

叱責するような強い口調の男の言葉に足を止めて僅かに振り返れば僅かに苛立ちの混じった言葉を返し。

「……雄として多数の雌を番とするならばそれは当然だ。
俺にはその覚悟も強さもない。だからシンシアだけを番んしたいと思った。

だがシンシアが選んだのはソルだ。
これからはソルがシンシアやその雌を幸せに、そして守るのが雄としての役目だ。
それを他人にゆだねようとするな」

その覚悟があったのだろうと…静かな瞳で見返して

ソル・グラディウス > 「…俺が真に愛したのならば、そうする。
 それに、俺とシンシアは別々に暮らす。お前が気まずいってことは起きないだろうさ」

彼の言葉を聞き、真っすぐとそう返す。
それに加えて自分とシンシアは別々に暮らすと告げる。
彼の言ったように自分とシンシアが仲良くしているところを露骨に見せないためにシンシアが提案したことだ。

「勿論、シンシアともう一人の女性の両方を幸せにするつもりだ。
 しかし、生憎、俺の体は一つだ。…肉体を複製するのは流石の俺でも無理だからな。

 厚かましいとか、腹立たしいとか、身勝手とか…色々言いたいことがあるのは分かる。
 しかし、お前はシンシアの言葉に真に耳を傾けたことはあるのか?
 彼女の悩みに気付き、不安を消し去ろうとしたことはあったのか?」

彼が本当に彼女の言葉に耳を傾けていたのならば、不安や悩みは起きなかっただろうと
静かな瞳で諦めている彼へそう告げる。

アンセル > 「愛したからこそ辛い。
……何?番にしたものと暮らさないなど無責任な」

番としたのに別々に暮らすという男の言葉に何を言っているというように目を向けて。

「出来ないというのならば複数の番など持たない事だ。
身体が一つならばこそ共に暮らせばいい。そのもう一人の番も認めているなら問題はあるまい。

判っているなど口にするな。
そう思うのならばいえる提案ではない。
……ないな。シンシアの事を見ていたつもりだ…が見ていなかった。
だからこそシンシアの番としてふさわしくなかった。
その結果だろう」

あの時どうすればなど今更な事。
もはやその気が付かずに耳を傾けなかった結果はここにある。
もはや何を言われても自分の無神経さが判るだけであり
男から瞳をそらして空に一度だけ遠吠えを上げて。

ソル・グラディウス > 「だから、それがシンシアの望みだと…」

別々に暮らすことについて、自分は異論はない。
ただ、彼女が目の前の狼の事を想っての配慮だ。
それを理解しようとしない彼に眉間にしわを寄せて目を細める。

「ははは、確かにアンタのいう通りだ。
 これでアンタが居なくなりゃ、もう一人の番と三人で住めばいい話よ。

 でも、少なくとも今の俺はアンタが自暴自棄になって家を出ていくのを止めている。
 お前が居なくなって、三人で住んだ方が楽なのにな。
 その理由すらお前は知らない。想像できない。考えることが出来ない。」

彼の言葉を聞いて、乾いた笑い声を挙げればそう返す。
目の前で遠吠えが終われば、続けざまに口を開いた。

「まぁ、でも…今のお前に俺がどうこう言った所で解決することでも無いか。
 『シンシアの幸せを祈って去るだけだ』…だっけ?

 どうぞご勝手に。
 必死こいてお前が居なくなるのを止める理由は俺には無いしな。
 お前の選択にどうこう言える程偉くも無いしな」

アンセル > 「シンシアの望みか…」

どうしてその望みなのかが理解できない。
共に暮らすのならば番が当り前という考えが獣であり。
人がどう考えるかなど判らずに。

「その通りだ。シンシアにそう提案をすればいい。
なぜそうしないのかが理解ができない。
自暴自棄…?そうかもしれないな。だが獣は番がとかと結ばれれば去るのが普通だ」

それが縄張りであれどうであれ、人とは違うのだと嗤い声を上げる男を見返し。

「あぁ、勝手にする。俺が去った後はソルがシンシアとその番を幸せにすればいい」

それだけ告げれば住宅街の一角を、彼女の家のある方角を一目見れば暗闇に向け駆け出して消えていく

ソル・グラディウス > 「…」

彼女が何故その望みにした動機を理解できない様子の彼を黙って見据える。
獣の常識で動いてきた彼に人間の常識を押し付けるのは非常識だという事は解っている。
しかし、それは逆も然り。獣の常識を人に押し付けて欲しくはない。

「あぁ、そうさせてもらうよ。
 シンシアがどんな反応するかは知らないが…少なくとも、いい反応ではないの事ははっきりと分かる。」

彼の言葉に同意し、帽子を深々と被る。
彼女が具体的にどんな反応するのかは分からないが、大まかな予想は既に立てている。

「…幸せに、か。分かっている。約束する。」

彼の言葉に頷けば、暗闇へ向かって駆け出して消えていった。
立ち上がって尻を払えば、小さく呟いた。

「人と獣の違いか……」

振り返って歩き出し、自分の住んでいる宿へと向かって行った―――

ご案内:「平民地区 住宅街の一角」からアンセルさんが去りました。
ご案内:「平民地区 住宅街の一角」からソル・グラディウスさんが去りました。