2016/08/11 のログ
ご案内:「設定自由部屋2」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 今日もタナール砦に、戦勝を祝う雄たけびが響く。
まるで、映像記録魔法の付与されたマジックアイテムを何度も再生するかのように、
繰り返される攻防戦の末、本日砦を攻め落としたのは魔族側の陣営だった。
夕刻から始まった魔族の包囲攻撃は、日没を過ぎてもとどまるところを知らず
少数ながらも必死の防戦を行うマグメール騎士たちをじりじりと消耗させ、つい先ほど
これを陥落せしめたばかり。
翼を持つ魔族の一人が、タナール砦頂上に翻るマグメール王国の旗を切り落とすと、
それはもうもうと噴き上がる黒煙と熱風に煽られ夜闇の中へと消えていく。
「げほっ……えほっ……はーっ……はーっ……はーっ……。」
その光景を、私は中庭で、仰向けに倒れたまま荒い息を突きながら見ていた。
……右足が動かない。
……いや、体全体が、まるで重石を括り付けられたかのように言うことを聞かない。
本来なら王国軍に雇われた輸送隊の護衛として、荷物を届けたら即解散となるはずだったのに。
どうして、こんなことになった?
『……生き残りを探せ。あの包囲網を突破して、王都へと逃げ出せたものはいないはずだ。
指揮官や貴人のたぐいの一人、二人はどこかに隠れているだろう。』
魔族側の指揮官のものらしき、声がどこからか聞こえる。
まずい。生きている事を悟られる前に、どこかに、隠れなくては――。
■アデラ > 『みーつけた。』
味方の死体の中を掻き分けもぞもぞと芋虫のように蠢いていた私に、
ふいに幼い声が降り注ぎ、腹の下に足が差し込まれる。そして、そのまま、
くるりと上を向かされれば。
『へぇ~、結構かわいい顔してんじゃん。合格――いや、アタリかな。』
外見は私よりも一回り程下。あどけなさが残る顔つきであるものの、
背から生えた巨大な蝙蝠の羽と先端がやじりのような形をした尻尾をくねらせる魔族が、
笑みを浮かべて私を見下ろしていて。
『……これからどうなるか、わかってるよね? おねーさん。』
「ッ…………。」
魔族は、理由もなく虫をいたぶり殺す子供のような、
無垢で、それでいてこれ以上なく残酷な笑みを私に向ける。
『男は殺して、女は捕えて魔族の国に送る、そういう命令なんだケド――。
ふふっ……おねーさん、すっごくおいしそう……。 ちょっとくらいつまみぐいしても、バチは――。』
魔族が、ゆっくりと下着にも似た露出度の高い衣服を脱ぎ棄てて。私に覆いかぶさって……。
それを最後に、私の意識はゆっくりとフェードアウトしていった……。
ご案内:「設定自由部屋2」からアデラさんが去りました。