2015/12/21 のログ
ご案内:「エデンの林檎」にイリーナさんが現れました。
イリーナ > (戦争は、終わった――。
 王都へと伝わった戦勝の報告は瞬く間に民の間に広がる。
 勝利に、そして散っていった者達の鎮魂に乾杯の音頭が酒場に響く。
 自分達は冒険者、涙で送るより笑って送っておくれと。
 そう、何度も何度も繰り返されてきた別れの儀式。

 王都で一、二を争う売春宿「エデンの林檎」
 その一階の酒場は帰還した冒険者達の賑わいでいつも以上に賑わうか。)

 はい、かんぱーい!

(賑わいの中、銀髪赤目の女冒険者が音頭をとる。
 今日何度目か分からぬ乾杯にグラスを合わせてエールを煽った。
 ほんのりとアルコールで頬が染まるがまだまだ酒には飲まれている様子はなく。)

イリーナ > ほら、飲んだ飲んだ。
稼いだんでしょ? 懐が潤ってるんでしょ?
飲んで、食べて、買う!
それが私達冒険者でしょー!?

(少し酔いが回ってるのか、椅子の上で立ち上がりながら大声を出す。
 そんな女の行動に同業者達は「そうだー!」と同意を示し――)

 というわけで、樽もってきなさーい! 樽!
 
(盛大に、飲んで歌って――。
 支払いの大半は……先に逝ってしまった彼らが残しちゃったもの。
 家族も居ない独り身の同僚達が残してしまったお金を鎮魂の為にパーッと使うのだ。)

 ……ん? ん――なーに、人恋しいのかな。少年?

(すっ、と女のコートの袖が引かれた。
 まだまだ幼さの残る新米君だ。 おんなの問いかけに頷き――。
 女は壁際に立ち並ぶ見目麗しい女性達に視線を送る。

 こちらも、副業の同業者――。 女の意図を察すれば、一人の大人びた女性が近付いてくるか。)

 はい! よく生き延びた、よく生き延びたよ少年!
 君はもう少年ではない――なくなるのよ!

 はい、皆。 この子今から「こっち」の童貞も卒業するよー!

(あっちこっちで、少年を褒め励ます音頭が響く。
 顔を真っ赤にした男の子が、年上の娼婦に腕を組まれながら階段を登っていく。
 その姿を眺めながら女は一つ頷いた。
 まぁ、上手くやるだろう、と。)

イリーナ > (「おめーが相手しないのかよー!」
 なんて野次が飛んだ。 
 分かっている、多分あの子も私を買おうとしたのだろう――しかし。)

 あまーい! 私は高い、高いのよ!
 ちょっとやそっとの口説き文句じゃ値段は下げられないわ!

(ブーイングと、歓声。 それを背に受けて女は笑う。
 自分の値段を自分で決められるのはフリーな娼婦…。
 兼業である自分の数少ない利点だ。
 「誰か口説いてこいよ」なんていう小声も聞こえてくるが――果たして。)

ご案内:「エデンの林檎」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 戦後処理とはとても面倒なものである。
王城では今夜も官僚どもが、国の被った損害やらオリアーブ島の統治問題の対処、それに今後の国の運営の仕方なんぞを話し合っている事だろう。
無論、オーギュストも戦果の報告の為に王城に出頭する義務がある。それどころか、今後の為の枢密会議にすらオブザーバーとしての参加を求められているくらいだ。

で、それが死ぬ程面倒なのでぶっちした。
表向きは戦傷の為の一時休暇だが、本音は疲れたから飲みたいだけである。

そんな時はここ、エデンの林檎だ。
ここなら絶対に副官とか参謀にバレないし。

「おう、酒とチーズ、それに適当に肉をくれや」

その場に似合わぬ軍服の男がカウンター席に座る。
一部の冒険者がぎょっとしたようにこちらを見てくるが、知った事ではない。

イリーナ > 樽来たわよ樽! はい、かんぱーい!

(フリーの冒険者達が固まる団体は酒場の半分ほどを独占中。
 あっちこっちで、人の目を気にしない騒ぎを繰り広げていた、が――。

 「おい…」「あれ…」「なんで……」

 といった、騒ぎの中を走る動揺は波のように伝わってくる。
 朗らかに酔いに任せて笑っていた女にもそんな声は伝わってきて。)

 どしたの?

(顔見知りの同業者に声をかける、「タナール砦の…」「クラーケンを…」
 耳に届くのはそれぞれ違う内容。
 だが、確実なのは――あの大剣を背負った男が――。
 女の唇が楽しげに揺れた。)

 ちょっと、稼ぎにいってこようかしら?

(ちょっかいを出してこよう、と。
 こちとら明日も知れない向こう見ずの冒険者。
 酔いもあって、何も考えずにジョッキ片手に鼻歌交じりで近付いていこうか。)

 はーい、将軍様。 飲んでます?
(カウンターの横座席。
 顔馴染みのマスターの「やめとけ」という視線をもろともせずに腰を下ろす。
 カウンターに背中と右ひじを預けた体勢で声をかけようか。)

オーギュスト > 「ん?」

見れば、一人の女。なかなか良い女だ。
声をかけて来たという事は、さて、娼婦なのか物好きな冒険者なのか。
まぁ、どちらでもいい。女が居た方が酒が進むに決まってる。

「おう、呑んでるよ。俺に声をかけるたぁ珍しいな」

昔はよく歴戦の冒険者たちから声をかけられたものだ。
命知らずの荒くれ連中が、賭け事やら女漁り、時には犯罪にまで誘ってきたものだが、えらくなったせいかとんと声がかからなくなってしまった。
たまに行きずりの盗賊連中と貴族のボンボンを叩きのめして金品を奪うのとか、楽しかったのだが。

「ようやく戦争も終わったからなぁ、お前らも稼いでくれよ」

魔物を倒して稼いでくれれば、その分正規軍の負担が減るのだ。