2015/10/20 のログ
■フォル > 「あ、ありがとうございます…。」
想像していたより優しい声をかけられ、安心して顔を上げる。
見てみれば相手は女性だった。
気が動転していてそんなことにすら気づく余裕がなかったのだが、改めて相手の姿を見るとこの辺りの様式とはかけ離れた服装をしている。
最近は異国の人と縁があるのだろうか。
そんなことを思っていると、続けて話しかけられていた。
「は、はい、あの、わたしで、よ、よろしければ…。」
少なくとも今すぐどうこうしようという気はないようだし、ここで機嫌を損ねさせて何かあってもいけない。
緊張しながら声を絞り出すと、コクコクと頷きながら返事をした。
■ヨゾラ > 「あの、ね。」
逡巡。
こういう時、何をどういったらいいんだろうか。やっぱり付き人の一人二人連れた方が良かったのだろうか。
"迷子になりました"なんて恥ずかしいし馬鹿にされそうだし誰に聞かれてるやら分からんので言えた試しはない。
いや目の前の少女がそう言うのを馬鹿にして来る気はしないのだが。
やっと顔が上がって目が合うけれど、それがこの世界のミレー族と言う種族とはもちろん気づかない。
魔法での誤魔化しなら容易に見破れようが、物理的に、部分だけを隠されると分からない。
服装と同じく、どす黒い瘴気や魔力が迸る様な赤黒い、少し異質な瞳と、優し気な言葉とは縁のなさそうな不機嫌な表情。
「…まぁいいわ。取り敢えず落ち着きなさい。深呼吸一つ、で良いのかしらね。
あー、ええと。…取り敢えずこの場所、なんて名前か教えてくれるかしら。」
分かりやすい張り付けた様な作り笑い。
何やら大分と怯えの様なものが感じられる。普段なら少し気分も昂ぶろうが、今はそういう気分じゃない。
迷子だなんだとは言い出せず、表情筋を歪ませ澄ました顔を作って聞いた。
■フォル > 「はっ、はいっ。ここは、ですね…。」
何だそんなことかと胸をなでおろす気分で問いかけに答えようとした。
答えようとしたが、冷静に考えてみると恐ろしい事が発覚した。
いつも心の中で適当に貧民街のどこそこ、平民区のどこかなどと地域を区分けしているだけなのでこの辺りの正確な名前を知らないのであった。
口をぱくぱくとさせているが、言葉が出ない。
「あ…、ぅぅ……。」
そのまま恐怖混じりの感情でポロポロと泣き出してしまう。
■ヨゾラ > 「えぇ。ここは…?」
さて場所も聞ければ晴れて帰れるぞと思ったのだが。
困った。実に困った。
え、何で泣いているんだろうか。まるで分からない。程々頷いて聞くのだが然し。
喋らない。何故に喋らないのだ。というか何で泣くんだ本当に。
不機嫌無表情は、何時もならにったり嗜虐性のある笑みに変わっていたのだろうが、
残念ながら今日はそうではなかった。
ついでにとばかり聞いたら泣かれた。私が何をしたのだ。
「………。」
で、あろうことか柄でもない事に「どうすればこの子は泣き止むか」と言う事を考え始めた。
何分今、天然とか迷ったことに対する苛立ちが作用してもっとマシなアイデアが回らないのだ。
「………何で泣いてるのよ。」
先ずはその原因から探りにかかるのだった。少し苛々した棘のある言い方。
困惑と不機嫌が入り混じった表情。
■フォル > 「ふぐぅぅ…、ご、ごめんなさいぃ…。ここ、名前…、わかりません…。」
ぐずぐずと泣きながら、何とかそう答える。
だが先ほどはまだ優しげな声色だったのが、今は明らかに機嫌が悪く棘のある調子になっている。
それが余計に恐怖を引き起こし、腰が抜けてそのまま尻もちをついてしまい。
「ここ、殺さ、ないで…、お、おねがい、し、します…!」
そのまま無様に命乞いまで始めてしまう。
■ヨゾラ > 「ああ…っ。もう…!」
最初からそう言えば良いものを。一体なんだっていうんだ。
ただでさえ暇で暇で仕方なくて機嫌が悪くて。こちらの嗜虐性を煽る様な表情ばっかりして。
堪えろ。と、ここは一応踏みとどまる。
もう迷子とかどうでも良いからこの小娘を踏み付けてやろうかとさえ思ったが。
"殺さないで"なんて。泣きながら言われるのだ。
サディストであるこの化け物が、それで昂ぶらないわけがなかった。
結局、最終的に自然的な、嗜虐性を秘めた笑みを一瞬だけ浮かべる事になって。
無表情にすぐもどる。
「…立ちなさいよ。知らないのね?…そう。」
必死の"殺さないで"、という言葉への答えは保留として。
「立てる?」
人間で言うなら睨むような目付き。隠すこともしない機嫌の悪そうな表情とは裏腹、優し気なイントネーション。
■フォル > 睨まれながら無言で何度も頷き、必死に立ち上がろうとする。
完全に腰が抜けていたが振り絞った気力で奇跡的に立ち上がる事に成功した。
だが膝は音が聞こえそうなぐらい震えていて、軽く突かれでもしたらすぐにでも崩れそうな頼りなさだ。
「は、はい…、た、たて、ま、した…。」
ガチガチと歯を鳴らしながら、かすれた声をかろうじて絞り出す。
■ヨゾラ > 「…ふぅん…。」
こう怯えられているのは、何故だろうか。
全身ガタガタブルブル震えている。
当然この化け物は人が倒れたら手を差し伸べる様な聖人でもないので、
ただ、それを見ていただけ。
…もう、迷子だなんだは、良いか。馬鹿らしくなってきた。
「ねぇ、貴方。…もしかして、虐められたいの?」
元より衝突して向き合っているから、転倒によって離れたその距離はたった一歩で詰められた。
中腰の姿勢になる。同じ高さの目線に入れる。
その震える小柄な体の、顎元をクイ、と掬い上げて怯えるその様をよく見ようと手を伸ばす。
■フォル > 弱々しく首を横に振り、否定の意思を示す。
何でこんなにこの相手が恐ろしいのか分からないが、本能的に尋常ならざる存在だということを感じ取っているのだろうか、単に表情や雰囲気の威圧感に怯えているのか、まあどちらでも大した違いはないだろう。
ともあれ力を振り絞り声を紡ぐ。
「ち、ちが…、そんな…、やめて…。」
■ヨゾラ > 「んふふ…い・や・よ。」
その控えめで弱弱しい様、恐れている姿が、実に心に来る。
これといって別に何もしていないのに。必死に、それでもどうしようもない。小さな存在の幽かな抵抗。
もう泣いているのだが、これもまた嗜虐心が煽られるというものだ。
彼女の顎元に手を宛がえば、品定めするようにその表情、体つきに衣服を見遣る。
「貴方。貧乏なんでしょう?」
囁く様な、突き刺さる様な冷笑を馳せて。先の不機嫌はどこへやら、愉悦さえ伺える表情。
■フォル > 「ひぅっ…!」
絶望的な言葉に完全に青ざめる。
恐ろしさのあまり、今度は震えすら止まって呼吸も今にも止まりそうなぐらいか細く。
「…ぁっ、は、はいっ、びっ、びん、ぼう…、なんです…。」
今度はコクコクと頷いて、先程よりも更に小さくかすれて、何とか相手の耳に届くかといった程度の声で答えた。
■ヨゾラ > 「ふふ。やっぱりね。…あら。落としちゃった。」
予想していた通りだった。だから、聞こえていようがいようまいが、もう聞くまでもなかった。
ボロい布きれ、ありあわせの様な服装。そして、多分この街に慣れているのだろう。
チャリン。チャリンチャリン…。
夜の街路に金属音と煌めき。50ゴルド硬貨。それらが計十五枚、地面にばら撒かれた。
枚数から見て分かる通りだが、ただの芝居で。わざとで。
虐めるにしても大義名分くらいはとろうかと言う、如何にもその化け物らしいやり口だった。
言外に拾って頂戴とその異質な赤黒い目で言っているのは、伝わるだろうか。
■フォル > 「お、おね、がい…、ころさ、ないで…。かぞく、が、けが…、してて、まってる、の…。」
精一杯の勇気を出して出来るのが命乞いというのも情けない事だが、とにかく勇気を途切れ途切れの言葉で懇願する。
「ひぃっ…!?」
怯えすぎていて、突如響く金属音に悲鳴を上げてしまう。
「あ、あの…、お、お金…、おとされ、て…。」
怯えきっているせいでろくに思考も回らず、白々しくばらまかれた硬貨にどんな意図があるのか察せず、結局馬鹿正直にお金を落とした事を知らせるだけだった。
■ヨゾラ > 「ごめんなさいね。よくきこえなかったわ。」
さて、その家族と言えば彼女が結婚したリーシャなる少女であって。
よもや思うまい。この化け物が、この化け物こそがその少女を闘技場で甚振ったのだと。
勿論、この化け物の方も知らない。よって、その懇願は冷笑に付されるだけだった。
「えぇ、そうね。あぁ…拾って頂けるかしら?」
前に後ろに右に左に。あちらこちらに硬貨が落ちた。
貧乏なんだろうって。一枚くらいくすねたってばれないって思ってるんだろうって。
愉快愉快と、お金を落とした癖焦りすら見えない表情で地面を一瞥し、
これまた芝居がかった様子で首をこってんと傾げた。
■フォル > 「ぅぁ…、ひ、ひろいっ、ますっ…、からっ…、た、たすけ、て…。」
地面に這いつくばり必死で飛び散った硬貨を探す。
もちろんくすねようなどという余裕は微塵もなく、愚直に硬貨をかき集める。
震える身体を無理やり動かし手足がもつれながら這いずっていたので途中マントが脱げて売春用に着ていた紐水着やミレー族の尻尾、そして股間からぶら下がる男性器も全て露わになってしまったが気にかける余裕はなくそのまま這いつくばり硬貨を必死で探している。
ちなみにその男性器は恐怖のせいで完全に縮み上がっており、這いつくばって動き回っていると情けなくぷらぷらと揺れているのであった。
■ヨゾラ > 「あら。貴方、よく見たらアレじゃない。ミレー。」
必死に拾い集めるところに横槍を入れた。
両性と言うやつだろうか、雌らしいい少女の顔つきだったが、雄の性器も見えた。
なんていうか、もう本当に何とも言えない。
全ての硬貨はそれ程広くは飛散していない。故、間もなく見つけることが可能だろう。
少々暗いが硬貨は光を反射する。見えないなんてことはない筈だ。
助けてという言葉にははいともいいえとも言わない。
「…んふふ。集まった?」
■フォル > 「は、はい…、た、たぶん、これで、ぜんぶ、です…。」
とにかく目につく範囲では全て集めたはずだ。
献上するようにヨゾラの足元へと集めた硬貨を並べ、落ちたマントもそのままに水着姿で土下座しながら次の言葉を待つ。
■ヨゾラ > 「一、二ぃ、三、四ぃ…五―――」
ふんふんと頷きながら枚数を数える。素直に全部集めたらしい。貧乏なくせして、
家族が怪我して待っているだとか言うくせに。
一枚でもくすねていたらその土下座する背中を踏み付けていたところだった。
だが、意外と誠実ではないか。大義名分取ろうかと思ったが、また興が醒める事をする。
「ふぅん。そう。…じゃあ全部あげるわ、それ。」
足で。下駄と呼ばれる木の板を履いたその足で、器用に硬貨を押しやった。
どうせ金なんていくらでもある。憐みかと言えばそうではないし。ただの遊びみたいなもの。
「それにしても、…ねえ…。」
しゃがんで、彼女と言えるかさえ分からなくなった、少女らしいその人物の、
最後の衣服、フードを取り上げようとする。
■フォル > 全部あげるわ、などと言われても全く予想もしていない言葉で暫く意味が理解できず固まっていた。
意味が理解できてからも、余計なことをして相手の不興を買ってもいけないと思いずっと土下座したままだったのだが。
そして土下座を崩さず頭を垂れていると、フードに手が伸びてくるのを感じるが今度は恐怖でそのまま固まってしまう。
「い…、いや…、こ、ころさないで、ころさないで……。こ、ころさ、ないで…。」
既に尻尾が見られているので今更フードを取られようと関係のない事だが、今までミレー族と知られると理由もなく虐待されたり追い払われたなどという経験は何度もあった。
何故虐げられているかは分からないがそのためミレー族の特徴は普段はかくしているわけで、フードを暴かれるという行為は条件反射で恐怖が伴う。
ましてやこのように既に恐怖で身がすくんでいる状態でそうされては、ただうわごとのように命乞いをするだけだった。
■ヨゾラ > 「あらあら。貧乏なんでしょう?ほしいんでしょう?あげるって言ってるのよ。殺さないで、じゃなくて、言う言葉、あるんじゃない?」
もう嗜虐性を隠しはしない。濁りよどんだ赤黒い瞳は、ただただ愉悦を浮かべるだけ。
フードを手に取り、適当に紐水着の上にでも覆いかぶさるように投げた。
銀色の耳が見える。全く持って分かっていた事だったが。
「家族が怪我していてって…。へぇ、家族もあなたと同じで蹂躙される方…猫耳なのかしらねぇ…?
ふふ、もう、いいわ。貴方がミレーだとかなんだとかはどうでも良いの。分かっているわよ、殺さないであげる。
安心しなさい。お姉さん、絶対よ―――」
全ての衣類をはぎ取った。だからといって、この貧相といって間違いのない体に、
よく分からないが男のソレまで付いている。不可思議だが、そういう種族もあるんだろうか。
「―――死んだほうがマシってくらい虐めるんだもの。
怯える顔が、流れる雫が、震える小さな体が、自身のない物言いが、全部私に虐めろって言っているように聞こえるの。
さぁ、どんな風に虐めて欲しいかしら?怯えることが出来ないくらい苦しみたい?
涙が枯れてしまうくらい泣かされたい?震えることが出来ないくらい嬲られたい?言葉が出ないくらい戦慄したい?
さぁ、どうしましょう。何が御望み?」
御品書きを書き並べる様に流暢かつ流麗に。指折り数えて見せながら、隠すことのないサディスティックな面をこれでもかと言う程に発揮する。
口角を歪めて。その裸体の顎元をもう一度クイ、と上げて、その目を、見据える。ジロリと。
■フォル > 「ほ、ほんとうに、ころさ、ない、の…?」
色々と物騒な事を言っていたが、どうやら殺す気ではないらしい。
そう分かると恐怖は少し和らぐ。
今何より恐ろしい事はリーシャを失う事と、リーシャに会えなくなる事だ。
それ以外なら、どんな酷い目にあおうと耐えられると思った。
「な、なら、あなたの、すきに、して…。やっと…、はじめて、家族、できたの…。帰れる、なら…、それで、いい…。」
相変わらずかすれた小さな声だが、今までとは違い僅かな覇気のこもった声だった。
それが目の前の化物にとってどの程度の意味があるかは分からないが。
■ヨゾラ > 「…ふふ。そうなの。家族、家族ねぇ…。」
よく分からない。よく分からないが、こういう事を言われると、また興が醒める。
気まぐれにあっちへ行ったりこっちへ行ったり。ただ、見えた覇気を、踏み潰すのも面白いのだが。
さて好きにして、なんて言われたが。
「抵抗しないのね?私、ただの女よ?…帰れる、帰してあげるだなんて、一言も言ってないんだけれど。
はあ。どうしたものかしらね。」
愉快そうに嘯きながら、抵抗や反抗を煽る。
何故か興が乗らない。さっきは乗っていたし、あれ程踏みつけたいと思っていたのだが。
「だったら、いっそのこと貴方の家族って言うのを甚振ってあげようかしら!
…なぁんて、ね。」
思いついたように言うが、流石にそれは無理がある。
本人はついこの間それを実際にしたが、互いにそれについて認識することはない。
■フォル > 既に半ば諦めて、どんな方法で虐待されるのかと覚悟しながら待っていたが家族を甚振るなどという聞き逃せない一言が耳に入ってくると僅かずつだが活力が戻ってくる。
「そ、それだけは、ぜったい、ダメ…!」
とはいえ万全の状態で全力を出したところでそもそもが非力で何の体術もない以上大した抵抗もできるわけでもなく、ただ睨みつけるだけ。
■ヨゾラ > 「アッハハハハ!うん、ダメなのね。…ふふ。可哀想な子猫ちゃん。」
もっとも、そんな家族が誰かだとかは知らない。けれど、そんなに大事な家族なんだろう。
化け物の言葉が前提から破たんしているのに、それでもこうやって睨んでくるのが、何よりの証拠だ。
小ばかにしたような、憐れむような手つきで、その露呈された猫の耳を撫でやる。
■フォル > 「へ、へぇ、い、虐めるって、そんなこと、だったんだ?」
見え見えの挑発だが、リーシャから興味を逸らせるなら何でもしてやろうというつもりで耳を撫でるヨゾラに向かってそう言い放つ。
■ヨゾラ > 「あらあら。敬語喋ってると思ったら。あんまり調子に乗らないの。
ま、結局興が醒めたって所よ。色々こちらも複雑でね。…で、結局この場所の名前は?」
絶妙に痛覚を擽る様な、魔法の様な拳でおでこを小突きながら、
見え透いた挑発を受け流しつつ、当初の目的を尋ねる。
「最初に比べれば随分威勢が良くなったわね?
人でも変わったのかしら?」
冗談半分に笑いながら尋ねる。
■フォル > 「んぎぃっ!へっ、王都のっ平民、地区の、ど、どこかでっ、くわしくは、…!!しっ、しらなっ…、しりませっんぅっ!!」
突然襲ってくる奇妙な痛みに耐えながら、悲鳴混じりに知っている範囲で全て答える。
とはいえこれだけではほとんど何も分からないのと変わらないとは思うが。
■ヨゾラ > 「ああ、そう。…はぁ。そんなんじゃ全然分かんないわよ。平民地区の何処よ。
地図で言ったらどの辺りよって。…はぁ。もう嫌だわぁ。」
小突いたことに悪びれた様子は一切ない。
王国は広い。平民地区も広い。やっとの事でと答えられたそれは、到底満足いくものではなかった。
「そうねぇ。じゃあもう…いいわ。貴方はあれでしょう、ミレーとかいうの。
もう、いちいち興が醒めることやったり泣いたり。やっぱり貴方殺されたいの?そうでなくても虐められたいんでしょう。」
手品のように、如何にも物騒な鎌の様な刃物を見せたかと思えば。
「…けどね、何かもう"面倒"になっちゃったからやーめた。
代わりにそうねぇ…結局ミレーって何よ?皆貴方みたいな感じなの?」
此方の世界の事は文やら言伝やらで聞いたが、あまり本物と話す機会はない。
興味本位の暇潰しみたいな問い掛け、吹っかける様なむちゃぶりの質問をしてみた。
■フォル > 「ひぃっ…、し、しらな、い…。人間たちは、嫌ってるらしい、けど、何でかなんて、そ、そんなの、しらないし…。」
目の前に刃物をちらつかされると流石に怖い。
奮い立ちかけていた心もあっさり折れて、また恐怖に身をすくめながら弱々しく問いかけに答える。
「あ、あの…。地図は、わからないけど…。大通りまで、案内なら、でき、ます…。」
今までのやり取りでようやく思い至ったのが、この相手は本当ただ単に道に迷っているだけなのでは?ということ。
そういう訳で、一応意見具申をしてみる。
■ヨゾラ > 「ああそう…。ま、何処にでもいる忌まれの民ってものかしら。先住民って聞いてたけれど。
ふぅん…知らないの。それで?皆こうして如何わしい所で働いてるってワケ?そう…。」
また、手品のように、一瞬で何処へともなく刃物を仕舞い込んだ。
「ま、奴隷民族でしょうしお金がないんでしょうね。この間も闘技場に来てた黒髪の猫耳っぽい女の子、
あれも多分そうだったのかしらねぇ…。」
半ば独り言のように前日のそれを細々と呟いた。
何とも数奇な縁であるが、それが何を意味するか、そもそも彼女は独り言に気づくかどうか。
「ん?………迷子じゃないのよ。少し、どちらから歩いてきたか分からないだけ。
あ、でも。………お願いしようかしら。ついでに他も案内して欲しいけれどね、土地勘がなくて。」
世間はそれを、迷子と言う。
10秒ほど逡巡したが、頼むことにした。衣服を見ての通り、この世界のものではない故に、
魔族の国を除いた殆どを、まだ良く知らない。
■フォル > 黒髪の猫耳?まさかリーシャだろうか、と思ったが別に黒髪のミレー族なんていくらでもいるだろう。どうも最近は何でもリーシャと結びつけて考えてしまっていけないと思い直し特に追求する事はしなかった。
害意も一旦収まったようだしマントとフードを拾うとかぶり直すが、水着はどうするか迷った上で荷物にしまっておく事にした。
マントの下は裸になるが、もたもたと着替えていてまた気分が変わりでもしたらその方が大変だ。
「大通り、まで…なら、案内するから、ついて、きて…。」
恐ろしい相手ではあるが機嫌を損ねなければ直接的な危害は及ぼしてこないようだと判断すると、それなりにご機嫌を取りながら早く別れてしまうのが最善だと考えひとまず分かりやすい道まで案内すればいいだろうということで、そう提案した。
■ヨゾラ > 「あの。聞いているかしら。迷子ではなくて。」
迷子である。誰が何といおうとそれは事実である。
「…分かったわよ。いや、大通りまで案内されても…まぁ、看板くらいあるかしらね、そこなら。
服くらい来たならどうなのよ。…貧乏なのねぇ、ロクに衣も持ってないの。」
流石にほぼ裸の状態で、布一枚だとどうかと思った。紐水着もそれって服って言っていいのかも分からない。
ただ、後ろからぶつくさ言いながら、その提案には頷いた。
■フォル > 後ろからぶつぶつと聞こえてくるが、特に害はなさそうなので適当に聞き流す事にする。
今すべきはこの物騒な相手と無事に別れる事だけだ。
「…大通りについたら、地図でも…。詳しい人にでも、きけばいい。」
とりあえずそれだけ言うと、すたすたと大通りへ早歩きで向かっていくのであった。
■ヨゾラ > 「はいはい。そうねぇ。…折角だし、御土産でも買って帰ろうかしら。」
泣いたと思ったらそっけない。一体どうしてこうなったか。もしかして舐められているのか。
程々に受け流して、大通りへと続くだろう道に、人間らしく、辺りの地理をラプラスの悪魔に焼き付けながら、
ゆったりゆったり、されど早歩きに劣らない速度でボロキレの様なマントがはためく後ろを付いて行った。
さて、土産は何にしようか。珍しい動物の肉でも買っていくか。どうせ腐ることはないんだし。
ご案内:「王都マグメール 夜の平民地区」からヨゾラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 夜の平民地区」からフォルさんが去りました。