2023/07/17 のログ
ご案内:「冒険者ギルド」にオウルさんが現れました。
オウル > 此処は王都マグメール平民地区にある極普通の冒険者ギルド。
今夜も冒険から戻ってきた冒険者達の土産話や報酬の自慢話で賑やかである。

その中を珍しくエプロンなぞ着装し、トレーにのせた料理やお酒を右のテーブルに左のカウンター席に、時折二階にある宿兼個室に運んだりと大忙しで行き来して運ぶ少年がいる。

「………もう帰りテェ……。」両手のトレーにのせた此処のギルドご自慢の肉料理とタンブラー入りのエールを冒険者達で騒がしいテーブルのひとつにお届けして、ささっと料理をお酒を並べながら、顔には満面の笑みを浮べておいて、その笑みを浮べる口で客には聞こえないようにポソっと愚痴を零す。

「ああ、それか個室での注文でもいいや。
 個室なら客次第でサボれるし?サボりたいし?」

数秒で気を取り直してくるりと踵を返して近くに空いたテーブル席に並んでいる空いたお皿とタンブラーを回収しに小走りで移動し、また愚痴をひとつこぼしながらそのお皿とタンブラーをトレーに回収を始める。

個室からの注文は個室に向かう客からあるとか、既に注文を終えていて、料理を運べとキッチンから依頼があるとかあるのだが、何がよいって個室の客相手だとお酒を注ぐ仕事もあるし、客の愚痴を聞くのも仕事となっており、合法的にサボれるのだ。

ただ大半はパーティー単位の利用が多くて、料理を置いたらチップを渡されて『出て行け』となるので、そんな幸運な客には滅多に会うことはないのだが、もう今夜はくったくたで、運良くそんな客にあわないかなー?と祈りながら、手は既にトレーに客が食べ終えた食器が重なり、もう片方の手でテーブルを布巾で拭いている――。

オウル > ――…そんな奇跡はないようだ。
それにしても今夜はボウケンシャの出入りが多い。
絶え間ない注文、空いたテーブル席の片付け。
時間は解けるように消えていく。

少年の仕事が終わる時間までまだまだ。
気がつくともう無意識で仕事をこなす自分が居る。

そうして少年は平民としての仕事をこなし、同時に冒険者に顔売り、着実に貧民地区からの脱出計画を進めていくのだった。

ご案内:「冒険者ギルド」からオウルさんが去りました。