2023/05/28 のログ
ご案内:「貴族の邸宅」にメレクさんが現れました。
メレク > 大富豪たる奇特な貴族が自らの私財を投げ打って、
市井の民から没落貴族まで見所のある者に対してパトロンとして支援を行なっている。
傍から聞けば、何とも美談であり、何とも胡散臭い話である。

だが実際、その貴族の眼に叶い、成功した者達の話は少なからず王都に存在していた。
貧民区の乞食だった者が繁華街の一等地で暖簾を構える大店の番頭となり、
装備も整えられずに万年低級だった冒険者のパーティが魔竜討伐の功績を挙げ、
家が傾いて家人も離散した没落貴族が見る間に身代を持ち直したという話もある。

そして、今、その貴族邸宅に招かれたのは幸運にも白羽の矢が立った者である。
立派な招待状を持参した執事と用意された豪勢な馬車に揺られて豪邸に足を踏み入れた後、
贅沢にも彼女の為のみに沸かされた風呂にて身を清め、誂えられた瀟洒なドレスに袖を通し。
案内された部屋には、屋敷の主たる貴族が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいた。

ご案内:「貴族の邸宅」からメレクさんが去りました。
ご案内:「設定自由商業都市 ラディスファーン部屋」にファルスィークさんが現れました。
ご案内:「設定自由商業都市 ラディスファーン部屋」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「商業都市 ラディスファーン」にファルスィークさんが現れました。
ご案内:「商業都市 ラディスファーン」にナナさんが現れました。
ファルスィーク > そろそろ、街にも慣れてきた頃だろうかと思い尋ねる先は、己が王都の貧民街でスカウトした少年?の部屋。
一応は己の住処でもある屋敷へと連れて帰り、屋敷の管理を任せている執事に世話を任せていたのだが、その後は如何だろうかと。

己が所有の屋敷ではあるが、滞在している事が少ないために、執事が管理人という状態にはなってはいるのだが。
屋敷内はに常駐しているのは30代後半の男の執事が1人、メイドが2人、料理人が1人、庭師が2人。
それぞれに挨拶を済ませ、少年?が必要なものがあれば用意する様にとは言い付けてはいた。

「ナナ、今日は改めて街の方へ出てみようと思うが、準備は出来ただろうか?」

部屋のドアをノックして、室内へ向かって掛ける声。
都市までの道のり、馬車内では今から行く場所に関しての簡単な説明をし、立ち寄った町や村で食事の簡単なマナーなどを教え食べてみたいものは食べさせたりと。
街に着いてからは大まかに街中を馬車の中から説明しつつ屋敷に戻った具合。
今日は、実際に出て歩いてみようかという誘いではあった。

ナナ > 「ああ、なんだお前か、暇で暇でしょうがなかったぞ」

使用人に体を奇麗にされた結果。
サラサラで光が反射するほどきれいな金髪。
真っ白な肌、外見だけならかなりの美少女になって。

「お前全然ここにいないから何やってたんだと思ってたぞ」

生活は不自由しなかったがやはり不安だったのかファルスィークの手を握って。

「ホント、心配したんだぞ……街に行くならさっさと行くぞ」

ファルスィーク > 「…………ナナ…かい?」

王都の水場で躰を洗いはしたが、時間をそれ程かけた訳でもなく。
食事が可変化した事で栄養状態も良くなったというのもあるのだろう。
その上で留守にしていた日数、あれこれと屋敷の者が手腕を発揮したらしい。
磨き上げられたような白い肌と金髪…出会った時の面影は其処にはほぼなくなっているような。
部屋から出てきて数日振りに合う目の前の…少年?が美少女に変化していれば流石に数度瞬きをした後に――名を尋ねるように首を傾げた。

「まあ…私もそれなりに忙しいというか…だね」

どうやら特に不自由はなかったようである。
食事に関しても尋ねながら、己の手を掴む小さな手を握り返して長い廊下を歩き始め。

「心配されるというのは、初めての感覚ではあるな……。
何ともくすぐったいような妙な感覚ではある。
―ナナは特に興味を持った場所とか、行ってみたい所はあったりする?」

馬車を用意し行きたい場所があるのならば其処を優先し、無ければ商店街区辺りから回ってみようかと考えていたので尋ねてみた。

ナナ > 「当たり前だろ、見て分かんねーのか」

何を言っているんだ、といった顔でファルスィークを見る。
忙しいと言っているしそこまで気が回らなかったのだろうかと思いつつ長い廊下を歩いて後を付いて行って。

「なんだ、お前心配されたりしねーのか寂しい奴だな」

かつての自分もだが誰にも心配されないというのは寂しいものだろう。
こいつもそんな奴なんだな、と思っていると行きたい所があるかと聞かれて。

「そうだな、おれ、お前の方が詳しいだろうしお前の行きたい所でいいぞ」

ファルスィーク > 「……何というか、変わりようが…ね?」

言葉遣いは特に注意する事も無いまま。
変化が著しかったので思わず確認してしまった訳だが、彼女の方は自身の容姿に関してあまり頓着して無さそうである。
丁度、成長期にも差し掛かる年頃でもあるので、栄養状態の改善は大きく作用しそうではある。
貧民区での逃走の道案内で、身体能力は高めである事は確認済み。
育った環境の為、教養を受ける機会が無かっただけで頭も悪くはないようだとも思っていた。
近くに執事が居れば、「見聞という名の放浪に忙しかっただけでございますね」と短いが切れ味の鋭い一言を付け加えたかもしれないが。

「ふむ…確かに、寂しい奴ではあるのかもしれないね」

心配されるほど弱くなく、あらかたの事は一人でどうとでもなる実力の為、心配された事がない…という意味だった。
―彼女の同情するような言葉は、屋敷の者が聞けば噴き出しそうになるやもだが…彼女にしてみれば他意はない様で己にとってみれば新鮮に感じる。

「では、商店街区画へ行ってみようか。
色々な店があるから、入ってみたい店があれば言って欲しい」

玄関のホールを抜けて扉を開けると既に待機している馬車。
それに乗り込むと商店街区画へと向けて動き出した。
馬車の窓からは賑やかな街の様子が見て取れるだろう。
程無くたどり着いた区画で馬車を降りて歩き始める通りには食材、日用品から衣類、雑貨、武器防具、食事処から宿屋迄、様々な店舗が軒を連ね、一層、人通りも多い。

ナナ > 「なんだ、そんなに変わってるのか」

自分では全く自覚がないがメイドはかわいいと言っていた。
しかしかわいいとは何という意味なのか全く理解していなかった。
見分という名の放浪、と言われても何という意味なのかいまいち理解できずに。

商店街についてみればあまり自分には縁のなかったにぎやかで明るい場所。
値札を見て、周りの話を聞いて、そしてファルスィークの服の袖を引っ張り。

「なあ、おれ働かないといけないんだろ?けどおれ……字も読めねーから働くとかできねーよ」

自分が働けるか確かめたい。
そう思って商店街を眺めていたが無理だ、と判断した。
数字も文字も読めないのに商売は無理だ。

ファルスィーク > 「そうだね…例えると……私と出会った時がこの地面とすると、今のナナは……お日様くらいだろうか」

容姿の変化で例えると…と示した指の先は空の太陽を指して、それくらいの開きがあるのだと。
貧民区で現在の容姿であれば、連れ去られる事は間違いないだろうと思われる。
単語とその意味、一般的な価値観などはこれから教えていく必要はあるのだろう。
彼女の居た環境が結構なものであるのは、この世界では珍しくはなさそうだが。

彼女と2人で連れ立って歩く通りは、王都とはまた違った賑わいではある。
客を呼び止める声は行商区の方が活気があるだろうが、此処も負けず劣らず。
袖を引っ張る小さな手にどうかしたのかと思えば…。

「働くのは、もう少し先になるね。
ナナの言う通り、文字の読み書きにしても、覚えてもらう事になる。
それと同時に、ナナが何に向いているのかも確かめないといけないので…そうだね…しばらくは屋敷の者の手伝いをしてもらおうか。
今は街の区画や雰囲気について覚えてくれればいい。
食材や日用品の買い出しを頼まれるかもしれないからね」

働く事。それを条件に連れて来たことを忘れず、働く事に関して律儀であるので思わず浮かべる笑み。
文字の読み書きは執事が教える事になるだろう。
雑用という名の手伝いの中でも、生活に必要な知識や技術、食材の見分け方から簡単な調理、マナーに関しての様々な事を自然に身に付け覚えていくだろうと思っての事。

目に留まった青果店。店先で売られている果物をざっと見て、目に留まったのは艶のある小振りのメロン。
懐から出した財布から代金を支払い、ついでに食べやすい大きさに切り分けてもらうと店の端にある長椅子を借り小休止ついでに彼女と一緒に食べることにして。

ナナ > 「ほー……はー……」

地面を見て、空を見上げる。
なんとなく今の自分がすごいんだろうな、というのは分かる。
貧民地区の娼婦よりは価値のある体になっているのだろう。

「そ、そうか」

顔が明るくなる、ファルスィークの手を握って。

「お、置いてくれるならいいんだ、おれ、その、何でもするからさ」

産まれて始めて優しくされたファルスィークの傍にいたい。
うまく言葉にはできないが捨てられることがないようで安心し。
長椅子に座ってメロンをかじる。
前なら少し警戒しただろうが今なら信用できる相手、無警戒で。

「美味しいな、お前美味しいものいっぱい知っててスゲーな」

ファルスィーク > 「何となくは分かったかな? まあ、誰か分からないくらいに見違えた程だ」

貧民区に居た頃よりも凌辱の対象になっている事は間違いないと思える容姿の変化に対しての評価は、周囲も同じくであり現在も己と一緒にいる彼女へ向けられる老若男女の視線は多い。
…というよりは目立っている位になろうか。
店からも通りがかる中年女性からも、微笑ましげな表情で「可愛いねえ」と声はかけられており。

「それは初めにちゃんと約束し通りに衣食住は保証する。
反故にする事はないので安心してくれていい。
ナナは素直で真面目そうだし、期待しているよ」

奇妙な出会いではあり多少の気紛れもあったが、あの場所から拾い上げた彼女の不安は結構な物であったようだ。
あのような場所では約束などは、気休めであり破られる事がほぼだったのか。
―環境の変化は全くの別世界となった訳だが、屋敷の者も含めて危害を加えるような言動は素振りさえなく、子供特有の環境適応能力もその内に発揮されていくだろうと。

「気に入って貰えて何よりだよ。
他にも、もっと美味しい物は沢山あるからね。
果物も、そのまま食べるのもいいが、一手間駆けると更に変化してしまう。
料理というのも人の英知の一つだね」

笑みを浮かべつつ取り出したハンカチは、メロンの果汁で服が汚れないようにと彼女の襟元に引っ掛けてみる。

ナナ > 「なあ、さっきからかわいいって言われるけどさ、可愛いって何だ?」

メイドにも言われたが意味が分からない。
ファルスィークなら知っているだろうと思い聞いてみて。
期待されていると言われるとそっぽを向いて。

「た、たりめーだろ、世話になるんだから何かできねーといけねーだろが」

恥ずかしそうにしながらメロンを食べて。
かけてもらったハンカチが果汁で汚れて。

「これうめーけど汁が零れて勿体ねーな……料理か、お前美味いもん好きなのか?」

嗜好というのがまだまだ理解できないが、どんなことが好きなのか。
無意識のうちにファルスィークに好かれようと、ファルスィークの為になることがしたいと思い顔を見上げて聞いてみる。

ファルスィーク > 「可愛いの意味か…小さくて愛らしいとか、大事にしたい…大まかに言えばという感情を示す言葉だね。
そう言った言葉の意味も、その内に分かるようになると思う。
ああ……そうだね。ここでの生活に慣れてきたら、何か生き物を飼ってみるのも良いかもしれない」

いざ、言葉の意味を聞かれると如何表現したものかと、暫し思案しての回答で伝わっただろうか。
こう言った言葉のやり取りの中でも、しっかり学習していっているのだろう。
言葉の意味や表現に興味を示すのは良い事でもあると微笑ましく。
つ…と顔を背けながらの言葉は照れもあるらしく、その仕草も確かに可愛らしい。

「確かにその通り。
でも、そう言う気持ちは大事にしないといけないよ」

初夏に近い季節でもあり、日陰で食べる果汁の多い果物は喉の潤いにもなって心地いい。
己もゆっくり食べながらの彼女との会話を楽しみ。

「それだけ、果物の出来がいいという証拠でもあるけど…確かに果汁ジュースにしても美味しそうだ。
店主に頼んでみるか。
美味しい物は、特に心を豊かにしてくれるからね。
ナナもシチューや肉や魚を食べた時の衝撃を思い出したら、納得できると追うけれど」

そう言うと店主に手間賃として幾らか渡し、残りのメロンを絞ってカップにでも淹れて来てほしいと頼みんでみる事に。
程なく、奥からカップを2つ手にした店主が戻り己と彼女に手渡してくれた。
果肉を食べ終えた後の搾りたて果汁は更に贅沢と言うものだが。

あれこれと己の嗜好について聞いてくるのなら、その都度答え…無意識の内なのだろうが好かれようとするのは、子供の本能か……其処は指摘する事も無く―。
メロンを堪能し終えれば、店主に礼を言ってまた歩き出して見て回る商店の数々。
雑貨にしろ何かの装飾品でも、彼女が何か興味を示したものはあるだろうか。

ナナ > 「そっか、じゃあおれも大事にされるようにしなきゃな」

どうやらかわいいと皆から大事にされるらしい。
それだけ理解して頷いて。

「分かってるから……俺すげーやつになるんだからな、ちんちんついてるけど一応女だし」

ふたなりと言うらしいがそれがどんなものなのか、辛うじて昔聞いたことを覚えていたのか。
そう言えば自分の事全く話してなかったなと思いだして。
果汁ジュースを飲みながらファルスィークにいろいろ聞いたりして商店街を楽しみ。

「うーん……俺には十分付き合ってもらったから、今度はお前が行きたい場所に行きたい、お前のこともっと知りたいぞ」

なんだかんだでこの男の素性が全く分かっていない。
どんな男なのか知りたくなってきて。

ファルスィーク > 「その為には、色々と学んでいかないといけないな。
学ぶうちに得意、不得意も出てくるだろうが、その全てがナナの糧になるのは間違いない。
屋敷の者も含めて、此処にはいい教師が揃っているので環境は良い筈だ」

将来が楽しみな発言は、彼女自身の未来への夢と希望も含まれての事だろう。
たった1週間程の間に運命が逆転したと言ってもいい彼女は幸運だったのかもしれない。
「ちんちんがついてる」との言葉には、思わず咳き込みはしたが、この世界では、両性具有はそれほど珍しい事でもない。
その内に、性についても教える事にはなるのだろうが…都市への道中自らの性器を弄る自慰行為は、程々にと窘めていたかと思い出しつつ。

「私の行きたい場所か……ふむ…では私の店に案内しようか。
ちなみに街の外という事になると、それはナナがもう少し大きくなってからの方が良い。
私の事……地位であれば簡単に言えば、この街の主になるが…」

街の外に関しては今の彼女ではままならない為に、連れて出るとすれば数年後となりそうではある。
加えて己の事については簡単に伝えておくことにした。
街の主と言っても、知る者と言えば上層の者のみで街に居る者のほぼ9割弱は己の事など知らないだろう。
であればと、この商店街区画の外れにある己の店へ案内する事になる。
店員は居ない為に、店を開けるのも不定期でほぼ閉店状態でもあるので、一般客が寄り付く事はほとんどないく訪れるのはコアな客ばかりではあったが。
店の裏口のドアを開け、そこから店内へ入ると人差し指は暗い店内を指し…すれば吊るされた幾つかのランプに燈るのは火のオレンジ色の明かりではなく青白い魔法により明かり。
店内には、統一性のないある意味珍しい品々が並べられていた。

ナナ > 街の外に出てはいけないと言われ、まあそうだろうなと納得する。
今まで生きていられたことはかなり幸運だったのだろう。
街の主と聞けばため息をついて。

「お前がそんな偉いわけないだろ、ソコソコは偉そうだけどよー」

大きな屋敷に使用人、その上自分まで引き取るのだからそれなりの地位はあるのだろう。
だが町の主までは流石に言い過ぎだろうと思いながら店に案内されて。

「……やっぱ街の主は無いわ、こんな訳の分かんねー店の店主が町で一番偉いわけねーだろ」

知識も教養も無いから当たり前だが価値がさっぱり分からない。
変な物を置いている店としか認識できずその辺の椅子に座って。

「こんなところ誰が来るんだよ、まったくいくら俺でもこんな嘘に騙されるわけねーってばよ」

椅子に座るとテンションが上がりすぎて疲れていたのかうとうととしだしてやがて眠ってしまい。
そのまま屋敷までおんぶされて連れ帰られることになるだろうか。

ご案内:「商業都市 ラディスファーン」からナナさんが去りました。
ファルスィーク > 彼女の反応は至極真っ当なものであり、溜息交じりの呆れたような言葉には実に楽し気に笑う。
一般の眼から見ても地方領主であるという事実が一見して信じられないと思われるくらいが、出歩くには丁度良いという理由があるから。

「うんうん……いい反応をしてくれるね」

訪れる客は少ない広い屋敷は、特に贅を凝らしている訳でもなく最低限の使用人だけなので、部屋も余っているし非常に静かでもあるし、屋敷の者に己の事を領主なのかと聞いても、「貴女の目に映る彼」で良いではないかとの返答があるくらいか。
街の規模からして推測しても領主という地位が結びつかないのは当然ではあるし、しかも立地も悪く繁盛もしてそうにない、この店舗である。

「それなりに貴重で面白い品ばかりなんだが……」

故に客のほぼ全てが、好事家ばかりである。
そう言えば店に立ち寄る機会が無かったと、一見すると只の拳大の石にしか見えない火属性の魔石を棚の隅に置いた。
話をしている内に、疲れて眠ってしまった彼女の寝顔を眺め…少し店の整理をした後に明かりを落として背負った彼女と帰路についたのだった。

ご案内:「商業都市 ラディスファーン」からファルスィークさんが去りました。