2023/04/01 のログ
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「ふーぅん? ちなみにわたくしはいたしますわよ」

意味の無い事、と言われたエルフは少し肩を竦めるようにする。
エルフの主な武器は弓だ。持っていた矢を打ち尽くして帰路につくのは縁起を担ぐような意味もあったし、そもそも鍛錬にもなる。未熟を自認する自分と彼とでは、立場や状況が大分違うのだろう。
すごくオシャレというわけではない、と聞くと彼を見上げて、首を傾げて彼を上から下までまたためつすがめつ。
それから軽い鼻息とともに

「…ウン、 期待しないでおきますわね。
 ―――ざーんねん、 ディアーヌさんとカゲトキさんとのロマンスはカゲトキさんからアタックしてもらわなきゃかー」

後半は小声だったが、彼女から顔を背ける形で彼を上目に見てのきこえよがしだ。エルフは駄目モトで期待を込めた視線で見上げてみている。ただのしかばね…ではないが、反応はきっともらえないかもしれないけどもしかして、の期待を込めて。
つづけて老紳士との組み合わせはディアーヌさんから迫ってもらった方が絵になるんだよねえとか、背後にした彼女を横目で見るようにして言ってから、小さくため息を付いては少し項垂れる。彼女にはきっと、戦場に絡む話の方が惹かれるに違いない。
それから、荘園の話を聞くと気を取り直したように彼女に顔を向けて

「そうでしたの。
 そうした作物を害虫から守ってくれるような、相性の良い植物もありますわよ。ご存知なさそうでしたら、お伝えくださいな。
 
 ―――おじさま、意外とセンス悪くないですわね。…ちょっと足してもよろしくて?」

彼がメモ帳に書き込んだ意匠を覗き込むと、エルフは彼の手のペンをするりと取り上げて何やら書き込みを入れる。
ほどなくエルフが手にしたペンを置くと、そこには月下に花の意匠。花に多少感心があるものなら、桜の花だと気付くだろう。
エルフはすこし身を引いて、ふたりと2匹が自分の書き足した意匠をどう思うか、どんぐりまなこでじっと見詰めている。
刺繍するのに少し手間は増えるし、なにより小さいのであまり凝らない方がいいのかも、と思いつつ。
後ろに回した脚の爪先をトンとつけて、ちょっと落ち着かない様子だ。何しろ相手は玄人のお針子なのだし。

影時 > 「ほほぅ。と、さっきの回答に一つ足すか。……仕事を解決するに当たって、だな。
 それ以外のコトであったら、俺も多少はハメを外してるつもりだが? 多少は。だが」
 
合理的ではない、無意味であることは仕事をこなすに当たってはしない。極力好まない。
果たすべき仕事はそれこそ過不足なく達成することが良い。
懐に呑んだ手裏剣は一本も使わず、使ったにしても回収し、臭いや足跡などの痕跡も残さないことが至上である。
名の如く夜陰に溶ける影であり、それこそ魔性のモノが為したような仕事ができれば完璧だ。

だが、それ以外の私事とカテゴライズできる諸々であれば、どうだろう。多少は遊び心がある――つもりだ。
つまりは切り替えているつもりである、と言いたいが、この辺りは伝わるかどうかが非常に怪しい。

(自分のセンスでは)お洒落ではないとは述べれば、向けやられる視線の動きはどうだろうか。
見上げ、見下ろし、続く鼻息は思わず虚空を仰ぐ。

「……――返す言葉がなくなっちまうなァ。
 あー、店主殿。羽織の縫製が分かるなら一着こさえてくれ。素材と仕立てが問題なら、伝手を教えるから仕上げを頼みたい。
 
 って、お嬢様よう。出会って間もねェのに、がっつきにいく所以があるか?ン?」
 
こちらの土地のお洒落云々はまっことにむつかしい。
だが、自分が慣れ親しんだ類のものであれば、多少は数寄を凝らしてもいいだろう。今が地味すぎるなら派手でも好かろう。
光が強過ぎれば、影もまた深くなるものだ。もう一つの姿と言うべき忍び装束の意味合いが深くなる。
小声とはいえ、ありありと聞こえよがしな言の葉は聞き流しきれない。
財布が軽くなるのも最早今更だが、こういう時のための蓄財と思えば、割り切ることは容易いものである。
この場合、割り切りが難しいのは、エルフの言うコイバナなどのような男女の機微、心の動き、働きのようなものである。
己を上目に見上げる眼差しに膝を曲げ、耳に囁くようにしながら零そう。

「もちろん、いいともさ。ああ、それとな今思いついた。……こんなのイケるか?」

ペンを取り上げる手には、邪魔しない。取り上げる細指が綴り、描く描き込みにほう、と声を零そう。
獣の横顔の意匠でも描こうかなとも思っていたが、これはこれで悪くない。月下に花、桜花に月影、とでも言うべきものか。
最近だと、この辺りで自生している場所をついつい探しに行きたくなった類のものだ。
「おやぶん、いいんでは?」とばかりに囁くような二匹と見つつ、ふと、思い出したイメージを別途描く。
家紋、紋章ではない。余白にさっと描くのは、丈の短い羽織――否、法被というべきものである。
短いマントみたいなのも良いが、己の子分なら、どうだろう。似たようなものを着ている方が、いっそらしいのでは?

NPC > 「ジギィさんって、何だろう。変わってる感じ。実は物書きさんだったりする?」

耳が尖っているからかどうかは分からないけれど、耳は良い方でもある。
感覚の鋭敏さとは、痛みを意識する面もあるが、往々にして死地の生存、危機回避にもつながるものである。
不思議な男女の会話に、店主は小首を傾げつつも困ったように笑い、ふと、そんな問いを投げる。
何か題材を求め、取材するようにも感じられる点から思うのは、作家か楽師の類のよう。そう感想しつつ。

「わかるわよー? けど、伝手があるって言うなら、ぜひ聞かせてくれると嬉しいわ。
 やれると思ったらやれるけど、半端な仕事はしたくないの。」

男の着るようなキモノめいたものを、ドール用にちまちまと仕立てたこともある。その経験は応用ができる。
聞きかじりもあれば、時間をかけて調べたものもある。
それでもやはり、足りぬと思えば知ってはおきたい。色の指定も含め、聞き直すために新しいメモを取り出して。

「ふぅん。いいわよ。せっかくだし、伝えといてあげる。ついてに紹介状でも要る?
 ……――そーゆー感じかぁ。全然イケるイケる。あっちの意匠を描くなら、あっちの服の方がイイわよね」
 
紹介状を用立てるか、連絡先でも聞き出しておいた方がいいか。
脳裏に選択肢を浮かべつつ、店主は目を瞬かせて二人が描くものを認め、そうきたか、とばかりに耳を揺らそう。
小さい面積に刺繍する手間は今更ながらである。だが、新たな選択肢の提示というのは見積もりならではの模索である。
クライアントのオーダー、提案は実現可能なものである。
もう一人としては、どうだろう。反応をうかがうようにエルフの顔を見てみよう。

ジギィ > 「どうかなー おじさまくそま…お堅いところがありますから、『多少』が図り難いですわね」

多少は、と付け足す姿に、唇を尖らせつつ指を顎に当てて首を傾げて見せる。
こちらが思っていた『多少』は、存分に『多』か『少』か、どちらかに振れてしまうのではないかしらん、と
エルフは今まで彼と供にした冒険を振り返りつつ、考える所があるらしい。
彼の判断する遊びと仕事が、エルフのそれと地続きとはちょっと思えないのは、このエルフが過分に『遊び』判定がゆるいせいもある、かもしれない。

まあそれはそれ、思いがけず彼が羽織を新調すると言いだすと、わあっと解りやすく目を輝かせる。視界に入っていれば、その腰に巻いている狼の毛皮の両手が、偶然か否か一瞬バンザイの形になったように見えたかもしれない。

「えーだって、 ディアーヌさんきれいじゃんスタイルいいじゃん性格もいいじゃん収入もあるじゃん。
 がっついておいて損はない物件だと思わない?というか、がっつくとか言う前にいわゆる『ちょーいい女』だと思わない?」

彼が身を屈めて囁いた言葉に耳を揺らしたエルフは、片方眉を上げるとその羽織の襟を『逃がさん』とばかりにぎゅっと掴んで囁きかえす。
エルフの持論ではがっつかない理由はない。しかし相手の彼が意外なほどに『がっつかなさすぎる』性質だというのもなんとなく察している。これはもう洗脳しかなさそうだ、と脳裏に思っているのが、エルフの眼を見返せば透けて見えるかもしれない。
(むしろこれだけイイ女を前にして口説かないのはおとことしてどうなのー)という声まで聞こえてきたらエルフとしては色々成功である。

ともあれ彼女の机のほうに向きなおって、己が書き足したものの評価は2匹にも2人にも悪くはなさそうだ、と思うとエルフはほっと肩の力を抜く。
気付かない内に力を入れていたらしい、気が抜けたのと嬉しいのとで、眉根を緩めた柔らかい笑みがエルフの唇に浮かんだ。

「ええ、と… モノ書き、と言いますのかしら、詩は書きますわね。
 紹介状は大丈夫ですわ。もしご興味ありそうでしたら…そうですわね、これにお尋ねしていい場所を書いて燃やしていただければ」
そう言うとエルフは、腰の裏にしてあったポシェットから小さな紙きれを出して彼女の方へと机の上を滑らせる。
それは罫線も何もない、白い『和紙』のように見える。魔力を持った彼女が触れれば、何らかの精霊の力が籠っているのが解るだろう。

「ン?なんですの?
 ―――――なるほど、おやぶんとお揃いというわけですわね」

また机の上を覗き込む様にすると、くすくすと口元に手を当てて笑う。答えは言わずとも知れるはず。
毛玉たちと同じように尻尾があれば、同じように揺らして居たかもしれない、と思える。

影時 > 「仕事は真面目にやるもんだろう。遊びでこなせるなら苦労はしねェや。
 とは言っても、……どれだけ肩の力抜いて緩めてるかどうかってのは、気づき辛ぇか」
 
息抜き同然にやれる仕事が、今いる場所でどれだけあるかどうか、にもよる。然程ない気がしなくもない。
それこそ、駆け出しや初心者の定番の薬草採集位な気がなくもない。
この程度だと、毛玉コンビのおやつである木の実拾いがついでにできるというメリットがある。
初心者向けの仕事に挙がる、街の地下の下水道に巣食う魔物退治は、色々と気が抜けない要件が多い。
己の思う多少の定義とは、其れこそ思考の脇道の如く、並行して遣れるなど、余分をどれだけ盛り込めるか、といったことだろう。
改めて考えると、そんなことに気づいてしまう。……あれ、多少の幅が広くないのでは?

依頼を声に出した後、胸の前で腕組みして考え、むむむ、と唸ってしまえば、目を輝かす連れの姿が目に入る。
そんなに地味過ぎたのか、とついつい己の装いを見返してしまう。
視界の片隅に、狼の毛皮の両手が万歳よろしく振り挙げられたように見える位である。余程、という勢いであったか。

「…………待て待て待て落ち着け胸の前に手ぇ当ててよく考えろ。否定はしねぇがいきなり俺が唾つける方向でなぜ考えンのかね」

優良物件は唾つけておけ、手を出しておけ、ということなのだろうかどうなのか。
身を屈めたのがまずかったのか。羽織の襟を思いっきり、熱意すら感じる位の勢いをもって掴み、囁く様に首を横に振る。
見目好し、という事項については確かに否定はしないし太鼓判を押してもいいだろうとは思う。
が、会っても間もない初対面をどーこーし出すのは、どうだろう。その手の方向にそそりだすのは、何事も気が早いのではないか?
店主が、自分たちの姿を見やって、何かものすごく複雑な顔をしてる気配を感じつつ、そっと襟を掴む手を降ろさせようか。

「まァ、そういうこったな。
 二匹とも身の丈は同じなら、後ろに深く切れ込みを入れときゃ多分困らんだろうさ」

どうやら、受けは良いようである。小動物サイズの法被というのもなかなか珍妙かもしれないが、統一感がある。
色合いは選定が必要だろうが、おめかし的な装いと比べてもっと気軽でいい筈だろうと。

NPC > 「褒めてくれてるみたいで嬉しいけど、ええ、と。……色々気が早いかなーなんて。そーゆーは順序踏んでからね?」

収入は確かにあるが、色々かつかつなのよ?と。そう言わんばかりに零す笑みはほろ苦い。
土地代はまだ何とかなっているが、素材は凝り始めると仕入費が天井知らずになる。
冒険で手に入れに行く選択肢は残してるけれど、それは何日も店を閉めざるを得ないということと引き換えになる。
年中無休を謳っているわけではないにしても、計画立ててやらなければ色々と響く。
来客の男は悪くないとは思うけれども、というのはあるが、今のところはまだ其れだけなのだ、と。緩く首を振って見せる中、

「詩人さん、ね。ちょっと腑に落ちたかも。
 漉き紙は珍しい――あぁ、こういう、ね。頂いとくわ。数日中には使うと思うから」
 
なら、この形容と定義できっと間違いはあるまい。色々と熱意のある詩人の一人だろう。
そう来客の片方のイメージを定めつつ、もらった紙切れを灯火にかざして確かめる。
羊皮紙とは違う紙は作り方も素材も違うもの。織り込まれている何かの気配を察し、着衣のポケットにしまいこもう。

「クライアントの提案があれば、それを仕立てるのがあたしの仕事よ。
 それでいいんだったら、きっちりしっかり仕上げてあげる。色は……どうしようかなぁ。緑は地味よね。明るい方がいい?」
 
クライアントたちの要望と態度、反応を認め、作成対象をリストアップする。
小さな毛玉めいた二匹のための衣装を計4着。そして、その飼い主の依頼で一着、と。
改めて色使いを決めるため、再び布地のサンプルと色の見本を引っ張り出そう。街の中で動くに当たり、ピッタリそうな色を考えるべきだろう。
そう思う。布地は高いものを使っても、毛玉たち用であればそこまで高くつくことはあるまい。