2023/03/03 のログ
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > 「男の子の純情を無視するわけじゃないけどさあ…
たとえば恋の成就と引き換えに世界が滅んでもいい、とか願っちゃうのは女の子のほうが似合うじゃない」
エルフは彼の背後を付き従いながら、つま先の奇麗に舗装された石畳をみつめる。影踏みをしながら追いかけている風情。
何もなかったろう、というぶっきらぼうな声に「えー 体温まで分け合った仲なのにい」とけらけらと笑い声を響かせる。それにまた、行きかう数人が振り返ったりする。
たどり着いた店先で、彼の羽織の裾を握って彫像と化していたところ
促す声で魔法が解けたかのように緊張がゆるめば、店に踏み入れる彼に付き従うことになる。途中、すれ違う少女を横目で見つつ、彼の後に付き従うように店の中へ。
鐘の音とともに踏み入れた店内は、決して広くはない。けれども、装いも麗しい小さなものたちが、または『ちいさなものたち』に誂えられたらしい衣服や装飾品やらが整然とある様子は壮観といっていいと思えた。
すん、と香るのは、衣類の虫よけにもなるラベンダーだろうか。
「…あ、と」
掛けられた声に視線をみせの奥にやると、衣装と風貌とで、併せて『凛とした』を体現したような女性がいる。普段のこのエルフとは正反対の雰囲気で、半分とはいえ近しい種族だと疑わしいくらいかもしれない。
こっちのエルフが戸惑ったような声を返したのは、彼女の風貌とこの取り囲まれた衣装と
(―――しまった、キャラ決めて無かった)
オジサマにおねだりする風にするか
オジサマにくっついてきた風にするか
あと、どんな経緯でお店を知ったのかとか聞いておけばよかった…!
エルフがどんぐりまなこをふたつ、瞬きする間の後。
「お初にお目にかかりますわ。こちらで、小さなサイズの素敵な衣装を手掛ける方がいらっしゃると聞いて、伺いましたの。
…ねえ?オジサマ?」
流れるようにカーテシーをして(狼の毛皮は少々余計に目立ったかもしれない)から、『オジサマ』の方を振り返る。
『くっついてきた風』にすることにしたらしい。
彼も気後れしている様子なら、そのマフラーに手を突っ込んで毛玉たちを取り出す
―――のをどうやって優雅に行うか、考えているらしい。エルフが彼を振り返った視線は、彼のマフラーの辺りを彷徨っている。
(『鳴け』ば、出て来てくれるかな?)
■影時 > 「もう少し思いやりがあってもイイんじゃねェかね。慈悲も無ェのか、ったく。
ただ、その考え方は確かに分からんでもないが。
敵を皆殺しにして強奪(ウバ)うのが、漢らしいというか……て、こらこら、往来でンなこと宣うんじゃないぞぉ、お嬢様よぅ」
石畳の地面というのは、草履で歩くと偶に踏み込みの反発に不安を覚えて悩ましい。
摺り足の歩法と踵から踏み下ろす歩法とは、やはり微妙に違う。このような硬さの地面は、もう少し靴底が確かにある履物の方が楽かもしれない。
そんな思考を片隅に覚えつつ、影踏みの遊びよろしくついてくる姿が放つ声に、天を仰ぐ。
神は居ないのか。否、居ても色々諸々力業を要求してくるのだろうか?
女性的と宣う思考ロジックに相反するものとして思うのは、略奪愛的なものの考え方。
ふむ、と考えれば、続く言葉に思わず肩を落としかける。沈みかけた肩から襟巻きが落ちなかったのは、小さいとはいえ重みがあるからだろう。
さて――ともあれ、そんな戯言を続けながら目的地の店にたどり着く。
すれ違う、入れ違いとなる少女たちが、物珍しいとも奇異ともいえるよう眼差しを遣ってくるのは、やはり取り合わせの珍しさからだろう。
店自体はいわゆる大店のようなそれではない。
数十人が入ってしまうことがあれば、それだけで通路なども含め、足の踏み場もなくなってしまう。
それは既製品も含め、売り物を陳列し、あるいは作例と呼ぶべきものも並べ、揃えているからであろう。
埃避けなのだろう。まるで瓶詰よろしく筒状のガラスのオブジェが棚のような場所に見えるが、中にはフェルトで編んだ擬人化された小動物の類もある。
頼めばこんなこともできますよ、細かく縫えますよ――という具体例を飾っている。
虫除けも兼ねてなのだろう。ラベンダー含め、幾つかの花の香は匂いがきつくなりがちな薬の芳香を和らげる配慮がなされているようで。
「……あー、こちらのお嬢様の仰る通りでね。
ちょっと見ていただきたいんだが、よろしいだろうか?と、……おい。お呼びだぞ、お前ら?」
そういう風情、雰囲気で行くと決めたのだろう。数瞬位考え込んだのだろうか。
オジサマに同伴したお嬢様として、優雅な仕草を以て用件を切り出すエルフに頷こう。使用人らしく、という役もこの場合では適切ではあるまい。
内心で頬を掻くような心持ちを抱きつつ、奇異混じりにぢーとみてくる目線を受け、襟巻きを軽く引っ張ろう。
肩も揺すれば、もそもそと出てくる小さな毛玉がひとつ。ふたつ、とある。
男の肩に乗っかるように出てくるそれらは、起こすなよ旦那――と言わんばかりの眠たげな顔で、小さく鳴いてみせる。
■NPC > 「素敵。素敵ね! んー、どうやってこの店知ったのか聞いてみたいけど、そう言われるのは嫌いじゃないわ。
で、小さな子ってどんな子かしら。わんこ?それともネコ? さっきのお客様みたいに大事な子を連れてきてる風に見えないけど……、わっ!」
さて、看板に書かれた名前の持ち主はおそらく、この人物で良いのだろう。
見たところ、他に従業員が出てくる気配も何もない。奥まで進むと居るのかもしれないが、目に見えるのは尖り耳の男装風の女性一人である。
異色の見本めいた取り合わせに少し考えこんで、掛けられた言葉に難しく考えることは止めたらしい。
ただ、どんなものを探したり誂えたりしてほしいのか。それを問おうとすれば、男の肩に現れる毛玉二匹の姿に目を丸く見開く。
男の横に、前に、そして後ろにとぐるぐるとせわしく動いて、しげしげと眺めて、こう云うのである。
「……もしかしてこの子達? ちっちゃいわねー……。何か偶に見かけるよーな気もするんだけど、この子達の服を考えたいのかしら?
つついていい?さわってもいい?と云わんばかりの、好奇心と思案をない交ぜにしつつ、問うてくる。
■ジギィ > 「みなごろし、とかさー 英雄歌ならいいかもしんないけど コイバナなの。 こ い ば な!
まー上手く遣えば面白いかも知れないけどさー…」
爪先に現れる石畳は規則正しく、思考にふけるには丁度いい眺めだった。
店まであともう少し距離があれば、このエルフはまたトンでもな発言をしたかもしれない。
溜息をついたりの声は俯く頭上から聞くようにして、ふふふ、と忍び笑い。
すれ違う少女を眺めやって、いろいろ心の準備も整わないまま店内に踏み込んでいくと、まるでそこは別世界とも言えそうな風情。
明らかに『自分たちむけ』ではない商品、それもどれも手の込んだもので、大切に陳列されている。
或いは埃避けがかかっていて、或いは日除けが掛かっていて、マネキンよろしく、フェルトでつくられた小さな生き物の姿まで。
フカフカそうなその様相は本来の獣とはもちろん違いがあるものの、その愛らしさだけ取り上げたようなもので思わず笑みが零れる。
『オジサマ』と呼びかけた彼が、こちらの『設定』合せてくれたのだかくれていないのだか、あんまりいつもの調子と変わらずに、彼の子分たちに呼びかける。
彼らが森を出てからの期間を考えると大したもの、と言える反応だ。ちょっと嫌そうではあるが、ちゃんと応えて這い出て来る姿にエルフも笑みが零れる。
「あら、当のご本人はご存じないのですわね。こちらのファンは秘密主義が多いのかもしれませんわ。
―――ええそう、このコ達です」
好奇心丸出しの―――一瞬ヒトの組み合わせのほうにも向いていた気もするが―――様子で毛玉たちを見る女性の様子にまた笑みが零れた。くすくす、と笑うのに口元に手を当てながらというお嬢様振りをエルフは発揮させている。
「触っても大丈夫ですわよ。貴方の様な方でしたら、このコたちも望むところという気持ちだと思いますわ」
ねえ?と毛玉たちに鋭く鳴いてみせて、エルフはまた口元に手を当ててころころと笑みを零して見せるのである。
―――何この子カワイイ。この女の子のコイバナ聞きたーい。
とか、内心思っていたりする。
■影時 > 「美女に懸想した男二人が、奪い合うってのもコイバナだろう?一応。
そのあたりの悲恋だかナンだかを綴った劇の台本を、前に読んだ記憶があったが……どんなだったかな、確か」
この手の物語は、吟遊詩人が謳うには少々長過ぎて重いかもしれない。
物語の知見云々について、もう少し知る機会というのは探してみるべきか。
最近の仕事柄、本に手を触れる、読む機会と云うのは多い。前職云々は抜きにしても嫌いではない。
知ったことは思わぬことで、役立つことが多い。聞こえる忍び笑いに肩を竦める。
――しかし、嗚呼。この場所はやはり己独りで踏み込むのは避けて正解だった。そう思わずにはいられない。
まず間違いなく、己向きではない。一緒に連れてきたエルフ向きではない、と決めつけるのは早計かもしれないが悩ましい。
既製服とはいえ、だ。
例えば白いフリルやら、一切れだけでどれだけ手間暇がかかったか分からないレースなどを凝らした服は、一着どれほどとなるのか。
冒険者向けの防具、衣類ではなく、戦うのとは無縁な少女や女性たちをターゲットにした品揃えだろうと推察する。
店自体は天井に幾つも灯った魔法の明かりのお陰で暗くはないが、薄手のカーテンがかかった窓は、極力強い日差しを浴びせないようにするためのもあるか。
商才があると思えるのは、どう見ても高そうではなく、マスコットめいた可愛らしさのフェルトのぬいぐるみも置いている処か。
金貨何枚にもなりそうな一着は難しくとも、お土産程度に手を伸ばしやすそうなものとは、対比の意味でもきっと強い。
「秘密主義というより、元々は学院の生徒たちから聞いただけでね。ともあれ、噂に違わぬ店で何よりだ。
小さな人形の服も手掛けていると伺っていたんだが、……可能だろうかね?」
情報のソース、出所は何のことはない。学院の貴族の子女たちの会話から拾ったものである。
知る人ぞ知るというほどではないが、手芸を嗜む少女が憧れめいた様相の響きであったり、大事なドールに着せた例を語らったり等、中身は大小様々。
己の周りをちょこちょこと見たり、覗き込んだりする姿にどうしたものか、とばかりに当惑げにして、男は動く。
少し考えて、リスの首根っこをそっと掴む。ちたばたと動くそれを片手に乗せ、この店の長であり店員である姿に示してみよう。
気持ちはわからなくもないのではあるが、やはりこれは見て貰わないことには、何とも言えない。
■NPC > 「秘密って程じゃないんだけどね、ここ。
前にどっかの書き物屋さんとかが、取材に来てたけど……ちゃんと宣伝してくれたのかしら。してたらいいけど」
してなかったら、シメにいこうかしらとぼやくのは、多少は力任せのケがあるのかもしれない。
店の奥には会計も兼ねた席を設けられているが、その傍には羽根付き帽子と緋色の決闘服を着せたマネキンが置かれている。
こういう服も作れる、という見本であるとともに、当人の私服か勝負服のつもりなのだろうか?
決して浅くない起伏を陰影で見せるベストの胸元で腕組みつつ考え、すぐに気を取り直して、毛玉の方を見るのである。
「じゃー、遠慮なく。……かーわーいーわね。うりうりうり。
けど、この子の服、ね……わっ、アナタのもよね? なにがいいかなー、どんなのがイイんだろ」
男の手の上に乗っかったリスの毛並みを指で撫でたり、耳の裏をくすぐったり。
そんな仕草をしながら、思いっきり顔を緩ませる。そうしていれば、男の肩からぴょいとモモンガが飛んでくるのだ。
それも、この女性の頭の上に。ぽふんと乗っかる重みに微かによろめきつつつ、考える姿、思い出したようにこう云う。
「申し遅れたわね。あたしはディアーヌ。この店の主よ。よろしくね、お二人さん?」
リスの毛並みを堪能すれば、何か図案などがないかどうかを探しに行くのか。
モモンガを頭上に乗せたまま、店の奥に向かってゆく。そうしながら、こっちこっちと手招きしてくる。
■ジギィ > 「それさー、当の美女からしたらタマったもんじゃないってば。どっちかが好きならまだいいけど、どっちも好きじゃなかったらとかどっちも好きとか言いだしたら地獄じゃんー
―――え、なにそれ思い出して思い出して」
彼の返答にぶうぶう言い返しながら、その情報ソースは知りたいらしい。エルフは思わず顔を上げてまた彼の羽織の裾をひっつかんでぱたぱたさせる。
彼の腰に佩かれた物騒なものがチラ見えするが、帯刀しているものも皆無ではない界隈なので、目立つほどではない、筈。
そんな取り合わせで踏み込んだ店内、まだキャラ決めが不安定だったエルフもそこそこ調子を取り戻して『お嬢様』をとりつくろう。
それが銀髪の彼女に見抜かれているか見抜かれていないか、解りはしないがともあれ今回の主役たちに興味は持ってもらったらしい。
…しかし、女子の趣味の話まで拾っているとは…とエルフは一瞬彼に胡乱な視線を投げたりもする。それは『やるじゃん!』という尊敬のためか、それとも。
女性が彼の周囲を覗き込むのに、そそそ、とエルフは距離を取って彼とのツーショット(+2匹)を眺める。彼女の浅くはない胸の陰影といい、うん、何か画になるんじゃない?
「ちゃんと宣伝はいいけれど、この店は貴方お独りで切り盛りされていらっしゃるの?富裕地区とは言え、宣伝で知ったという方たちが押し寄せたら、中には危ないこともありそうですけれど。
用心棒くらいはいらっしゃる?」
彼の手の上の『すーちゃん』を可愛がる彼女がかわいい。後ろ姿も良い。
あー、銀髪からちょっとはみ出る尖った耳もいい。
彼女の後ろから、エルフが口元に手をあてつつ観察していると、折よく『ひーちゃん』のほうが彼女の頭に舞い降りる。思わず「うっ」と声を漏らしたエルフは、そのままちょっと咳き込むふりをする。
―――ああ、かわいい。
「う、ぅん! …ディアーヌ様、ですわね。わたくしはジギィとお呼びください」
店の奥へ向かう彼女の背後から名乗りつつ、彼を振り返ってエルフは口を動かした。彼なら読み取れるはずだ。
『かわいくない?』
エルフの視線は、奥へ向かう彼女を指している。
『…スタイルも良いしね?』
■影時 > 「いや、よく考えろ。――どっちも好きで嫌いになれてねぇからこそ、天秤にかけてるようなもんだろうが。
こらこら、遊ぶな遊ぶな。今度現物借りてきたら見せてやるから、我慢しろっ」
どんな表題、タイトルであったか。
少なくとも借りてきて、または買ってきて積み上げた書の山に埋もれているようなことはあるまい。
ひとまず、出元は仕事場の一つである学院の図書館であったことは疑いあるまい。
タイトルを確認すれば、市井に出回っているものを探せる筈だ。そうでなくとも筆写、写本するのも不可能であるまい。
まるで子供のように外套ならぬ羽織の裾を掴み、ぱたぱたさせる様に、困った顔で髪を掻こう。
店の主にこのやり取りが聞こえているか、見抜かれているかは――定かではない。
だが、こういう顧客もいるのだと。ある種の割り切りは見せているのかもしれない。
疑わしきを適宜スルーするのもまた、こういう場に構えられた店を適切に運営するには、必要な技能であろう。
だが、しかし。女子の会話やら趣味のトークに耳を傾けるのに、嗚呼。そんな目で見ないでほしい。
若い少女たちが少なくとも3人は集え、趣味が合えば、相乗効果の如く話は豊かに、声も高くなるのである。
一仕事終えて食堂やらラウンジやらで休んでいるときに、そんな話があれば、耳が良過ぎると右から左へと流せないのだ。
(……?)
胡乱な眼差しを受けつつ、距離をとるエルフの姿を見やれば、思いっきりに怪訝な顔を向けよう。
己と店主と、毛玉二匹の取り合わせをよく眺められる位置取りを確かめているとは、真逆思うまい。
『……否定はしねぇが、そーゆーコト語らいに来たわけじゃァないだろうに』
店主の名乗りに宜しく、と。会釈を返しては、手乗りのすーちゃんこと、スクナマルと名付けたリスを肩上に戻す。
手招きしてくる姿を追って、店の中を改めて見聞しながら進む中、連れのエルフの唇の動きを読む。
お前なあ……、と言わんばかりに思いっきり肩を落とせば、肩上の毛玉が落ちそうになって慌てた仕草をする。
背筋を伸ばして姿勢を戻せば、止めてくれよう親分、とばかりに前足で肩をぺしぺしするさまに、すまんすまん、と答えを返そう。