2023/02/25 のログ
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「ンー『芸』っていうか…芸っていうのかなぁ もうちょっと遊んだら?ってカンジ?
 色はこのまんまで良いから、襟に刺繍入れたり裏地に模様いれたとか?」

エルフはまたひょいと片手を伸ばし、唇をとがらせながら思案顔で彼の羽織の裾をつまんでひらひらさせる。
物騒なものが見え隠れというか見え見えだが、流石この王都というべきか、特段注視はされていないようだった。

「ン、じゃあ私が『オジサマ』ってよんだほうがいい?いちおう十代のふりくらいはできるよ。
 大丈夫だよー 横を歩いて笑い出さないくらいには収めるってば」

けらっと笑って、裾をつまんでいた手を離す。その手を意味ありげに微笑む唇に当ててからあはは、とまた笑ってティーカップを手に取った。彼の曲がる口元を眺めるのが楽しくて仕方ないと言った風情。

「単価は高いけど、席代とか紅茶自体の値段とかを考えると良心的なお店なんだろね。… あー、メニューの端っこに『お客様のご要望に合わせたお茶の配合いたします』ってある」

カップを唇にあてて紅茶をひとくち含んで、飲み込む。舌にはベリーに似た酸味と花の香りが鼻腔を通って行く。思った通りかそれ以上だったようで、エルフの目がすこし丸く開かれて輝く。
それからメニューに屈み込む様にしてその文言を見たエルフの眼は、興味深々のようでもありちょっと訝しげのようでもあり。『ご要望』の範囲はちょっと気になるところでもある。まして、店に出入する軽やかな笑い声を響かせる少女たちの姿を見た後では。

そーいった贈る相手の心当たりがあるから聞き耳たててたんでしょその準備の良さが何かやらしいんだもん私だったら忘れたふりしてその噂していた女の子にもう一回声掛けたりするなーあそうかその手を考えてたんでしょ

そんなどうでもいいやりとりを、2匹の毛玉たちがひとしきりカリカリし終わるまで続けて、その頃にはエルフのハーブティーのポットも軽くなっているだろう。

「あー人形(ドール)ねえ。わかるわかる。夜中に髪伸びたりするってやつでしょ。…ナイフ持って振り回すんだっけ?
 えーそうお? 娘に、とか適当にそんな振りすればいけるんじゃない? そりゃいかがわしい目では絶対見られるだろうけど。
 …あわかった、『おまえに会いたかった』、って素直に言ってもいいよ?」

エルフはばちーん!とウインクをして見せて、続けてけらっと笑うと、両手をのばして当事者(当事獣?)である毛玉たちの喉をうりうりと擽り始めた。小腹が満たされ、仲良くもたれあってうとうとしかけていたリスとモモンガの2匹は、いよいよ眠りこけそうに瞼を閉じる。

影時 > 「アソブ……かぁ。柄物とか色物仕入れる方がどっちかと云や、早いかもしれねぇな。
 裏地を凝るのは良いンだが、刺繡は衣装の類が難しくてなぁ……」
 
裏地をわざと街路や建物の色や石垣、煉瓦の模様に寄せた特注にしようとした――というのは云わぬが花か。
かなりの頻度の確率で腰に差している刀ではなく、短刀を選んできたのは正しかった。
この場を待ち合わせ場所とするための気遣いでもあるとともに、最低限の儀礼としてでもある。
もっとらしい衣装をしていれば、より一層決まったかもしれないが。
己が羽織の裾を摘まみ、ひらひらと遊ぶ手つきを眺め遣りながら思う。表地を何かいい色に染めてもらう方が良いか?と考えながら。

「――なァるほど? いや、それはそれで良いかもしれねぇな。
 だが、実際に金出すのが俺だから、却下されても文句は云うんじゃぁないぞ?

見た目上の歳の差は、成程。種族云々はさておきそういった見方、構図は一応できなくもないだろう。
金を出す方が“おぢさま”である。
ただ、笑い出しそうな前提でコーディネートされるのは、さずがに財布を持つ側として拒否権を行使するのや止むを得ないだろう。
ひとまず、そうではないことだけを祈りたい。吐き出す息の重さと裏腹に、見上げる空は青い。今日もいい天気だ。

「高くすればするほど、またやり方なども変わっちまうだろうなあ。
 ああ、あったなそんな言葉。
 ……思いっきし濃く淹れて、砂糖と牛の乳を入れる呑み方してる奴が居るから、そういった注文とかに合わせンだろうよ」

嗜好品は上を見れば見るほど、どこまでもきりがなくなる。
このような店は値段と上質というキーワードを釣り合わせた結果、ということだろうか。そんな感覚がある。
オーダーの要望は色々あるだろうが、伝え聞いた飲み方を思い返す。そういうのが好きな人にも合わせられる。
……紅茶ではなく、抹茶の類でも扱っていないだろうか? 茶の湯めいた事もたまにはやりたくなる、が。

おまえなァ心当たり前提でどーして考えるのかね備えあれば憂いなしって云うが誘う誘わない前提で聞くかというか初めて来た場所で誘ったンはお前さんだよ何か問題とかあったか――、と。

切り返しのやり取りが終わるのと、毛玉たちがカリカリと齧るのは大体同じ当たり。
テーブルに置かれた金盞花をカップを置き、空になった手で拾い上げ、眺めていれば、

「……――何か色々混じってねェかなあ、お前さん。勝手に動いたり刃物持ったりしない奴だぞ?一応。
 娘に云々という演じ方を遣るより、お前さん連れてきた方が間違いないだろう?
 
 お嬢様にお会いしとうございました、と言えば良いかねぇ。……ほら、お前ら寝るな起きろ起きろ」

それは呪いだか暗殺人形とかいうようなげてものではないだろうか。
待て待て、と内心と表情も思いっきり呆れの顔つきを見せながら、お腹一杯で眠たげになりつつ当事獣たちに声を遣る。
摘まんで持っていくのも出来なくもないが、ちゃんと起きていないと困る。
軽く手を鳴らし、覚醒を促しては羽織の袖口に手を遣る。取り出す財布より代金分とチップ分の硬貨を置こう。

ジギィ > 「こっちの服みたいに形をどうこうするより、素地自体に凝ったほうが合いそうだよね。
 刺繍だったら呪いの類になるのもあるし、本気で考えてみてもいいかもよ」

エルフはまさかそんな、彼が迷彩のような仕掛けをしようと考えていたとまでは思わず
兎に角、実(戦闘)用に則した方が好みであろうとそんな提案もしてみる。
一方意外とあっさり受け入れられた『おじさま』にぶはっと吹き出し、却下の可能性を聞くと震える口元を抑えながらうんうんと頷きを返した。

「―――あらオジサマ、流石、見識高いのね?
 コーヒーとかも色々種類あるもんね。その手の店もその辺にありそうー」

メニューから顔を上げると彼の顔を上目に見てからにっと笑って、背筋を伸ばした後に通りを眺めやる。
陽光のなか行き交う人たちの足取りは、他の地区よりものんびりしている気がする。それは富裕地区だからなのか、富裕地区のなかでも『ここ』だからなのか。

「あれ?ちがったっけ。呪いを込めて贈るやつ?
 そうかなぁー 我ながら、余計な茶々を入れる気満々で来たけど。カゲトキさん、わかってなーい。

 …ええ、苦しゅうないわよカゲトキ。
 …
 ……あーん、オジサマ路線のほうがいいな、私」

ドールに関して、エルフは眉根を寄せて真実思い出そうとしている様子だった。
ちなみに、このエルフの里での所謂『お人形さん』は木彫りか藁で、実際祝福を宿した呪物であったりした。なのでどうも、人形の類に関してのエルフの思考は『そちら』のほうに考えが引きずられる。

毛玉たちは手を鳴らす音にううん、と身を捩って、心底仕方なさそうにもそもそと体勢をととのえる。
それからすかさず、あるじが代金を払おうとテーブルに伸ばした手の方にかけて行って
リスは比較的すたたたた、と肩に
モモンガはもそもそとはいずるようにしてもう片方の肩に納まった。
そのあと、彼の襟元に潜り込もうかどうか、逡巡するような仕草を感じるかもしれない。

エルフはにこにこと、それを見守ってから
『オジサマ』が先に立って、己が立つために手を差し出してくれるのを待っている。
―――『お嬢さんとオジサマごっこ』がどこまで様になるか、見定めでもするつもりらしい。

影時 > 「そういう凝り方、工夫の凝らし方がどっちかと云や主だったがな。
 金糸をたっぷり使った金襴緞子に刺繍もマシマシの奴は、貴人や君主などが遣るような類だったなあ……。

 ……んー。羽織の表を赤くしてみるでもアリか?」

服の裏表をひっくり返すことで、その場に適した迷彩に切り替えるというのは、忍者的に常套手段だ。
平服、普段着にしている今の衣装ではなく、忍び装束とセットにした羽織の仕掛けがそういう仕立てである。
忍術的、魔術的に云々な術に凝るのではなく、一見して単純極まりない仕掛けの方が効果的となる例は実に多い。
呪的な刺繍の仕掛けも気にはなるとしても、見せ方、身なりの整え方として色を変えても悪くはあるまい。
ふと、脳裏に浮かんだ色合いを問うてみながら、吹き出す姿に思わず憮然として。

「俺は何も入れずに呑む方だが、こーゆー呑み方が良いって奴も多くてな?
 学院の食堂でそういう淹れ方を頼んで買っている奴らを見ていれば、おのずと心に留まるってもんだ。
 確か、別口の店が無かったかね……。あー、あった。こっちは菓子屋も隣接させてる奴だぞ」

自分で調べた、というのもあるが、知見のきっかけは最近遣っている仕事経由でのものだ。
冒険者ギルドの依頼を受けた特別講師から、学院の非常勤講師をやっていれば、特に食堂の注文に耳を傾ける機会は多い。
講師や教授たちの頼む注文内容や、生徒たちの注文する飲み物の仕立てがどういうものか、ついつい聞き耳を立てるのだ。
拾う情報を纏め、整理立てる気になれば、半ば統計じみた形でどのようなトッピング、飲み方があるのかが知れる。
通り一本か二本を挟んだ向こう側には、焼き菓子を扱う店が珈琲店も商っていなかっただろうか?
また一組、茶葉をたくさん買い込んで帰途につく親子連れの後ろ姿を遠く見やりつつ、記憶を漁ろう。

「……――そーゆーのが無ぇワケじゃないが、その手の物騒なのとは別口だろ別口。
 俺の娘って云うには、いや、出来ンわけじゃないが、ほらみろ。
 
 意見が合致したなァ。俺がオジサマ路線でやる方が多分大いにしっくりくると思うぞ?」

呪い除けの形代、無病息災を祈るための流し雛という行事、風習ともまた似て、きっと違うだろう。
子供ばかりではなく、芸術性が高い細工の粋とは、大人であってもなお、思わず打ち込めてしまう域のものに違いない。
直に手に取って、ということはないけれども、知りえる機会というのは色々とある。
だから、今のように口にすることができうる。
首に巻いた襟巻を締め直し、仕方ねぇなー、といった風情で左右の方にそれぞれ収まっていく毛玉を見る。
モモンガの方が、毛布代わりと言わんばかりに襟巻を巻き付けるさまを見れば、花を襟巻の襟元近くに留めてみよう。

「ほら、お嬢様。お手を拝借」

お代置いておくぞー、と近場のウェイトレスに声をかけ、立ち上がる。
カップに残ったものを全部飲み干せば、ご馳走様、と置いた後にエルフの方に手を伸ばそう。

ジギィ > 「へーえ そうなんだ。 ンーでもソレ重そうねえー
 …たまーにまだ見かける、『カボチャパンツ』がそれだったらちょっと格好いいかも」

言って、想像するかのように視線を漂わせると「着る人選ぶだろうけどねー」と付け加える。
大体カボチャパンツというものがタイツとセットだということを考えると、その時点で着こなせる人物は限られるが、さらに絞り込まれると言いたいらしい。何をどのポイントでハイセンスとさせるかの軸が大分ずれている。

「ついでだし、その筋の専門家ってことで布のことは人形師さんに聞いてみてもいいかもね?
 そうなんだ。 ンーなんていうか、カゲトキさんが他人のそういうの気に留めているの以外。可愛い子オンリーだったりするんだろうけど。
 じゃーこんどはそっちつれてってよオジサマ」

ちらりと彼の羽織の裾をまた見てから、エルフはしゃなりと座ったままニコニコと『次回』を要求する。
相手も興味があるであろう、いや、興味あるでしょ?と 見透かそうとするのか半ば脅迫しようとでもしているのか、何だかすごみのある笑顔に見える。かも知れない。

このエルフがニンゲンの貴族の屋敷を訪ねたことは何度もあるが、果たして子供部屋というのには入ったことが無かったりする。薬師や占い師といった肩書を持つものを、を子供部屋に呼びたがる輩があまりいないせいだろう。
なので、『手の込んだ人形』というものはしげしげと見たことが無い。通りすがりのショーケースにあったのを一瞥したくらいだ。
見た事の無いものへの期待半分、もしかして理解できないかもしれない惧れ半分。

「『ほら』って頭につけないでよねオジサマ。 雰囲気でなーい」

ぶうぶう言うエルフの声音だって十分に雰囲気をぶちこわしている。それも彼が襟巻に留めたものに気付けば、なぜか「わかってるじゃない」のような笑みに代わる。

ともあれ差し出された手にするりと手を乗せて、ふわと立ち上がって見せる。ヒールがあるけどぐらつくことは無い。これは本当は褒めてもらいたい。

影時 > 「そりゃあ重いうえに高いだろーよ。生地も厚くなるうえに、木綿や麻じゃねえからなぁ……。
 ……おまいね、それ多分白い布重ねて広げた襟巻みてーなのも付いたカッコじゃあるまいな?」

己の想像通りであるならば、着る人は選ぶだろう。少なくともという前置きなく、思いっきり。
いかにもな“王子様”であるならばまだ、いい。そうでないとなると、立っているだけで地獄だ。
色々つけ足して道化、ジョーカーを気取るならばまだ、か?
ファッション、服飾の類は色々と奥が深いが、最新の流行などの覚えなおし、アップデートはお互いに必要かもしれない。

「折角だし、そうしてみるか。
 ――あれだ。でぇとに誘うのに、店に悩む男子生徒に教えてやる用途にもなるから、というコトにでもしといてくれ。
 
 わかったわかった。お嬢様のたっての頼みなら、仕方ねぇなァ」

配色表でも持っているかもしれない。故郷の貴族、貴人の襲(カサネ)の色を思い出すには記憶が怪しい。
そうと思えばうなづくも、続くニコニコとした表情にありありと見える次回の色に肩を竦めよう。
興味があるはず。ない筈。ない筈がない、と言わんばかりの凄みには無理に逆らわない方がいい、というのは経験則に照らし合わせても明らかだ。
甘いものは大丈夫でいいなら、連れてってやろうと言い添えて次回を確約しよう。

「へいへい。多少はらしくしたから、帳消しにしてくれ」

子供部屋云々については、家庭教師として関わっている商人の家に出入りする際などのこともある。
情報を仕入れようと思うなら、いわば副業の一つでもある学院という環境とは、雑多な情報の坩堝だ。
男女、身分の区別なく交わされる会話、情報のやり取りを紐解くなら、今の流行の一端も知れる。

さて、今から向かう場所は――どのようなものか?

襟巻に飾った花と襟巻に乗ったり包まったりしている毛玉二匹を肩に留めつつ、笑う姿に小さく目尻を下げ、立ち上がる姿を引き上げる。
ご馳走さん、と片手拝みに卓の方に声を残し、まずは歩き出そうか。
通りを3つほど進んで、曲がった先の一角に目的地はあった筈だ。
行き交う人は決して少なくないのは、如何わしく奥まった場所ではなく、人目にも確かなちゃんとした店という証拠か。