2023/02/11 のログ
ご案内:「何処かの牢獄」にエヴィータさんが現れました。
エヴィータ > 「――――……向いてないんだよな、やっぱり」

ぽつりと漏らしたぼやきは、誰の耳にも届かず石壁に消えた。

暗さに慣れた目で確認した限り、着衣に乱れは無さそうだ。
靴は脱がされているようだし、足首に仕込んでおいたダガーは奪われているが、
初めに捕われの身になった時、殴られた後頭部以外、
何処にも目立った痛みは無いから、それは良い。
けれど、腰を下ろしているのは冷たい石床で、背中を預けているのは石壁で、
両手首には金属の枷が嵌められ、頭上へひとまとめにされているとなれば。
その枷は鎖に繋がっており、鎖の先は天井で滑車に繋がり――――

「どう考えても、捕虜ってやつだよな、これ」

多分、否、間違いなく。
そこで、深い溜め息が零れる。

諜報員と言っても、こっそり忍び込んで探るとか、
そもそもあまり、得意ではないのだ。
見つかってこういう目に遭うのも、初めてではないけれど――――

「出来れば、あんまり、痛くない方がいいなあ」

未だ、そんな呟きを洩らして薄く笑う余裕は残されていた。

エヴィータ >  
―――――待つ、というのはどうにも苦手だった。

けれど今の状況で、それ以外の何が出来るというのか。
仕方なく、大人しく、ただじっと堪えて、敵の出方を窺う、

――――――――長い夜になりそうだと、また、溜め息。
『女』の今宵は、そうして暮れていった、という。

ご案内:「何処かの牢獄」からエヴィータさんが去りました。