2023/01/02 のログ
ご案内:「夜の街」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の入り組んだ路地の先、さまざまな娼館や乱交場がならび、
列状をそそる店名やキャッチコピーの看板を艶やかな照明が爛々と照らす歓楽街の一角。

今宵も望みの雄を、雌を、客を、獲物を物色する男女が声を掛け合う妖しく猥雑な通りを、
ぺたぺた裸足の音を立てて呑気に闊歩する、幼い薬師の姿が一つ。

ふらりと散歩にでも出かけたような気楽さと無邪気さはその猥雑さに場違いでもあり、
しかし裸の肢体に桃色シャツを一枚羽織っただけの格好は、幼年の少年少女を好むもの好き紳士に声をかけられたり、
年下に欲情する娼婦や、スカウトの店員に誘われたりと、妙にこの場になじんでもいた。

遠目から、夜の大人たちの合間をぬってひらりひらりと舞うように通りを過ぎていくその姿はどこか妖精じみた妖しさも放っていて、
路地にふい、と姿をくらませれば、違う路地からひょっこりと顔をのぞかせてくる様子は野良猫のようでもある。

そんな幼子のお目当ては、自分の自作の薬の買い手。
悪酔いしている御仁、夜の薬を求める男女、あるいは人に言えないような欲望や願望を叶えるであろう自らの自信作を、
心の奥底で求めていそうな「誰か」を探して、夜の街を彷徨う。