2022/12/01 のログ
ご案内:「精霊の神殿」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 円形の石柱が、入口に建てられた神殿がある。
街の外にあるからだろうか。建物としてはかなり大きい。
そして、蝋燭で照らされているその中には、様々な精霊の像が祭られていて、その一番奥にはヤルダバオートの像がある。

窓のない建物の暗がりに、蝋燭の炎で照らされている精霊像は何処か神秘的である。

「……ふむ、こうして見るのは初めてだな」

その神殿の中に、一人の男が入ってきた。
入ってきた、というよりは、踏み入れた、という方が正しかろうか。
何故なら彼は精霊の敵――悪魔なのだから。

「悪魔らしく、精霊像なり神像なりを穢してやっても良いが……まあ、今はやめておこう。
像などより、余程面白いものを、これから穢せるのだからな」

既に、この辺りは、魔物や魔族が徘徊している。
王都の教会に、挑発としてその絵を送っているので、近く討伐の為に冒険者なり軍なりが来ることになるだろう。
だが、それを理解の上で、男は不敵に笑うのだった。

ご案内:「精霊の神殿」にアストラさんが現れました。
アストラ > 冒険者協会へ寄せられた緊急依頼。
それは魔族に占拠された精霊神殿の奪還任務の参加だった。
冒険者部隊の一人として参加したアストラも、他の冒険者たちと共に神殿まで駆け付け、周辺の魔物や魔族と相対し、膨大な魔力で魔術を放ちあらかたの魔物を屠っていただろう。

「少し中も確認してくるわ。スカウトの貴方と、タンクの貴方。ご一緒いただけて?」

性に奔放なアストラと言えど仕事中は冒険者の顔。
二人の男性冒険者を連れて神殿の中へと入り、そこにも徘徊する魔族を魔術を放って退けていく。
長い蒼銀髪を払い、普段は来ることのない神殿をギルドから与えられた地図を頼りに進んでいったところで、魔族の罠で一緒に入った冒険者二人とはぐれてしまった。

「あら…困ったわね」

とは言え、三人ともソロで活動できるだけの実力はある。
早めの合流のために、単身で最奥へと向かい、やがてその場へとたどり着くことになるだろう。

蝋燭の灯りのみで照らされた荘厳な像のある大きな間。
そこに佇む貴方の前に最初に到達したのはアストラだっただろう。
武器である天球儀のような魔導具を片手に浮かせながら、術師風の女が警戒しながら問う。

「こんにちは。貴方が元凶かしら?」

ロブーム > 彼女が、魔族たちと交戦し始めると同時。
ロブームもまた、その動きを感知していた。
勿論、防衛側であるロブームは、それなりの備えをしてある。
周囲に張り巡らせた監視魔術を起動し、すぐさま戦況を把握する。

「ゴブリン部隊。再編成が済み次第王都軍に対し遅滞戦闘。
ダークエルフ部隊は別動隊として王都軍を奇襲する準備を開始しろ……。おっと」

指示を出している内に、爆音。見れば、複数の冒険者が、神殿近くの森を出て、神殿に肉薄している。
既に、この辺りを警備している魔族が対処を始めているが、中々手練れが多い。
上級魔族であっても、既に何名か戦線離脱者が出ている。
特に、銀髪の女性と、彼女を護衛する形で先行している二人の男は、防御陣形を突破し、神殿のすぐそばまで来ていた。

「流石は人間。そう来なくては。
銀髪の女性は私が相手をする。クレムリン部隊は他二人を幻術にて引き離し、後に他部隊と合流せよ」

その指示を飛ばして、五分も待たずして、足音。
振り向けば、そこに居たのは、銀髪の女性。
白い肌と、宝石のような琥珀色の瞳が、何とも美しいと思う。
ともあれ、彼女の問いに、男は答える。

「これはこれは、美しいフロイライン。監視魔術でも拝見したが、こうして生身で見ると尚一層輝いて見える。
そして、御明察。私がこの騒ぎの首謀者だ。名を悪魔ロブームという。以後、お見知りおきを」

そう言うと同時、男の手には金色の杖が握られている。
蛇が巻き付いた様な彫刻がされたそれを、アストラに向けた。
否、向けたというより、それはただそちらの方に傾けた、という方が正しいかもしれない。
現に、彼の表情はとてもこれから戦いをするとは思えぬ、微笑なのだから。

「一応、言っておこう。今降伏すれば、君だけは安全に王都までお送りして差し上げるが、如何かな?」

軽口の様に叩く挑発。
勿論、彼女がこの様な提案に頷く訳がないと解ったうえでの提案である。

アストラ > 穏やかにも見える微笑を浮かべながら金の杖を此方へと向ける悪魔の姿を、冷静に見据える。
これだけの量の魔族や魔物を従え、堂々と宣戦布告めいたことをしているのだ。
並大抵の存在ではないことぐらいは、アストラにも理解できる。
少なくとも、アストラ一人で討伐できるような存在でない。

「褒め言葉として受け取っておくわね。
 その提案のお返事は、NOよ。お仕事なの、貴方をここから追い出させていただくわ」

軽い挑発にも微笑を返して魔導具に魔力を流し始める。
アストラの目的は倒すことではなく、時間稼ぎだ。
増援部隊が到着し、森の魔物たちを突破して神殿に入るまで、彼に指示を与えさせない。
ここまで連携が取れた魔族や魔物たちの裏には彼らを采配する軍師に類する者がいるだろうと予測していたが、彼がそうであろうとアストラは直感的にそう思っている。
相対すればアストラの魔力が並大抵の人間を凌駕するほどの量であるとわかるだろうか。

魔力防壁を身に纏い、風の防衛術式を展開する。
遠隔魔術を弾き、接近して寄らば裂傷を与える守りの術式。
知恵者である彼ならば、アストラが持久戦に持ち込もうとしていることも察せられるかもしれない。

「さあ、私と踊りましょう?」

魔導具が光り、空中に術式が展開する。
炎の槍、散ちめいて降り注ぐ────呪文と共に中級火魔術の炎槍が何本か彼の頭上から降り注ぐか。

ロブーム > 「――ほう」

彼の脅威は、魔力だけではない。
寧ろ、悪魔としての狡猾さこそが本懐。
故に、彼女の企みは直ぐ様知れた。
追い出させていただく、と啖呵を切った割に、随分と消極的に見えるが、しかしそれは後詰を待つためのもの。
彼女にとって、この戦闘はこちらへの討伐を目的にしたものではなく、他の部隊に対する支援という事だ。

「成程、確かに"それ"をされると少々困る。
特に知性の低いゴブリンやオーガは、定期的に指示を出さねば、すぐに統制を失ってしまうからな」

そう言う彼の声は、しかし全く困っている様には聞こえない。
寧ろ、出来の良い生徒を褒めるような、喜びさえあった。
……そう、喜び。これ程に知恵を働かせ、他の仲間の為に敢えて危険を冒す。
それは美しい心と呼ぶには十分であり――故に、男は彼女を"獲物"として認識した。

「さて、それでは部下には悪いが、仕事を一度中断し、美女のお誘いに乗るとするかな……
ああ、そうとも。"お誘いに預かり、君と踊らせて頂こう"」

最後の言葉は、悪魔めいた呪文のように、何処か邪悪なものを忍ばせていた。
そして、同時、現れる炎槍。
だが、それは男が金杖をくるりと振るうと、まるでそれに絡めとられるように巻きついて、消えてしまう。

「ふむ、中々激しいステップだ。
だが、私も男なのでね、"少しはリードさせてもらうよ?"」

それと同時、左手を彼女に伸ばし、その先から黒い魔力を飛ばす。
だが、それは彼女の風の魔術に溶けて消える。
幾度も放つそれは、しかし全て彼女の防壁の前に消えていく。
一見すると、彼女の戦術は嵌っているように見えるだろう。だが……

「"悪戯な風よ 淫靡に踊れ"」

次の瞬間。
彼女の風の防壁が、何故か彼女のスカートを巻き上げる様に足元から吹きあがった。

アストラ > 言葉とは裏腹の口調と感情、一体何を企んでいるのか読めない悪魔にアストラの柳眉がわずかに吊り上がる。
警戒は怠らないままに誘いに応じる口調はどこか慇懃で、まるで貴族めいている。
直後、放った炎の槍は彼の杖に吸収されるようにかき消され、風貌だけは同じ術師同士、そう簡単に通る筈はないと思っていたので大した驚きはなく。
向けられる呪文めいた力を宿る言葉にはどこか違和感を覚えるもその正体は掴めない。

「────流石ね」

放たれたのは視認できるような黒い魔力。
しかしこちらの防壁を突破するものではなく、かき消されていく。
攻撃性があるもののようには思えないが、絶え間なく放たれるそれをかき消している間に次の魔術式を展開する。

「風よ、────っ!?」

詠唱を完了させようとした矢先に、彼のほうが一手早かったか。
身を守っていたはずの風の防壁が、突如コントロール下を離れて下から吹き上がることに驚きの表情を浮かべ。
短いスカートは容易くめくれ上がり布地の薄いサテン生地の紐ショーツと、白い素肌、肉付きのよい内腿や足の付け根、下腹部まで露出させただろうか。

「きゃああ! な、何で……!?」

攻撃性があるわけでもないが、戦闘の最中に下半身を丸出しにしては流石に動揺もして。
思わずスカートを抑えるようにすれば、完成しかけていた術式も掻き消えてしまう。
冒険者としては致命的な隙、魔力障壁があるとは言えど一瞬でもアストラは完全に無防備な状態になった。

ロブーム > 急に、魔術のコントロールを失い狼狽する彼女に、男はくつくつと笑う。
それは、邪悪な陰謀を成功させた者特有の、歪んだ笑みだった。
彼は、身体に似合わぬ俊敏さで彼女との距離を詰め、その腕を取った。

「君が、君が言ったのだよ?"私と踊ってもらう"と。そして、私はそれに了解した。
誰かが合意を求め、求められ側がそれに同意したなら、それは即ち"契約"だ。
そして"契約"は、他ならぬ"悪魔"の領域だからね――今のは、風の魔術を操る事を、"ダンスのリード"として行ったまでだよ」

魔術に拠る攻防をダンスになぞらえたのも、単なるレトリックではない。
これが"踊り"であると意味付け、"契約"の範囲に含ませるためのものだ。
そして、あの黒い魔力は、攻撃ではなく、相手の術式に割り込み、そのコントロールを得るものだ。
本来は通用しない雑な方法ではあるが、しかし"踊り"の"リード"として行えば、契約魔術の恩恵を得る事が出来る。
そして、この契約の魔術の恐ろしい所は。

「それにしても、折角踊っているというのに、随分と動きがぎこちないじゃあないか。
そうだな、力を抜くといい。難しいなら、私が手を貸そう――こんな風にね」

次の瞬間。彼女の耳元に、吐息の様な生暖かい風が吹く。
彼の口からではない。自分の風の防壁魔術が、勝手に変質して彼女の耳を苛んでいるのだ。
細く長い、耳を通して頭の中を優しく撫でるような風。

だが、それだけには留まらない。
今度は、彼女の服の中に、風が吹く。
それも、首筋、乳首、脇の下やクリトリス。
ぞくぞくするほどに優しい、しかしそれでいてムズムズするほどに嫌らしい、吐息にも似た生暖かい風。

「そう、素直に感じたままに動けばいい。踊りとはそういうものだからね」

彼が、踊りとこの戦いを紐つける限り、彼女の放つ魔術は全て、踊りの一部として"リード"される。
例え、彼女が拒否したとしても、既に契約してしまっている以上、一方的に破棄はできない。
彼女は、この"踊り"を続けるしかないのだ。

アストラ > 「なっ……そんなこと、…!」

アストラには契約のつもりなど勿論なかったが、相手が悪かった。
悪魔の領分に自ら嵌りにいったと説明をされれば驚愕もしよう。
もはや近づくものを切り裂く風の防壁は彼の支配下。
彼の接近を拒むものではなく、近づいてきた彼に腕を掴まれ、次の瞬間には耳元に生温かく撫ぜる風が吹きかけられる。

「ひぁっ……!」

思わず上がったのは嬌声にも似た驚きの声。
掴まっていない方の腕を上げ咄嗟に耳元を抑え、風の侵入を拒もうとするが、一本の腕では左右から迫られれば対処も出来ない。
鼓膜から生温く侵入する風が官能を刺激していくことに、身体は嫌でも反応し、ゾクゾクと肌が粟立つ。
白い頬に朱が差して、嫌がるように頭を振り、彼から離れようとしたが──。

「あ、あ、あっ…! いや、やめて……っぁあ!」

薄手の服の中にまで入り込んでくる実態のない風を防ぐ手段はなく、敏感な皮膚や箇所を的確に撫でていく風に肢体をくねらせた。
文字通り踊っているかのように、豊満な乳房を揺らし、細い腰をくねらせ、逃げるように大きな臀部が跳ねる。
人の手や物で触れられているわけではない分、それがもどかしく、しかし無視するには難しい。

「…っ、ふ…この…ッ…ふざけないで…!」

淫靡な官能を擽る風に、白い肌にも赤みがさしていき、下着越しでもわかるほどに乳首やクリトリスが充血して徐々に硬さを帯び、布地を押し上げていく。
けれどまだ、悪魔の思い通りになるものかと冒険者としての矜持が、魔導具に魔力を通して。
水の魔術で彼の肥満とも言える巨躯を水圧で流し飛ばそうと発動させる。
それが契約のうちで、彼の"リード"圏内であるとしても、魔術師であるアストラには魔術でしか攻撃手段がないのだ。

ロブーム > 「そう。そんな事は普通はできない。
できるからこその、悪魔なのだよ」

そう言いつつ、男はまだ、彼女の身体に腕を掴む以上の事はしていない。
風に撫でられ、何とか快楽から逃れようとする彼女の"踊り"を、視姦するかの様に厭らしく見ている。
たわわに揺れる胸や、嫌らしく突き出される尻を、無遠慮に。

「大分、動きが良くなってきたね?
だが、動きが緩慢だ。ダンスと言うのはメリハリが大事で――」

得意げな男の長広舌は、彼女の魔術が織られていく間もまるで止まる事はない。
まるで、彼女が何をしようと、そんなものは考慮にさえ値しないと言うかのように。
水の魔術が完成する。だが、水流の魔術は、彼に着弾する前に、まるで竹が割れる様に無数の水流に分かれて、彼から逸れていく。

「――時には、激しく動くことも重要だ」

そして一度放たれた水流は、鎌首をもたげて彼女自身に襲い掛かる。
熟れた乳首や、クリトリスを弾き、尻肉に隠れたアナルを狙いすまして刺激する。
まるで、それ自体が意思があるかのように狙いすまし、水流として着弾する。
無論、勢いは彼女が想定したものよりも抑えられているが、それでも焦らしに焦らされた性感帯に、トドメを刺すには十分であるはずで。

アストラ > 腕を掴んだまま無遠慮に眺める厭らしい視線に、身体の奥が熱を持つ。
いやおうにも火照っていく体に突き刺さる視線がやけに鋭く感じられるようで、アストラは羞恥に悶えながら、官能を焦らすように燻ぶらせていく風に呼吸を熱く乱していき、胎の奥を疼かせ、愛液を滲ませながらドクドクと鼓動を速めていく。

「はぁ…っ、は…ッ……ぁ」

打開の一手をと放った水の魔術も、悪魔には傷一つ負わせなかった。
勢いのある水圧、その水流が幾重にも分かれて弾けていくことに、眉根を寄せて。
次の彼の言葉と共に、制御を奪われた魔術がカウンターのように襲い掛かってくる。

「ッ────ぁあああああっ!!」

まさに全方位から、的確に狙いを定めて着弾する水流に艶やかな悲鳴を上げた。
風とは異なる質量と鋭さを持った水流が、硬く敏感に尖った乳首やクリトリスを、下着や服など関係ないとばかりにアナルを穿ち、性感帯を貫いていく快感に、視界が白くなる。
元よりアストラの体は多くが性感帯として非常に感じやすい。
燻ぶられ焦らされ官能を与えられ続けた箇所への急な強い刺激に、なすすべもなく絶頂し、愛液を溢れさせながら、内股になって前のめりに頽れる。
濃厚な雌の匂いを漂わせながら、腕を掴まれていなければ無様に床にへたりこんでいただろう。

ロブーム > 「おっと」

絶頂で、いななく身体。その身体を抱き留める。
だらんと力なく倒れ込む身体を、背中に手を回して支えるその姿は、皮肉にもダンスの終わりに似ていた。
男は、何処からともなく、ソファを召喚すると、それに彼女を座らせた。
そして、彼は監視魔術を使い、戦況をチェックする。
戦況は、概ね拮抗。此処からロブームの指揮を再開すれば、恐らく勝利はできる。
だが――

「冒険者部隊は、長期のゲリラ戦に切り替えた様だな」

こうなると、王都軍の迎撃に集中したいこちらとしては厄介だ。
軍を迎撃する間に、少数の冒険者部隊で奇襲されれば、総崩れになりかねない。
だが、この様な奇襲を行う場合、冒険者部隊と王都軍の間での高い連携が前提となる。
当然、軍と冒険者達の間には、符丁や合図が予め取り交わされている筈であり――

「当然。君のような優秀な知的能力を持つ魔術師が、それを知らされていない訳もあるまい」

そう言うと、ソファに座る彼女の顎を、手で持ち上げる。
既に、"ダンスの契約"は切ってあるが、かといってこの状況では逃げられるものでもない。
そもそも、精神的に弱っている今の彼女の魔術なら、そんなものに頼らずとも問題なく操作できる。

「さて、今一度、戦闘前にしたのと似た質問をするが……。
今度は、熟考する事を薦める。君のような魅力的な女性になら、幾らでも"踊り方"は思いつくのだからね。
……『王都軍の情報を提供すれば、君だけは安全に王都までお送りして差し上げるが、如何かな?』」

アストラ > 倒れそうになる体を支えたのは悪魔の腕であり、そのままこの場所には似つかわしくないソファへと座らせられる。
帽子を落とし、衣服を乱し、絶頂後の余韻にビクビクと体を震わせながら震えるアストラをよそに戦況を確認する男の前で、疼く体を捩らせて。
予定にあったゲリラ戦へと戦闘状況が変化したことをぼうっとする頭の中に聞き入れる。
王都軍からの指示は得ている。どういう状況下で冒険者部隊が動きを変えるかも、王都軍がどう動くかも知ってはいる。

「……っ、…」

顎を掴まれ、上向かされれば金の双眸が男を見据え。
再度投げかけられた問いかけ。それを拒めばどうなるかぐらい、わからないほど愚かではない。
しかし悪魔の中で誤算があるとするならば、アストラは半魔の血の影響か、頑健な心身を持っている。
この状況で彼から逃げ出すことこそ難しいだろうが、自身の絶望的な状況であれ、たった一度の絶頂程度では味方を売るような真似はしない。

「……さあ、知らないわね」

アストラがすべきは、どんな手段であれこの悪魔の意識をこちらへ向けておくこと。
好色な悪魔のやり口は今の一戦で理解できた。ただ耐えればいい。耐えられなくなったら、その時はその時だ。
投げやりでもなんでもなく、アストラの心はまだ堕ちていないという表れでもあっただろうか。

ロブーム > ほう、と男は目を瞬かせる。
この状況。まさか、脱出や反撃に望みを託している訳ではあるまい。
彼女が突入時に声を掛けていた彼らも、恐らくは足止めを食らっているか、最悪の場合彼女と同じく囚われの身だ。
それでも拒むという事は、それだけの意思の強さが彼女にはあるという事だ。

男は、それをこれから穢せるという事実に、舌なめずりをする。
まるで空腹で極上の料理を目の当たりにした時の様に、顔に喜色を前面に出して。。

「それでは、思い出して頂くしかあるまい。
なあに、まだ時間はたっぷりある。ゆっくりと思い出して貰えればいい」

そう言うと、男は彼女の耳にそっと顔を近づける。
そして、先ほど彼女の風でやった事の再現と言うかの様に、細く長く息を吹きかける。
だが、今度はそこから、舌で彼女の耳をなめる。
わざと空気を含ませて、くちゅ、くちゅと水音を立てながら、

「このままというのも良いが、その服はやや触りにくい……少々、はだけさせてもらうよ?」

彼女の胸元の布をずらし、彼女の胸を露出させる。
その気になれば引き裂けるであろう布地を敢えてずらすにとどめたのは、そちらの方がより興奮するからでしかない。
そして、衣服からこぼれた、彼女の乳房を、掌で支える様に優しく撫でる。

「そう、さっきも言ったが、私は焦らない。ゆっくり、ゆっくりと思い出せばいいのだ……」

ゆっくり、というその言葉に重ねる様に。
男の手も、ゆっくりと、乳房のラインを掌で撫で始める。
さわり、さわり。少しもどかしいぐらいにゆっくりと。
だが、快楽に慣れてくるころに、今度は団子でもこねるように、優しく下から上に揉み上げ始める。
何度も何度も、場所を小刻みに変えて、彼女に快楽を積み上げていく。

「強い快楽は屈服させるのに有用だが、弱い快楽は心を蕩かし、快楽を受け容れさせるのに有用だ
君が感じやすい様に責めてあげよう……時間をかけて、じっくりと」

アストラ > 一緒に突入した筈の二人も決して弱いわけではないが、おそらくこの悪魔の妨害にあっているのだろう。
此処へたどり着くのはいつになるか、はたまた同じように囚われたか。一度離脱し、再編成して再び挑み直しているか。
とは言え、希望的観測を抱く余裕はない。

「……ッ…ふ、……ん…っ」

耳に吹きかけられる生温い吐息に、鼓膜を犯すような水音。
濡れた舌が這う感触は決して強くはなく、絶頂後に追い立てるような激しさもない。
じわじわと燻ぶらせて、快感を溜めさせるような手つきで、はだけさせた胸に触れる掌には、覆いきれないほどの大きさが乗るだろうか。
柔らかくも弾力がある。よく鷲掴みにされ揉みくちゃにされることが多い乳房へのフェザータッチ。

「は…、くすぐったいだけよ…そんなことをしても」

豊かな白い二つの双丘に、ぴんと硬さを帯びる乳首。
しかしただ乳房を優しく撫で、こねるだけの手つきはもどかしく、彼の目論見通りにぞわわと粟立つ肌と、快感が胸全体に広がっていく。

「……ぁ、…はぁ、…ん…」

胸だけを露出させ、男の掌で弄ばれている。
それが数分、数十分と続いていけば次第に体にも変化が表れてくる。
もどかしさに内腿を擦り、彼の手を嫌がるように押しのけようとする仕草も、逃げ出そうと身を捩ることもあっただろうか。
優しく撫でるだけの悪魔の指の感触を、胸が覚え始めているかのようで、零れる吐息にも熱がこもる。
ピリ、ピリ、と胸全体が熱くなっていくような、敏感になっていく心地よさ。
芯から昂らせられていく快感が、確かにあって、しかし発散することも出来ずにいる。

……イきたい。

胎の奥が疼いて、生理現象のようにそんな欲求が募る。
するりと手が、勝手に股座へと伸びていく。焦らすことに重きを置く悪魔の責めから逃れるように、自分の手で勝手に達しようと試みて。

ロブーム > 必要とあらば何十分どころか何時間でも。
男は彼女を優しく撫でまわし、快楽の炎で煮詰め続けただろう。
男の手は、彼女の反応に合わせて意地悪く強弱や責める場所を変える。
単調に一か所だけをもみもみとしていたかと思えば、突然胸を持ち上げて揺さぶるようにして、全体に快楽を与えてくる。

そんな事をしていたら、彼女の手がするりと股座の方に伸びていく。
男は、当然気付いているが、しかしまるでそれを見ていないかの様に、あくまで胸だけを責める。

「それにしても、本人の口とは違って、随分と素直な乳首ではないかね?
ほれ、頭を撫でてやろう。良い子良い子、と……」

親指の腹で、彼女の乳首の先端を、すりすりと撫でる。
今まで焦らされ切ったそこを、絶頂するかしないかの絶妙な具合で。
そうすれば、彼女はより強く、クレヴァスの伸ばした自分の手を意識せざるを得なくなる。
快楽に飢えた彼女は、だからこそ何としてもイキたいと願うだろう――それは絶頂に近づけば近づく程に。

だから、彼女が正に絶頂に手をかけたその瞬間に。
男は、その手を無理矢理に引きはがすのだ。
愛液に塗れたその手を、口に咥えて舐めとって。

「おやおや、この味は愛液の味だね?しかしおかしいな。自分で弄らない限り、こんな所に愛液がつくはずがない。
ということは、まさか、君のような凛々しくも賢明な魔術師が、敵の前で自慰を……いやはや。
王都では、君に憧れる者も居るだろうに。こんな浅ましく可愛らしくなるなど、想像もしないだろうね?うん?」

まるで、今見たというかの様に、白々しく彼女に対して辱めの言葉をかける。
彼女はこちらに敵意を燃やすだろうが、しかし敵意を燃やせば燃やす程。
最後に屈した時の"おねだり"にギャップが生まれるのだと、彼は良く知っていた。

アストラ > 呼吸は徐々に荒くなって、どれぐらいの時間そうされていたかもわからなくなっていく。
単調なだけの刺激ならまだ耐えられたかもしれないが、その手は巧みに強弱と緩急をつけてくる。
ただ撫でて揉んでいただけの手で持ち上げられ重力で落ちるその衝撃だけでも細い電流が奔ったかのように下腹部に熱を落として、快楽として認識される。

「っ、ぁ、はぁ…っぁああ! いや…っ、今はだめ…!」

指が乳頭を撫でればそんな些細な刺激だけで煮詰まれた快楽の容易く火がついてしまう。
もう少し強く触れてくれれば。そんな優しい手つきでは絶頂へは至れずもどかしさが募るばかりで、顔を真っ赤にしながら下着をしとどに濡らし、湿らせ、ソファにまで染みをつくってしまっている。
イきたい、イきたいと、絶頂を求める体が指を動かし、陰唇を撫でクリトリスを剥こうと、ぐちゅり、と重く濡れた音を立てて。

「あっ────!」

自らを慰め、イきかけた瞬間に手を引っ張られて中途半端な熱だけが残る。
濃厚な愛液を纏わせた指を口に咥えた男に目を見開き、続いたセリフにかぁぁぁと羞恥と恥辱で顔が赤くなっていく。
こうまで焦らされて煽るような事を言う悪魔を、涙の滲んだ金の垂れ目が睨み据えるように向けられて。
しかし自慰をしようとしたことは事実だ。敵の前で。
その焦らすような責めに屈して、自ら果てようとしたことは変わらず、顔を背け。
アストラの体は正直に発情していた。下腹部が熱く、重く、苦しいほど快楽の果てを訴えている。
溜まりに溜まった熱を、欲望を解き放ってしまいたいという慾。

「…っ…、…もう、離して…」

凛々しさはもはやなく、今にも爆発しそうな快感をため込んだ状態の、弱々しい女の声は果たしてどう聞こえたか。
ふー、ふー、と息を荒くしながら告げたそれは、解放を望む言葉ではあるが。
男の手から逃げようとしているが、艶めかしく腰を揺らし、太腿を擦り合わせる姿は限界に近しい。

ロブーム > 男は、彼女の両手を持ち上げると、それを何処からともなく出現させた魔法の紐で縛り、天井の照明に括りつけた。
紐の長さを調整している為、腕が痛くなるような事はないはずだが、最早彼女が自分で絶頂する事はできない。
……そう、彼女が自ら屈服の言葉を差し出すまでは。

「おやおや、最初は格好良かったのに、今や生娘の様だ。
とはいえ、勿論君が望むなら、何時でも解放するよ?……最も、私が求める情報を思い出したなら、だが」

既に、彼女の身体は追い詰められている。
否、今も追い詰め続けている。
彼女が黙っている間、男の指は、爪の先で彼女の乳房をつつつ、と撫でている。
彼女の上乳を滑る硬質な、しかし儚い刺激は、スペンス乳腺に沿う様に横乳と脇腹を往復している。
休ませないし、イカせない。

「それとも……まだ思い出せないというのなら……いや、私もこれはなるべくしたくないのだが。
前に、仕置きを兼ねて配下のサキュバスに数時間"これ"をしたら、本気で泣き喚いたのでなあ。
此処で屈した方が、身のためだと思うが、どうかね?」

そう言いつつ、男は彼女の下腹を撫でる。
まるで、猫を撫でるような仕草だ。
今はまだ、本格的な責めではない。ただ、撫でているだけ。だが、それでも彼女は分かるかもしれない。或いは、感じるかもしれない。
男が撫でている所は、女の最大の急所――子宮口なのだと。

アストラ > 「んぁ、あ……っ!」

両腕を括られるように縛られ、天井に吊り下げられる。
散々焦らされ続けた豊満な乳房を丸出しにした乱れた着衣の状態で両腕を塞がれ、艶めかしい嬌声が零れてしまう。
情報を差し出せば解放される。唇を嚙みしめて、官能を揺さぶられ続けた体の欲求に、本能が従いたくなるのを耐え忍ぶ。
追い詰められる体は余裕もなく、爪の先で撫でる手つきに乳房がより敏感になっていくようで。

「はぁ…っ、ぁ…、ふ……んん…っ」

耐えようと息を詰めれば余計に指先の動きを感じ、しかし解放するような鋭い刺激ではなく、くすぐったさが官能に繋がって、快楽になっていく。

「…っ…!!」

まさぐる手が下腹へと伸びたことに双眸を見開いた。
布越しではあるものの、その箇所は子宮がもっとも弱くなっているアストラにとっては致命的な場所。
燻ぶるような焦らした責めで、すでに子宮は熱く疼いて発情しきっている。
濃厚な愛液を分泌させ、性感帯として絶頂することもできる箇所。
そこを刺激されれば絶頂できる、と経験則から思いもしたが。
これまでさんざん焦らすことに固執してきたこの男が、果たして簡単にイかせてくれるのかという疑問も浮かぶ。

「────い、いや……っだめ…」

その最大の弱点を焦らされ続けたら。
絶対に耐えられない、と、アストラの表情に焦りがにじむ。
数時間子宮でイかされ続けるのも、焦らされ続けるのも、おそらくどちらも耐えがたい。
はやく、と仲間の救援を望むが、その願いも果たされることはなさそうで。
腰を揺すり、逃れようとする。
情報を吐いてしまえばと脳裏を過るも、開きかけた唇は一度閉ざされ、吐息混じりに屈しかけた嘆願を口にして。

「…他のことなら、なんでもするわ…、だから…おねがい、それだけは許して…っ」

ロブーム > 「ふうん?それだけとは、どれのことかな?」

そう言って、男は腹を撫でた手を止め、代わりに人差し指でくに、とポルチオの真上を押した。
何気ない、恋人のちょっとした悪戯の様な動作。
だが、アストラは、それをもう少し強く押せば、子宮口にまで刺激が伝わる事が解るだろう。
今はまだ、くすぐったいだけの動作。だが……

「心配しなくてもよい。ただ、腹を押しているだけだ。そうだろう?」

くに、くに、くにと。
少しずつ強くなっていく指圧。その度に、少しずつ子宮口が揺れて、じんわりとした快楽が彼女を揺らす。
優しい、身体の底から感じるような快楽。女性が感じる快楽の中でも、至上のもの。
だが……。

「ほれ、ほれ。どれぐらい感じておるかな?うむ、もう少し強くしても良さそうか」

掌で優しく揺らされ、指で押され。
そうしている内に、快楽は少しずつ強くなる。
だが、少しずつであるということは、調整が利くという事で。
彼女の反応……それは表情だけでなく、体温や体の震えなども含めて……を見ながら、少しずつ与えていく。
まるで、慎重に石を削って彫刻を作る石工のように……"絶頂寸前でもイケないアストラ"という作品を、少しずつ作っていく。

アストラ > 「ぁ、あ、あ、あっ…!」

子宮口を下腹部の上から押される感覚にゾクゾクと子宮口が悦びきゅう、と膣内が締まる。
だが絶頂に至るほどの刺激ではなく、寸止めされていることに下腹部が切なく訴えるように疼きを強めていく。
元より調教済みの箇所、悪魔の手指で弄られれば呆気なく、他愛もなく、泣き出しそうな表情で頭を横に振って腰をくねらせる。

「いや、いやぁ…っやめて、おねがい…、あ、あ、あっ!!」

強まっていく快楽には当然覚えがある。そこで何度も達してきたこともある。
もう少しだけ強めに、揺さぶるように、激しく刺激されればイけるのに。
ヒクヒクと女陰が切なく締まり、胎の奥まで響くように熱が溜まり、痺れて、果てそうで────足りない。
頭の中が染まりつつある中で、乳房の時よりも呆気なく根が上がった。

「むり、もうむり…っいや、イかせて…おねがい、イかせてぇ…──!」

全身汗だくで、肌を朱に染めながら、快感が爆発寸前まで達している状態。
数時間かけて仕上げられた絶頂寸前の状態で、しかし解放させて貰えない快楽は毒のように全身を甘く苦しめ、冒険者としての矜持もなくただの女として、絶頂を求めている。

ロブーム > くに。くに、くに。くに、くに。
何度も。何度も。ただ、"そこ"だけを刺激され続ける。
どんなに叫んでも、暴れても、指は"そこ"から離れない。
男の方はといえば、段々と慣れてきたのか、左手で彼女の頭を撫でている。

「おお、よしよし。辛いなあ。ほれ、お腹をさすってやろう。
ん?これは辛いか。では、お腹をイケないぐらいの瀬戸際でぐりぐりと……んん?これも駄目か。我儘だね、君は」

と、まるで子猫を甘やかすかのように猫なで声で宥めている。
勿論、その間も、指はポルチオを刺激している。
最早、彼にとって、今のアストラは可愛らしい愛玩動物でしかなかった。

――それから、暫くして。
彼女の地獄はふと、終わった。

「流石に少し、指が疲れたな」

そう言って、彼女の腹から手を離したのだ。
確かに、定期的に擦ったり指圧したりするポルチオマッサージは、長時間やると流石に指が疲れるものだ。
だが、しかし。地獄からの休憩であるはずのこの間は、彼女にとっては不吉に感じられるかもしれない。
何故ならば、

「……ふむ」

彼女の武器である天球儀を見て。
男は、にたりと厭らしく笑っているからだ。

アストラ > 「ひぃ、っ、ぁ、あぁあぁっ…ッ、あ、あ、あ…!!」

どれだけ限界を訴えても止まらない。きっと男の望む情報を出さない限りは拷問のようなこの状態は続くのだろうと。
下腹部に吸い付いたように離れない指先に見悶え、捩り、身体を痙攣させながらも絶頂寸前の状態から、昇り切れない。
体中の血流が沸騰したように熱く脈打って、全身が茹ってしまいそうだった。
猫でもあやすかのような口ぶりで続くポルチオマッサージに、あと少し、あと少し、が永遠に続くような、気が狂いそうな劣情の中──。

「…はっ…、は…ッ……はぁ…」

乱れた呼吸を繰り返しながら、息を吐く。
地獄のような時間が唐突に終わりを告げて、びくびくと足を震わせている中で、彼が目に付けたのはアストラの武器である魔導具。
天球技のようなそれは持ち主の手を離れ、ころんと所在なさげに床に転がっている。
火照った体を追い詰められ、全身敏感な状態のまま、このまま解放されればと願わずにはいられない中、不吉な悪寒が背筋を走る。
一体何をするつもりなのか、まるで予測がつかない。
怯えにも似た表情で、ふる、と条件反射のように体を震わせた。

ロブーム > 「さて。このまま私が君を可愛がるのも良いが、このままでは君の相棒が焼餅を焼いてしまうかもしれんな?」

そう言って、男は地面に落ちていたアストラの天球儀を拾い上げる。
埃を払い、そのまま何事か呪文を唱えると、天球儀はアストラが使っているのと同じ様に、宙に浮いた。
その天球儀は、ふよふよと彼女のポルチオの真上で止まると、彼女に向って赤い光線を放った。
最初の内は、特に何も感じないだろうが、やはりそれはロブームが彼女にやったのと同じように。徐々に。

子宮が熱を増し、何ら刺激がないのに収縮し始める。
しかも、今度は手指による刺激ではないが故に、延々と、休みも無く。
闇雲な、しかし足りない快感だけが、延々と続くのだ。

「君の子宮を、君の天球儀を介して強制的に活性化した……まあ、なんだね。つまりは、子宮口マッサージの自動化と言った所か。
君の天球儀も、この様な形で主を幸福にできて光栄に違いあるまいが、しかし勿論。私は手を抜くために、君の天球儀に力添え願った訳ではない」

そう言って、男は腰のローブの切れ目から、それを取り出した。
それは、肉棒だ。芋虫の様に太く、筋張ったそれは、既に勃起しており、威嚇する様に立ち上がっている。
普段ならば、彼女とて殆ど抵抗感のないであろうそれ。
だが、

「今の君にとっては、黄金以上に欲しいものではないかな?特に……下の方に」

そう言って、男は彼女の眼前に、見せびらかす様に肉棒を突きつける。
勃起したその亀頭からは、肉棒特有の饐えた匂いが立ち込める。
まるで、お前が求めているものはこれだろうと言うかのように。

アストラ > 「何を、……っぁああ!」

拾い上げられた魔導具は所詮は道具。魔術を行使するための媒介。
魔力を通せば持ち主を裏切ることだってするものだ。赤い光線が下腹部へと当てられ、まるで肉の壁などお構いなしに子宮へと焦がれるような、焼けるような刺激が奔る。
先ほどまで彼の手で、丁寧に刺激され続けたばかりの疼く子宮へ、ただただ熱を煽られていく。
悲鳴のような嬌声をあげ、どれほど逃れようと腰を揺らしても、内側から湧き上がる熱と快感を欲して収縮する刺激は、足りないばかりで。
されども無視することもできないほど、燻ぶらせていく。

「うぁ、ひっ…あぁぁ…っ、いや、だめぇ…ゆるして…っ」

全身汗だくになりながら、腰を浮かせ、収縮する膣癖と子宮口だけでイきそうになる。
イきそうなのに、イくことができない。びくっ、びくっと腰を痙攣させながら、絶頂までもう少しなのに、足りない。
呼吸を荒げながら、眦から涙をこぼして、顔を真っ赤にして全身を襲う快感の波を強制的に押さえつけられている感覚。
イきたい、イきたい、イきたい──と本能が訴え、脳髄が苛烈に絶頂を求めて。

「……あぁ…っ♡」

視界に映った勃起した肉棒に、何をされたわけでもないのに、子宮が一層激しく疼いた。
身体が知っているからこそ求めている。快楽を、絶頂を、恍惚を与えてくれるもの。
眼前に見せびらかされる肉棒は、まさに彼の言葉通り、アストラが今一番求めているものだ。
鼻孔を擽る饐えた匂い。雄のそれ。ぷつ、とアストラの中で理性が千切れるような音がしたか。
とろんと表情が淫蕩にとけて、濃厚な雌の匂いを漂わせる脚をはしたなく開いていく。
ぐずぐずに熟れてヒクつく女陰が雄を求めてヒクついていた。

「…っおねがい、お願いします…ください…!
 もうがまんできないの…、挿れて、イかせてぇ…!」

何時間もの間焦らされ、燻ぶられ続けた体。
弱点である子宮を刺激され続け、休みなく快楽を与え続けられて、絶頂に至れない状態に、女として心が折れた。
はしたなく股を開き、腰を浮かせてねだりながら、敵対していた悪魔へと慈悲を乞う。

ロブーム > 心が、完全に、折れた。
彼女の状態は、そう言って差し支えないだろう。
だが、まだだ。まだ足りぬ。堕としたというには、最後の一線を超えさせる必要がある。

「まあ落ち着き給えよ。君の願いを叶えるにやぶさかではない。
しかし今の君の状態では、王都の符合を伝えるには、些か難があるのではないかな?」

そう。今の彼女は、有体に言って正気を失っている。
この状態では、とてもではないが、ロブームや配下の指揮官に情報を伝える事などできはしない。
かといって、一度イカせて、それから改めて尋問をという訳にも行かない。
正気を取り戻したアストラが、再び時間稼ぎを行う可能性は(此処までやったら流石に無いとは思うが)ゼロではないからだ。

その様に説明する男だが、しかし肉棒を彼女の顔に押し付け、彼女の理性を奪う事はやめない。
無論、これは愉悦心故というのもあるが、それだけではない。
彼女に、最後の一言を言わせるためだ。

「故に、此処で誓うが良い。『今日一日、アストラはロブーム様の愛玩奴隷であり、ロブーム様の為ならどんな命令でも実行します』と。
そう、ただ言うだけで良い。後は、私が契約魔術により、その誓約を現実にするだけの事だ」

契約魔術は、その使い勝手の悪さの代償として、ロブーム自身ですらそうは破れぬ程の堅牢性を持つ魔術だ。
彼女が言えば、それは絶対の契約となる。
後は、彼女の身体を思う存分楽しんだ後、じっくり聞き出せば良いのだ。

アストラ > もはや正常に思考は働いていない。
すべてを吐けと言われてもとりとめのない、事実かどうかもわからないようなことを口にする恐れはある。
彼の言葉通り、今のアストラはとにかく、イきたいということしか頭になかった。
浅ましく堕ちた雌として理性を失い、説明されている間も顔に押し付けられた肉棒に擦りつき、はやく、はやくと求めて、唇を押し当て、淫蕩に舌を這わせる。
ずくずくと痛いほどに疼いた下腹部を、これではやく慰めて欲しい、支配し、イかせてほしい、と懇願するように。

そうして蕩けた脳髄へしみ込ませるように告げられた言葉に、熱く鼓動が跳ねる。
それを言えばどうなるかなどもはや考える余地もなく、余裕もない。
ただそれを言わなければ、コレが与えられることもないと、わかっているのかもしれない。
被虐に被支配願望を奥底に抱くアストラにとって、躊躇するだけの理性はない。

「はぁ…っ…はぁ…──♡
 …誓います、今日一日、アストラはロブームさまの愛玩奴隷であり…♡
 ロブームさまのためなら、どんな命令でも実行します…♡」

敵対する一人の冒険者から、悪魔の愛玩奴隷へ堕ちた。
合意のもとに行われる契約魔術────それも悪魔とのもの。
一日限定とされているが、逆を言えば一日、あらゆる命令を拒むことが出来ない強力な契約なのだろう。
契約魔術に縛られたアストラは、もはや彼の言葉に、命令に従順に従う奴隷になった。
その表情は敵愾心もなく恍惚に満ちて、邂逅した時とは明らかに異なっている。

ロブーム > 彼女の愛玩奴隷宣言を受けて、男は満足そうに頷いた。
これで、何ら心配はいらない。後は、楽しむだけだ。
男は、彼女を縛っていた紐を消滅させ、天球儀のコントロールを解くと、

「それでは、早速、といいたい所だが、今日は愛玩奴隷アストラの初仕事だ。
イカせる前に、まずはしっかり躾ないとなるまい」

そう言うと、ロブームは、ソファの前に柔らかそうな絨毯を出現させる。
人とセックスをするならばベッドか布団を敷くところだが、彼女は最早愛玩奴隷[ペット]である。
特に、新人の愛玩奴隷には、自分は主人の所有物であり、主人が愛玩したいと思ったならば、どんな所でも受け入れなければならないという原則を教え込まねばならない。

「ほれ、愛玩奴隷の初仕事だ。
自分がどれだけ私に愛してほしいか、その絨毯の上で示してみよ。
魅力的な"おねだり"には、特別に褒美をくれてやるぞ?」

恥も外聞も捨てた、無様な者は愛らしい。
逆に、理性を取り戻して恥じらいながらのおねだりも、それはそれで健気なもの。
結局は、ペットのふるまいと同じで、どんなものでも満足はするのだが……それはそれ。
こう言った方が、より必死におねだりを考えてくれるが故の、ちょっとした方便だった。

アストラ > 両腕を解放されても、アストラは勝手に自慰をすることもない。
契約によって縛られた身体は、主人のものだ。主人の命令なくして勝手なふるまいは奴隷には許されない。
アストラがそのことを理解しているかはさておき、床に拡げられた絨毯と、初仕事という名の躾。
絶頂寸前の燻ぶった体を抱えたまま、愛玩奴隷である自覚を持たせるかのように繰り返される言葉と命令を、脳髄が刻み込んでいく。

「…はい…♡」

人の愛する愛されるの理屈はわからないが、ペットとして愛でられる意味は理解している。
アストラは中途半端に纏っていた衣服を脱ぎ落して、一糸まとわぬ全裸となる。
冒険者としての殻を脱ぎ捨てるという意味も含め、すべてが主人であるロブームのものであると示すように朱に火照った素肌を惜しげもなく晒して。
そうして前に跪き、その脚に手を添えながら、恭しく主人の肉棒へとキスを捧げて、甘えるように上目遣いに膝に擦りつき。

「…ロブームさま、ごしゅじんさま…♡」
 
そう告げてから、絨毯に座り、大きく脚を開いて拡げ、ヒクヒクと愛液の糸を引かせながらヒクつく女陰を自らの指で広げて見せて。

「どうかロブームさまのおちんぽで、めいっぱい、かわいがってイかせてください…♡」

淫蕩にとけた理性は本能のままに、恥もなく外聞もなく、主人である彼にすべてを差し出すように甘えた声でおねだりをするのだった。