2022/07/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」にスピサさんが現れました。
■スピサ > 工房が連なる区域 武器と防具が生産されている場所
王都マグメール 平民地区 鍜治場公房地帯
この場所の一つにて、スピサは一人で切り盛りしている工房にいた。
武器を作り続け、防具を作り続け、それを売る側へと卸す。
時には直接購入や依頼があるものの、そういったスピサを求める者以外は、そうして流れていくことが主だ。
―――キィンッ キィンッ キィンッ―――
スピサは、この王都でも数少ない単眼族 サイクロプスの鍛冶師だった。
鬼などの怪力持ちなどもいれば同程度の作業だろう
種族性は珍しくても、作業効率は珍しくもない。
サイクロプスや、鬼だからこそ打てる 硬い硬い鋼の音。
人間が打つなら、一人だけではなく数人がかりで大きな槌を真っ直ぐに振り下ろし続けながら形を徐々に変えていくそれ。
それを、スピサは薄青い肌の内側で、確かな密度と盛り上がりのある筋質が伺える腕と、大ぶりの槌を使用することで
その形を変形させていくことに重視する。
炉の中で何度も火を与え、鞴で火力を保ち、炭の中で色づいた真っ白と呼べるような鋼の塊
ヤットコで摘まむそれは、万力のように締め上げて、形を平たくしていく工程。
現在は武器を作るのではなく、その武器を作るための鋼の板を幾つも叩いていた。
頭や手が、この武器を作る、という作業に移らない限り、こうして鋼を打ち、伸ばし、そして最後には割り
断面の鋼の状態を見ながら硬いと柔らかいを作り続ける。
その作業の音だから、常に硬いものに叩きつける音ばかりが響いている。
時折槌と金床に水打ちをし、ジュウジュウと音を立てて冷えて固まり直す土台。
火に充てられたそれが、弱まらないようにそうしていきながら、汗をにじませ、火の粉が飛び散るこの場所で
槌の中に交じる不純物を叩いて追い出し、はじけ飛ぶ要素が零になる、鋼の塊というものにしていくのだ。
「―――ぁ。」
腕で鼻先の汗をぬぐい、バンダナを結んだままの髪
無心っで槌をふるっていると、既に数はそれなりに作ってしまっていた様子をやっと気づく。
といっても、これらで何を作るか 依頼や納品仕事も今は終わっており、自分の中で打ちたい作品がないだけに
これらは準備用でしかないだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」にアティ・ロップさんが現れました。
■アティ・ロップ > 文字通り裏も表も何でもそろっている混沌とした街。
いいものは富裕地区に当然のように集められることが常であるが、貧民地区はもとより、平民地区もちゃんと探れば掘り出し物は眠っているものである。
それは物品であったり、人材であったり特定の物に限るものではなく。
色々な分野であるのだが。
酒場通りなどの賑わいである喧噪とは違い。
硬質な音が零れてくる場所。
素材との対話と戦いを日々繰り広げている区画へと兎は足を踏み込めば、あたりをあまり見まわすこともなく。
進んでいく脚は既に一直線に迷いを見せることはないのだ。
向かう場所は既に決まっている。
そんな様子であれば、元々客引きなどはあまりない職人の区画である。
特に何かあることもなく。
やがて目的地へと簡単にたどり着くことにはなった様だ。
「おー…今日も中々の熱気」
コンコン、と小さく響かせるノックの音もそこそこに、一つの店へと踏み込めば、零れてくる熱気に一つ兎は耳を跳ねさせていき。
店内へと軽く視線を巡らせていくが、そこにあるのは作り上げられた装飾品や雑多なものが置いてあるものの、其処に人影はなかったようだ。
そこからお店なのだから人を呼ぶ。
なんてことをすることもなく。
慣れた調子で耳を澄ませるままに、奥へ。
作業区画である場所へと向かい足を進めていけば、どうやら目的の人物の気配は感じ取れたのだろう。
驚かせるようなこともなく。
気配を消すこともなく。
それでいて仕事の邪魔をするつもりもない。
そんな様子であれば、軽い足取りで進んでいたものの、作業区画への境で一度兎は足を止めるのだ。
「スピサー元気してるー?
仕事中ー?」
兎は友達の家でも尋ねる様な軽い口調で、しかししっかりと響きわたる声量をもって声を響かせていき。
覗き込んだ先に見える大きな人影に声をかけるのは、鍛冶という気を抜けぬ仕事をする場所であるからだろう。
そのくらいの分別はつくというべきか。
打ち付ける槌の動きも、金属質な音も響くこともなければ、作業の手が纏っていると判断したようだ。
少々あふれてくる熱気に目を細めつつも、手で顔を仰ぐようにして風を流し。
相手の反応を見ていくことにしたようだが。
■スピサ > 直売する為の武具が並ぶ場所 そして奥にある工房
二階は自宅となっている場所にて、鉄を打つスピサの住まい
鉄を鋼に変え、その鋼を幾つも作り終えたところで、スピサは小休憩をしていた。
鍛冶師が、依頼がなければ寝そべるだけと思えばそれは違う。
武器を造るための練り上げる時間に大幅に時間を消費するなら
鋳造とは違う その工程。 鍛造の幅は切りがない。
塩と黄柑橘を流し込んだ水を喉に落として、一息つく。
単眼の目は熱が点り、体は熱い。
炉の傍から離れて汗をぬぐっていたところで、入店を知らせるノック。
しかし扉をすぐに抜けては、こちらにやってくる、通いなれたといった足取り。
知り合いかと思うと、革のバイザー眼帯で目元を覆う。
鼻筋だけが凹凸を持つ、単眼を覆い隠す特殊な革。
向こう側が透けて見える、それ。
あらかじめ、人見知りや唐突な出来事を避ける為だったらしい。
アティが入り口で声を掛けたのに、首からタオルを下げた裸オーバーオール姿という
いつもの作業姿に頭に巻いている赤のバンダナ。
青い肌が露わな肩や谷間上を見せている姿で、熱気の中から歩いていくと
互いに用もなければ顔を合わさないだろう友人が一人、そこにはいて。
「……、久しぶり どうしたの? なにか 壊れた?」
スピサの声が弾むということは性格上無い。
しかし、顔色を変えずに対応している時点で慣れている相手なのだ。
首から下を、隠した単眼の視界でジッと見つめるのは、どこが故障しているのかと
鑑定眼で定めているせい。
■アティ・ロップ > 散歩気分で街を歩く。
ただそれだけでも裏通りなどを通る場合は、軽い装備位は身に着ける者が多い街なのだ。
裏も表もそんな装備の手入れに、専門店を訪れる人も多ければ、なじみの店もできる。
ウサギにとってこの店はまさにそういう店といった所なのだろう。
勝手知ったるとまでいかずとも、あまり勝手に歩き回らないほうがいい場所以外はちゃんと把握しており。
それ以外は結構自由に入り込んでくる様子を見せていれば、気安いというべきか。
用件で訪れるくらいとはいえ、それなりに慣れた感じが行動からも伺えるかもしれず。
店主でもあり、同じような異種族である彼女を見ても、フレンドリーといった様子で手を振って歩み寄っていく。
そんな様子を見せていくところからも、気安さ感じられるかもしれない。
「散歩次いでに顔出しって感じかな。
ちょっと胸のサイズがきつくなった気はするけど…スピサ制の装備は簡単に壊れないしね」
修理が必要なほどに損傷したものはない。
彼女の問いかけに返す兎の言葉は、嘘ではないのだろう。
鍛冶場に散歩気分で来るというのも、少々変わり者と言われそうだが。
気ままに歩き回るのが兎であれば、それはきっと何時ものことのようである。
見る人は見れば、中々に色々と視線が惹かれそうな格好の彼女の仕事着であるが。
ウサギにとっては遊びに来るときに、大体している格好であればそれもまた、見慣れたものなのだ。
様子見に来たと言いつつも、あえて言うのなら。
とばかりに、今の格好でも仕込んである胸当て回りを少し引っ張って見せながら、そんなことを相変わらずの調子で零していくが。
「もう成長期は過ぎたと思うんだけどね。
スピサこそ調子どう?色々ため込んだりせず…いいこととかでもあった?」
もし調整をしてくるなら、兎はいい値を支払い、胸当てを外して取り出して見せるだろう。
本当に装備関連は次いで、といった様子であり。
彼女が仕事で忙しいという状態でなければ、世間話を交えて遊びに来た。
といった所なのは本当のようである。
もっとも、特にお土産といったものはなく。
身一つであそびに来たのがお宮でといった様子なのは、相変わらずといえるかもしれないのであった。
■スピサ > 飾り気のない店内 熱のある炉
先にアティが記す装飾品とやらも、雅ではない 鍔や鞘
ベルト、変わったところではメリケンサックなどのことだ。
工房の入口の場所で、アティは顔を出しに来ただけという。
気まぐれに訪れたのだろう 鍜治場工房なんて、用もなく訪れるのは鉄を打つ姿に魅せられる子供のような顔をした
男心をくすぐるような何かくらいだとというのに。
そんな様子のアティに、スピサは胸回りか、と細い鎖で補強を加えているそれを見る。
揺れず 通らず をテーマにされている胸当て。
確かに少し抑えがきつそうなのは、ベルトの引っ張り具合でわかるだろうか。
又、溜めこんでないか いい事はあったか というのは、スピサに対して儲かっているか、の裏返しだ。
スピサのような自分から進んで艶事に行くことがない性格は、依頼の報酬などで相手を抱くという
少し変わったやりとりになっている。 故に、同性からの依頼は何度か来て、適度に抱けているのかという
猥談の混ざり事。 それには、スピサは肩の力が 少し抜けるように下がるだろう。
「とくには、かな。」
ここ最近、濃い仕事はない。
納得のいく鋼の剣を作り、納得のいく鋼の兜を作り、納得のいく革の鎧を作り、と
体を強請るような仕事ではないらしい、普通の仕事。
それを察したアティが、察したような笑みを浮かべているのに、スピサはグローブの被さる両手
それを胸の前でもちょもちょと弄っている。
こんなやりとりのあとで、調整を言われると胸当てを外して見せてくるアティ。
大がかりなことも必要ないだろう。 もともと少し抑え気味なのだからと、ベルトの留め具を見やり。
「少し穴が広がってるね。 あまりキツイと穴が繋がっちゃうだろうし……新しく穴をあけようか。」
事、仕事となると独り言に近いせいか、流暢なもの。
ベルトを新調して、縫い直すというところまでいくよりも工具を持ってくると
胸当ての傷んだ具合を見ながら全修繕とまではいかない。
解体して煮込み、汚れを取って強さを取り戻すのではなく、パンチカットの容量で小さな穴を繋がらない位置でベルトの先に一つ増やす。
穴の廻りを補強するために、革腱から抽出した凝固剤を塗りつける。
これで少しは、避けにくく穴の変形もないだろうと、こまごまとした作業を終えると、乾くまで少しといったところか。
「ん。」
胸当ての補正は、これでいいだろうと。
極端な差がついた様子なら、胸当ての意味はなく横合いから貫かれてしまうから意味がないが
目に見えてきつくなった程度ならいいだろう。
もちろん、早めに買い替えてきっちりと閉じ直すほうがいい。
胸当てを乾かしている間に、仕事が終わってしまえば、実直に終えた用に胸当てを磨き直すくらいだろう。
■アティ・ロップ > 可愛らしい衣服や、それこそ香水や化粧品といった着飾るための趣向品などに興味があるかと言えば、無ではないにしろ微というのが正しい所だろう。
暇があれば面白い物を探しに、遺跡などにも踏み込む兎なのだ。
不思議な魔道具ならまだしも、煌びやかな衣装の数々より。
無骨であっても、様々な装備や変わったものがある場所の方が、心を弾ませる。
といった所がある分、兎もまた変わり者といってもそこは過言ではないかもしれない。
「悪いことがないのはいいことだけど…逆に何もないってのも刺激が足りなくなりそうだね」
ちょっと変わった依頼や、特注の何かでもあれば、その話を聞くだけでも、兎にとっては中々のお宝にもなるかもしれない。
けれども、悪いことはない。
さりとて、いいことといえるほどのものがないといった様子であれば、順調な反面刺激が足りないという言葉も、事実ではあるのだろう。
彼女の手の動きなどをみれば、また笑みと少し強く零しながらも、そんなことを兎は零していくが。
仕事の時の彼女は、普段の様子とは違って饒舌でいて頼りになるのは間違いないのだ。
「相変わらず仕事は正確で速いね。
偶には武器の改良も…してみるのもいいかもだけど」
基本的に彼女に頼んでいるのは、防具なのである。
使い慣れた武器を一から作り直すというのはまた違うものの、より使いやすく調整、改良。
といったものであれば、素材次第では中々に悪くはないかもしれない。
彼女の仕事ぶりを思い出し。
今もまた、胸当ての簡単な調整とはいえ、今やるべき一番いい。
そういえる加工を直ぐに選んで的確に、それでいてスムーズに施していく様子を見れば、楽し気に兎は邪魔することもなく。
ただ作業の様子を見ながらも、そんなことを邪魔にならない程度の声量でポツリと零していくことにしたようだ。
「もうちょっと使い込んだら…フルメンテしてもらうのもよさそう、かな?
それと、お代はどうしよっか…飛び込みだし…スピサのいい値で私はいいけど?」
軽く磨き直しまでしてもらえるというのなら、使い込んでいてもそれなりにまた見栄えを取り戻すのが、彼女の仕事である。
流石に飛び込みで調整とはいえ、ツケにすることも無料で何てことも当然考えてはいないのだろう。
彼女の横に移動して、作業を進めていく様子を見ながら、合間をぬうようにポツリとそんなことを零していくのだ。
特に良くも悪くも、スパイスもなく平凡続きであった。
それを聞いた分を上乗せするかのように、といった雰囲気なのは恐らく気のせいではないの間違いなく。
彼女が視線を向けるのであれば、バイザー越しとはいえ。
視線がしっかり合う様な瞳を兎は向けるだろう。
■アティ・ロップ > そんな話を交わしながら時間は過ぎていったか―
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」からアティ・ロップさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」からスピサさんが去りました。