2022/06/27 のログ
ご案内:「ハイブラゼール・BAR」に亞夢さんが現れました。
亞夢 >  
日も傾き沈み始めた頃
比較的治安の良い…とは言えないまでも、薄汚れてはいない程度の安酒場

タンブラーをガツン、と音を立ててカウンターテーブルに叩きつける音が響き、
周りからの視線を集めている女がいた

「だから、もう随分待ったって言ってんじゃん!」

続いて響くのは女の怒声
何やら店主を詰めている、という雰囲気は周りにも伝わり、注目の的となっていた

「アンタんとこの常連。うちでヤリ逃げしたロクデナシの宿かなんか、知らねーの?って。
 わざわざクソ不味い安酒頼んでやって聞いてるんですけどぉ?」

──遡ること数日前
自身の経営する娼館で金を払わず逃げた男がいた
知っていそうな人間を辿って辿って、男が常連だというこの酒場まで辿りついたのだ

だったのだ、が

亞夢 >  
店主は答えられんと首を横に振るばかり
知らんではなく答えないその態度に、女は憤慨しているようだった

もっとも周りの客から見てみれば、男を斜に見たような言葉は女自身の上から目線の態度
顔立ちの整った上物と女が相手といえど、店主の反応は当然だとばかりに肩を竦めていた

「あんた達も何か知ってんじゃないの?隠すと為になんないわよ」

店主の態度に苛立ちを隠せない女の矛先は他の常連客へと向く
視線を注いでいた客達も、くわばらくわばらといった様子で視線を外してゆく

「──ふん」

その様子に鼻息荒く、椅子に座り直すとタンブラーをもう一度テーブルへと叩きつける

「もう一杯。口割るまで居座ってやるわよ」

店主はやれやれとうんざりした様子でラムのボトルを空けるのだった

亞夢 >  
比較的治安が良いとはいえハイブラゼールの安酒場
店主も酒を注ぐと共に、不機嫌な女狐を落ち着かせようと言葉をかける

まあ落ち着け、と
客の情報は喋れないがこの店にはよく来るからそのうち会える、と

「はっ。気の長い話。
 こっちはとっととソイツの首根っことっ捕まえて、役立たずのクサレチ○ポ踏み折ってやんないと気が済まないってーの」

口汚い言葉を吐き終えればぐっとタンブラーを煽る
安酒とはいえ年月の進んだラムは鼻に抜ける芳醇な樽の香り
進めば進む程に不思議と苛立ちは落ち着いてゆく

お前さんもそういうトコがなければもっと男が寄るのにな、なんて店主の言葉に「うっさい」と小さく返す頃にはほろ酔い加減
ふわふわとした良い心地は苛烈な感情をの発露を抑え、良い気分にさせてゆく、酒の魔力

「…まぁ、そのうち来るってんなら待ってやってもいいけど」

頬に朱を差し酔い心地
うっすらと笑みを浮かべる店主は初来店のさービスだと言いつつお代わりを注ぐ
安酒と言われラムを勧めた店主の作戦勝ち

亞夢 >  
と、周りの客も思っていたところ

「ほら次!空っぽじゃん!
 金はいくらでもあるんだからじゃんじゃん注ぎなさいよオヤジ!」

数刻もなく、悪酔いする迷惑客へと変貌するのだった

ご案内:「ハイブラゼール・BAR」にリレイさんが現れました。
リレイ > いいお店は一見そうとは思えない場所にあることも多い
そんな考えと、先日は表通りのお店に入ったため…今日は少し冒険してみようと大通りを逸れて探検していた優男
今日はどこに入ろうかとふらふらしていると、高い怒声が聞こえてきた

「…あーいうのはどこも一緒かな…」

女性だろうと男性だろうと、酔った客はどこでも叫ぶようだ
そう思いながら…無視して通り過ぎようとしたけれど
どうにも、少し聞きかじったところ正当な理由があるらしい
そしてどうやら、自分にとっても他人事でない話

これだけなら怖さで立ち去ったかもしれないが
件の女性らしき声は、早々に酔い始めたのか空気は少し弛緩し始めているように感じる

今の状態で、同業さんなら…何か役に立つ話が聞けるかもしれないし
先ほど叫んでいたことも、もちろん気になったので…

「よし。…こ、こんばんはー!」

なんとか勇気を振り絞り、挨拶Bの後ARに入って
持ち前の前向きさで、空いているであろう悪酔いしている女性の隣に座り
周りからは奇異の目線を向けられようと、続けて話しかけよう

「ええと、どうもー。すごーく荒れてたみたいだけど、どうしたんですか?」

店主からすれば、蒸し返すのはやめてくれ、と思われるだろうが
けれど、そんな気遣いより女性の事情の方が気になった男は率直に掘り返す

亞夢 >  
店主の表情は曇っていた
それはそう、ようやく悪酔い程度に落ち着いてくれたところである
ただしそれは蒸し返すことがどうというよりも、この状態の女にお前みたいなヤツが話かけるのはやめとけ
といったような、微妙な表情
店主の心を汲み取れるかどうかは、神のみぞ知る

「あーん? 誰よアンタ」

勇気を出して話しかけた青年を迎え撃つのははっきりと据わった眼の女狐
露出の激しい服装に黒い薄布を纏った姿は一目で娼婦か何かだろうと理解らせるものでもあり──

「アンタに関係ないでしょ」

それだけを言うと、ぐーっとタンブラーを煽り、空になったそれを振って見せる

「こういう場所で何か聞きたい時は一杯奢るモンよ?ボーヤ」

関係ないと言いつつそんなことを言いながら、薄く細めた青い瞳がリレイを射抜くように見据える
所詮酔っ払いの言うこと、適当である

リレイ > 女からの視線も、店主からの哀れみに近い視線も受け止めつつ
それでも、男は止まらない。
女性が娼婦だと分かる格好だというのも、男にとっては追い風である
先ほどの叫びから、恐らくはミレー族でありながら、娼館の上役であろう女性
そんな相手のナマの話を少しでも聞ける可能性があるのであれば怯える理由にはならない
なぜなら、今後の経営にとって少しでも助けになるかもしれないからだ。

もちろん、自分も男であるから…射貫くような目線とはいえ、美人だなあとは思ってしまう

そして彼女の言う通り、自分はまだまだ若輩で世間知らず、力足らずだ
だからこそ、意気込みだけは萎びさせてはいけない

「…。あはは、その通りですね!あ、マスター、ええと…この女性の好きなお酒を一杯。
それと、俺にも同じものをください」

少しの怯えは見て取れるだろうが、笑ってそう注文する。

「これで聞かせて貰えますか?おねーさん。あ、俺リレイって言います」

酒はすぐに注がれるだろうか。
なお快活に、名乗り返されなくても構わないがまず自分から名前を告げて軽く会釈をして反応を伺ってみる

亞夢 >  
店主は初めてこの店を訪れた女の好きな酒など知る由もなく
女狐もまた安酒場になど好きなお酒などない、と思っている
つまり結果的には女の飲んでいたラムが大きめのタンブラーに注がれ、ドンと二人の元へと置かれることとなった
値段もお休め、クセはある割に飲みやすく、ほどよく酔えてリーズナブル

「まーまー、慌てんじゃないって」

話をと促す青年をよそに、おさけー♡と上機嫌になりタンブラーを傾ける
確実に、よろ酔い状態から出来上がり状態へと移行してゆく

「んで、なんだっけ?ああ、怒鳴ってた理由?えっとねぇ───」

そこからは恨み節なども含みつつ、男への怒りも交えつつ
自分の経営する娼館をタダ通いしたクソメンズのことをつらつらと話し、
男の相手をしたのがNo1に近い娼婦であったこと、
取り立ての追撃でこの酒場に行き着いたということ、
酒場でさっぱり情報が得られず激昂したことを語る

「んで、リレイだっけ?こんなこと聞いてどーすんのよ?
 あ、アタシのことはこの街だと亞夢(アム)で通ってるからそれで呼びな~」

お酒を奢ってもらったので機嫌も上向き
さてさてと青年の飲みっぷりなんかも窺いながら会話を交わす

リレイ > 酒が注がれれば、男もほどほどに杯を呷る
非常に強いというわけではないが、ラム酒の1杯や2杯では泥酔はせず
ほんのり赤くなった顔で、時折うんうんと頷きながら話を聞く

少しだけ予想していたけれど…共感できる内容で、途中から男の眉も寄ってくる
優男がにらみつけても効果は無いだろうが、しかめ面でマスターを見たりしつつ最後まで話を聞いて。

「それは酷い…。あ、亞夢さんですね。よろしく
ええと、それは…」

自己紹介も返してくれれば、しっかり名前も憶えよう
そして次にこちらの事情を聞かれればかいつまんで説明していく
王都で酒場宿屋兼娼館を営んでいること
ただし、『客も従業員も笑顔で』という…クリーンな営業を掲げているが、中々難渋していること

「そこで、ここに経営の手法などを勉強しに来たんです
で、たまたま亞夢さんが叫んでいるのを聞いて…もしかしたら、お店を経営されてるんじゃないかと
もしそうなら…何かいい話が聞けるんじゃないかな、とも。
……んー、その、要するにそういう下心で…あはは、すいません」

男は嘘をつける性格ではない
頭をぽりぽり掻きながら、正直に目的を言って
これでスパイだなんだと、ひっぱたかれても文句は言えない。
ラム酒をぐ、と呷り…けふ、と息を吐いて苦笑いしている

亞夢 >  
なるほど、と男が話しかけてきた理由に納得がいく

「(あの王都でねえ…)」

内心思いながら、タンブラーを煽る
やや肩を竦めるのは、自分の店のいわゆる厭客といえば大体が王都からやってくる貴族王族サマであることから
あんなところのお膝元で果たして健全な運営ができるのか、といった面持ちである

「どーせならもうちょっとマシな下心で話しかけてきてくれれば、アンタみたいなイケメン揺らいだかもしんないけどねー♡」

「ま、それはおいといて…」

タンブラーをカウンターに置いて、ふぃーっと一息
なかなか酒くさそうになってるかもなと自身で思いつつ、酒場で気にする輩もおるまい

「まぁ、よっぽど健全な運営したかったらまずコレじゃない?」

言いつつ、カウンターにころんとゴルドを転がす
潔白を守るために必要な投資、と割り切れるならば確実な手段
無論経営的に厳しく、クリーンかどうかは随分と怪しいことになるが

こんなことを素直に言ってくるヤツ、そうそう嘘吐きにも見えない
安酒とはいえ奢ってもらっているわけだし
頬杖をつきながら、若いくせに随分チャレンジャーな男を横目に見ていた

リレイ > 肩を竦める様子を見て、やっぱり難しいんだなあなどと呑気な面持ち
けれど、揺らいだーなどと言われればまた困ったように笑って

「や、その、凄く美人だなーとは思ってますよ、当然。
ただ…ええと…あまりそういう目で見るのも、お店の外だと失礼かなと…」

こほん、と咳払い。
そういう欲が枯れているわけではなく、単純に後ろめたい気持ちからだ
酒のせいだけではなく…実際目を奪われているし胸も高鳴っては居るが
娼婦という職業を知っているからこそ、そこは自制している様子

「あぁ…ありがとうございます。
…お金は、そこそこあるにはあるんです。こう見えて商家の跡取りなので…
ただやっぱり、お金というよりは頑張った評判で何とかしたほうが後々いいかなと…」

甘い考えであることは薄々わかっているが、それでも、と理想を追っていることを告げる
またラム酒を呷っておかわり。隣の人と同じようにけふ、と酒臭い息を吐く

「それに、もうちょっと…働いてくれる人にも楽をさせてあげたいんですよーーー!
ね、亞夢さんもそう思いませんか?」

事情を聞いていたはずなのに。だん、とタンブラーが叩きつけられる
後ろ向きというわけではないが、少し支離滅裂に…うまくいっていない現状が漏れ出ていた
自分にとって身近な職業の相手が隣だからだろうか。

亞夢 >  
「(おいおい、こんなヘナってそうな優男が娼館経営とかイケんのかよ)」

咳払いし自制している様子のリレイに半ば呆れ顔
もうちょっとこう獣欲に溢れてるようなタフマンならともかく、と思いつつ
それを言うなら自分も変わらんか、と頬杖をやめて

「甘い、甘い甘いドチャクソ甘い」

「頑張った結果なんて薄汚い連中の餌にしかなんないに決まってんじゃん?
 夢みすぎ。王都の状況見直してから出直したほうがいーんじゃない?」

理想を語る青年
あの王都だからこそ、という熱意も汲めなくはないが──

「言うは易く行うは難し。それでも理想に挑戦するなら別に止めないケド。
 それならアンタがちゃんと従業員のコト守ってくしかねーんじゃねぇの?」

おーおー、酔ってるなー、と。酔っ払った他人を見ると自分の酔いが冷めていく気がするんはなぜだろう
もちろん気がするだけなのだが

「ねぇどう思うのよオヤジ!」

そして第三者として絡まれた店主は知らんよと苦笑を浮かべているのだった

リレイ > 実際、経理を任せている女性が居なければ曲がりなりにも経営などできなかっただろう…というのは置いておいて

「…わかって、わかってますよぉ。あっちもこっちも裏金貴族や豪商と繋がってるし
誘拐まがいのことして無理矢理働かせて死ぬまでこき使ったりしてるし!

…俺も、よく知ってるんですよ。昔は俺の家がそうでしたから…」

呟いた後ご、ご、ご、とラム酒を呷っていく
女と同じように目が据わり始め、拳が握られて

「あー!ぅーー…!、ま、守ってやりますよ!
理想に付いてきてくれる人は、絶対に!なので亞夢さん!どうでしょう!
俺は亞夢さんも、働いてる人を大事にする方だと見ました!だからいっそ、いろいろ協力しませんか!

俺にできることはなんでもします!だから、その、いろいろ!」

色々、の内容も当然決まっていない
完全に発破をかけられた勢いと、隣の美人の…娼婦のために、酒場まで乗り込んでこれるその胆力を尊敬しての言葉だ

声も段々大きくなってきていて、酒場の注目をまた引いてしまっているが
酔った男は、酒臭い息でまくしたてると…まっすぐな気持ちのまま立ち上がりばっ!と手を差し出した

亞夢 >  
「はぁあ?アンタ飲み過ぎ…って、何よ協力って」

そろそろコイツ止めたほうが良くない?と店主に視線を送りつつ
うーん、よっぽど溜まっていたんだろうか
溜めるのはどうせなら別のモノに…それはいいか

「何でもする、たってねぇ、何ができんのよぉ」

やれやれと肩を落とす
何でもする、何でもする、ねぇ……

「あ♪じゃあうちの店の客になってよ♡
 顔がイイ客って少ないから、うちの子達も気合入るかもだし♪」

ピンポーン、閃いたといった様子で、差し出された手に指を妙にいやらしく絡めて

逃さんからな、という意思を感じるくらいに力を感じさせていた

リレイ > 「やれること…
どこでも駆けずり回ったり、熱意ならだれにも……うぇ?」

もし、狐人からいつものフェロモンが出ているなら、その影響も勿論受けている
酔いもあり、段々と目の前の女性からオーラのような何かが漏れているような気もしてきて…
王都だとミレーだなんだと言われるかもしれないが、これまでのやり取りでわかる通り、男にその差別意識はない

そんな熱意と欲が混じった状態のまま、手を差し出せば艶めかしく握り返され
客になれ、と捕食されそうな目で言われれば

(客…娼館の?いや、それならむしろ、んん?、べんきょうになるかも…?
直接、中を見せてもらえるし…?この人がけいえいするところなら、いいところだろうし…?)

間抜けな声を漏らした後少しの間黙って幼児っぽい言葉と疑問符だらけの思考が回る
そして…目線は固定されたままだが、気合の入った顔になって

「いーでしょう!やっぱり、こういうのは信頼が大事ですからね!
俺が先に…亞夢さんに信頼してもらわないと…。
ああでもそのー、まずは亞夢さんを指名とか、できるんです、か?」

何を言っているんだ、と思いながらも
既に目は離せなくなっている。絡められた手をぎゅ、と更にもう片手で握り返してまた直球に。

亞夢 >  
「そうそう、男は思い切りが大事」

いいカモだと内心ニヤついていたものの、思わぬ言葉に少しばかりその目を丸くする

自分を指名、と聞けばぴたりと一瞬止まった後に
なるほどねと笑みを浮かべ

「あたしはオーナーだから指名はできないんだけど~」

「高くつくけどそれでもいいなら、サービスしてやってもいっかな~♡」

クスクスと意地の悪い笑みを浮かべる
酒の勢いは女にとっても同様
女狐の魔香は極僅か、隣にいる男に微量に香る程度だろうが、その影響はさて──

「──ま、そういうコトなら出よっか♪
 おいオヤジ、例の客来たらちゃんと教えろおよ?」

飛ぶ鳥跡を濁さずなど知ったことかと席を達、いくらかのゴルドを行儀悪く投げ落としていた

リレイ > 「オーナー…!?」

その言葉に驚くが、けれどまたとないチャンスだ
上役どころではなく、娼館の経営者とこんなに話せるとは

酔ってふらふらな頭でも、よし!とガッツポーズをしたくなる
この後に何が待っているか、あまり深くは意識できておらず
体に情欲の熱を持っているものの自覚はあまりなく

「あ、当然そのふとどきものを探すのも手伝いますから!」

などと言いながら、自分も十分なゴルドを席に置いて
呂律が回らない状態で、けれど足取りだけは気合を入れてしっかりと
二人して店を後にし、案内されるなら…夜の街を歩いて行こう。

ご案内:「ハイブラゼール・BAR」から亞夢さんが去りました。
ご案内:「ハイブラゼール・BAR」からリレイさんが去りました。