2022/06/14 のログ
ご案内:「九頭竜山脈中腹 臨時野営地」にキキョウさんが現れました。
■キキョウ > 山賊街道を更に登った所、『無名遺跡』等と呼ばれるダンジョン群の入口が乱立する山の中腹、そこに場違いな規模の設営が行なわれていた。
普段は目当ての遺跡に向かう途中の冒険者が時折野営を行っている程度の場所であったはずのそこは今は複数のテントが貼られ、時折馬車すら行き来する程、この場ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
事の発端はとある冒険者の失踪。
界隈において茶飯事と言えるそれは、いなくなった冒険者が出奔した大貴族の娘だった、という事実によって事態が一変した。
彼女の行方に膨大な探索費用と懸賞金が掛けられ、各ギルドは血眼で足跡を辿る。そして最後に向かったと判明したのがまさにここ、野営地の眼前にある未踏破の遺跡であった。
「……さて、どうしようかしら」
山中を登ってきた馬車から降りた女退魔師は自らの荷物を確認しながら野営地をぐるりと見回す。
未踏破のダンジョン、何が起こっても不思議ではなくミイラ取りがミイラになる自体も考えられる。山分け分の賞金が減ろうと仲間を見つけて協力すべきだ、そう考え探索らに声を掛けていく。
ご案内:「九頭竜山脈中腹 臨時野営地」にストーンさんが現れました。
■ストーン > 目的が大貴族の娘の救出だけあり、複数のギルドが戦力を送り出した様だ。
元より広大な遺跡群での探索、猫の手も借りたいとばかりに俺のような三流冒険者にも声が掛かる。
雑多に集められた冒険者達だが、日頃パーティーを組んでいるメンバーはすぐに固まって出発に向かったようだし。
俺のようにこういったでかい仕事に日頃縁がないような奴はどうしたものかと途方に暮れている。
誰か声を掛けられそうなのは居ないかと見渡していると、細身の冒険者を見かける。
顔を隠しているが、体系的に女性だろうか。
俺は静かにその冒険者の元へ近づき、口を開いた。
「ご令嬢の捜索依頼で来ているんだよな?
どうやら特定の相手は居ない様だし、俺で良かったら組んでみないか?
こう見えて探索には自信がある方でな。
損はさせないと思うが。」
俺なりに愛想のいい表情を浮かべて見せた。
こういうのは最初の印象が大事だろう。
■キキョウ > 粗方声を掛けて見たものの、既にパーティを組んだ者は出発しており、一人で残っているのは最初から誰とも組むつもりも無い自信家かマイペースな冒険者ばかり、これなら一人で潜った方がと諦め自らの荷造りを行おうとしたところ、一人の男が話しかけてきた。
「こんにちは、もうパーティを組みたい人がいなくて困ってたのだけれど…」
男を見るに体格はそれほどしっかりしている訳では無いが冒険者らしい身のこなしが見える。何より、協力者を求めているこちらを見てわざわざ話しかけて来た事に好感が持てた。
「そうね、じゃあお願いしようかしら。私の名前はキキョウ、よろしくね」
男が別の下衆な目的て近付いて来た可能性も無くは無いがそうなった時は相応の対処をするだけ、女にはその自信があった。
愛想いい男にこちらも笑みを返すと手を差し伸べてみせる。
■ストーン > 「俺はストーン。 よろしく。」
声色から相手が女性であること、どうやら即席パーティーとなったことが分かる。
俺は遅れて名を告げると、差し出された手にそっと触れた。
とは言えデートでもないので、掴んだりはしないが。
「それじゃあ早速だが出発しようか。
他の連中は既に先に向かっているようだが、例のご令嬢の持ってる品があれば追跡することができる。
無暗に探しまわるよりはスムーズに進めるはずだ。
あんたの強さについては道中で教えてくれればそれでいい。
一人で来るってことは腕に自信があるんだろう?」
俺は魔法銃を構えた。
向こうの準備が良ければ直ぐにでも遺跡へ入っていくつもりだ。
■キキョウ > 「そうね、他の冒険者さんはもう捜索始めているみたいだし急ぎましょう」
少し男を待たせ、傍らに抱えた布袋の中身を確認しながら答える。
「腕に関してはそっちが心配した方がいいんじゃないかしら、今待機してる人達、殆どが漁夫の利狙いよ?」
挨拶がてらに近づいた際に彼らの荷物が明らかに長期探索を想定した物では無いのを女は察していた。
ここで悠々と待機し、発見した者を襲うことで懸賞金を掠め取ろうとしているだろう事を伝え。
■ストーン > 「なるほど、そういうことか…。」
先に出発した連中がどうにも柄の悪そうだとは思っていたが、相手の言葉で謎が解けた。
遺跡の中であれば幾らでも証拠の始末は簡単だ。
「となると、ご令嬢と合流してからの事も心配した方が良さそうだな。
先に戦力の確認をしておくか。
俺はこの通り魔法銃を使う。
威力は近距離であれば鎧を貫通する位だが、8発撃つとリロードの隙が出来る。
そっちはどうだ?
見た所、魔術師の類に見えるが。」
他の冒険者の気配がしない場所に着いたところで切り出した。
手札を教えることにリスクもあるだろうが、目の前の相手なら問題ないだろう。
■キキョウ > 男が手に持った筒状の武器へ視線を向ける。少々特殊な形をしているが魔力を利用した銃と言う事は接近戦だけではなくある程度距離を取っての戦闘も行えるのだろうか。ならば女に取っては都合が良かった
手をヒラヒラとさせながら黒塗りの手甲を見せて
「魔術師ねぇ、まぁ間違ってないけどちょっと変則でね。こっちは近接格闘と思ってもらって構わないわ。若干レンジに不安点はあるけどダンジョン無いじゃ遠くから狙い撃ちなんて早々出来ないはず、極力開けた場所は避けて探索していく形になるかしら?」
用意していた魔導ランプに光を灯し腰に下げると男の前を行くようにして遺跡へと踏み出す。
「それにしてもそんなに手の内晒して大丈夫なのかしら?その武器も虎の子でしょう?」
■ストーン > 「なら前衛はそちらに任せておこう。
俺も護身程度の動きはできるが、本職ではないからな。
そうだな、狭い場所を通るようにしていけば概ね問題ないだろう。
いざとなれば二人で逃げればいい。」
相手はこういった場所での活動に慣れているのだろう。
外套の下はしっかりと武装されており、ランプを所持して居たりと準備も万全だ。
「この武器は珍しいが似た様なのは割とあるらしい。
それにあんたなら話しても問題なさそうに見えたからな。」
とはいえ、こうしてのんびり話してられるのももうじき終わりそうだ。
前の方から物音や人の声が聞こえてくる。
籠った音だが、もう少し距離を詰めればはっきりとするだろう。
「どうやら誰か居る様だ。
お目当ての相手だといいんだけどな。」
■キキョウ > 「……件のお嬢様、じゃないわね。声が複数あるし、それに……武器を構える音がするわ」
どうやら早速ライバル潰しが発生しているがらしい。ここで無駄な争いを避けて進んでも良いが、話を聞くにどうやら冒険者の落とし物の所有権でいざこざが起きているよねうで。
「残念、どうやらお嬢様の落とし物についても先を越されちゃったみたいね。積極的に争うのは性分じゃないけど……じゃあ、行くわよ」
背後を歩く男へちらりと視線を向けコクリと頷くと、そのまま一気に音のする方へ駆け出す。刹那の後に金属がぶつかり、破裂するような音が遺跡内に響き、その後には2つの足音と静寂だけが残って――
ご案内:「九頭竜山脈中腹 臨時野営地」からキキョウさんが去りました。
ご案内:「九頭竜山脈中腹 臨時野営地」からストーンさんが去りました。