2022/06/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 図書館」にオルトゥスの棺さんが現れました。
■オルトゥスの棺 > 王都に存在する大きな図書館。
平民地区と富裕地区の間に位置して、身分の高低問わずに使用ができる。
多数の書架に並ぶ本は、学術書から娯楽小説。
許可さえとれば魔術所の類も閲覧を許可されるという。
閉館時間も近い時間帯、夕日がそろそろ月明かりに変わる頃合い。
夜に向かう光が流れ込む窓際に並ぶのは多数の閲覧机。
昼間は多くの人間が利用していたが、そろそろ疎らになりつつある。
そんな広い閲覧机のひとつ。
まるで誰かの忘れ物でもあるかのように、ひとつの匣が置いてあった。
精密に作られた黒い匣。
鏡のように書架の景色を映し出す表面には無数の切れ込みが入っている。
そこから毀れるのは薄っすらとした白い光。
静謐な空気に混じるようにさらさらと、毀れ流れ落ちる。
『こちらへ、おいで――』
もし、近付けばそんな“声”が聞こえるかも知れない。
男声とも、女声ともつかない淡く静かな声音。
空気を震わせることなく、直接、“獲物”にだけ伝わる声。
ご案内:「王都マグメール 図書館」にロロさんが現れました。
■ロロ > こいつか――?
(何時から存在したのか、その、匣を。手に取ろうとする者が居た。
王国にて貴族家に仕え。時にメイド、時に衛士、として働く飼い犬。
何時ぞに屍人共が発生した時と同じく…今回も。王都に起きる良からぬ某を探っていた。
消えては現れ。幻とも妄想ともつかず。だが、被害者の記憶だけは確かに残る――そんな、匣が。
此処最近王都で目撃され始めたという話を辿っていたのだが…やっと。
現物を目の前にする事が出来たらしい。
厄介な代物だ。一刻も早く対処せねばならない。だが、差し当たって。どうすれば良いのだろうか。
そんな思惑を巡らせつつ――恐らく。彼女自身は自覚していないだろう。
手を伸ばすという不注意で無防備な行為、それはきっと。
当人も自覚せぬままの行動なのだから)
■オルトゥスの棺 > こいつか――?
と問われるのならば、その通りだと答えるだろう。
けれど、匣は言葉を返さない。
まるで誘うように白い光の薄片を零しながらそこにある。
工芸品か、あるいは美術品か――そう思わせる外見。
そこに、女の指先が触れた瞬間、だっただろう。
――金属音が、淡く響いた。
まるで鍵が開くような音。
触れた部分の金属板が滑って、僅かな隙間が開く。
ひとつ、ふたつ、みっつ――続いて開いていく匣。
まるで最初からそういう機能だったように滑らかで、意志を感じさせない展開。
徐々に、けれど、確実にそれは“開いて”いく。
奥に見えるのは、満ちるのは白い光。
清浄過ぎてあらゆる生物の生存を許さない湖のように。
徐々に匣から広がっていく。
わかってしまうだろう――それは、禍々しいものだと。
■ロロ > (その犬は混ざり物である。
狼。犬。そして――魔物の血が、後天的に付け加えられた。
だから察する事が出来た。
隙間から漏れる光。匣の中から訪れんとするモノ。
いかに白々と、清々と見える美しさであろうとも。寧ろ眩しければ眩しい程、その裏側に濃い影が生まれるように。
その向こうに在るのが、この世ならざるモノなのだという事を…)
――っ…!? こい つ――――…
(だが。解ったからと言ってどうだというのだろう?
寧ろ理解不能である方が。恐ろしいのか否かすら判別がつかない分、マシだったのかもしれない。
ぞわりと背筋を駆け抜ける怖気に身震いし。知らぬ間に誘われていた指先を引っ込めようとしたが……
もう。遅い。
幾重もの金属板がスライドし続け。掴み、力を籠めて尚、それを押し留める事は出来ず。
開けば開く程。拡がる輝きがすっかり館内を満たしたかと思った、次の瞬間――――)
――――、――…!!
(景色だけでなく。発した筈の音声ですらも、光の中に掻き消された。
数瞬後、光が収まれば、きっと其処には――何も。
犬の姿もまた、残されていないのだろう)
■ロロ > 【移動致します】
ご案内:「王都マグメール 図書館」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 図書館」からオルトゥスの棺さんが去りました。