2022/06/06 のログ
ご案内:「コクマー・ラジエル学園」にラファルさんが現れました。
ラファル > 【お約束待機】
ご案内:「コクマー・ラジエル学園」にフィリさんが現れました。
ラファル > 「ボクのせんせーだし!ね!」

 自分の事でもないのに、自分が褒められたかのようにえへんぷい、と背を逸らして胸を張る幼女。
 先生が褒められるのは喜ばしいのである、其れに間違いはない。
 誇りに思っていると言う事に間違いはないのである。

 人間を舐めてはいけない、と言うのは、トゥルネソルのドラゴンの共通認識。
 一寸考えればわかる、人間を舐めた結果の、人間の繁栄具合。
 中には、ドラゴンを退治するドラゴンキラーだのそんな存在だっているだから。
 其れなら、その強い存在に学ぶことが良いのだだと考えて居るからこそ、人の中に入り、商売をしている。
 因みに。ラファルは、大勢集まっていた中で、色々とやらかした。
 パンツを脱がしたり、料理を盗んだり。そう言う物体と認識されてるので、まあ笑い話で済むのだった。

 因みに、ちらリズムをしているのは、胸だけではなくて。
 お尻もぷりんとしているし、下着など。

   は い て な い 。

 下から覗く、ピンク色の何かをみようと男子が思いっきり覗き込んでいる。
 みせるようにおしりをふりふり。

「んー。フィリちんに、ぷれぜんつ。
 こないだ見つけて来たの、フィリちんなら、良いかなって、思ってね!」

 説明になって居ない説明、彼女の手に収まるハンマー。
 慌てている彼女、確りと持つ事が出来ているのもそうだけれども、ハンマーは嬉しそうに震えている。
 彼女を主として認められたと言う事だ。
 確りとこびりついている紅い血は、間違いなくこびり付いているし。

 説明を求めるならば、ちゃんと質問をしなければならないだろう。
 嬉しそうに、にこにこり、と笑って、ハンマーを見て悲鳴を上げているフィリを見上げている。

フィリ > 「大層凄ぃ――凄く強ぃ、ぉ方だと。伺ってぃるの――です、はぃ…」

こくり、こくり。頷いてみせた。直接の面通しについては…商会の新年祝い等でも、有ったかどうか怪しいが。
探索者としてのあれこれやら、戦場でも活躍やら、聞き及ぶ事が多いので。既にイメージが固まっているのだろう。
それはもう忍者忍者した忍者。常に頭巾や覆面に黒装束、闇に生まれ闇を斬り裂く、忍びなれどもハードボイルド。
きっとそんな人物像に違い無い、と決め込んでいた。
実際に直接対面する時が来たのなら、果たして、どんな反応を見せるのかは――見当も付きそうにない。

さて。そんなお師匠様含め、人類種の強さという物に関してなら。此方はしっかり理解している。
そもそも少女自身。あくまで、竜の血は四分の一。七割以上は人間に近いのだ。
実際…腹違いの妹であるプリシア等と事なり、竜の外見的特徴という物を、丸っきり有していないのも。そのせいだろう。
しかし。数多の竜が属する商会を、今取り仕切っているのは。同じく人でもあり竜でもあり…それ以上に、物理的な強さはからっきしな母親である。
必ずしも腕力や体力だけが、強さではないのだ――現に。目の前の幼女もまた、そうして。リスに敵わない人物の一人ではないか。竜としての力は相当なのに。

それに。人間を取り分け強くしているのは、その欲――欲する、求める、望む力だ。
冷静に考えれば不可能な事すらも。思い願い足掻く事で、時に実現してしまう。
デジタルな計算、合理的な判断など、思いもよらずに覆されてしまい。遙かに強い筈の存在達が、足元を掬われてしまう訳で――

「   ―― っ、 ぁ。 」

そうした人類種の欲望が。…中でも比率の高い、性的な物が。今正に目の前で形になろうとしていた。
すっかり遠巻き状態のクラスメート達。その中でも男子の数名が、何時の間にやら、少女の正面…即ち、向き合う彼女の背後へと移動しつつ。
あからさまな低姿勢は、どう考えても――机の上へと乗り出した彼女、その後背を見上げようとしている訳で。

「 なっ、 ぁ、ぃ――ぃけ、まっ………駄目 ぇ、ぇっ!?」

そしてきっと。彼女は何時も通りなのだ。冒険者の格好から、彼女なりの制服代わりへ、置き換えられた衣装だが――それだけ、なのだ。
即ち面積が増えたかのようでいて、その実、上下二つであった物が。一つになっただけである。
その上かっちりと身体に貼り付く物ではなく、ひらひらとはためく普通の衣服なのだから―― はいてない が。その真価を発揮してしまう…に、違い無いと。
気が付いてしまった少女は。

こんな声を出すのか、と。級友達が初めて驚くかのような…まるで少女自身が絶対絶命、悪漢か魔物にでも貞操を奪われかけているかのような悲鳴を上げると共に、誤魔化すように腕を、手を振った。
勿論其処には。先程から持たされっぱなしの戦鎚が握られた侭である。

どがん、とけたたましい音をたて。隣にあった椅子がひしゃげた。

一瞬…どころかたっぷり数秒。誰も彼もが止まってしまう。男子達も。それ以外の級友達も。少女自身もだ。
振り下ろしてしまったハンマーをその侭に…ぎぎぎ、と。青ざめた少女が首から上だけ、彼女へと向き直す。
到底声には出ないのだが――訊きたがっているという事は、ありありと伝わるだろう。

これは何なのか。どうして、こんな事が出来てしまうのか、と。

ラファル > 「頭も良いし、凄いんだよー。偶に、教師してくれるって。」

 彼は、この学園で臨時講師をしてくれるそうだ、それを伝えて、ふふーんなんて笑って見せる。
 こう、面識を持ちたいなら、連絡すればそれなりに都合は付けてくれる。
 実際に見てみればわかるだろう、そう言うのは幼女が言うべきことではない、と。

 因みに、因みに。
 今のラファルも竜の特徴と云えば、その竜眼だけ。
 魔法で人の姿になっているのは、姉の意を組んでと言うのだ。
 そう言う意味で、姉が、トゥルネソルのドラゴンをしっかりと統制できていると言う事に間違いはない。

 人間と言う物は、可能性の獣だ、可能性を、運命を手繰り寄せて強大な存在に。
 魔に、神に、竜に、勝利をもぎ取っていく。
 道具を、魔法を、様々な物を発展させて、強力になっていくのだ。


「フィリちん?」

 首を傾いで、何かに気が付いた模様の姪に近づいて、顔を覗き込む。
 覗き込むと机を挟む形になるので、乗り出す様子になって、さらに言えば、は い て な い 。
 つまるところ、幼い女の子のその部分が、見えてしまうのである。


  ―――ドゴン。


 そんな音が、教室に響き渡る。
 彼女の手に持っているハンマーが、思わず落としたというような様子で椅子に叩きつけられてしまえば、椅子は砕けている。

「nice power。」

 何か説明を求めている姪っ子の、困惑などが色々詰まった視線を受け止めて。
 爽やかな笑みを浮かべてぐ、とさむずあっぷ。
 やけに良い発音な幼女は、うむうむ、と納得している様子。

「特殊な金属でできているハンマーなんだ、持つ主を選ぶ魔法の武器で、フィリちんちゃんと認められたね。
 それ、魔力を吸収して、威力にできるから、力が無くても魔力で殴れるし、魔法の障壁とか吸い取って消して殴れるよ!
 序に、ボクのはぢめてを奪ってくれたハンマーなんだ。
 その赤いのは、ボクの血だよ。だから、多分ドラゴン特効もついてるから。

 ―――だいじにしてね。」

 ぽぽ、と白い肌をほんのりとさくらに染めて、くねり、と身を揺らす。
 両手を頬に宛てて、キャー、とか、何とか。
 言わなくていい情報をクリティカルに挿して、混乱させるラファル。
 序に、初めてと言っても、初めての大ダメージを与えたという物で。
 そんな危険な物を、更に、竜殺し属性を付与したうえで、姪にプレゼントする当たり。
 ラファルの思考は、普通にぶっ飛んでいたりもする。

フィリ > 「 先生、に。ですか?それですと――はぃ、ひょっとすれば。近ぃ内にぉ会ぃ出来るのかも…しれなぃと、思われ、ます――」

なんと。それについては初耳だった。
いよいよリアル忍者のお師匠様に、直接対面出来る時が来るらしい。
具体的に何時になるかは判らないが、かの人物が講師となり、自分達が学生である以上。遠からぬ未来である筈だ。
…直近の弟子である彼女が、具体的な特徴については、百聞は何とやらで全く説明してくれない為。
元より妄想激しい少女の中では着実に。異国の物語その侭な忍者像が膨れ上がっていく。
いざ、実際お会いした時に。くれぐれも…粗相をしなければ良いのだが。

と、こうして会話している姿は。確かに、人間の姉妹風情に見えるのだろう。
人。竜。その中間、と。三つの姿を持つ彼女だが、普段は。その瞳を良く良く見ねば、幼い少女にしか見えない筈。
少女の方はより、人間と変わらない――何らかの、重篤な負傷でもしない限り。知らぬ者に素性を見破られる事は無いだろう。

…ない、筈だったのだが。
今迄は単なる、無口で人見知りな、姉妹以外に対してはぼっち気味の少女でしかない…と。
そんな風に見ていたであろうクラスメート達の眼差しが。今日この瞬間明らかに、変化してしまいつつあった。
まぁ、当然と言えば当然だろう。
人間は変化する。成長する。確かな意思を以て限界を超越する。
だが其処には確たる努力というか、過程というか、順序が存在するものだ。例えば子供の頃から学校で学ぶのも、そういった人生に於ける過程の一つ。
そんな学舎に通い始めて間もない上。基本的に、体育科目全般でへちょい少女が。ハンマーをぶん回して学校設備を大破させた。
何処にどうすれば、こんな馬鹿力が秘められていたのかと――ある意味での違和感を。抱かれてしまうのは、当然ではなかろうか。

お陰で今後目立ちかねないというか。浮きかねないというか。危惧するべきなのかもしれないが…
今は、未だ。少女は動転しきってしまい、自身の今後については、全く考えられていなかった。
優先すべきであろうと考えた、彼女の視覚的貞操の保護についても。動作がフリーズしてしまい、到底護れそうにないのだが。
幸い、破砕に巻き込まれかけた男子達は。性欲に生存本能が勝ったらしく、腰を抜かしつつも大幅に後退中。
…彼女が今以上に身を乗り出し、その分、短い裾がますます持ち上がる事にならない限りは。大丈夫だろう。多分、きっと。

何はともあれ、まず。凝り固まってしまった両手と、其処に吸い付いてしまったかのようなハンマーとについて。
頷く事すら出来ないままだが、どうにかこうにか…少女の聴覚は、彼女からの情報を収集する事が出来た。
ちくたくと秒針の巡る音を脳内に響かせて、断片的なそれ等の内最初の方――専らの疑問に対する部分を飲み込めば。

「 ―――― ―――― …つ…まり。
…そ、ぅ…腕力…ではなく、魔力、で。持ってぃるの――ですね。だから、はぃ、持ち上げられて…しまぅの、です。
とぃぅ事になりますと。……ぁぁ、なるほど、即ち…商会でも拝見ぃたします。魔力や、それを用ぃる術式を、装備や宝飾等に込める――
一時的に。術理を、学んでぃなぃ者でも、それを。代用可能になります…希少金属と――ぃぇ、それ等とはまた、規模も異なるよぅで…」

驚くクラスメート達。もう今日だけで幾度目か。
身内以外には殆ど口を聴かない少女なので、こうやって口を聴いている姿だけでも、初めて見る者達が居るのだが。
その上更に、珍しい魔道武具に目を光らせたかと思えば。所謂オタク特有の早口状態。
ぶつぶつぶつぶつ、早速魔道の代物であると知れたハンマーを取っ替え引っ替え矯めつ眇めつ。今学内である事を、うっかり忘れつつすらある様子。
…だった、のだが。

「   ぅぇ。 ぅぇぇ゛ぇ゛ぇっ!? らっ、らふぁ…るちゃん、さまっ!?
なっなな…ぃ、今そ…んな事、言ぅのはぃけな――っぁぁっ、ぁ゛――の、こ…んな………こ、んな大きな、のっ、がぁぁぁぁぁ……」

驚くクラス以下略。
幼女から付け足された爆弾発言は。事情を知らぬ健全な青少年達を、大きくどよめかせるのだろうし…そして、密かに脳内ピンク色な少女にも。クリティカルのダメージを叩き出していた。
冷静に考えたなら、いやどうやっても無理だろう、だとか。きっと「そういう意味合い」ではないのだろうだとか。誰にでも判りそうな、彼女の物言い。
しかし少女は一部の男子達よろしく、「はじめて」だとか血だとか、その辺で。大いに勘違いしてしまう。
かくして、むっつり属性を露呈した少女はきゃぁきゃぁと声を上げつつ、耐えかねてぶんぶんと握った物を振り回す。

――そう、懸案のハンマーである。これでまた、後一つか二つ。教室の備品が予期せぬ悲劇に見舞われてしまいそうだった。

ラファル > 「ま、呼べば多分お家でも家庭教師してくれると思うけどー。」

 そもそも。お家には、フィリの師匠に当たるだろう、姉。竜胆がいる。
 気難しい姉の事だ、フィリが別の師に教えを乞うとなると、へそを曲げる、幼女が、直ぐに思い至るぐらいに。
 それに、専門家がいるなら、専門家に任せた方がいいと、師匠は考えるだろう。
 忍術、忍びの専門だから、教わっているのだ、と。
 容貌に関しては―――実はよく来るから言わなくても判るだろう、的に考えて居たりする。
 なので、なんも考えてなかったので、知らないとは思いも寄ってないのだ。

 家族だから、普段静かな娘が、フィリがこんなにも声を出しているのだろう、そんな納得も受けられるかもしれない。
 妹がじゃれて、くっ付いて、姉のフィリが困っている、そんな微笑ましい風景。
 は い て な い お尻がちらちらりと、雄共を誘惑してなければの話。

 それに、ラファルはこの姿で瀕死に成ろうとも、人の姿を辞める事はない、その程度には、変身は出来る。
 フィリに関しては、とてもとても可愛そうだけれども、外的要因。
 主に引っ掻き回し系幼女のラファルが絡んできたからそうなる、これが、プリシアちゃんだったら。
 尊い空間で埋め尽くされて、シロナは死ぬ。

 まあ、ドラゴンに噛まれてしまったと不幸を嘆くべきだろう。
 静かな文学少女のイメージが粉みじんにされている今現状を鑑みると。

 こう、下がる男達、軟弱だねーとか思って、ゆーわくしてみよ―かなーとか考えている様子。
 もう少しお尻をあげて、曝け出されているあの場所をくぱぁしてみたり、とか。
 流し目で舌なめずりしてお尻を振ればきっと、繁殖欲求全開で突撃してこないかな、と。

 ただ、幼女だし、それで盛りまくるのも其れは其れでとか思わないでもないし。
 あまりやるとフィリちゃんが、新しく手に入れた戦槌で、虐殺ぱーりーを始めてしまうやもしれぬ。
 うん、止めておこう、自重自重。

「そだよ。ま、一応金属の戦槌だし?腕力も重要だよ、正しく使うには、振るうには、力はちゃんと鍛えないと。
 その辺りは、授業で覚えたりシロナおねーちゃんに、教えて貰えばいいんじゃないかな?
 後、大事なのは、それ、フィリちゃん専用になってるから、他の人が使おうとすると、魔力吸われて死ぬからー。
 死なないぐらいに魔力が多い人なら兎も角、普通の人に気軽く渡しちゃ、めーダよ?」

 さらっと、さらっと。
 爆弾をポイぽーい。白い爆弾魔の、ような危険な取り扱い説明をさらさらり。
 ちゃんとしまっとく宜しねー。とシェンヤン風にもいってみる始末。

「だって?じじつ、だもん。」

 ウインク一つ、チロり、と舌を出して。てへぺろ。
 ハンマーを振り回す姪っ子の可愛らしい姿、そして、周囲の子供たちの視線に、横目で楽しそうに笑ってにしし、と。
 とりあえずは、ハンマーの被害が少なくなるように、椅子とかテーブルとかをそっと音もなくずらして避けておこう。
 そして、そのテーブルの上に腰かける。

 みえそで見えない、太腿の間だと間の、闇の空間。
 そこに、女体の神秘が、有る、とばかりに。

「と言う事で、よろしくね?フィリちゃ。」

 にっこーと、満面の笑みで、騒ぐ姪っ子によろしくを伝えるラファルだった。

フィリ > 「 先生が、二人に――ぁ、ぁー…ぃぇ。私はその。興味は有るのです――が、きっと、つぃてぃけなぃの…です。
…例ぇばシロナ等でしたら…はぃ。それを、見学するなど、でしたら――」

少し想像してみたが。矢張り…異国の文化に対する興味は尽きないものの。実技を学ぶのは無理そうである。
武術や忍術だけでなく。自然下に於けるサバイバルだとか、役立つ知識を教わっても良いのだが。…つい、忍者、という響きから。
スニーキングでステルスキルやらワッショイでカブームやらを。真っ先に思い浮かべてしまうらしい。
――姉妹達の中だと、それについていけそうなのは。矢張り身近だと冒険者志望のシロナか。それ以外だと警備隊長となったルミスくらいだろうか。
なので自分は、それを見学したり応援したりで良い、と。首を振ってみせる。
後はちょっぴりでもお師匠様から…異国の話を聞けたら良いなぁだとか、だが。それは多分学院でも出来る事だろう。

そうやって。現在怪しげな部活動でこの場に居ない、直ぐ上の姉等も話題に挙がる。
目の前の彼女も、これからは妹(という事にしておこう)として加わるらしいので。今後はもう少し。彼女達を交え、人前で話す機会が出て来るのかもしれない。
…というか、そうならざるを得ないのではないか。今日一日でもうすっかり。少しばかり目付きと人付き合いの悪い少女――というイメージは木っ端微塵に粉砕されて。
マニア気質でテンパリがちのむっつり属性などという本性が。ばっちり、クラスメート達にバレてしまったのだから。
たった一日で此処までの大破壊を巻き起こしたラファル姉もとい妹、恐るべし、である。

…やがて。あまりに親和してしまい、魔力の通じている限り、文字通り重さを殆ど感じないせいで。
ついつい無意識に、鞄か何かのような勢いで振り回してしまう鎚。横文字にするとウォーハンマー、戦の道具。
漸く少しばかり落ち着いて、世間話で盛り上がるおばちゃんの如き手の動きが止まった頃には――もう少しばかり。避難させて貰えなかった何かが壊れているかもしれないが。
それでも、人的被害が出なかっただけ未だマシだろう。
状況が状況なら、辛抱しきれなくなった男子達が後少しだけ、勇気を振り絞っていた場合――昼休みの教室で。思わぬ淫らな宴が始まっていたかもしれない。
そして目の前で巻き起ころうとする淫靡な情景が。また違う形で少女を暴走させていた可能性が高いから。

勿論。既に出てしまった物的被害に関しては――怒られる事が確定だが。

「ち、力、とぃぃますか―― はぃ、力の込め方?使ぃ方、ですね――私は、その。
魔力と同じ…なのです、加減とぃぅのが、判らなぃ…と、思われます、ので。
……っわ、わ、ぁわわわわ………!?そ、それは先にっ、ぃぃ、言ってぃ――ただきたく…っ!?」

…実を言うと。少女も本気になれば腕力自体は、同じような背格好の人間達よりもずっと強い。
しかしそれは諸刃の剣。肉体が、自壊に対するリミッターを持たない為の。過剰出力でしかないのである。
当然、そんな筋力だけでこの鎚を振り回そうとすれば。たちまち両腕から何からイカレて、痛みで泣き喚く事になるだろう。
程々の力。御しきれない竜の魔力と同様に。これも少女の課題というべきか。

が、どうやら。骨折や筋断裂はまだマシであるらしい。
それこそ普通の人間なら。たちまち搾り尽くされてしまうと聴かされて、ぎょ、と。
ようやくぶん回す事の危険に気が付き、ぎゅ、と。両腕で抱き抱えるようにして、周囲から遠ざける。
…今日帰宅する時は。一度家令さん辺りに連絡し、包む物を持ってきて貰おう。そう内心で。

「し――かし…ぃ、ぇ?ひょっとして、その、持ち手の方――……ぃ、ぃぇ、血…は、鎚の側…ですし……

っは――! っは、ぁ、ひゃぃっ。 …ぉね――こちらこそっ、ふ、ふつつかながら、ぉね――がぃするの、です――」

鎚を抱え。さりげに破壊しなかった、自分の椅子にへたり込むと。
眼前の机に乗っかった幼女の、見えてはいけない部分が見えそうで。また意識してしまう。
…よもやこっちか?と、長い鎚の柄を握り込み、上に下に摩り摩りする光景は。またぞろ男子達の妄想を掻き立てそうな、違うような。
というか。対外的には妹となったが、見た目幼女であれ彼女もまた、人間ではなく…それでいて、マグメールの民である。
今になって、はじめて(性的な意味で)、である筈もないと。落ち着いて考えれば気付けるのかもしれないが…その時はその時で。
また、危うい彼女の、危うい光景を。ついつい妄想して頬を染める事になるのだろう。
飛び上がるようにして、色々間違った気のする言葉で。妹(ではない)をクラスへと歓迎し…さて。
他の姉妹も加えて明日からの学院生活は、また大きく。様変わりしていく事になりそうだ――――…?

ご案内:「コクマー・ラジエル学園」からラファルさんが去りました。
ご案内:「コクマー・ラジエル学園」からフィリさんが去りました。