2022/04/12 のログ
ご案内:「ねこのマーキング場」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「~~~~~~~っ…にゅ、ふ、にゃふっ……っ♪」

ててて、と裸足がレンガを走る音。
ふにふにとした肉球のような柔らかさで泥汚れや切り傷擦り傷のない不思議な幼子の足の裏。
それが軽快に石畳を蹴り、壁から壁に飛び移り、幼子の3バイの身長はあった屋根へと華麗に舞い上がり着地する。

平常よりも優れた運動能力に、嬉しそうに喉を鳴らす薬師の少年…
その黒髪からはぴょこんっと仔猫の耳が生え、お尻からはしゅるん、と長く綺麗な一本の猫しっぽが揺れていた。

「ゅ~~~っ、ぅ、にゃうっ…! こんなこと、シてる場合じゃない、のにっ……
じっとしれられにゃ……っ ぁあ、もぉ~~~!」

人体や種族を一時的に変化させる薬の研究中、誤って猫科のミレーの要素に心身が变化してしまった少年薬師。
本来であればじっくりと自室に籠もって治療薬の研究でもしたいところだが、
どうにも春の陽気や心地よい風…そしてそれに乗ってきた、そこらの猫か、魔物か、ミレー属の悪戯か、
なんだかキモチがそわそわしてしまうマーキング臭に魅せられて、
ついつい猫獣人の運動神経を駆使して、その痕跡をたどるお散歩に出てしまった。

…ときどきには、本能に従ってマーキングの後をちょろちょろとおしっこを小出しにしたり、
ぴょこんとはえる愛くるしく幼い肉茎や玉裏を、それらフェロモンの痕跡になすりつけて、興奮と自分のアピールという、
人の姿の頃には思いもよらない獣性の高揚にも遊んでしまいながら。

タン・フィール > 「……!」

風上の方角から、再び追跡するべき他のイキモノのにおい。
すっかり猫のナワバリ意識や、特定の匂いを持つ正体の知れぬ何者かを追跡するという、
ワクワクとした好奇心や冒険心に目覚めた猫の子は、

「―――もーちょっと、もちょっとだけ、おさんぽしたら、
しっかりおウチ帰って…ちゃんとお薬の研究、するんだから…っ」

と、宿題やら、家の手伝いを親に急かされては、
おそらくはその日にも芳しくない事になる子供特有の、
眼の前の夢中になっていることをもうちょっとだけ、もうちょっとだけ、と追いかけてしまう稚気。

たんっ!

と軽やかに屋根から飛び降り、枯れ木を一度蹴ってクッションにし、ふわっ…と石畳に降りると、
すんすん石畳に感じるにおいを辿って路地の奥へと進んでいく。

そこに待つのは、仔猫の旨を高鳴らせる、興奮に直結するであろう未知の相手……
ヒトか、魔族か、ミレーか、魔物か、
あるいは、どれともつかぬ意外なものが、匂いの正体かもしれない。