2022/01/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場~大倉庫通り」にイスルスさんが現れました。
イスルス > その日は雨 そう 冷たい雨が降っていた

冬の時期の雨ほど、嫌がられるものはない
雪のほうがまだ掃えば零に戻せる
しかし雨は体の中にまで流れ込んで熱を消していくかのようになる

海に生きる者程、それを深く知っていた

凍り付いていく船 傾くバランス 落ちた時の凍てついた 熱を感じるほどの冷たさ

冬というだけで 地獄を与えられる場所

今夜はそんな 凍てついた時間を思い返せるような雨の中
幸いにも風がなくまっすぐに降り落ちてくるそれを、黒い傘一つを翳すことで覆いながら遮りとして歩くイスルスがいた

大倉庫通り 海での商いでは 頑丈で 大きな 保管できる場所というものは
なかなか必要になってくる場所である その場からサクリとことが済めばいいものの、中にはそうもいかない事柄だってあった

雨の大倉庫通りは積み上げられた煉瓦や混合疑似土で出来上がったもの つまり完全同一性の建築で一杯だった
これは個人の差異で余計な裕福度を翳す 目印となる などを避けるための処置のもの
全員が同一を使用することで、賊から狙われることも軽減されているものだ

しかしそんな処理 荷物置き場のような場所へと なぜボスがイスルスを派遣するのか
イスルスを傍に置き、琥珀酒を注がせる 葉巻に火を灯させ 有事の際の壁となれるイスルスを派遣する
それは、忠実で全身を塗り固めた暴力の塊だからこそだろう

マフィアならではの 粛清 というものだった。

イスルス > 正義を注ぎ 悪事を挫く
そんな騎士道精神とはまるで違う
マフィアはマフィアのルールと仁義に基づいて事を動かす

ボスが黒と述べれば白も黒に塗り替わり 黒を白と述べれば白く濯がれる中
港湾都市のこの街で商いをするにあたり、一定の金 所謂マフィアが管理 維持 守護をする店や船というものはある
マフィア自身の商いと同じく その暴力性で整えられた面
それに牙を向ける者も 商いを邪魔する者も 等しく制圧していけばマフィアの一部は拡大されていく

イスルスは、一つの倉庫にたどり着いた
明かりは見えず シンと静まり返るようになっている
しかし その鼻先 その頭部に隠された聴力が、分けて発見へと至る

目の前には数人の護衛 それも倉庫を管理する者として服装が偽装されたものらばかり

しかし口調は雑で 尖り そしてなにより その臓腑から出る言葉の匂いはイスルスから同じ者らと認識され
ハイライトの無い瞳はこの雨の中で 暗い夜に同化するように奥が見えないままに
傘を広げたまま目の前で突き出すように差し向けるのなら

「……。」

ザクリ と、傘越しに握られたステイレット 鋼の杭剣が深々と胸骨を貫いて心臓をえぐった
抜き取ることで溢れ出る噴の赤は、傘で遮られ全てが雨と溶け消えていく最中、それを次々と行っていく
中には、くるりと傘でまた頭上を覆うのなら、蹴撃で顎を下から打ち上げる 間接という障害を消すような完全なI字バランスで作られる
その踵の撃で、下顎で鼻まで覆い隠すような変形 それを作りあげて転倒させる。

最後には、踏み込みと速度の中で首を握りしめる五指 それが息を絶やす前に、首骨を絶った。
冷たい雨で毛先からクラシックメイド服まで濡らした中 それでもイスルスの体が震えることはない
歯が鳴ることもない中で、ゆっくりとその躯を首をつかんでぶら下げたまま 傘を入口に立てかけてから中へと参上する

イスルス > ポタリ ポタリ 冷たい 濡れた雨の雫が乾いている足元を濡らしていく
倉庫の中 積み上げられた石と塗り込んだ壁の中ではこの時期 湿度を感じることはない
湿気ていない空気の、乾いた匂いの中 明かりが漏れないよう中央を起点として薄暗い明かりの中だけの空間にて、それらはいた

最初は、ふらついたシルエットと姿に見張らせていた者とさせ、何かを聞くような素振り
イスルスは入り込んでから男を首を支えに目の前で覆い隠されるようにして立っている

ふらふらとした 脱力した足元の引きずりに気づくころには、イスルスのリムフレームの反射と
その仄暗い水底のような 中央の鮫の瞳を見た者が何かを叫んでいる

メイド服で襲撃に来るような者など、限られているせいだろうか
イスルスとは呼ばれずとも、所属しているボスの組織名を含まれたのなら
イスルスは種族性のステータスを用いたその膂力を以て、思い切り投げつけるようにして
数人をピン飛ばしのように散らかして見せた

メイドとしてはあるまじき行動だろう

「……。」

そして、黒首輪が取り付けられた無味乾燥の表情は、濡れたまままるで何も感じていないかのようにすら思えるそれ
その表情の中で、イスルスはボスの命令通りに実行する

組織の利益と縄張りを犯す者は 須らく 処分する

足元を潜ませて毒を塗り付けた短剣で夜の寝床に忍び込む者らと同じように
イスルスは一人単身で、愛用するステイレットを両手 ヒュパッ と抜き出すのならば
倉庫内 完全に締め切られた中は 外で感知してみせたように 何ももう聞こえないかもしれないだろう中へとなり
フリントロック銃や刃を携え始めた者らと

威勢と無言

多数と一体

人間と人外

それらの向かい合いから始まるものが 辺りに 赤 と 砕けた音
それらで埋め着くされていくだろうか

フリントロック銃の、一瞬の着火による火薬が燃える空白の時間で
一人を突き出して見せればつぶれたカエルのような声を上げて鉛玉を埋め込まれた男が倒れこむのを
その眉一つ動かさない 瞳だけが角度をつけて見下ろすという表情で見下ろしてから

「……。」

再び前を向く、顎 視線 瞳 があった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場~大倉庫通り」からイスルスさんが去りました。