2021/12/06 のログ
ご案内:「鍛冶工房一帯地域」にスピサさんが現れました。
■スピサ > 王都マグメール
鍛冶場工房一帯地域 昼
すっかり冷え切った寒冷の時期
そこかしこでは炉で焚いた火熱を生んだ後の煙がもうもうと立ち昇っている
幾つもの工房では金属を打つ音が聞こえる
村の鍬や鎌を拵える、猟師や近隣の獣を退治するためのものを拵える
野鍛冶とは違い、一つではなく複数だ
そんな一つの鍛冶場工房にて、スピサは相槌もいない一人きりの場所
一人だけの世界の中で、オープンの看板は扉に下げていても 全ての扉は締め切っている
サイクロプス特有の、大きな単眼 青い肌
女の体でも火の明暗で見える筋肉の凹凸の陰り
グローブを嵌めた両手には、ヤットコと槌
挟んでいる全身に火熱を帯びた、触れるだけで身を焦がす金属の延べ棒
それを打つ音は独特だ
金属と金属 剣と剣を打ち鳴らす鉄の悲鳴ではない
鍛冶師の一振り一振り 魂を一度ずつ伝えているかのように
火熱を帯びた、槌に応える熱棒は 音を呑みこみ
コォォォンッ
コォォォォンッ
と、熱を帯びる間、槌の一振りを受け止める
だから、音はまるで鋭くならず、鋭い部分だけを呑みこんだような音になる
だからこそ、魂の入った武器は、須らく 鋭くなれるのだろうか
「……ふぅっ。」
頭に赤いバンダナを三角に巻き、革のオーバーオール姿
額は受け止めても、首筋や谷間 腕にはうっすらと汗を掻いている
武器の形状は、今は斧を作り上げている。
斧は 行き来する中で 道具に用い、武器として奮い 時には投げつけることで
窮地を変える代物である
剣とは違い振り下ろす腕の力が物を言うそれ
剣とは違い、全身が錆で覆われても折れることが決してない分厚さと
蘇る力を持つのも、こうした分厚い武器の強みだ。