2021/11/22 のログ
エレン・ローズマリー > 狂宴

全員で〝キョウエン”しているとこうも騒がしくなる
下品な笑みと仮面をかぶった面で、骨付き肉を齧る絹織りを身に纏う紳士
唾液を垂らしながらキマっている若者ら

ハイブラゼールで見る一角となんら違いはない
大店宿の中にエレンも品のある身なりで入り込むのなら、スポンサーとして
でしゃばるわけにはいかない

灰にされたもの 祈る形で舌から上が飛ばされた者
かばうように折り重なって倒れ 貫通した穴を残す二人組

躯 躯 躯

その中で、紅い血が靴に浸ればいくつも綺麗に痕を残す
その後ろ廊下を眺めて、紅い瞳を細めて笑みをこぼす
これこそ、皆殺しでしか見れない 華 の一つだろう
とてもきれいに見えてしまう

明かり群れる夜の宿の中、一匹逃した声と共に
肌が青白い灰色となっている者が獣のように逃げてくる
それに向かって、エレンは脇から抜いた拳銃を手に
右膝 左膝 其処へ向かって 一発 二発

火薬と鉛玉とは違う独特な発射音を立てて砕くと、目の前にスライディングをきめた者
追ってきた冒険者にクイと顎を向け、手負いにしただけだと察した一人が
一抜けすれば心臓と思える部分に、肋骨を抜けて平突きで貫かせた中間剣

捻りを咥えて心臓を潰すそれに、にっこりと笑みを浮かべ

「首の数を挿げ替えても、血の匂いと死臭が数を知らせるのだから
 皆さん 頑張って♡」

誤魔化しはしない 成果が総てだ

そう聞くと、このだましだまされる世界での真っ当は評価を得ようと
スポンサーに対していいところを見せてくれるだろう

全員が狂気的な笑みと共に、血を口に含まないよう 目に入らないように
そして何より噛まれないように 其処に気を付けて

殺して 殺して そして殺して殺されて

討伐クエストは順調だった
全くもって、順調そのもの

「私たちの住まう港湾都市の傍に、怖いものが在ってはいけないわ。
 お父様、ほめてくださるかしら。」

家族愛で満たされる笑み
今だ聞こえる濁音悲鳴 ぎゃああああ が耳に心地よい

エレン・ローズマリー > 本命はどこにいるのだろう
皆はそれに近づきたくはない しかし近づきたい
誰かが手負いにしながらくたばればいいのに

そんな願いと共に、先行するのは勇気あるものではなく
鏃を銀に変えた弩を持つ者ら

狩人出身の肉に変え続けてきた者らなどが最も有用視される

辺りの朽ちた肌 土色の肌
青白い肌 いくつもの肌が群れる中で、灰になっている者は盛り塩同然になっている
足元がやや白灰色に煤けている者らを見ると心が躍る
死体を踏みつけながら踏破する者らは、どんな形であれパッと見えて目に浮かぶ

「宿って儲かるのね 私も手を伸ばしてみようかしら。」

利益さえあればいいのだから、荒利経費含め他に任せてもいい
湯宿経営も街道を挟んで向こう側なら、噛んでみようとフフッと笑みを浮かべ
その中で 身体動かずとも首から上が動く者に、手に携えたままの港湾都市ならでらの新式拳銃
一度の引き金で二つが飛ぶそれが頭部を弾けさせれば、足元とスカートの飛び散る赤の飛沫

「さて 全部終わったら火にかけないと。 油や火の用意はできていて?」

手ごまや傍にいた雇い者へと聞いてみれば、油は巻き続けているらしい
外側から故に中で燃える人型がいる分には問題ない

「ちょっと、寄ってこないで頂戴。」

火に包まれた一人が目の前で走ってくる
水を求めてさまよったのだろう 湯宿で水気を求めてたどり着けない顛末には

            ≪―――ッ!!≫    ≪―――ッ!!≫

と小さな手の中で握られた、大人用のサイズの拳銃が
その者に引き金を二度引いていく
縦に並んだ銃身から、魔弾が計4発叩き込まれ、背中から倒れていった
内部の血が、ジュウジュウと音を立てる中で自然と火は消えていくだろう

燃え続ける理由なんていうものは、案外ないものなのだ。

ご案内:「九頭龍山脈 湯屋の一群 」からエレン・ローズマリーさんが去りました。