2021/10/07 のログ
リコリス > しばらく待っていると、コツコツと足音がやってくる。

「ようやくか。待たせるものだ」

開いた扉に、リコリスは視線を向けた…。

ご案内:「貴族の邸宅」からリコリスさんが去りました。
ご案内:「娼館通り」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「んっしょ…っ んしょ…っ …っふぃ~~~っ…」

酒場、雑貨屋、宿、娼館…
様々な店が軒を連ね、松明やランプで看板を煌々と照らす賑やかで猥雑な通り
通称「娼館通り」。

そこの、精力剤や夜のグッズを扱う市場エリアにて、
丈夫そうな厚手のかばんを左右の手に一つずつぶら下げた小さな薬師が、人混みを避けながらふらついて歩く。

かばんの中身は、薬の素材となる薬草や果実や精油や酒・香料・魔物の素材…
あらゆる怪しげなものが放り込まれており、
両手で抱えれば「そこそこの重さ」程度のそれを、
左右に一つずつでは、小柄で華奢な幼子にはなかなかに重労働で。

十数歩歩んでは、十数秒立ち止まって休憩するという、なんとも効率の悪い買い出しとなってしまった。

「~~~っ…こうなったら… …っ…ふ…よい、っしょっ…!」

と、鞄の中の素材、薬草の葉っぱの先端や、魔物の干物の端っこを千切り、
精油を2滴ほど手のひらに落として、それらを浸透させ、
ぺろ、ぺろ、と舐めていく。

途端に、全身の血管が脈打ち、汗ばんでいき、細い手足の筋肉に僅かずつ力が宿っていくのを感じる。
即席の体力や筋力上昇効果を狙った、薬師ならではの解決方法の試作であった。

「んっ…!げんき、でてきたかも…っ!」

まだ両手のかばんに重さを感じるが、徐々に負荷が軽くなっていくのを体感し、
むふーっと鼻息も荒く、心機一転再び市場を歩みだす。
行き交う人々に時折好奇の目で見られながらも。