2021/09/20 のログ
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にリスさんが現れました。
リス > トゥルネソル商会、平民地区と富裕地区の境目にある、大きな商店である。
 貴族の豪邸のような広い土地に、煉瓦で作り上げられたがっしりとした重厚な建物は、4階建てであり、見上げるような大商店。
 しかし、見た目とは反して、売って居る者に関しては一般の人の手が届くような、日用品や、食料などだ。
 冒険者用に揃えられている道具、武器防具に関しては、多数の在庫を取り揃えているが、鉄製の武器が殆どである。
 量産品と言っても、一流のドワーフの匠の作った武器で、高品質な物が殆ど。特別なものが欲しい場合は、偶に在庫が入るのを待つか、一階の受付カウンターで、オーダーメイドをする必要がある。
 ポーションも一般的なポーションは大体揃っている、特殊なものなどは、専門店に行けばいいだろう。

 基本的には、庶民に寄り添った値段の売りもの、が殆ど。
 高級品なども取り扱いは有るが、4階の高級品売り場にまとめられてしまうので、他の一般的な物との在庫の違いが判るだろう。
 薄利多売、庶民の味方を遣って居られる理由としては、ドラゴン急便を初めとした、竜による荷物移動のネットワークがあるから。
 トゥルネソルは、馬車による陸送だけではなく、母親の海竜の護衛の下の安全な海運、眷属の荷運びによる空輸。
 其の三種類を取り扱っているから、他の店よりも品物が早く安く手に入る。
 遠くの物や、危険な物だって、ドラゴンなら取りに行くのは問題ないので、この店にはおいてある。

 見当たらなくても、リスを初めとした店員に聞けば、大体揃うと言うのがトゥルネソル商会である。

 そんな店は、今日も元気に営業中だ。

 店長のリスも、店の中を歩き回って、店員達や、困っているお客様がいないかどうかを見回って居た。

リス > 店の中の店員は、殆どがトゥルネソル商会の契約している奴隷……商品でもある。
 犯罪者を奴隷として使う事は少なく、両親に売られた子供や、ミレー族などを買い取り、其処で教育を施している。
 文字の読み書きや、算数、礼儀作法など、性的な事は知識だけにはとどめておくが、様々に学ばせ、此処で実地訓練として店員をさせる。
 客が、好みの奴隷が居れば、店員、若しくはリスに話をして、購入する流れになる。
 そのまま、貴族の家でメイドの仕事を出来るぐらいには仕込むので、余り変な主に引き取られない限りは問題は無いだろう。
 それに、奴隷と言っても店員として働くので、給料は渡している。それで、自分の為の物を買うもよし、自分を買い取って、自由になるための資金とするもよし、である。
 永遠に奴隷のままという訳ではないのはモチベーションともなるだろう、そんな風にリスは捉えている。
 ある程度の時期に、ちゃんとどんな風になりたいかは確認したりもする。
 店自体は年中無休の24時間営業だが、三交代制で、時間ごとに交代もあるし、休憩時間もとれるようにしてる。
 休日も普通の人と同じようにあげているうえに、福利厚生も考えて居る、ずっと働きたいなら、奴隷を終えた後もこの店で働きたいと言うなら、働くことも可能にしている。

「不満や、こうしたい、があれば、言ってくれれば、良いからね。」

 常々そう言う風に言い聞かせているけれど、今の所は、大きなものはない。
 こうすれば、もっと見やすいとかそういう提案は、多い所だが、不満は無いのは、少しばかり怖い。
 本当に大丈夫だろうか、と考えてしまう時もあるくらいだ。

 気を取り直し、元気に働いている店員を眺めながら、視線を逸らし、お客様を見る。
 基本的には庶民、主婦層や、冒険者に関しても、其れなりにいる模様。
 冒険者が駆け出しなのか、熟練者なのか、それは、実はリスには判らない、強さに関するバロメーターを見ることができない。
 と言うか、駆け出しでも斃せてしまう位には、リスは、弱いので、どれも強そうな人、と成るのだった。
 それ以前に、お客さんと言うカテゴリになってしまう。

 だって商人だもの。

リス > 店の中は活気に溢れていて、肉や鮮魚を売る店員の声、ポーションが安売りだと叫ぶ人の声。
 リスは、何気にこういう喧騒は大好きだ、そして、買い物をして嬉しそうに帰っていく客を見るのも、大好きだ。
 良い買い物をしてくれればいいな、と思いながら、少女はのんびりした足取りで、店の中を進む。
 それと、あまり知られては居ないのだけども、トゥルネソル商会での買い物に、お金は、必要とは言い切らない。
 例えば、高額な武器のオーダーメイド、お金だけで注文するならとても高いが、自分で素材を持ち込めば安くなる。
 ドワーフは気難しい種族なのだけども、ミスリルや、アダマンタイトなど、良い素材を持って行けば、其れだけで作ってくれることもあるのだ。

 食料品や、衣服、そう言ったものが買いたくてお金が足りない時、リスに相談をすれば。
 状況に依っては、値段を下げたりもするのだ。
 売り上げは大事だが、それ以上に、人の役に立ちたいと言うのもある。
 冒険者ならば、道具を貸し出しにし、毎月お金を支払う代わりに、広告塔になってもらう、とか。
 そう言った、お金以外の抜け道がある、それを知るのは一部なのだろうけれど。
 そんな店なのだ。

 見回りながら、三階の武器防具のフロアに移動する。

「――――。」

 そして、入り、一番最初に目につくのは、煌びやかな魔法の武器防具。
 これに関しては、ずっとある、買い手が付いていないのだ。
 妹と、その師匠が魔族の国で手に入れたものを、商品としてるのだけども、矢張り高いのだろう。
 ただ、品物の価値として思うのならば、安易な値下げは出来ない者であり、それ故に今は在庫となってしまっている。
 どうしたものかしら、と、頬に手を当て、少し困ったようにため息一つ。

リス > 「矢張り、貸し出しの方が良いのかしら。」

 置いている武器は、風の魔法の効果のある、剣、槍、魔法増強効果のある杖。
 それと、同じく風の魔法付与のある、鎧。
 ずっと置いてあると言うのは、高いと言うほかに、何かあるだろうか。と考えてしまう。
 使い捨ての魔晶石に関しては、流石に貸し出しは出来ないが、鎧や武器ならば、貸し出しを考えても良いかもしれない。
 しばしの間、マジックアイテムを眺めて悩む、これらの武器防具は、ちゃんと鑑定されているし、竜の目で見ても、濃厚な魔力が付与されている。
 後でもう一度考えてみようかしら、と視線を外して。

 店内をある程度回って視たが、今日は特に問題はなさそうにも思える。
 それなら、と少女は軽くため息を吐き出して、戻ることにする。
 事務室に移動して、店の売り上げなどの事務を熟してから。
 引継ぎを行って、少女は、交代の店員にねぎらいを掛けて家に帰るのだった。

ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からリスさんが去りました。