2021/09/08 のログ
ご案内:「平民地区 瀟洒なBAR」にリスさんが現れました。
リス > 偶には、飲みたくなる時も、有る。
 マグメールの平民地区の片隅、路地裏にあるBAR、名前などはなく、しかし、其処はとても小奇麗でお洒落なお店。
 酒場の主人は壮年から老年と言った感じの静かな男性で、彼が振るうシェイカーの音が店の中にあるゆいいつのBGM。
 大衆酒場のように、大声で騒いで飲むのも良いが、此処は、静かに酒をたしなむところ、といって良いだろう場所。
 テーブルなどの調度品も又、綺麗に磨き上げられた木製の円形のテーブル、あちこちまで行き届いた清掃。
 屹度、富裕地区でも問題なく店を開けるような、そんな店内、屹度ヴァイオリンや、ハープなどの静かできれいな音楽が似合いそうな店だ。
 そんな場所に、少女は一人でやって来ていた。此処は、商人ギルドのメンバーだからこそ、知っているような店。
 普通に見つけてくると言うのであれば、それは運がいいのか、若しくは通か。

 少女の目の前には、白いワインが、グラスに注がれていて、その脇には、白いチーズ、どれもこれも、塩気の強めのものである。

「――――ふぅ。」

 本当は、誰かと来たかったのだけども、今日もみんな忙しいらしく。
 だから少女は一人、酒場で酒を飲むという事にしている、少女自身酒は強い。
 酒の味を知らなければ、お酒を売るときに酒の魅力を伝えられない、と色々なお酒も飲んだことがある。
 今日も、その一環でもあり、ある意味酒で気ばらし、という側面も持つ。
 しずかに、白く細い指で、チーズを一切れ摘まみ、一口かじる。
 それから、その塩味を感じつつ、白ワインを一口含み、嚥下している。

リス > この店は、静かだ。理由としては、マスター自身が、余り騒がしいのが好きではないので、そう言った空間として店を作って居る。
 椅子もそこまでは多くなく、10人は入れれば良いぐらいの場所でもある。
 と言って、雑談などまで禁止しているわけではないので、喋ったり楽しんで酒を飲むのは問題ない。
 ただ、大衆酒場のようなバカ騒ぎが駄目だというだけの話の店でもある。

「今日は、私しかいないのね?マスター。」

 普段は、常連の人がもう一人二人、いる筈だとは思ったのだけども、今日は居ないらしい。
 本当に自分だけの様で、之からくるの、と問いかけてみれば、来るかもしれませんし、来ないかもしれませんねぇ、と。
 この店自体、利益を目的ではなく、マスターの趣味、と豪語している、其れだけあって、お店はとてもいい感じで、拘りぬいているのだ。
 彼の趣味に同意をしたから、お酒などは、リスが手配している。
 そう言う縁もあるので、此処のマスターとは友人みたいな近しい関係を持たせてもらっているのだ。
 お酒に関しては、このマスターにもいろいろ教えて貰っている、ともいえる。
 話し相手、来てほしいわね?なんて、マスターにからかうように囁き、グラスを一口煽る。

リス > 今宵は、見事な閑古鳥、らしい。マスターは趣味で行っているから、それでもいいらしく、口元に余裕の笑みを浮かべている。
 もう、と軽く少女はため息を零して、軽く笑う。
 彼の店なのだし、彼がどうするか決めているので、此方は何かを言うことはない。
 そもそも、この静かな空間を、楽しい雑談の場を設けてくれている彼には感謝しかないのだ。
 そこに、残念ながら誰も来なかったとしても彼を責めるのはお門違いでもあるのだし。

「さて、余り此処にいてお酒を飲んでいては、怒られてしまうかも、だし。」

 家令長は、リアルタイムでこちらを見ているのだろう、そろそろ迎えをよこしに来るようなタイミングだ。
 迎えが来ると言うのは、いい加減にしなさいと言う彼の意思表示でもあるので、其れで戻ると怒られることは殆ど。
 怒られたくないわ、と、代金を支払って、チーズをパクリ、とはしたなく食べて。
 ワインも干して立ち上がる。

「では、ご機嫌よう。」

 また来ますね、そう頬笑みを浮かべて、扉を開ければ、冒険者が数名。
 護衛の冒険者は、今回はリスの手配ではなく、家令長の手配であり、お迎えと言う名の連行でもあるのだろう。
 がっしりと、周囲を囲まれて、少女はとぼとぼと、家に帰っていくのだった――――

ご案内:「平民地区 瀟洒なBAR」からリスさんが去りました。