2021/09/05 のログ
ご案内:「何処かの地下室」にヘルティナさんが現れました。
■ヘルティナ > 気が付くと、視界は暗く閉ざされていた。
「――ンッ……ゥ……。」
咄嗟に身体を起こそうと試みるものの、ギチリ――と軋むような音色を響かせるばかりで身動きが取れず。
紡ごうとした言葉すらも自由にならずに零れるのはくぐもった呻き声ばかり。
それでも思考だけは冷静で、自分が今目隠しと猿轡を嵌められた状態で椅子に縛り付けられているのだと理解するまでに、そう長い時間は掛からなかった。
声や音の響き具合から察するに、場所はそう広くない――何処かの地下室だろうか?
「……ンンッ……ッ、フ……ハァ……。
嗚呼……もぅ、最悪……何なのよ、此れ……。」
幸い、緩みかけていた猿轡は唇と舌を動かす内に難無く外れ、自由になった唇から零れたのは悪態の言葉。
しかし頭の後ろで縛られた両腕と、椅子の肘掛けに固定された両膝は一向に自由になる気配は無く。
赤いドレスの裾から覗かせた両脚を大きく広げた格好の侭、身動き出来ずに囚われているという状況は、女のとって屈辱以外の何物でも無かった。
■ヘルティナ > それから暫く、手足に力を込めて拘束を振り解こうと足掻いて見せるものの。
ギシギシと、縄と粗末な椅子の軋む音が地下室に反響するばかりで矢張り解ける様子は無く。
「――まったく……何処の誰だか知らないけれど……。
後で見付けたら、八つ裂きにしてやらないと気が済みませんわ……?」
そんな仄暗い決意を呟いてから、ハァ――と長い息を吐く。
自力で拘束を振り解くのは難しく、無駄に体力を消耗するだけと悟ったのか、抵抗の音は次第に大人しくなり。
それならば、女を捕らえた誰かがやって来るのを待ってから、
隙を見て返り討ちにした後に脱出してやろうと目論むのだけれども。
シンと静まり返った地下室の中、いつ訪れるとも知れぬ人物を待つしか無いという状況は、思った以上にもどかしくて――
■ヘルティナ > しかしながら、その後も地下室を誰かが訪れる様子は無く。
良い方向であれ悪い方向であれ、女を取り巻く状況が変わるのはまだ暫く先の出来事――
ご案内:「何処かの地下室」からヘルティナさんが去りました。