2021/07/19 のログ
ご案内:「渓谷」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 山岳地域の森の中。
さし伸ばされた枝の間から見える真っ黒な夜空に欠けた月が白く浮かんで、風が揺らす樹々の葉擦れの音に夜鳥が鳴き交わす声

――――の他に、水の跳ねる音。

「ん―――あ――――…
 生き返る……」

岸壁を伝うように水が流れ落ち、小さく滝になっているような沢に身を浸す女エルフがひとり。
昼間野山を駆けまわって喉はカラカラ。
飲み水の補給をと水辺を探していたが、こんなに大きな沢に巡り合えるとは思いもかけず
思わず歓声と共に汗みどろの服を脱いで、少し冷たいけれども水浴びと洒落込んだ。

勿論、周囲には気配探知の魔法を巡らしたし、精霊にちょっと見張りもお願いしておいた。なので覗きとかその他は野生動物以外は来ないはず。もし来てしまったらそれは相当な魔力か何かの遣い手だから、まあ、それはそのときで――――

「にゅあ~~~~~
 つめたい、気持ちいい~」

御託はさておき
兎に角べとべとの身体がサッパリするのが心地よくて、腿まで水に浸かって掬い上げて顔をばしゃばしゃと洗う。
うーんたまらない。ぷはっと吐息を吐くとばしゃんと座り込んだ。
ごつごつした岩がお尻に痛いけど、多少昼間に日焼けもしたんだろう、水流が火照った肌に心地いい。
膝を抱えて夜空を上目に見れば、ちかちかと瞬く星の中に星座を探してみようと試みる。

身体が落ち着いたら服も洗ってしまおう。
明日朝までには乾くはずだ。

そんな事を考えながらぼんやり空を見上げていると、つい癖で鼻歌を歌い出す。
少し、不用心が過ぎるかもしれない。

ジギィ > たっぷり1曲鼻歌が終わるくらいで身体から火照りは去っている。
ざぱっと銀色の飛沫を散らしながら立ち上がると、銅色の肌をつるつると雫が滑ってまた流れに戻って行く。

何となく目でそれを追ってから岸へ向かい、ぶるぶると頭を振るとまた銀色に雫が飛ぶ。
その拍子に目を閉じたせいか、ふわっと欠伸がひとつ零れる。
ぐしぐしと瞼を擦りながら岸辺に放っていた服を取り上げ、寝ぼけまなこでざぶざぶと水洗い。

「ん―…」

においをかぐ。あせくさくない。
うんと満足げに笑うとぎゅーと絞って適当に樹の枝に掛ける。
そうしながら今夜の寝床を探して視線を彷徨わせる。
今夜は星が綺麗だ。
枝の混みあった樹の上でも良いかもしれない…

梟の声が聞こえる頃には、沢もいつものせせらぎの音だけを辺りに響かせて――――

ご案内:「渓谷」からジギィさんが去りました。