2021/05/11 のログ
■イディオ > (自覚すると、かなり泣けてくる、もしかしてギルドはこれを目的としてるのではないだろうか。
そして、楽しい事なのか悲しい事なのかわからないが―――こういう時に限って、仲間を求めてくるような冒険者はいない。
詰まるところ、究極的に、責め苦のような状態であるという事だ。
自分だけではない、この場にいる全員に対しての、責め苦だということが判る。
えげつない手をするものだ、ギルドと言うのは、こういう事さえしてでも、更なる功績が欲しいのだろうか、と。
確かに、成功する冒険者が多ければ、そのギルドの功績となる、そして、冒険者が増えて、ギルドに益を齎す。
此処にいる冒険者は、実力が劣っているのはいない筈だ。
なのに、チームを組ませて、高ランクのチームを作りたいのだろう、もっと、大きな成功が欲しいのだろう。
それを考えると、ギルドという物の闇が見えてきそうで怖くなる。
男は、ブルり、と一度身を震わせて、息を吐き出す。)
「まだ、だろうか。」
(そろそろ、離れて酒を飲みに行きたい、他の人物もそうなのだろうそわそわしているのが見える。
しかし、ギルドの係員が来る気配はない、流石に来るまでは、動くわけには行かないのだ。他の皆もその様子なのが判る。
どうしたものだろう、と天井を見ている冒険者が居れば。
扉の方を見ている冒険者も居るので、大体は同じような感覚なのだろう。
仲には、本気で仲間が欲しいのだろうか、周囲をキラキラしている眼で見ている冒険者も居るのだが。
全員全力で、視線を合わせてないのが、怖い所だ)
■イディオ > (しばらく以上の時間帯、そのまま男嵌って居た所、ギルドの職員が入ってくる。
本日はもう、大丈夫ですよ、という言葉にその場にいた冒険者全員が喝采をあげた。
矢張り、皆ここに這いたくなかったんだろうな、ということが判る、約一名残念そうな人が居るが其れに視線は向けない事に。
そして、やれやれ、という雰囲気を醸し出しつつ、冒険者たちは去っていった)
ご案内:「冒険者ギルド」からイディオさんが去りました。
ご案内:「元鉱山」に影時さんが現れました。
■影時 > ――まぁ、きっとこのような話は、よくあるに違いない。
かつて魔族の国に近い、境にとても近い山の一角に、良質な魔術鉱石が採掘が出来た鉱山が「あった」。
だが、今は無い。閉ざされている。鉱石を求め、深く深く掘り進めて――地脈を掘り当ててしまったのだ。
まるで、魔族の国から漏れだすようにして地脈から溢れた瘴気が坑道を侵食し、やがて棲み付いた魔物の根城と化した、というお話は。
嘗ての坑道内にとどまった瘴気は埋蔵された魔術鉱石と妙な反応を起こしたのか、特殊な生態を内部で蔓延らせるに至った。
曰く、奇妙な植物が蠢いている。
曰く、その植物を喰らって肥大化した体躯の魔物が跋扈している。
曰く、――植物と魔物の内臓から、強力な催淫作用をもたらす薬物を作れる、等と。
魔物達が略奪などで運び込んだ宝物狙いよりも、売れると分かった諸々を当て込んで冒険者達が死地に飛び込むのは、道理だろう。
如何わしいマーケットで捨て値で捌いても、其れなりに収入を望めたのだから。
何故、其れが過去形になったかと云えば、この元鉱山跡で死亡する者、消息を絶つものがいよいよ無視できない数になったからである。
「……――っ、と。ここが例の場所か。踏み込む前より、いやーな氣がビンビン来やがるとは、面倒な場所だなこりゃ」
と、そんな声が山肌に穿たれた元鉱山の入り口に響く。
斜陽に照らされた禿山同然の荒れ地に立つ影は、この地では珍しい異邦の装いを纏い、口元を覆面で覆った男の姿だ。
柿渋色の羽織の下に鎧と暗灰色の装束に身を包み、左腰に太刀を佩いた姿がぽっかりと黒く口を開いた向こうから、ごうごう、と響く風の音を聞く。
そのうえで嗅ぎ取るのはありありとした異臭だ。
硫黄臭めいた其れは、耐性がないものが吸うとたちまち死に至りかねない瘴気である。
瘴気は空気よりも重いらしく、辛うじてという塩梅で山のふもとまで降りることはない。
だが、それでも漏れ出たものは毒性で周囲を冒しているのだろう。
大量の木や炭を焚く金属精錬場の類が近場にないにも関わらず、この付近が荒廃しているのは此れが理由か。背負い袋を降ろし、持参してきたものを検めながらそう察する。
口では面倒を謳うが、装備を点検する姿に油断も何もない。慣れたことを仕事として捌く熟練の姿勢がここにある。
ご案内:「元鉱山」にシロナさんが現れました。
■シロナ > 何故、こんなことになったのだったっけ。ぽっかりと開いている鉱山の入り口に、呆けた表情で突っ立っているのは、少女といって良い年齢の子供。
トゥルネソル家の娘で、次女のシロナ・トゥルネソルと言う、リスとゼナが、愛し合った結果生まれた双子の片割れ、妹。
母親は冒険者で、姉も冒険者、叔母も冒険者となると、冒険者一族と思われがちだが、トゥルネソルは商家である。
母親の強さに、姉の奔放さ、叔母の自由にはあこがれを持つが、冒険者に成りたいか、と言えば首を傾いでいる娘だ。
そもそも、体を鍛えるのも、戦技を鍛えるのも、趣味といって良いような状態で実践などはあまり考えてなかった。
寧ろ、戦士ギルドの実力者を倒したぜやったぜ、みたいなメスガキ思考がないとも言えない。
叔母がどう考えたのかは知らないけれど、不意に、叔母の家庭教師がやって来た。
遠足だ、と連れてこられたのはこの場所だという事だった、装備を整えて来いと言われたから、愛用のハルバートに、レザージャケットなどの動いても大丈夫な恰好で来た。
「―――えーと、カゲトキせんせ?」
叔母の家庭教師、叔母の常識形成や、勉強などを、逃げたときの捕獲も上手だと聞いている、上級の冒険者だと聞いている。
何故にアタシをこんな所に?紅の目は、その頭は、疑問符をふよふよぷかぷか浮かばせている。
ちなみに、シロナの竜種は邪竜―――闇に位置する竜であり、ファフニールか、ウロボロスか、その辺りの種類。
未だ、叔母たちの様な決まり方はしていないが、暗黒の竜なのは間違いない。
あと、姉と同じように、淫魔の資質を持っているのも、間違いはない。
だからという訳ではないが、此処の瘴気や、淫気に関しては、完全な耐性があった。
というか、自分が本気を出せば、この瘴気鳥も強い其れを出すことが出来るだろう、姉はもっとすごい、垂れ流してるし。
思考が―――
―――ずれた。
一番の質問としては、こう、口元を覆い隠して、入る気満々な人物。
叔母の先生であるカゲトキさんが、何を思い、自分を此処に連れて来たのか。
そして、リスはなぜ、弁当と、幾つかのポーションなどの消耗品と、お金を包んだのか。
「あ。」
そこまで言って思い出した。
「カゲトキせんせ、これ、かーちゃんから。」
風呂敷という、影時先生の国の物を包む布に包まれた、お弁当と水筒(中身は強めの酒)ポーション、革袋(恐らくお金)をバックパックから取り出して差し出した。
そこまで渡してから、何で、ともう一度首を傾いで問いかける。
■影時 > そう、「遠足」というのは決して誇張でも比喩ではない。
一定のレベル以上に極まった冒険者は、斯様な局地であったとしても鼻歌交じりで生還する。
件の場所の犠牲者が多いのは、一重に己が力量を弁えずに稼ぎだけを求めて無茶をした結果というのが、実際のところだろう。
瘴気で我を失うことや行動不能になるようなことはないが、
流石に初心者が足を延ばすには遠いが、毒消しや耐毒装備の用意も怠りがちな食い詰め者には荷が勝ち過ぎるだろう。
荷物の整理のついでに、洞窟の入り口の地面をよく睨む。
自分達のそれとは違う形状の足跡が、まだまだ新しい状態で残っている。此れは「居る」なと考えていれば――。
「あー、ナンだねシロナ君?」
声が響く。このような面白げな場所には、だいたい弟子を伴う処であるが、今回は違う。
先に請けていた依頼の達成に対し、力量というよりは素質として適用であろうと察せる場所を選んだ。それがここだ。
響く声に作業の手と見分の目を止め、振り向きながら反応を返そう。
そうして、差し出される品に、すまんね、と片手拝みを向けて。
「突然だが、俺の雇い主の依頼によりお前さんに修行をつけるため、此処まで引っ張ってきた。
――故にわざわざ、こういう品を寄越してくれたってワケだ。
……一応聞いとくが、瘴気は得意か?平気か? 俺はあんまり好きじゃァないが」
此処から遣る事を考えると、安全な場所で開封するのが適切だろう。
己の背負い袋の中に受け取ったものを仕舞い直し、入れ替えるように取り出したものを確かめる。
トゥルネソル商会の店舗で売りに出ている革製の防毒マスクの改造品だ。
わざわざ、それを二つ用意している。瘴気の耐性有無に関係なく、つける前提で。
■シロナ > 自分の質問に、返答をしてくれる先生。
少女の認識の中では、彼女は叔母の先生であり、自分たちの事は、片手間に見てくれている時もある。
だから、面識もない訳ではないし、先生と素直に呼べるのだけど、今まで、自分だけが呼ばれたことはなかったのだ。
ラファルが居ないこの状況舌氏が初めてで、しかし、平然としている所を見れば、目的は自分なのだと判るのだけども。
「は?お母んの?
―――何を考えてるんだか。と其れは、お母んに聞くしかないか。
瘴気?瘴気は吸って吐いてるよ。アタシは、問題ないよ。
というか、アタシが出すほうが濃いの出せるから。
叔母やラファルちゃんや、お母んと違って、完全に人の形だけど、一応、人竜だしね。
竜の種別で言うなら、未だ、確定ではないけど闇の竜、一般的な邪竜と呼ばれる種類だから。」
母親の依頼らしい、母親と言っても、リスとゼナ、ふたりが居るので、リスの方はお母ん、ゼナの方はお母さんと、読んでいる。
尊敬度が違うから呼び名も違う模様。
防毒マスクは、革製に見えても、ドワーフが作っている、ドワーフはイメージ的に鍛冶と思われがちだが、それだけにとどまることでは無い。
物を作るという全般に適正のある種族で、革製に見えても下手な魔法の道具よりもしっかり効果乗る物を作る。
革だから安いので、其れなりに売れるアイテムなのである、魔術師の魔法も阻害しないし。
瘴気に関しては、はふ、とピンク色の唇から、色が付いて見える位に濃厚で邪悪なそれを吐き出して見せて、平気をアピール。
ただ。だ。
「この瘴気の中を持って歩いたら、これ、ダメね。」
そう言って持ち上げるのは、ハルバートと、腰につけた手投げ斧
この少女、意外に思うかもしれないが、店売りのそれを使っている、特製のアイテムではない理由。
お金も稼いでないのに、親の金で、そんないいものを持ってもねぇ、という思考。
そのあたりは、母親のけちさ加減を引き継いでいるのかもしれない。
なので、バックパックの中にしまい込む、するすると入るのは魔法のアイテムで、流石に、そう言うのは、甘えた模様。
■影時 > 「それと、あと俺の弟子からの「お願い」だなぁ。
……道に迷っているンだろう? 俺には行き先を指し示すことは出来んしやらんが、行先の一つの具体例を示すことはできる。
そう、其れだ。その認識よ。なまじ遣れちまうから、行き先が定まらん。
ないものからすれば、血の涙を流しても羨む位のお話だなァ。
であれば、今この場は我が技にて少々枷を嵌めさせてもらうとするか。――『動くな』」
同じ血統、血筋でありながら、こうも違うのか。
邪竜という形容はいまいちピンと来ない点はあったが、初回の邂逅で左腰に佩いた屠龍の太刀が震えたのだ。
己が生き様の行先と道筋を誤り、害為すものとなったとなれば、竜殺の権能が全開となったろう。
ともあれ、閑話休題。
瘴気を呼吸できる生態というのは分かったが、冒険者体験ツアーとしての側面を含むこの旅では、枷を嵌めるべきだろう。
防毒マスクを右手に提げ、左手で刀の鍔を押す。
ほんの僅か、鞘に収まった太刀の白刃を覗かせれば。
ただ、それだけで、業<ゴウ>――、と。瘴気とはまた違う圧が生まれてまだ間もない竜の眷属を襲うことだろう。
今の主が御さない時、竜殺の太刀は竜種が近くに居る時にこのような圧を放つ。その気配に己が命じた通りに身を強張らせたなら、行動に移す。
改造を加えた防毒マスクを装着させにいくのだ。
職工で名高い種族が作った品だ。安っぽい感覚はなく、薬草と炭材を組み合わせた其れはだいたいの毒を濾過して、正常な呼気を齎す。
その機能に加えた仕込みは、「特定の条件の呼吸」をしなければ、途端に息を詰まらせるというものである。
その条件とは、体内の氣を高め、活性化させるに適した呼吸法だ。
個々人で差があれば、条件はまちまちだが――例えば長く長く吸い、吐くのが容易ならば、それが「正解」だ。
■シロナ > 「ラファルちゃんの……?
うーん……ラファルちゃんに心配されるのはうん、まあ、判らなくないかもだけど、複雑……。
――――は……っっ!?!?!?!?」
先生の話に、たはぁ、と苦く笑う。叔母は外見の通りの10歳児、自分は、外見とは違い一歳。
とは言え、言動や行動は、猫の陽で自由気ままな叔母、野生児といって良いおばに心配されてるとなると、一応でも、理性的に生きている積りの自分はなんか靄っとしてしまうのだ。
幼女の叔母に心配されるレベルなのか、というそれで。
ただ、先生もその辺り何か、思う所があるらしい言動に、マジでとか答えようと思った所。
全身に掛かる重たい重圧、否重圧を超えた、何かが飛んできた。
知らない感覚だ、ただ、逃げたいと思うのに、逃げられる気もしない、未知の感覚に動けなくなり、唯々、腰が砕ける。
生まれて初めて受ける、殺意、絶望、それらを竜を殺すという概念の圧に、ただ、腰を砕いてしまうのだった。
そう、トゥルネソルの娘は、既に冒険者をして自由に生きている姉を覗き。
安全な籠の中で大事に育てられている、だから、危険を、殺意を、敵意を知らない、知っていたとしても理解してない。
押し寄せる敵意に、危機感に、ただ、何もできずに弛緩し、それこそ、獲物の前のうさぎのように、為ってしまっている。
失禁したりしていないのは、竜としての精神力が高いから、に過ぎない。
それも、竜殺しの圧を前に、一歳にも満たない赤ん坊と考えれば、我慢しているといって良いだろう。それほどの圧。
あっさりと、先生の手により、少女の桜色の柔らかな唇はふさがれる。
呼吸が詰まり、混乱する。
流石に、人間の部分が多いので、呼吸を止められれば、死んでしまうかもしれない。
動けず、マスクで息を制限されて、もがもがし始める。
■影時 > 「近親者として、気にかけてもらえン分だけ、ましだぞ。俺はそういうのは無かったからなぁ」
その苦笑する処については、分からなくもない。
中身と云える精神の年齢が見目に率直に出る一族となれば、奔放な野生児然とした弟子の言葉にそう思ってしまうか。
そうも思うよなあ、と肩を竦めつつ、竜殺の権能を宿した太刀の圧の洗礼を浴びせ、事を成す。
今のところ、この太刀を真の意味で振るうつもりはない。
機会があるとすれば、それは冒険者ギルドで発布されるような複数人編成前提のクエストに載る位の事例だろう。
だが、そうそうあるまい。あっても、有名にはなりたくないと思えば、正体を隠さずして名乗りを上げる必要すらある。
覚えのある限り、確か二度目となる太刀の圧の開帳に対し、失禁するようなこともなく耐えられたのは見事。
「今回はな、こいつを付けてもらう。
こういう場所だと、用意周到な人間は付けて挑む。粗雑な奴だと戦う段ですら無ぇが、商会が仕入れてる奴は質が良いなぁ。
……――苦しいだろう? こいつは、チカラを練り上げるのに最適な呼吸の拍子を保っていたら、途端に善くなる。
さっき仕舞った得物も出せ。使うに躊躇いがあるなら、必要経費で片付くだろうよ」
こういう仕込みを組み込んでも機能を失わないのは、仕入れている品の品質が確かだからだ。
ケチるものは、こういう細かな装備の充実すら、しない。させない。
もがもがし出す姿を横目に、背を向けて先に行くぞ、と坑道の入り口に踏み込む。早足ではないのは、呼吸を掴むまで待つために。
■シロナ > 「もがもがもがー!」
先生の言いたいことは判らなかった、と言うよりも、呼吸の仕方が判らない。呼吸の調子という物があるらしいが、有るということが判っただけ。
それがどのような、呼吸の仕方なのかが抜けて居て、酸素を求めて、ごろりごろごろ。
最初の圧と合わせて、それどころではないと言うのが正しいか、パニックになって居ないだけ、まだましというレベル。
呼吸の仕方を探り、呼吸が出来ず、もがもがしているだけだった。
「もっもー!」
吸ったり、吐いたり、吐いたり。吸ったり。
酸素が上手く吸えない、吐き出せない、呼吸が苦しいが、ただ、少しずつ、少しずつ、酸素の入る匂いがする。
匂いがするという事は呼吸が出来るという事で、それを一杯吸うにはどうするのかと模索している。
そんな七、講釈していた先生が、行くぞ、と歩き始める。
待って、待って。
流石にこの状況で置いて行かれたらたまらない。もがもがしながらも立ち上がる、くらりと酸素が足りずに眩暈がする。
それでも、少しずつ、慣れてくるのか、酸素を吸えるようになってきたら。
慌てて、呼吸を乱さないようにしながらも、ハルバートを取り出しながら追いかける。
武器というよりも、大きい杖代わりになって居るのは、否めない。