2021/05/05 のログ
ご案内:「森林迷宮」からエゼルさんが去りました。
ご案内:「街道」にジェイクさんが現れました。
ジェイク > 王都から離れる事、半日。昼下がりの近隣の村落に通じる街道。
普段から人の往来が多い、その道を遮るように柵が設けられ、
道の脇には幾つかの天幕が建てられ、簡易的な陣営の趣きを為していた。
街路に立ち、通行する馬車や通行人を差し止め、積み荷や身分の検査を行なっているのは、王都の兵士達。
曰く、此処最近、山賊や盗賊の類が近隣に出没するために検問を敷いているという名目であるが、
実際の所は隊商からは通行税をせしめ、見目の良い女がいれば取り調べの名を借りて、
天幕でしっぽりとお楽しみという不良兵士達の憂さ晴らしと私腹を肥やすための手段に他ならなかった。

「――――よし。次の奴、こっちに来い。」

でっぷりと肥った商人から受け取った賄賂を懐に入れて、彼の率いる隊商を通せば、
列をなしている次の通行人に声を掛けて近寄るように告げるのは一人の兵士。
何よりも厄介なのは、彼らが紛れもない王国の兵士であり、市井の民が逆らえない事だ。
そして、その事を理解している兵士達は、御国の為ではなく利己的に国民を食い物にしている最低最悪な屑揃いであった。

ご案内:「街道」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院」にプリシアさんが現れました。
プリシア > 王立コクマー・ラジエル学院。
平民地区と富裕地区の境に存在し、広大な敷地に様々な学びの場を提供している場所だ。
そんな学び舎に在る施設の一つ、図書館に其の姿は在った。

学院の生徒の大多数が指定の制服を着ている中、黒一色のゴスロリ衣裳の姿は目立つ事だろう。
パッと見は背中迄届く緩やかにウェーブ掛かった漆黒の髪を持つ、小さな少女。
少女と云う依りも、幼女と云った方がしっくりとくるかもしれない。
確りと見れば気付くのは、そんな髪の隙間から僅かに見える小さな二本の角と、背中で畳まれた同じく小さな黒色の翼、後は衣裳のお尻の部分から垂らした此れも小さな尻尾。
人間で無い事は解るだろう。

チョコンと身の丈の合わない椅子に座り、足をプラプラと揺らし乍、読書中である。
横から後ろから覗き込めば見えるだろうが、其の本の内容は低学層向けの簡単な本。
真面目に学んだ事の復習中であった。

プリシア > 勉強も此の子の環境なら周りから教えて貰える事も出来るだろう。
だが其れを選ばなかったのは、仕事で忙しそうな皆に迷惑を掛けたくなかったから。
甘えたい年頃ではあるものの、そんな処は意外と確りしているのだ。

因みに服装に関しては特注のものを発注中。
普通の制服では翼と尻尾が塞がってしまうからだ。
其処は学院側が理解している為、今は特に何も云われたりはしない。

「う~…」

其れでもやっぱり子供は子供。
一人黙々と勉強をするのは集中力が持たないらしい。
ポスンと開いた本の上に突っ伏してちょっと一休憩。
チラッと顔を横に向けて窓から見える景色に目を向ける。
もう少ししたら帰宅の時間、そんな頃合である。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院」にセルフィアさんが現れました。
セルフィア > 少女が図書館を訪れたのは、授業終わりのことだった。
今日の復習を兼ねて、教師が紹介していた本を一冊、読んでみようと思ったのだ。
他の人に借りられてやしないだろうか。そんな考えは杞憂で、目当てのものはすぐ見つかった。
ならば後は読むだけ。それから本に視線を落とした少女は、黙々と読み勧めて――。

「……ふぅ、結構読み応えがありましたね」

最後のページを捲った少女は、ぐぐっ、と背筋を伸ばして一息つく。
ぽきぽき、と背骨が鳴った様な気がする。同じ姿勢は良くないなぁ、と由無し事が浮かぶ。
さて、と外を見れば、それなりに時間が経っている様子。どうしたものかと立ち上がり。

「――うや?」

ふと、視線を向けた先に、可愛らしい小さな女の子が居ることに気がついた。
本に顔を埋めるように突っ伏して、どうやら窓の外を眺めているらしい。
纏っている服を見る限り、迷子というわけではなさそうだが。
ともあれ、なんとなく、否、結構気になる。だから、少女はふらっと近づいて。

「……こんにちは。突然すみません。お勉強、ですか?」

努めて笑顔で話しかけてみる。怖がられたらショックだなー、とか思いながら。

プリシア > もうちょっとしたら帰らなきゃ。
窓の外の景色を眺め乍、そんな事をふと思っていた。
ぼんやりと考え事をしていたから、誰かが近付いて来る事には気付いてなかったのだけれど。
流石に声を掛けられれば、モソッと本に埋めてた顔を上げて其方に目を向けた。
空色と蒼色の二色の眼が声を掛けた主へと向けられる。

此処に居るのだから同じ学院の生徒。
幾許か年が上の少女の様だ。
小さく小首を傾げてみせる。
其の動きに合わせ、フワリと緩やかに髪が靡いた。
其の表情は少女が懸念する様な怖がっている色は無い。
逆にニコッと人当たりの良さそうな笑顔を浮かべる。

「こんにちは、おねーさん。
えっとね、うん、プリシア、お勉強してたの」

ツラツラと達者な口調とは云えない、所々少しばかり引っ掛かる様な拙い口調でそう返す。

セルフィア > 近寄る気配に気づいたのか、顔を上げた彼女と目が合った。
ふわふわとした髪、くりりとした空と海の色に似た瞳、抜けるような白い肌。
服装も相まって、最初の印象はヴィンテージの生きたお人形そのものだ。

「わぁ、かわいい……」

普段は感想を内に秘める少女だが、今回は感情が強すぎて言葉に出てしまった様子。
それもその筈。お人形の様な可憐さを持つ彼女が、にっこり笑ってくれたのだから。
きゅぅん、と胸の奥がときめいた気がする。恋慕よりは、母性に近いなにかだが。

「プリシアちゃん、ですか。ふふ、一人でお勉強なんて、偉いですねぇ。
 ……えーと、そうだ。私の名前は、セルフィアって言います。よろしくです」

たどたどしい口調もまた、容姿に似合って微笑ましい。
ならばと、聞き取りやすい様に速度を下げて、己の名を告げる。
甘やかしたい、可愛がりたい。そんなうずうずを内に秘めながら。
何せ、この少女、可愛いものには目がないのだ。

プリシア > 向けた眼に少女の翡翠の眼との視線が重なる。
口調と雰囲気から優しそうな人、との印象を抱いていた。

「かわいい?」

唐突な言葉に小首を傾げた侭、鸚鵡返しで問い返す様に。
自分に云っている言葉なんだろうな、とは思えるのだけど、反射的に向けられた言葉だったので、つい。
其れでも少しの間を置いて。

「ありがと、おねーちゃん」

褒められたのだからと、傾けていた頭を戻し笑顔の侭でそう伝えた。

「あのねあのね、プリシア、まだ、ちゃんと出来ないから。
だからね、頑張って、ちゃんと出来るようになるの。

せるふぃあ、おねーちゃん…うん、わかったの。
よろしくね、セルフィアおねーちゃん」

少女からの質問に、たどたどしく答えて。
続いての自己紹介に一度名前をゆっくりと復唱してから。
改めてもう一度、名前を伝え乍ペコリと御辞儀をするのだった。
人と関わる事自体は好んでいるのか、背中の小さな翼とお尻の小さな尻尾が機嫌良さそうに揺れているのだが、椅子に隠れて見え難いかもしれない。

セルフィア > ぺこり、目の前でお辞儀をする様子には、思わず感心してしまう。
自分がこの位の年の頃は、もう少しやんちゃだった様な気がするから。
それこそ、木登りとか、花畑にこっそり遊びに行ったりとかを楽しむような。
故に、こうして初対面の相手にしっかりと挨拶をして、笑顔を浮かべられはしなかった。
しっかりした子だ。親御さんもさぞ立派な方なのだろうなぁ。そんな予感が浮かぶ。

「いえいえ、私としたことが、言葉に出てしまってました。
 ――ん、ちゃんと、出来ない、ですか。ふーむ……?」

先程までの様子を見るに、本を読んで何かを学ぼうとしていたのだろう。
それが、彼女の出来ないこと。なるほど、そういうことなら――。

「……それでしたら、私が分かる部分だったら、教えてあげられるかも、ですね。
 とは言え、プリシアちゃんが何をお勉強しているのか、まだ見てないですけれどー」

どうでしょう?と首を傾げつつ、彼女の様子を見る。
椅子の陰で何かが動いたような気もするが、あまり気にならなかった。
可愛らしくて人懐っこい彼女の一挙手一投足の方に注意が向いているのだから。

プリシア > 見た目と違い、まだ産まれて間もない幼竜であるからこそか。
そうした遊びをあんまり知らない侭、色々とお勉強がしたいならと薦められた学院に入ったのだ。
そうした遊びを教えて貰えれば、若しかしたら楽しめるのかもしれないが。
其れは教えて貰ってから分かる事だろう。
相手に対する確りとした姿勢は、親が商人であるが故であろうか。

「……?うん、そうなの」

つい言葉に出してしまった事には、よく分からなさそうに首を傾げて。
続いて、コクンと頷いて答える。

顔を上げているから今は見えるのだが。
読んでいた本が読み書きの本である事が解るだろう。
子供向けの、そう難しくはないものだ。
普通に考えれば、見た目からすれば少し遅れている感じに見えるかもしれない。

「良いの?セルフィアおねーちゃん。
あのね、まだ、ちゃんと読めないところとか、あるの。
皆みたいに、出来たいから…お願いして、良い?」

少女の申し出に、少しばかり迷う様な仕草をするのだけれど。
両手を重ねる様にして膝元に添えると、ちょっと身体を屈め見上げる感じに。
ジッと少女を上目使いに見詰め乍、そうお願いするのだった。

セルフィア > ちょっとした興味から声をかけてはみたが、すっかり彼女の魅力にメロメロな少女である。
分からない所があることを自覚していて、分かる様になりたい、という向上心も健気だ。
きっとこの少女でなくとも、彼女の様子を見ていたら、手伝いを申し出たくなるだろう。
つまり、これは当然の行為である。もっと仲良くなりたいとかそんな不純な気持ちは――多分にある。

「ん、勿論です。プリシアちゃんよりお姉さんなのですから、頼って良いんです。
 私だって、分からないことが沢山有るからお勉強をしにこの学院に通っているのです。
 先生や仲良しのお友達に質問したりもしますから、プリシアちゃんも、同じ様に、ね?」

言葉を紡ぎながら、ちらりと彼女の手元に視線を落とす。
なるほど、子供向けの読み書き手習いか。それならば、教える分には問題ない。
外見にはそぐわない内容な気もするが、礼節が確かな子だから覚えるのは早い筈。
そうでなくとも、一度お節介を薦めた以上、最後まで面倒を見るのが筋だろうから。

「それじゃ、何処が分からないのか教えてもらっていいですか?
 読めない所は一緒に読んで、書けない所は一緒に書いてみましょう!」

大丈夫、と笑顔を向けながら、内心はきゅぅんとときめき上昇中である。
小さくて可愛らしい子の上目遣い。可愛さの怒涛にほわほわと幸せなのだ。
こうして居るだけで、寿命が伸びる気がする。そんな気分で、彼女の対面に腰掛ける。
流石に、膝に乗せて一緒にというのはちょっと恐れ多い気がしたから。萌え死ぬだろうし。