2021/04/15 のログ
ご案内:「昼下がりの森」にエルリットさんが現れました。
エルリット > 暖かくなるにつれ、小鬼(ゴブリン)の討伐依頼が増えてきた。

畑や家畜を荒らし、時には人までも襲う害獣は、世に尽きまじ。
一体一体は弱く、しかし数が多い小鬼の駆除は、なにかと面倒で敬遠されがちではある。

「1…2…3……逆側に、1、2!」

少女風貌の冒険者は、森の中を駆けながら敵の位置を確認していた。

姿勢を低く、素早く。
ときおり飛んでくる矢や石……
粗末な弓や、投石紐(スリング)から放たれるそれらに当たってやるつもりはない。

右手は小剣の柄にかけたまま。
左手の指が虚空をまさぐり、呪印を結ぶ。
パゥ、パゥ、と、風を震わす音と光……
魔素(マナ)が矢となって、冒険者の細い指から放たれた。

魔力矢(マジックボルト)。
雑魚狩りと揶揄される基本の魔法だが、少女風貌にとっては燃費のよい攻撃手段。
まさに数の多い雑魚相手には有用であり、光の矢は、木々を縫って小鬼達を打ち抜いていく。

「気配は落ち着いた。他の人達、大丈夫かな」

何人か、同じ依頼を受けていた冒険者がいたはずだ。
戦いが済んでいるならそれでよし。
彼ら彼女らが苦戦していたり、たまたま通りがかった一般人が巻き込まれたりしたら、助けにいかなくては、と周囲の気配を探る。

エルリット > 風に乗って、ゴブリンらしき耳障りな威嚇の声がどこからか届いた。
エルフの血を引いた尖り耳が、ピクリと動く。

まだ見ぬ仲間に加勢するべく、少女風貌は地を蹴り、銀の馬尾髪をなびかせた。

ご案内:「昼下がりの森」からエルリットさんが去りました。