2021/03/02 のログ
ご案内:「王都の路地裏」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都の平民地区、商店街と住宅地をつなぐ人通りの少ない路地。
冬に体を温める効能のある食材や薬の材料などを買い出しに来た小さな薬師が、
ぱんぱんに素材が詰め込まれた紙袋や革袋、おおきなリュックサックを背負って、
十数歩歩んでは一休み、 一休みしてはまたなんとか歩き出す懸命な行軍を繰り返していた。
「っふーーーっ!…ちょっと、よくばって買いすぎちゃった、かも…」
寒い冬の日が続くなか、少年が自らの住まいとし、薬屋としても開いているテントのなかの、
薪ストーブや焚き火の温もりはなかなか抗いがたい安らぎで、
なるべく外出の頻度を下げるために、少年の細身では持ち帰るのも難しいほど、
ごろごろとした野菜や果物、干物やキノコ類などを買い漁ってしまった。
その合計の重量は10キロにせまるほど。
筋骨隆々の兵士や冒険者とはいかない小さな薬師の腕や足腰が限界にきて、
いったん荷物を下ろすたびに「ずん」と鳴るほどの重量に途方にくれながら、
じんわり汗ばんできた額を桃色のシャツの裾で拭って、
まだ自分のテントが見えてこないか、路地の遠くの方を赤い目をぱちくりさせながら見据え、息を整えている。