2021/02/16 のログ
ご案内:「ダイラス 海辺の公園」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 港湾都市ダイラスの、歓楽街と港とをつなぐ大通りがある。
その通り沿いにある防風林に囲まれた公園は、潮風の影響を考慮してか木の枝を利用したブランコがぽつんとあるきり。夜ともなればただ拾い広場から月を見上げるくらいしかすることが無さそうだ。

通りから少し離れているうえに夜ともなれば通りにさえ人気は無く、遠くさざ波の音が漂ってくるだけ――――のはずの、場所に

「…ん――――…ちょっと、違う…」

すこし小高く丘になった草っぱらの上、胡坐をかく姿はひとつある。
手には『胡弓』と呼ばれていた楽器を抱えて、海風に紛れるくらいの音を漂わせては、首を傾げて考え込む様に弦を指で弾いたりしている。

(……同じ音は無理だろうけど)

たまたま立寄った広場で楽師が演奏していたのを見てから、つい通りがかった楽器店で衝動買い。
旅の身なれば持ち歩くに少し難しいとは解っていたけれども…つい。
弦がついている楽器を見ると何となく惹かれてしまう。
買ったからにはそれなにり弾けないとそれも癪にさわる。
宿を騒がせるわけにはいかないから――――こうして潮風に髪を嬲らせながら、人知れず音をくゆらせている。

ジギィ > 諦めては試して、手を止めて溜息をついて、ためつすがめつして
―――ふと、風に乗る音が漂う。

「!―――――…」

女は軽く驚いたように目を開くが、弾く手は止まずにするすると動く。

最初は同じ音を繰り返し。
やがてとある旋律に。

程なく女は引くことに没頭して、月が中天に昇るころまで
音楽ともつかない揺らめく音は、幽玄の様に夜空に昇って消えていく。
もし耳に留めたものが居たのなら
歓楽街からの音楽が、如何様にして巡って来たのかと首をかしげたかもしれない…

ご案内:「ダイラス 海辺の公園」からジギィさんが去りました。