2020/12/06 のログ
ロブーム > 一度理性を取り戻せば、流石に状況の把握は素早い。
その理知は、流石といった所だ。
男は、満足そうに微笑んで、

「宜しい。双方ともに、言えば何時でも施術させるので遠慮なく言い給え。施術には多少の時間がかかるから、話の後で時間を作ろう。そして、君の提案だが……」

と言っている内に、ローザが紅茶を淹れてロブームの方にもカップを手渡してくる。
男は、それを受け取ると、手元にブランデーの瓶を召喚し、その紅茶に追加する。
ローザが呆れて「ご商談の時ぐらいはお酒をお控えになればいいのに」と言うが、しかしその無詠唱の召喚術は、彼の魔術の力を明らかにするだろうか。

「君の加護を直すこと、そのものは容易い。
自然に歪んだもの故、何処が歪んでいて、何処が正しいかは容易に判断できる――」

と、当然のように言う。
しかし、だが、と彼女の期待を一度諌める様に言って。

「その術式は私にとっては愛でるべき個性でもある。少し手を加えれば、私が愉しめる様な術式に書き換えることもできそうであるし」

と言う。
そこで一旦反応を見る。
絶望なのか、それともその上で交渉をしようとするのか――どちらにせよ、彼女が何かを言う前に。

「"修復"ではなく"支配"なら、やってもいい。
つまり、君のその紋章術式の制御権を、私が得る。
当然、君が必要な時は効果を無効化したり、或いは正常化する――その代わり、私が必要な時は、その紋章の効果を自由に書き換える」

男が言うのは、ある意味では彼女の奴隷としての鎖を更に増やすようなものだ。
だが、元々書類上の契約で彼女は縛られている。この上、更に鎖が増えても問題ない、とそう考えることも可能だろう。
元より、この男が奴隷に悪意があるなら、成り立たない提案なのだから。

「勿論、期間切れ、或いはその他の要因で奴隷契約が解除されれば、その術式は完全に正常化、支配権も破棄する。どうだね?」

と言う。
さりげなく、"その他の要因"で奴隷契約が切れる事があるという、次の提案への布石を織り交ぜながら。

フェリーチェ > 小さく頷き、内心では安堵で胸を撫で下ろす。
ただそれが表に出ることはなく、代わりにぽかんと口を半開きにして男の手元に現れた瓶を見つめる。
かつては魔術師という将来も見据えていた少女だけに、事も無げに今起こった事態に頭が追いつかない。
折角落ち着いたというのに、また目を点にして何度も繰り返し眼を瞬いた。

「えぁ、えっ?……あ、はい、制御できることが目的ですから。
 そんなことが本当に出来るならば……いえ、ロブーム様のお力でどうかお願い致します。
 それだけでも、私の一年が無駄でなかったと……」

少女にとっての一年は、物心ついて以降の人生の1割以上を締めているわけで、決して軽くない思いが込められていた。
一つの家系が悲願としている魔術の改変をこうも容易く行える事に、相応の戸惑いもあったけれど、さっき弄られたのもまた事実。
四の五の言わずただ丁寧にお礼を述べようとして、しかし最後は声が震えだしたことに自ら気づき、声を潜めていってやがて黙る。
握り込んでいた拳はゆっくりと解いて、震えを抑えるために軽く手の甲を撫でてから、少し照れたように笑って紅茶を手にとった。

「……ふ、はぁ〜、おいしい。
 もうわたくしには、どうこうする力も意味もありませんから、ロブーム様に委ねることとします。
 それがきっと、1番良いことのように思ったんです」

そういって、紅茶で湿した唇をにんまりと歪めて積極的に笑顔を作る。
それは営業スマイルなのか、心から信頼した微笑みなのか、わからないようにより強い表情で覆い隠すため。
両手でしっかりもったティカップの水面に小刻みな波が生じていなければ、次第点を貰うことも出来そうな程度に……。

ロブーム > 「(やはり、こちらに対して直ぐに心を許すことはないか)」

屈服させるのは簡単だが、信頼を得るのは難しい。
とはいえ、とにかく手元に置けている、その一事がまずは大事だ。
実際、紋章の事が片付いた時点で、彼女の心境に若干の緩みが出たのは事実のはずだ。

「まあ、この件については私に任せるのが最善だとは思うが――
まあいい。それより、先の事について話をしよう」

そう言うと、男は彼女に鍵を渡す。
銀の鍵――男の配下にしか渡さぬ、特別製の鍵だ。
その鍵には、相当の魔術が――異界をつなげるほどの莫大な魔力を使った魔術がかかっている事が解るだろうか。

「基本的に、君を呼び出す時は、念話を使用する。
だが、行商などで君が王都から出ている時は、この鍵で適当な扉を突いてから扉を開ければ、この屋敷に繋がる様になっている」

正確には、この屋敷の内部の空間を含む男の"城"に繋がるのだが、今の彼女に自分が魔族であることを教えるのは、流石にやりすぎであるため、敢えてこの様な物言いになる。

「勿論、帰りたい時は私に言えば、元の場所――或いはマグメール王国の好きな場所に送ってあげよう。
勿論、仕事以外であっても、私に頼めば王国内の好きな場所に送ってあげよう。流石に頻繁に頼まれては困るが」

我が奴隷の中には、私を使ってあちらこちらに旅行に行く逞しいものも居るから、遠慮はしなくて良い、と笑い話の様に言う男。
ローザも、「私も結構使わせて頂いてます。主人を使うのはメイドにとっては良くないとは思うのですが……便利なので」と恥ずかしげに言う事から、割とよくあることなのだろう。

「私が喚び出すのは、多くても週に二三回――少なければ月に一回ぐらいだ。それ以外は、取り敢えず好きにしていてくれていい。
此処までは、良いかね?」

フェリーチェ > 心を許さずとも未熟な子供にかわりなく、警戒した分だけ守りを固められるかは疑問の挟まる余地がある。
そして聞けば聞くほど、完全に心を許すのは遙か先になるような気がしてきた。

慌ててティカップを置いて恭しく鍵を両手で受け取れば、少女に分かるのはただ凄い力が宿っていると、それだけ。
その術の性質、組み上げ方、魔力の維持、なにをとっても分からないことの方が多い。
紅茶で潤したせいか開きっぱなしの口腔に唾液が溜まってきて、思わずゴクリと唾を飲む。

「い、何時いかなる時も、何事にも先んじて推参できるよう努めます」

恐る恐るといった様子で鍵を握り込みながら、自分がそれを使って良いのか疑問視しつつ承諾する。
そしてドレスの小さなポケットに仕舞うときは、落ちずに収まったことを二度見して確認する。
きっと、自身の生活用品から商材に至るまであわせた全財産よりも価値あるものだろうから。
勿論使われる以上は自分からも有効活用していきたいとは思えど、その価値の高さに目が回って頭が追いつかない。
ふらふらと彷徨うような視線がロブームとローザを行き来して、また鍵を入れたポケットを押さえて確認するくらいに……。

「はい、はい、もちろんです。
 大した事のできないわたくしでよろしければ」

ロブーム > 「まあ、そう気張る必要もないが……だが、やる気があるのは良いことだ。心配しなくても、無理な事は言わない。基本的には出来ることしか言わないから、そこは安心し給え」

賢いというのも、時に考えものだと男は思う。
勿論、それは美徳なのだけれど、それ故に今起こっている事の異常さを理解してしまう。
いっそ、思考を放棄した方が、余程幸福だろうに。
横で、ローザが『大丈夫ですよ。鍵は無くしても、また作り直していただけますから』と言うのを微笑ましく思いながら。

「さて、それでは長くなってしまったが、これが最後だ。
私の奴隷全員に言っている事なのだが――君が期限切れを待たずに奴隷から解放されたいと願うなら、再び、私と賭けをする事ができる」

そう。これが、前に言った『期限切れ以外の奴隷からの解放』である。
解りやすく言えば、先程行った事をそのまま繰り返すという意味で。

「これに敗けても、その日一日辱められるだけで、奴隷期間の延長などのペナルティはない。内容は二人で決める事になるが、出来れば積極的に賭けをしてくれると嬉しい。
私は、従順な奴隷より、多少刃向かってくる奴隷の方が好ましいのでね」

と、にやりと邪悪に笑う。
さて、長くなったが、と男は言って。


「これが、奴隷契約の全てだ。
質問が無ければ、今日の所はこれで帰ってもらう事にするが――どうするかね?」

フェリーチェ > どこかの遺跡から見つけたり国が用意した逸品物ではなく作ったのかと、フォローが余計に恐れを抱く要因になってしまう。
戦々恐々として身動きがとれなくなりそうで、一度両手を互いに握りしめて擦り合わせ、緊張を解こうとする。

「ふぅ……ご期待に添えないこと、面目次第もございません。
 アレはもう、わたくしには当分できそうには……。
 勝てる見込みもなければ、粗相につながる未来しか見えませんもの。
 それはロブーム様がやれと仰られなければの、ことで、ござい…ますが」

思い出すだけで肌がチリチリと変な感触をぶり返し、お腹の奥にモヤッとしたものが現れるような気がしてならない。
不興を買いたくないけれど、心も体もどうなるかということを"賭けよう"と思えず、ベッドの上で座り直すと三指付いての謝罪を行う。
つっかえつっかえ挑戦できるか言ってみたものの、どうやら今はまだ、少女の心が受け付けてくれないと分かっただけ。
ふるりと一度全身を震わせ、

「契約内容に異論はございません。
 ただ、ところで、そのぉ……これからの事で一つ。
 この件はアルヴェスタ様には……んぅ、ふふっ……何とご報告すれば……?」

ここでの事が終わるのは少女の精神には良いことだが、紹介者の男に礼状と共にご挨拶、となれば事の次第は話さなければならない。
思わず変な笑いが込み上げてくるような、思い返せば恥ずかしい出来事。
やや頭を下げながら上目遣いで、全てを詳らかにしなければならないのかと、おっかなびっくり最後の最後に問いかけて。

ご案内:「商家の屋敷(偽)」からフェリーチェさんが去りました。
ご案内:「商家の屋敷(偽)」からロブームさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にロブームさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」にフェリーチェさんが現れました。
フェリーチェ > 【--待ち合わせ--】
ロブーム > 彼女が無理そうだと言って頭を下げれば、男は「いやいや」とそれを手で制す。
元より、彼女に、仕事以上の何かを強制する様なつもりはない。

「勿論、"挑戦"はあくまでも自由意志の元が前提だ――君に強制する様な事はない。
私は君の懸命な所を好いているが、賢明な所もまた、愛い物だと思っている。それを無碍にする事はない」

残念なのは変わらないので、是非検討はしてほしいがね、とやや未練たらしく付け加える。
そして、彼女がアルヴェスタ――彼女にロブームを紹介した男にどう報告すればと言われれば、男は笑って、

「彼はその辺は心得ている。彼には、有望そうな者に私を紹介する様に"頼んで"いるからね。
賭けの内容を知っている訳ではないが……私の元で働く事になったと言えば、おおよその事は察するはずだ」

正確には、彼は男が動かせる駒の一人だ。
色々と便宜を図っており、その代わりとしてこうしてフェリーチェの様な娘を男に差し出すという取引をしている。
勿論、彼はまさか自分が紹介した娘が、この様に犯されているとまでは思っていないが。

「さて……これで質問は最後だろうか。
後は、ローザの避妊魔術を受けて帰りたまえ。
外に、送りの馬車を待たせておるでな」

フェリーチェ > 行商人としてもですけど、合間合間のアルバイトみたいなお仕事とか、それからフェリーチェ自身が抱えている問題についても色々と解決のために求めることを考えておりました。
アルバイト云々はプロフにも書いた見世物演出の系統、フェリーチェの問題は魔術的なお手伝いや感度操作などもっと直截的なプレイ関係だとか。

そういえば放尿ネタ出してなかったので、これ口実にしようかと思うのですが如何でしょう?
最初からひどく攻められてイキ漏らし→我慢覚えろということで焦らし愛撫とかの類。

フェリーチェ > 「畏まりました、見込まれたに値する働きができるよう……誠心誠意がんばります」

コクリと大げさに頷いて、顔を俯かせたまま少女は考える。
察するというのはどれほどの事なのか、のうのうと誘いにのってついて行った自分はどんな目で見られていたのか?
取り替えられて綺麗になった真っ白いベッドを見つめながら、その顔は逆に赤面していく。



脳裏に描かれたモヤモヤを抱え込みつつ、それすら些事となる契約を終えた少女は、ローザの魔術を受けてから帰路につく。
これから行われるであろう辱めの数々など、その拙い経験と知識では半分も想像できぬままに……。

フェリーチェ > 富裕地区に建っていてもおかしくない屋敷に擬態したその地へ、スケジュール通りの呼び出しによって訪れた少女。
キッチンメイドに一言断りを入れて更衣室を借り、そろそろシワの入り具合がその身体に馴染んできたメイド服に袖を通す。
新参の奴隷に今回与えられたメイド服は、純白のフリルブラウスに膝丈の濃紺フレアジャンパースカートが基本。
肩掛け部分から伸びた紐をしっかり止めれば、巨乳の女性は胸が強調される扇状的な衣装になりそうだ。
一般的なホワイトブリムにアイボリーのニーハイ、それに綺麗に磨かれた黒のローファー。
もう驚くことも無くなった一点の曇りもない巨大な姿見の前で、少女は最後の仕上げとばかりに真っ赤なリボンスカーフを襟に通す。

「うん、今日も決まってる。
 汚れ解れ無し、動きにくさも無し、今日も頑張りましょう♪」

出勤前のお屋敷勤めのメイドのように、大した気負いもなく自身に活を入れて更衣室を出る。
この頃は屋敷内の廊下で迷うこともなくなり、一直線にさっき挨拶を交わしたメイドのいるキッチンへと向かう。

「本日はお客様は……この様子だといらっしゃらないようですね。
 ロブーム様はどちらでお仕事をなさるのでしょう?」

仲良くなったメイドと一緒に二言三言言葉を交わしながら、用意された盆に茶器を乗せていく。
それ自体、専門のメイドが用意してくれているので簡単に揃っているか確認する程度の簡単な仕事だった。
今日も間違いなく、しかも一級品の道具と茶葉が揃っているのを満足気に見下ろすと、もう慣れた様子でどこに運ぶべきか問いかけて。

ロブーム > 今回、彼女に命じられたのは、昼過ぎから夜にかけての給仕業務。
彼女に声がかかるのは、何時もは朝から昼が主なのだが、今日に限っては時間がズレて昼から夜の仕事だ。
彼女がキッチンに顔を出すと、パタパタと忙しそうに行き交う合間に、彼女達が声をかけてくれるだろう。

「お、フェリーチェちゃん。今日は夜まで?此処の夜ご飯美味しいんだよね、良いなあ」
「おはようございます。フェリーチェさん。今日も宜しくおねがいします」

この屋敷は、他のメイド曰く『バカみたいに広い』
本当に内部が敷地に収まっているのかと疑問が浮かぶ者が多く居るぐらい、たくさんの部屋があり、廊下もそれに準じて長い。
そんな訳で、ロブームの居場所を常に知っているメイド長のローザが、彼女に指示を出す。

「ええと……今は第三執務室ですね。
ちょっと遠いので、ワゴンを使ってください」

キッチンの脇に邪魔にならないように置かれているワゴンを指差して。
彼女がそれを使って、盆を置いて廊下を歩いていくのを見送って、その後ふと、

「そういえば、あのお盆。お昼のサンドイッチと鶏のローストが乗ってなかったけれど――今日はロブーム様、お昼は要らないって言っていたかしら……?
フェリーチェの事ですから、きちんと確認したと思うのですが」

と、言うローザ。
彼女は知らなかったのか、それとも何時もとは違う時間帯でミスしたのかは解らないが、この時間帯のお茶出しは、同時に昼食の配膳を兼ねている。
彼女の盆にはそれが無かったのを、ふと思い出して――

フェリーチェ > 鑑定や値段交渉で特に優れた技能を収めているわけでもない少女は今、切り詰めた生活を余儀なくされている。
そんな中、メイド仲間が話すような賄いのご飯は、安宿で食べる食事よりワンランク上をいく贅沢である。
雑味のない爽やかなドレッシングや筋の綺麗に取り除かれた蒸し鶏の味を思い出し、思わず頬がにやけてしまう。
仕事中にあるまじきニヤケ顔を浮かべてしまい、頬を軽く叩いて直せば、間違いのない確定情報に振り返る。

「あ、畏まりました、第三執務室ですね。ありがとう存じます。
 こちらもお借り致します……えぇと、キャスターのロックはここで……」

あまり使わないワゴンに料理をのせ、早速とばかりに出発する。
その時、下を向いてワゴンを押していた少女には、後ろでつぶやかれた言葉など耳に入るはずもなかった。
キッチンメイドの差配を信じ、普段と同じ感覚で主人の下へ向かうその顔は晴れやかなもの。
頭の半分は夕食のまかないのことで占められ、むしろいつもより自然体のにこやかな微笑みを浮かべてドアをノックする。

「ロブーム様、お茶をお持ち致しました」

すぐ机に差し出せるように盆の上に軽く眼を走らせ、入室の許可があり次第、綺麗なお辞儀と共に入っていくだろう。
これだけは幼少期からの教育で即席のメイド以上に身についたものであり、それこそ何の心配も無いとばかりに……。

ロブーム > 「おお、フェリーチェ。待ち侘びたぞ。入りたまえ」

機嫌よく彼女に応じる男。
余程お茶が楽しみなのか――と思うかもしれないが、当然これは茶ではなく、飯を待ち侘びているのだと、慣れたメイドなら判断するだろう。
そして、その笑顔は彼女が入室すると同時に、少し眉尻が下がったものになる。

「ふむ……フェリーチェ。取り敢えず、茶を淹れてくれないかね?」

その表情は諦念と落胆が混じった笑みであり、彼女が茶を淹れれば、その茶をゆっくりと呑む。
まるで、味わうように……或いは、少しでも何か胃に入れて、空腹を落ち着かせているかのように。
そして、今まで見たことのない、にっこりとした優しい笑みを、少女に向ける。

「時にフェリーチェ。今はもう12時30分なのだが……食事はまだ、出来ていないのかね?」

或いは。それは普段、負の感情を表に出さない男の、笑顔に近い憤怒の表情だったかもしれなかった。

フェリーチェ > 声の調子から機嫌の良さはすぐ分かったけれど、観察眼はまだまだといったところ。
眉尻を下げた主人の様子にまったく気づかなかった少女は、さらりと軽くカーテシーしてお茶を入れた。
特に淹れ方が上手いわけでもない自覚もあって黙ったまま次の指示を待つ様子は、過ちに気づかず平然とした愚かな配下そのものだろう。

そんな少女は、攻撃性のノッた笑顔に満面の笑みで応えるという最悪の対応をする。

「はいっ♪ こちらに来てから時計はすぐ確認致しました。
 本日はお昼からのお勤めをさせていただ……ぁ、食事は、えぇっと、たぶん、あったかも……あのっ」

交代の時間について言われるのかと思い、明るい声で答え始めたけれど、チラリと机を見て徐々に声が揺らぎだす。
その瞬間になって、キッチンに見回しただけで知り合いが揃うほど詰めていた意味と、自分が持ってくるべきだったことも理解した。
しどろもどろに言葉を重ねた所で何の解決にもならないことは分かっていながら、細く締まった喉からは曖昧な言葉ばかり。
額にじっとりと冷や汗を浮かべ、胸に手を添え頭を下げる。

「も、申し訳ございませんっ!
 た、たしか出来上がっていたかと。
 い、いますぐ、急いでお持ちいたしますのでっ!!」

ロブーム > 「まあ、待ち給え、少女よ」

何時の間にか、男は彼女の後ろにいて肩を叩いていた。
椅子から立ち上がった様な素振りすら見せていなかったというのに、唐突に。
それは、まるで逃さぬと言外に宣告しているように。

「勿論、それは後で頂こう。
だが、今日は仕事が忙しくてな……朝も殆ど食べておらんのだよ。
その上、昼は遅くなると言うのなら、昼食だけでなく、デザートも欲しいと思うのは贅沢ではないだろう?」

そう言うと、男は外を指差した。
この屋敷の中庭はテラス風になっており、おまけにロブームの魔法で常に適温になっている。
その為、非番のメイド達が集まって、昼食を食べているが。

「私の食事が済むまで、中庭にて待機。
但し、今履いている靴下と靴以外の全ての着用を禁じる……わかったね?」

と、諭すように晒し者の刑を宣告する男だった。

フェリーチェ > 慌てて振り向けば、男の顔はもちろんのこと体全体を視線が彷徨うように這い回る。
まるでそこに居るのが本物か確かめるかのように。
何が起こったの定かではないけれど、一つ確かなことは自分が怒らせ、自分が償わねばならぬという一点のみ。
胸元でその小さな手がますます白くなるくらい強く握りしめ、懇願するよう目を瞑って俯き加減にまくしたてる。

「はいっ……は、はいっ!!
 当然のことでございます、得られるべきものが得られぬのはお辛いこと。
 すぐにでもご用意をっ……えっ?………着用を禁、じる?」

顔を上げるとポカンと間抜け面をさらし、少し間を開けて無意識に「はい」という生返事。
いっぺんに色々な事が起こりすぎて、茫然自失のままワゴンを押して退室していく。
廊下で擦れ違うキッチンメイド達は昼食を用意し直すのに夢中で、大きな関心を引かぬままに中庭に通じる扉の前までやってきた。
だが、そのままテラスに出る前に、キョロキョロ周囲を見回しながら主人の言葉を反芻して……。

「禁じる……禁じる……え、脱がないとダメ?」

少しだけ開いた扉の隙間から、まだ何人ものメイドがテラスに見えた。
ぐっと下唇を噛み締め、覚悟を決めれば、ホワイトブリム、リボン、ベルトと徐々に少女は脱いでいく。
ここまでは大したことでもない。
けれど外の明るい光景を眼にすると、スカートを下ろそうとする手が震え出す。
震えながら、首筋のあたりをほんのりと色付かせて、ゆっくり心を落ち着け脱いでいけば、当然時間は刻一刻と過ぎ去り……。

「…………あっ、あのぉ……みなさんっ」

言われたとおり靴と靴下以外をワゴンの下部に放り込んだ少女は、頬を上気させた顔をひょっこり扉から出してメイドに声をかける。
ここから一歩出るだけの勇気がなんとしても出てこない。
時間に追われててんてこ舞いの少女は先輩メイドたちに助けを求めようとしたのだ。
つまりは、ロブーム配下のメイドたちに……。

ロブーム > 彼女が扉から顔を出して声をかけると、「あや?」とテラスに居たメイドがそれに反応した。
それは、彼女が出勤した直後に話したメイドだ。
両手には、サンドイッチとチキンサラダの乗った盆を持って。

「フェリーチェちゃん?どうしたの?」

茶髪に赤目の、鼻にそばかすの浮いた齢十六ぐらいの少女――ジェンヌは、首を傾げて彼女の方に駆け寄ってくる。
そして、扉の外から、中を見ると、「ああ……」と可愛そうなものを見る目で少女を見る。
どうやら、大体の事情は察したようで。

「そっか、ご飯持っていき忘れた新人の子って、フェリーチェちゃんだったんだ……」

と言って、うーんと唸ってから、取り敢えず持ってた盆からサンドイッチを差し出して。

「取り敢えず、先にご飯食べよ?腹が減っては戦は出来ぬって言うし!
その後で、庭に出なよ。
早く来ないと、ご主人さま余計に怒るだろうしさ、一緒に居てあげるから」

どうやら、ロブームの勘気に慣れている風の少女は、そう言って彼女をテラスへと誘うのだった。

フェリーチェ > まだまだ成熟不足の少女は、胸元と下腹部の大事な部分をその小さな掌と細腕だけで上手に隠していた。
だがそれで廊下の隅っこに居ていい姿でもないのだから、同情もやむなしだろう。
弱り顔で相対した少女は、潤んだ双眸を細めて二度強く頷いた。
ついでに先輩メイドの、ジェンヌの言葉で自分のミスを自覚する。
それと同時に"教えて貰えれば間違えなかった"という非難めいた想いも芽生えるけれど、事実が覆るわけでもない。

「ありがと、ございます。
 あぅ、美味しいです……美味しいけど、なんだかいつもより味がしない」

こんな格好でいて、挙げ句見られただけじゃなくこれから外に出なければならない。
頭の中は一杯一杯で、美味しいと思いつつも味わう心の余裕もなく、ぐいっと飲み物を多めに口に含んでどんどん流し込む。
隙間を開けたドアの側で、ほぼ裸の少女が蹲りながら食事する光景は、他所であればさぞかし奇妙なものだっただろう。
そして……とうとう名残惜しげに最後のパンの一切れを流し込んだ少女は、ジェンヌの後ろに隠れるように外へ足を踏み出す。
蹲っていた格好から半分腰を上げただけのような、所謂へっぴり腰になりながら。

自分より背の高い女性の後ろに居ても、この陽の高い時間、明るい光が否応なく少女の白磁の肌を曝け出す。
慎重に一歩一歩静かに歩いているつもりなのに、テラスの板が軋む度にやけに自分の存在が目立つような気がしてならない。
テーブルのところにまで到着しても、その後ろを離れられない少女はジェンヌのメイド服の端を掴んだまま待機する。

ロブーム > 「まあ、これからの事を考えるとねー……。
うん、後ろに隠れてるといいよ」

そう言って、彼女を先導するジェンヌ。
だが、それでも後ろから見れば、裸である事は否応なく解る為、後ろからあらあらという声やひそひそ声が聞こえてくるだろう。
不思議な事に、バカにした笑い声というよりは、むしろ他愛のない、可愛らしい物を見るような生暖かい視線がほとんどである。

「あんま気にしないでいいよ。ロブーム様のとこに居たら、大なり小なりお仕置きは受けるもんだし。
流石に、全裸に剥かれて放り出されるのは珍しいけど――」

と言った所で、先輩メイドの一人――20代ぐらいだろうか――がジェンヌとフェリーチェの前に立つ。

『ああ、フェリーチェちゃんは、こっちに来てくれる?
ロブーム様からの命令なの』

そう言って、フェリーチェは彼女の手を取って、強引にジェンヌの影から引き出す。
今こそ、全てをさらけ出す事になった彼女が連れて行かれるのは、テーブルクロスの引かれた、大きなラウンドテーブルだった。
彼女は、そこにある椅子を引くが、しかし座らせるのではなく、

『そこに、仰向けで寝そべってくれる?椅子じゃなくて、テーブルの上ね』

体躯の小さな彼女なら、寝そべっても少し余裕があるぐらいの大きさである。
だが、そこに寝そべれば、嫌でも注目を集めてしまうだろうが――

フェリーチェ > 先輩メイドの背に隠れつつ、空いた手は目一杯に広げてその小ぶりなお尻へ。
腰つきが細いと言っても手だって年相応に小さくて隠しきれないし、側面からは緊張でピクピク尻タブが持ち上がる様子が覗ける。
部屋の中とは明らかに違う光と風が背中に浴びせられて、否応なく裸で居ていい場所でないことを思い知らされ、更にもう一つ浴びている笑い声……それが嘲笑でも愛でるものでも見られていることに違いはないのだから、頭を空っぽにして楽になることは出来そうにない。

ぐるぐると渦巻く羞恥と緊張に苛まれていた少女は、手を引かれるがままに、ほぼ無抵抗で全てを白日のもとに曝け出した。
華奢な肩は流れるように揺れるプラチナブロンドの髪に些細な刺激を受け、それがまた服を着ていない事を意識させてビクビクしている。
控えめな胸にツンと立つ乳首はすでに緊張のためかやや固くなっている。
細く静かな呼吸は意識的で、もうイカ腹という程で無いもののアンバランスに残ったお腹の出っ張りが、呼吸のリズムで前後する。
相変わらず無毛のツルツルした肉厚な秘部は、"アレ"以来少しだけ開きやすくなったものの、まだ普通にしていれば綺麗な一本筋。
膝丈のスカートでは見えないニーハイの境には、辛うじて成熟が始まりかけてお肉のついた太腿に新たなクビレを作っている。

そして……靴だけ、ここに居るのに相応しい格好と言えるだろう。
命じられてコクリと頷けば、足を開くのを恥じらい手で股座を隠しながらも、片膝をテーブルに引っ掛ける。
そこでふと止まり。

「えぇっと、靴は……良いんですよね。
 ロブーム様から言われたのは、他の服の禁止だったから……ど、どうしよう」

あれは脱がなくていいという事か、暗に着ていろということなのか……解釈に迷ってただでさえ弱々しい表情の眉根を寄せる。
迷った末に少女は、テーブルに座った格好から仰向けに倒れる形で、つまり膝から下はテーブルの縁に垂らして寝そべることにした。
脇を締めて腕をぎゅっと寄せて胸元が横から見えづらいように、そして両手をそっと秘部に重ねて光る文様と割れ目を隠す。

フェリーチェ > 【--中断して次回継続--】
ご案内:「設定自由部屋」からフェリーチェさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」からロブームさんが去りました。