2020/10/19 のログ
ロブーム > 射精の余韻をじっくり楽しみつつ、次はどうするべきか考える男。
流石に、二十分で心をこじ開けるのは、男としても中々難しい。
というか、先程から、何か手応えに違和感がある。
そう思い、少女の目を覗き込めば、そこには快楽だけではなく、怯えの感情。

「(ふむ……成程、何かズレがあると思ったが、もしや?)」

興を削ぐと思い、読心の魔術を使わなかったのが逆に仇となった。
つまり、少女はそもそも精神力だけで堪えていなかったのだ。
恐怖心、未知なるものへの恐怖が、彼女を支えていた。

「(これは、私の失態だな――だが、同時にこれはこれで次の楽しみでもある)」

そう思い、男は彼女の乳首を優しく撫で回し始める。
決して、イケない様に、慎重に、そして丁寧に。
彼女の表情を見ながら――

「残り、十分ぐらいか。じっくり楽しませていただこう」

            ●
やがて、砂時計の砂が落ちきれば。
香炉からの香りは消え去り、男も彼女の身体から離れる。
そして、男は手を叩いて、少女を称える。

「おめでとう。今日の所は君の勝ち――と言いたい所だが」

そう言って、男は目を伏せて残念そうに言う。
本当に、心の底から残念そうに。

「今日の所は、引き分けだ――理由は、解るだろう?
最後の最後、君は自分の乳房を愛撫するという命令を守っていなかった」

これだけだととんだ物言いだが、男は続けて「更に言うなら、復唱を命じた際は、正確には復唱されていなかったしな」と彼女の失点を論い。

「よって、この勝負は引き分け、だ。
君は何も要求できないが、こちらもまた、君をこのまま返す。
それが、今回の幕引きとなろう」

と言う。
どうやら、本当にそうするつもりらしく、ベッドの直ぐ横には、彼女が見慣れているであろう白竜亭の扉が現れて。
後は、そこをくぐれば、後は帰れるという仕儀らしいが――

シンディ・オーネ > 仮にこの試しを受ける前と後で自分の感じ方が変わるだけで、
特に悪魔的な何らかの処置が加わったりしないとなれば、ご覧の有様で耐えられはしなかったはずだ。
言語化しないだけで、とにかくオーガズムが欲しい。難い相手の前で耽る事にももう抵抗なんて無いし、
おぞましい事のはずだがこの男にイかされたとしてもご褒美というくらい。

ただこの状況でどれだけ甘い条件を伝えられたとしても、本格的に悪魔っぽいとなればそんな話を信じられないかもしれず。
ロブームのやり方がどうというよりも、今回の状況はきっとこのように帰結するものだった。

「――んっ んっ あっ あっ あっ… もっ、もうっ、もぅ…」

まさか口で絶頂したりもできず、精液くさい息を深くついて疼きに耐えている。
そこで乳首を撫で回されるともうそれだけでイってしまいそうに全身を痙攣させて、
満足はできないが、もう興奮しきった意識だけで甘イキさせられるような状態に――

―――。
――20分、アニー、とうわ言のように繰り返し10数分。

「――ぁあああっああああああっ!」

終わりを告げられると、手を叩く男の事など目に入っていない。
下手な操り人形のようにカクついた動作で貞操帯のカギを何度か失敗しながらどうにか外し、
その間にも身をよじって乳房を揉みしだき乳首を抓り上げ、
秘所にグイと指を潜り込ませるが早いか、もう限界というくらい背を逸らせ盛大に潮を吹いてアクメをキめて。

憎い男の前にも関わらず甘えるようにくねる身体をシーツへこすりつけ、くちゅくちゅくちゅくちゅ余韻に浸る。

「――はぁー―っ… はー―っ… ぅっう、うぅん…」

はひはひと喘ぐ口からだらしなく涎を垂らして、時折痙攣しながら手を休める様子はなく、
放っておけばこのままシームレスに自慰の第二ラウンドとかそんな雰囲気。

――しかし「引き分け」と、その言葉を聞いて我に返った。

忘我の境地から自分の痴態に思い至って、まだ痙攣しながら手を止める。

「――む、むりな、ようきゅうは… しないはず…」

正確な復唱も乳房への愛撫も、実行するのは私だがそれが出来る状態ではなかったのだと釈明したいが、
契約から解放された今、男を視界に捉えてしまうと、
殺してやりたいくらいの相手に別の感情が湧いてしまいもう一瞬だってここにいたくない。

この男を、自分を悦ばせてくれる人だと認識させられているカラダの自制にもはや自身がなく。

白狼亭の扉を見ると、逃げるようにそちらへ向かって歩き出した。
店内で軽く乱闘し助けを呼んでからの一時間後。

冷静ならせめて居住まいを正してから扉をくぐるべきだが、こんな所にいられるかの一心で――

ロブーム > 少女が自慰にふけっている間、男はと言えば特に何を言うでもなく、何処からか出した茶を啜っていた。
無論、一度勝負が終わってしまえば、男が手を出す様な事もなく。
だが、アクメを決めた後のシンディに引き分けを告げた後の反応を見ると、男はふ、と笑って

「少なくとも、物理的、時間的に不可能ではなかっただろう?
逆に君の理屈を通せば、『絶頂するのを我慢するのは無理だからその命令は聞けない』などの命令違反も通ってしまうことになる。
それを引き分けにしたのは、むしろ甘い裁定と言いたいがね」

と、それを一蹴する。
常識的にはシンディが正しいが、しかし理屈の上で悪魔に勝てる訳もなく。
そして、少女が衣服の乱れも直さず外に出ようとしているのを見ると、

「――まぁ、これぐらいはサービスとしておこうか」

そう言って、指を鳴らす。
扉から、自分が務める職場に戻った少女は、気づくだろう。
自分の衣服が前と同じ状態に戻っている事に。
尤も、股から流れる蜜までは、元には戻らなかった様だが。

ご案内:「ロブームの城」からロブームさんが去りました。
シンディ・オーネ > 勝負に勝って… もとい引き分けて、しかし試合には心情的に惨敗だった。
今回もこれは媚薬によるものだと言い訳はできるが、
あの悪魔が精神に作用するような事はしないと言ったのは、本当だと思う。

生理的な衝動に抗えないと言っても、食事や排泄と違い性交は不要不急。
そこで大いに乱されたという感覚はやはり後を引く事になり、
契約で魂をとられなかった?のは御の字だが、果たして堕ちなかったと言えるのかと、また一つ悩みが増える。


―――。
――扉を潜ればそこには事態を聞きつけた人がいて、慌てて押さえた胸元は衣服に覆われていて一安心。
しかし顔はぐちゃぐちゃで変なニオイまで。
従業員用が無ければ宿区画の空き部屋にでも飛び込んで身なりを正すが――
やけに時間がかかるのは、そんな状況でさえ一人になれるとたまらずに他の事もしてしまっていたからだろう。

ご案内:「ロブームの城」からシンディ・オーネさんが去りました。