2020/09/24 のログ
ご案内:「帝国の関所」にエミネさんが現れました。
エミネ > 「暇ね」

「真面目に仕事してください阮校尉、兵が見てますよ」

帝国の関所、王国側の入り口。
入国せんとする長い長い人の列を眺めながらここに部隊ごと派遣されてきたエミネは、隣の兵にぼやく。

シェンヤンとマグメールの戦争が始まって10年。膠着状態のまま惰性で戦っている両国だが、奇妙なことに人の出入りはあるのだ。
それは交易商人であり、旅人であり、あるいは政争に敗れ亡命を希望する王族貴族であったり。激しい戦闘が始まらない限りは、彼らの行き来は黙認されている。

ただし、それでも戦時中ゆえ、入国には厳しい審査が必要になる。
入国希望者達は、何十時間、下手すると何日も待たされてやっと入国できる。

どうぞお気をつけて、シェンヤンに栄光を。暖帽をかぶった役人が判を押し、隊商を見送るのをエミネはぼおっと眺めていた。

「何か面白いことでも起きないかしら?」

「起きたら困るでしょ阮校尉」

彼女ら軍人の役目といえば、国境の警備。先述の通り、帝国への入国には厳しい審査を通る必要がある。その上、入国許可証を得るには大商人とのツテがなければ難しい。
ゆえに、密入国を狙う犯罪者、王国の工作員、もしくは何らかの依頼を受けた冒険者が後を絶たない。
そういうのを捕まえて取り調べ、牢屋に入れたり追い返したりするのが彼女らの主な仕事だ。勿論、王国軍が攻めてきたらここを防衛することもであるが。関所の窓からは連弩が飛び出し、入国希望者達を威圧している。

「なんか不審者とか捕まえてないの?」

「今のところはないですね」

「……つまらないわね」

だが、今日は平和そのものだ。今のところは。