2020/09/05 のログ
ご案内:「妖精の森」にミミックさんが現れました。
ミミック > 太陽は落ちた。
小さな妖精の森の木漏れ日は陽光ではなく、夜空に輝く月の輝き。
その刻こそ夜行性であるミミックが活動する時間帯である。
稀に陽光の下で動くミミックが存在するが、それは特殊な個体。
基本的にはこうして夜の帳が落ちた時間帯こそがもっとも活動的になる時間帯であった。

特に霧が深い日、霧雨の降り注ぐ日、そうであれば更にミミックは喜ぶが今宵は――…その後者『妖精の森には霧雨が降っていた。』
木の幹に擬態している甲殻はその霧雨に濡れ、草木を煮詰めたような濃密な体臭も霧雨によりかき消され、一層擬態したミミックを見分けるのは難しい状況となっている。

それに今宵のミミックは非常に賢いのか、木の幹にではなく茂みの中に身を潜め、目の前を通りかかる獲物に対していつでも背後から或いは横からとびかかれるように構え、赤い眼球を仄かに輝かせ、当たりを見渡しながら獲物の到来を待つ。

瞳に映るのは生物の体温のみを捉えたモノ。
普段ならば通常の視覚に頼るが今宵はそれよりも霧雨の影響を考えて、生物の体温を見ることを重視したようで、今のミミックの目には生物の鼓動、体温それがすべて視覚化して見えている。

その代わりに風の動きや音や匂い、それらを感知するの事は切り捨てており、生物の体温と鼓動を視覚する眼と気配を察知する事で獲物を捕らえようと。

幸いなことに今宵は小動物はすでに眠り、天敵となりそうな大型生物も霧雨のせいで住処よりでない、だからミミックには格好の仮の条件なのだが果たして……。

ミミック > 茂みに隠れ身を伏せたミミックは今宵の霧雨の所為も視認するのは困難だろう。
視認できる可能性があるとすれば輝く赤い眼、それだけが夜の闇の中で爛々と輝いている。

しかし、それも地面に近い低い位置である。
よほど目敏くない限り、やはり発見は難しい。
何故なら眼以外のミミックの体を包む甲殻がすべて茂みの緑と地面の土色に変化し、擬態しているからだ。

匂いも希薄、虫ゆえに気配も薄く、音も鳴らさない。
それだけ擬態しておきながら、隠れておきながら、隠せない赤い瞳は獲物の痕跡は逃さないと言わんばかりに周囲を見渡している。

その輝きの明るさはミミックの飢えの強さを証明している。
雑食でありながら特に肉を好み、この時期は繁殖期でも最も半食欲の強い時期である、その時に妖精も捕まえることができていないこの個体はとても欲深く、その高ぶりは時に暴力ともなるだろう。

獲物が暴れれば暴れる程ミミックの残酷さは増し。
時にそれは繁殖への興奮と混じり、甚大な被害を及ぼす事もある。
それだけミミックの一種としてミミックと呼ばれる蟲は雑魚モンスターに分類されながらも、人に危害を及ぼす立派なモンスターであった。

繁殖期のミミックは家畜さえ犯す。
牛だろうが豚だろうが何でもだ。
その腹を借りて繁殖し被害を及ぼす。

故に冒険者のほとんどはミミックとの戦闘をクエストで経験している事が多い。
家畜すら腹ませるミミックが人を襲う、その結果は火を見るより明らかだろう。