2020/06/10 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 平民地区の一角に、許可を得て空き地に建てられたテント。
その入口でおこされた焚き火からは美味しそうな甘い匂い…とすら言える芳香が漂っている。

「ふふーっ♪ いいにおい… これなら、どんな美味しくないお薬も、
あまーく…おいしく飲めるんじゃないかな?」

弱めた焚き火のとろ火で煮込まれている鍋の中身は、心身を癒やし精力を高める精力剤。

チョコや飴菓子、果物にクリーム… 様々なニュアンスを感じる、
お菓子作りの最中のような甘い香りが漂って、とても薬作りの最中とは思えない。

タン・フィール > やがて、鍋の中身はどろりとしたはちみつ状に、液状からトロミを帯びた紫色の汁となって…
それを湯気が立つ暖かさのまま、鍋を傾けて煮沸消毒した瓶にゆっくりと垂らしていく。

「さーっ、新しい元気になるお薬…♪ あした早速、おためしで売ってみよっと!
―――いや、そのまえに、ちょっとお試ししといたほうがいいかな?」

と、ぺろりと舌をのぞかせて、むしろその実験こそ自分がしたかったかのように、
瓶の中身が冷めたら、新作の甘味の薬を自ら試そうと、
楽しみな様子で瓶を手に、ぽんぽんと宙に投げてはキャッチして冷めるのを待ち…。

頃合いになると、きゅっぽん!と蓋を開いて、ほんの1~2適味見しようと、
ゆっくりと瓶を傾け、薄紫のトロトロをゆっくり口内に垂らしていく。

「んっ…っく、んく。
―――ぅん! おいし! なんか身体もポカポカあったまって…元気になってきたかも!」

と、味わいに満足、疲労回復の効果は即効性…と、ひとまずは少年の想定した通りの効き目の様子。
問題は、さして疲れていなかったのにそれを摂取してしまったことで…。

「…ん、…んんっ…なんか、ちょっと…ぽかぽかっていうか…ドキドキ。してきちゃった、かも。」

じわり、と汗ばみ始める肌。
ふ、ふ、と息が熱く、身体を動かしくてしょうがないような、もどかしい衝動が燻り始める。

ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。