2020/05/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジェイクさんが現れました。
ジェイク > 王都マグメールの平民地区。
富裕層でも、貧民層でもない、文字通り、平民の多くが生活する街は、
王都の中でも最も面積も広く、人口も多い賑やかな場所である。

上下の身分、多種多様な種族が往来する街並みは貧民街に比べれば、
一見すれば治安が良く、住みやすさを感じさせる事だろう。
衛兵の詰め所が存在する平民地区では必然的に街中を警邏する兵士の数も多く、
行き交う人々に彼等が目を光らせている。
だが、それが必ずしも治安維持のために輝いているとは限らない訳で。

「――――其処のアンタ、少し良いか?」

なめし革の胸甲を身に纏い、腰に剣を佩いた警邏中の兵士風の男が
道を行き交う女の後ろ姿へと声を掛ける。
ちらりと覗いた横顔が彼好みであったのか、或いは、顔見知りだったのか。
口端に滲んだ嗤みは、この後、彼女に降り掛かる災厄を象徴しているようであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「居酒屋“幽世”」にソウレンさんが現れました。
ご案内:「居酒屋“幽世”」に紅月さんが現れました。
ソウレン > しとしと。薄い雨が王都を濡らしている。
そんな中で平民地区に程近い場所。赤い提灯がぼんやりと揺れる店。
王都には風変わりな店構えは今日も今日とて静かに営業中。

「ふむ…。」

カウンターの席に腰掛け、一息。
天候のせいか、今日は閑古鳥。今日『も』かもしれないが…。
少し暇を持て余すな、と思いながら湯呑に薄く割った酒を一口呷る。
これはなかなかいいな、と試供品の味を見ながらぼんやりと戸を見る。

仕込みも全て片付けてしまったし…このまま客が来ないなら早めの店じまいも考えるか、という所…。

紅月 > 「嗚呼、やられた…」

不意に降り始めた雨は存外冷たく、それを吸った布がズシリと重い。
降り始めた頃に傘を出せば良かったものを、雑事が重なりすっかり濡れ鼠だ。

「姐さーん!まだ店やってるーっ?」

カラコロカラ、小走りに近づく下駄の音。
急いで扉を開ければ、返事も聞かずの御入店。
…今日も今日とて暢気な紅が静寂をぶち壊していく。

ソウレン > どんがらがっしゃん盛大に音を立てて開いた引き戸から、赤い髪が転がり込んできた。
少し驚いた、という表情を向けながら席を立ちあがる。

「いらっしゃい。賑やかだね。」

静かに微笑みながらゆっくり調理場へ…向かわずに備え付けの戸棚へ。
中から乾いた布を取り出すと、紅月の元へ。髪や顔をひとまず拭くといいと差し出す。

「どうせ閑古鳥だ。掛けれる服は適当な椅子に掛けて構わない。」

そうしてからやっと調理場へと入っていく。
店内は湿度こそ雨天のそれではあるが、冷房をかけているのかのように少し涼しい。
柱の天井付近や梁にいくつかの青い楕円形の物が下げられているのに気づくかもしれない。

紅月 > 「ふえぇ…参った参った。
霧雨だからって油断したら此れだもんなぁ」

髪も身体も、ついでに声色まで重たげな。
しょんぼりお顔のまま、ひとまずは貼り付く髪を掻き上げて。
布を受け取れば少し和やかに
「ありがとー…」
と礼を言いワシワシと顔をぬぐうが、量の多い紅色からポタリポタリ。

「だぁーっ、もうっ!
あっちへお行き!」

ついにはプンスカ怒りはじめた。
…と。
ぶわり、熱気を包んだ風が一陣ひゅるりと外へ逃げていく。
自身に宿す熱で水気を追い出し、店の外へと追いやったのだ。
後は乾いた着物や髪の具合を確認…くるり、くるりと具合を確かめ漸く一息。
…何となくまだ髪が湿気っている気がして、ヒョイっと布を首にかけた。

「相変わらず、姐さんのトコは涼しいねぇ。
…お、何だこれ。
綺麗だねー、この飾り…」

カラコロ、下駄の音が再び響く。
お空を見上げてキョロキョロ、あっちへ此方へフラフラリ…興味の向くまま青い飾りを眺めている。

ソウレン > ヤケになってぷんすこ怒る姿に微笑を浮かべつつ、いくつかの物を用意していく。
陶器のぐい呑み。お通しの為の小鉢。
ある程度乾いた姿にあまり心配する事もなかったかと考えつつ、手を動かす。

「綺麗と言ってくれるのは嬉しいな。」

青い飾りからはひんやりとした冷気が漏れだしている。
魔力ではなく生物的な力。有り体に言えば何かの鱗のようにも見えるだろう。

さて、ぐい呑みには瓶ごと少し冷やした純米酒を。
小鉢にはザク切りにされた胡瓜とタコの酢の物を。
カウンターの席へとことりと置く。

紅月 > 「ん、んー…やっぱり、冷たい?」

不思議そうに手をのばすのは、件の青い飾りから冷気が出ているのを確かめる為だ。
まるで氷に手を近付けているような冴えた冷たさは新鮮な感触で。

「珍しいねー…鱗?
この辺りじゃ見ない子だ」

爪の先でツンツンとつついてみるが、御通しが出ればキラキラと目を輝かせて着席する。
まずはグッと1杯…ぐい飲みの酒をあおって、ふぅと息をつく。

ソウレン > 「そうだろう? それは龍の鱗だよ。
いや、この時期くらいからは少しでも涼しくなるようにと思ってね。」

席について酒を呷る姿に微笑み。
空いたぐい吞みにもう一杯サービスしよう、と酒を注ぐ。
さて、と言いながら。

「何か食べたい物はあるかな? 今日はイサキなんかがオススメだが。」

朝に仕入れた物だ。室内を冷やす摩訶不思議な店であれば鮮度も悪くない。
生でも食べられるよ、と微笑む。
あと飲みたい酒、食べたい物があればそれに合わせて出すつもりである。
勿論、日ごろからあるような物は出してくれるだろう。

紅月 > 「へぇ、これも龍の鱗なんだ。
うちのとは形が違うなぁ…何処で見付けたの?」

ごそごそ…袖から取り出したのは、今正に話した"うちの"龍の鱗。
生えかわりでぬける鱗をひたすらに集めておいたものだ。

「お、やった!お刺身お刺身~っ!
他は…姐さんのオススメをいくつかと、お豆腐!
おぼろ豆腐ある?姐さんの手作り、また食べたーい」

つらつらと、あまり悩む訳でもなく希望を並べていく。
それこそ"いつもの"とでも言わんばかりに、ホクホクと。
期待の眼差しでもってソウレンを見詰めてはみるが…はたして、レアメニューのおぼろ豆腐はあるだろうか。

ソウレン > 「そうだね。こちらにいる竜とは形状が違うだろう。
東方に住む龍のものだよ。私も旅は長いからね。」

進んで正体を明かすつもりはない。
…まぁ、目の前の子もおそらく純粋な人間ではない。
ただ、それを深く掘り下げるつもりもなく。
もしバレるなり、気づくなりすれば隠し立てすることはないだろうが。

「おすすめね。わかった。
おぼろ豆腐は……どうかな。少し待つといい。」

いきなりお刺身…でもいいが少し何か挟むのが良いだろうか。
ひとまずお湯を沸かす。火は強めに、早めに沸かしたい。
注文のおぼろ豆腐。翌日の為の仕込み分になるのだが。
食材庫を開けて様子を見てみれば…少し柔らかいが出せない事もなさそうだ。

硬さの良い所を選び、皿に掬う。
小葱を切って散らし、醤油差しを添えてカウンターの席へ。
豆腐を味わっている間に、目当ての物をゆでてしまう。

ご案内:「居酒屋“幽世”」に紅月さんが現れました。
ご案内:「居酒屋“幽世”」に紅月さんが現れました。
ご案内:「居酒屋“幽世”」から紅月さんが去りました。
ご案内:「居酒屋“幽世”」からソウレンさんが去りました。