2020/05/15 のログ
リス > さらさらと、書類を作り上げて少女は軽く息を吐き出す、今日の所はこの辺で良いだろう。
 特にこれといった、変化の無い状況だ、今しばらくは、アスピダの状況が響いてくるのだろうことが見て取れる。
 特にギルドや貴族のほうからの依頼などはないし、それならば、変わりなく商売することこそが、少女のやるべきことだ。
 こういうときほど、食料や日常品が必要とされるのは分かっているから。

「今度、お父様にお話、しに行かないといけないわね。」

 とは言えども、トゥルネソル商会として、今後アスピダのことに、どうかかわっていくのか。
 積極的にアスピダ攻略する人に食料などを売るのかそれとも、民を中心として、民のほうにむけるのか。
 店長の少女として決めるには、まだ大きすぎる話でもある。
 商人としての行動はそれだが、後は、竜としての行動、自分は不干渉を考えているのだけれども、実家はどう考えているのか。
 すり合わせに戻らないといけないわね、と軽くため息をついて帳簿を閉じ。
 そして、お金を数えて、問題がないことを確認する。

「じゃ。あとは……」

 店員たちに任せて、九頭龍温泉に行ってから、家に帰りましょう。
 そういって金庫にお金をしまい込み、鍵をかけてから。
 奴隷の店員たちに声をかけて、藤篭をもって、家に戻ることにしよう。
 冒険者に護衛を頼んで、のんびりと――――。

ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からリスさんが去りました。
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 住宅地や雑貨屋が並ぶ平民地区の一角に、
許可を得て空き地に建てられたテントからは、美味しそうな甘い匂い…とすら言える方向が漂っている。

「ふふーっ♪ いいにおい… これなら、どんな美味しくないお薬も、
あまーく…おいしく飲めるんじゃないかな?」

王都の各地にテントで店を開いている少年薬師の、住居 兼 店舗。
そのテントで、弱めた焚き火のとろ火で煮込まれている鍋の中身は、
チョコや飴菓子、果物にクリーム… 様々なニュアンスを感じる、
お菓子作りの最中のような甘い香りが漂って、とても薬作りの最中とは思えない。

その鍋の前でちょこんと座りながら鍋の中の煮詰まる薬の面倒を見ている少年薬師。
あたたかそうに焚き火の火にもあたりながら、穏やかな時間と香りにうっとりとまどろむ

なんらかの、そのままでは苦くて飲むのが困難な薬を、
甘く、おいしく摂取できるようにする研究中のようで、「開店中」の札の下がった
店の入口…テントの天幕の外側まで、お菓子屋さんのような甘い匂いと湯気は立ち込めていく。

タン・フィール > やがて、鍋の中身はどろりとしたはちみつ状に、液状からトロミを帯びた紫色の汁となって…
それを湯気が立つ暖かさのまま、鍋を傾けて煮沸消毒した瓶にゆっくりと垂らしていく。

「さーっ、新しい元気になるお薬…♪ あした早速、おためしで売ってみよっと!
―――いや、そのまえに、ちょっとお試ししといたほうがいいかな?」

と、ぺろりと舌をのぞかせて、むしろその実験こそ自分がしたかったかのように、
瓶の中身が冷めたら、新作の甘味の薬を自ら試そうと、
楽しみな様子で瓶を手に、ぽんぽんと宙に投げてはキャッチして冷めるのを待ち…。

頃合いになると、きゅっぽん!と蓋を開いて、ほんの1~2適味見しようと、
ゆっくりと瓶を傾け、薄紫のトロトロをゆっくり口内に垂らしていく。

「んっ…っく、んく。
―――ぅん! おいし! なんか身体もポカポカあったまって…元気になってきたかも!」

と、味わいに満足、疲労回復の効果は即効性…と、ひとまずは少年の想定した通りの効き目の様子。
問題は、さして疲れていなかったのにそれを摂取してしまったことで…。

「…ん、…んんっ…なんか、ちょっと…ぽかぽかっていうか…ドキドキ。してきちゃった、かも。」

じわり、と汗ばみ始める肌。
ふ、ふ、と息が熱く、身体を動かしくてしょうがないような、もどかしい衝動が燻り始める。